2.1 本剤の成分又は他の顆粒球コロニー形成刺激因子製剤に過敏症の患者
2.2 骨髄中の芽球が十分減少していない骨髄性白血病の患者及び末梢血液中に骨髄芽球の認められる骨髄性白血病の患者(再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法として投与する場合を除く)[
8.12、
8.17、
11.1.4参照]
○造血幹細胞の末梢血中への動員
○造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進
○ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す
好中球減少症○
神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強
<がん化学療法による好中球減少症>
胚細胞腫瘍で卵巣腫瘍に該当するものは、未熟奇形腫、未分化胚細胞腫、卵黄嚢腫瘍などである。
<造血幹細胞の末梢血中への動員>
6.1 同種及び自家末梢血幹細胞採取時のフィルグラスチム(遺伝子組換え)単独投与による動員
通常、成人、小児ともに、フィルグラスチム(遺伝子組換え)400μg/m2を1日1回又は2回に分割し、5日間連日又は末梢血幹細胞採取終了時まで連日皮下投与する。この場合、末梢血幹細胞採取はフィルグラスチム(遺伝子組換え)投与開始後4〜6日目に施行する。
ただし、末梢血幹細胞採取終了前に白血球数が50,000/mm3以上に増加した場合は減量する。減量後、白血球数が75,000/mm3に達した場合は投与を中止する。
なお、状態に応じて適宜減量する。
6.2 自家末梢血幹細胞採取時のがん化学療法剤投与終了後のフィルグラスチム(遺伝子組換え)投与による動員
通常、成人、小児ともに、がん化学療法剤投与終了翌日又はがん化学療法により好中球数が最低値を経過後、フィルグラスチム(遺伝子組換え)400μg/m2を1日1回又は2回に分割し、末梢血幹細胞採取終了時まで連日皮下投与する。
ただし、末梢血幹細胞採取終了前に白血球数が50,000/mm3以上に増加した場合は減量する。減量後、白血球数が75,000/mm3に達した場合は投与を中止する。
なお、状態に応じて適宜減量する。
<造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進>
6.3 通常、成人、小児ともに、造血幹細胞移植施行翌日ないし5日後からフィルグラスチム(遺伝子組換え)300μg/m2を1日1回点滴静注する。
ただし、好中球数が5,000/mm3以上に増加した場合は、症状を観察しながら投与を中止する。
なお、本剤投与の中止時期の指標である好中球数が緊急時等で確認できない場合には、白血球数の半数を好中球数として推定する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
<がん化学療法による好中球減少症>
6.4 急性白血病
通常、成人、小児ともに、がん化学療法剤投与終了後(翌日以降)で骨髄中の芽球が十分減少し末梢血液中に芽球が認められない時点から、フィルグラスチム(遺伝子組換え)200μg/m2を1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。出血傾向等の問題がない場合はフィルグラスチム(遺伝子組換え)100μg/m2を1日1回皮下投与する。
ただし、好中球数が最低値を示す時期を経過後5,000/mm3に達した場合は投与を中止する。
なお、本剤投与の開始時期及び中止時期の指標である好中球数が緊急時等で確認できない場合には、白血球数の半数を好中球数として推定する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
6.5 悪性リンパ腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍(睾丸腫瘍、卵巣腫瘍など)、神経芽細胞腫、小児がん
通常、成人、小児ともに、がん化学療法剤投与終了後(翌日以降)から、フィルグラスチム(遺伝子組換え)50μg/m2を1日1回皮下投与する。出血傾向等により皮下投与が困難な場合はフィルグラスチム(遺伝子組換え)100μg/m2を1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
ただし、好中球数が最低値を示す時期を経過後5,000/mm3に達した場合は投与を中止する。
なお、本剤投与の開始時期及び中止時期の指標である好中球数が緊急時等で確認できない場合には、白血球数の半数を好中球数として推定する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
6.6 その他のがん腫
通常、成人、小児ともに、がん化学療法により好中球数1,000/mm3未満で発熱(原則として38℃以上)あるいは好中球数500/mm3未満が観察された時点から、フィルグラスチム(遺伝子組換え)50μg/m2を1日1回皮下投与する。出血傾向等により皮下投与が困難な場合はフィルグラスチム(遺伝子組換え)100μg/m2を1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
また、がん化学療法により好中球数1,000/mm3未満で発熱(原則として38℃以上)あるいは好中球数500/mm3未満が観察され、引き続き同一のがん化学療法を施行する症例に対しては、次回以降のがん化学療法施行時には好中球数1,000/mm3未満が観察された時点から、フィルグラスチム(遺伝子組換え)50μg/m2を1日1回皮下投与する。出血傾向等により皮下投与が困難な場合はフィルグラスチム(遺伝子組換え)100μg/m2を1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
ただし、好中球数が最低値を示す時期を経過後5,000/mm3に達した場合は投与を中止する。
なお、本剤投与の開始時期及び中止時期の指標である好中球数が緊急時等で確認できない場合には、白血球数の半数を好中球数として推定する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
<ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症>
6.7 通常、成人には好中球数が1,000/mm3未満のとき、フィルグラスチム(遺伝子組換え)200μg/m2を1日1回点滴静注する。小児には好中球数が1,000/mm3未満のとき、フィルグラスチム(遺伝子組換え)200μg/m2を1日1回点滴静注する。
ただし、投与期間は2週間を目安とするが、好中球数が3,000/mm3以上に増加した場合は、症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
<骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症>
6.8 通常、成人には好中球数が1,000/mm3未満のとき、フィルグラスチム(遺伝子組換え)100μg/m2を1日1回点滴静注する。
ただし、好中球数が5,000/mm3以上に増加した場合は、症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
<再生不良性貧血に伴う好中球減少症>
6.9 通常、成人には好中球数が1,000/mm3未満のとき、フィルグラスチム(遺伝子組換え)400μg/m2を1日1回点滴静注する。小児には好中球数が1,000/mm3未満のとき、フィルグラスチム(遺伝子組換え)400μg/m2を1日1回点滴静注する。
ただし、好中球数が5,000/mm3以上に増加した場合は、症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
<先天性・特発性好中球減少症>
6.10 通常、成人には好中球数が1,000/mm3未満のとき、フィルグラスチム(遺伝子組換え)50μg/m2を1日1回皮下投与する。小児には好中球数が1,000/mm3未満のとき、フィルグラスチム(遺伝子組換え)50μg/m2を1日1回皮下投与する。
ただし、好中球数が5,000/mm3以上に増加した場合は、症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
<神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強>
6.11 ジヌツキシマブ(遺伝子組換え)及びテセロイキン(遺伝子組換え)との併用において、通常、フィルグラスチム(遺伝子組換え)として1日1回5μg/kg(体重)を皮下投与する。28日間を1サイクルとし、1、3、5サイクルの1〜14日目に投与する。
ただし、白血球数が50,000/mm3以上に増加した場合は休薬する。
なお、状態に応じて適宜減量する。
<再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法>
6.12 通常、フィルグラスチム(遺伝子組換え)1日1回300μg/m2を、フルダラビン、シタラビン等の抗悪性腫瘍剤併用化学療法の開始前日から併用化学療法終了日まで(通常5〜6日間)連日皮下又は静脈内投与(点滴静注を含む)する。
なお、状態に応じて適宜減量する。
<造血幹細胞の末梢血中への動員>
7.1 自家末梢血幹細胞採取時のがん化学療法剤投与終了後の本剤投与により造血幹細胞を採取する場合、白血球数が最低値を経過後5,000〜10,000/mm3以上への回復期に末梢血幹細胞採取を開始することが望ましい。
<がん化学療法による好中球減少症>
7.2 がん化学療法剤の投与前24時間以内及び投与終了後24時間以内の本剤の投与は避けること。
7.3 その他のがん腫に対する用法・用量における同一のがん化学療法とは、抗悪性腫瘍薬の種類及びその用量も同一の化学療法レジメンである。
7.4 本剤の投与により、好中球数が最低値を示す時期を経過後5,000/mm3に達した場合は投与を中止するが、好中球数が2,000/mm3以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、本剤に対する反応性から患者の安全が確保できると判断した場合には、本剤の減量あるいは中止を検討すること。
<HIV感染症の治療に支障を来す好中球減少症>
7.5 投与期間は2週間を目安とし、さらに継続投与が必要な場合でも6週間を限度とする。本剤を6週間を超えて投与した場合の安全性は確立していない。また、本剤を1週間以上投与しても好中球数の増加がみられない場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[
8.14参照]
<神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強>
7.6 本剤の投与により、白血球数が50,000/mm3以上に増加した場合は休薬し、その後白血球数が20,000/mm3以下になった場合、本剤を減量して投与再開を検討すること。
<効能共通>
8.1 本剤投与中は定期的に血液検査を行い、必要以上の好中球(白血球)が増加しないよう十分注意すること。必要以上の増加が認められた場合は、減量、休薬などの適切な処置をとること。
8.3 本剤投与により骨痛、腰痛等が起こることがあるので、このような場合には非麻薬性鎮痛剤を投与するなどの適切な処置を行うこと。
8.4 本剤投与により脾腫、脾破裂が発現することがあるので、血液学的検査値の推移に留意するとともに、腹部超音波検査等により観察を十分に行うこと。[
11.1.7参照]
<造血幹細胞の末梢血中への動員>
8.5 ドナーからの末梢血幹細胞の動員・採取に際しては関連するガイドライン等を参考に適切に行うこと。また、末梢血幹細胞の採取に伴い全身倦怠感、四肢のしびれ、血管迷走神経反応等が認められることがあるので、血圧等の全身状態の変化に注意し、異常が認められた場合は直ちに適切な処置を行うこと。
8.6 ドナーへの本剤の使用に際してはドナー又はドナーに十分な能力がない場合は代諾者に、本剤の使用による長期の安全性については確立していないことから科学的データを収集中であることを十分に説明し同意を得てから使用すること。
8.7 本剤の投与はドナーの全身状態を考慮し、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
8.8 ドナーに対する本剤の投与に際しては、レシピエントへの感染を避けるため、事前にHBs抗原、HBc抗体、HCV抗体、HIV-1、-2、HTLV-I抗体及び梅毒血清学的検査を行い、何れも陰性であることを確認すること。また、CMV、ヘルペス血清学的検査を行うことが望ましい。
8.9 末梢血幹細胞の動員ドナー(ドナー)では本剤投与により骨痛、腰痛等が高頻度に起こることから非麻薬性鎮痛剤を投与するなどの適切な処置を行うこと。末梢血幹細胞採取に伴う一過性の血小板減少等が現れることがあるのでアスピリン等の血小板凝集抑制作用を有する薬剤の使用には十分に注意すること。
8.10 本剤投与後及び末梢血幹細胞採取終了後に血小板減少が現れることがあるので十分注意すること。また、高度な血小板減少がみられた際には、末梢血幹細胞採取時に得られる自己血による血小板輸血等の適切な処置を行うこと。
8.11 末梢血幹細胞採取終了1〜2週後に白血球(好中球)減少が現れることがあるので十分注意すること。
<造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進、がん化学療法後による好中球減少症>
8.12 急性骨髄性白血病患者(がん化学療法及び造血幹細胞移植の場合)では本剤の使用に先立ち、採取細胞について
in vitro試験により本剤刺激による白血病細胞の増加の有無を確認することが望ましい。また、定期的に血液検査及び骨髄検査を行うこと。[
2.2、
11.1.4参照]
<がん化学療法による好中球減少症>
8.13 海外観察研究において、がん化学療法(単独又は放射線療法との併用)とともにペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)又はフィルグラスチム(遺伝子組換え)が使用された乳癌又は肺癌患者では骨髄異形成症候群又は急性骨髄性白血病のリスクが増加したとの報告がある
1)。本剤と骨髄異形成症候群又は急性骨髄性白血病の因果関係は明らかではないが、本剤の投与後は患者の状態を十分に観察すること。
<HIV感染症の治療に支障を来す好中球減少症>
8.14 顆粒球系前駆細胞が減少し、本剤に対する反応性が減弱する可能性があるため、投与期間中は、観察を十分に行い、必要以上に好中球数が増加しないよう、慎重に投与すること。なお、本剤投与によりHIVが増殖する可能性は否定できないので、原疾患に対する観察を十分に行うこと。[
7.5参照]
<骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症>
8.15 骨髄異形成症候群のうち、芽球増加を伴う病型例は骨髄性白血病への移行の危険性が知られていることから、本剤の使用に際しては採取細胞についてin vitroで芽球コロニーの増加が認められないことを確認することが望ましい。
<先天性好中球減少症>
8.16 自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること。使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底すること。全ての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。
<再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法>
8.17 芽球の増加を促進させることがあるので、定期的に血液検査及び骨髄検査を行い、芽球の増加が認められた場合には本剤の投与を中止すること。[
2.2、
11.1.4参照]
8.18 本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:フィルグラスチム(遺伝子組換え)及びレノグラスチム(遺伝子組換え)(再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法)」
2)等)を熟読すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
<造血幹細胞の末梢血中への動員、造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進、がん化学療法による好中球減少症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症、骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症、再生不良性貧血に伴う好中球減少症、先天性・特発性好中球減少症>
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(造血機能、肝機能、腎機能等)が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.2 間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎が発現又は増悪することがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難及び胸部X線検査異常等が認められた場合には、本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.3 急性呼吸窮迫症候群(頻度不明)
急速に進行する呼吸困難、低酸素血症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には本剤の投与を中止し、呼吸管理等の適切な処置を行うこと。
11.1.4 芽球の増加(頻度不明)
急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群患者において、芽球の増加を促進させることがある。[
2.2、
8.12、
8.17参照]
11.1.5 毛細血管漏出症候群(0.1%未満)
低血圧、低アルブミン血症、浮腫、肺水腫、胸水、腹水、血液濃縮等が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.6 大型血管炎(大動脈、総頸動脈、鎖骨下動脈等の炎症)(頻度不明)
発熱、CRP上昇、大動脈壁の肥厚等が認められた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.7 脾腫、脾破裂(いずれも頻度不明)
脾臓の急激な腫大が認められた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。[
8.4参照]
注)発現頻度は使用成績調査を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 |
皮膚 | | | 発疹、発赤 | 好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet症候群等) |
筋・骨格 | | 骨痛、腰痛 | 胸痛、関節痛、筋肉痛 | 四肢痛 |
消化器 | | | 悪心・嘔吐 | |
肝臓 | | ALT上昇 | 肝機能異常、AST上昇 | |
血液 | | | | 血小板減少、白血球増加症、髄外造血 |
腎臓 | | | | 糸球体腎炎 |
その他 | LDH上昇 | 発熱、Al-P上昇 | 頭痛、倦怠感、動悸、尿酸上昇、血清クレアチニン上昇、CRP上昇 | 浮腫 |
14.1 薬剤調製時の注意
点滴静注に際しては、5%ブドウ糖注射液、生理食塩液等の輸液に混和する。また、本剤を投与する場合は他剤との混注を行わないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
<製剤共通>
14.2.1 静脈内投与の場合は、できるだけ投与速度を遅くすること。
<グランシリンジ>
14.2.2 プランジャーロッドの無理な操作はしないこと。またバックストップは、投与終了後まで外さないこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した再生不良性貧血及び先天性好中球減少症患者において、骨髄異形成症候群又は急性骨髄性白血病へ移行したとの報告がある。
15.1.2 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した再生不良性貧血、骨髄異形成症候群及び先天性好中球減少症患者において、染色体異常がみられたとの報告がある。
15.1.3 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した末梢血幹細胞動員ドナーにおいて、骨髄増殖性疾患及び急性骨髄性白血病が発症したとの報告がある。
15.1.4 副作用の項に記載した有害事象のほか、因果関係は明確ではないものの顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した末梢血幹細胞動員ドナーにおいて、末梢血幹細胞採取時に一時的な心停止が報告されている。海外のドナーにおいては、心不全、血管炎、脳血管障害、片頭痛、下痢、難聴、地中海型サラセミア、鎌状赤血球クライシス、痛風、高血糖、軟骨障害、虚血性心疾患、心筋炎、無月経、肺出血及び腎癌が有害事象として報告されている。
15.1.5 乳癌、悪性リンパ腫及び骨髄腫患者の採取した自家末梢血幹細胞中に腫瘍細胞が混入していたとの報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
顆粒球コロニー形成刺激因子が、数種のヒト膀胱癌及び骨肉腫細胞株に対しin vitroあるいはin vivoで増殖促進傾向を示したとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性に本剤1.0μg/kgを単回点滴静注又は皮下投与したとき、点滴静注(30分)後の消失半減期は1.40時間、AUCは21.6ng・h/mLであり、皮下投与後の消失半減期は2.15時間、AUCは11.7ng・h/mLであった
3)4)。
16.1.2 反復投与
健康成人男性に6日間連日点滴静注(30分)又は皮下投与したとき、いずれの投与経路においても投与初日と6日目における血漿中濃度推移に著明な差は認められなかった
5)6)。
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
健康成人男性に本剤1.0μg/kgを皮下投与したときのバイオアベイラビリティは54%であった。
16.3 分布
雄性ラットに125I-フィルグラスチム5μg/kgを静脈内投与又は皮下投与したとき、組織内総放射能濃度は、静脈内投与で血漿、副腎、血液、腎、甲状腺、肝、骨髄、気管、脾、下垂体の順に高く、皮下投与で甲状腺、腎、胃内容物、血漿、血液、骨髄、膀胱の順に高かった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
<造血幹細胞の末梢血中への動員>
17.1.1 国内第II相試験(末梢血幹細胞の動員)
健康ドナー8例を対象に、本剤1日400μg/m2(200μg/m2に2分割)を5日間連日皮下投与し、4〜6日目にCD34陽性細胞を採取した。その結果、ドナー体重あたりCD34陽性細胞数3×106/kg以上採取可能なドナーは85.7%(6/7例)であった。
副作用は8例全例に認められた。主な副作用は、腰痛6件、全身倦怠感3件、嘔吐及び発熱 各2件であった。
本剤投与による臨床検査値異常発現頻度は87.5%(7/8例)であった。主な臨床検査値異常は、LDH上昇7件、Al-P上昇6件、CRP上昇5件であった。
17.1.2 海外第III相試験(末梢血幹細胞の動員)
健康ドナー100例を対象に、本剤1日10μg/kgを4又は5日間連日皮下投与し、5日目、必要に応じ6日目にCD34陽性細胞を採取した。その結果、患者体重あたりCD34陽性細胞数3×106/kg以上採取可能なドナーは88.0%(88/100例)であった。
副作用発現頻度は60.0%(60/100例)であった。主な副作用は、骨痛32.0%(32/100例)、頭痛13.0%(13/100例)、背部痛10.0%(10/100例)であった。
本剤投与による臨床検査値異常発現頻度は12.0%(12/100例)であった。主な臨床検査値異常は、肝酵素上昇5.0%(5/100例)、LDH上昇3.0%(3/100例)、Al-P上昇及び血小板減少 各2.0%(2/100例)であった。
17.1.3 国内第II相試験(自家末梢血幹細胞の動員)
進行再発乳癌患者7例を対象に、単独期は、本剤1日400μg/m2を5日間連日皮下投与し、4〜6日に最低2回CD34陽性細胞を採取した。がん化学療法併用期は、CAF療法施行時の11日目より本剤1日400μg/m2を連日皮下投与し、14日目以降で白血球数が10,000/mm3を超えてから最低2回、CD34陽性細胞を採取した。その結果、患者体重あたりCD34陽性細胞数2×106/kg以上採取可能な患者は、単独期で57.1%(4/7例)、がん化学療法併用期で100%(6/6例)であった。
単独期の副作用発現頻度は47.4%(9/19例)であった。主な副作用は、発熱7件、腰痛及び全身倦怠感 各2件であった。
単独期の本剤投与による臨床検査値異常発現頻度は94.7%(18/19例)であった。主な臨床検査値異常は、LDH上昇13件、Al-P上昇及び白血球数減少 各12件であった。
がん化学療法併用期の副作用発現頻度は50.0%(9/18例)であった。主な副作用は、発熱8件、腰痛2件であった。
がん化学療法併用期の本剤投与による臨床検査値異常は18例全例に認められた。主な臨床検査値異常は、LDH上昇15件、白血球数減少13件、好中球数減少11件であった。
<造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進>
17.1.4 海外第II相試験(同種末梢血幹細胞移植)
急性白血病又は慢性骨髄性白血病患者33例を対象に、好中球数が連続3日間1,000/mm3以上又は1日でも10,000/mm3以上を示すまで、造血幹細胞移植翌日より本剤5μg/kgを連日皮下投与又は連日静脈内投与した。その結果、好中球数(≧500/mm3)の回復日数の中央値は13日であった。
副作用発現頻度は27.3%(9/33例)であった。主な副作用は、発熱12.1%(4/33例)であった。
本剤投与による臨床検査値異常は認められなかった。
17.1.5 国内第II相試験(自家末梢血幹細胞移植又は自家骨髄細胞との併用移植)
進行再発乳癌患者17例を対象に、造血幹細胞移植翌日より白血球数が10,000/mm3を超えた時点まで本剤300μg/m2を連日点滴静注した。その結果、好中球数(≧500/mm3)の回復日数の中央値は9日であった。
副作用発現頻度は29.4%(5/17例)であった。主な副作用は、骨痛17.6%(3/17例)であった。
本剤投与による臨床検査値異常発現頻度は52.9%(9/17例)であった。主な臨床検査値異常は、LDH上昇41.2%(7/17例)、Al-P上昇17.6%(3/17例)であった。
17.1.6 海外第III相試験(自家末梢血幹細胞移植)
悪性リンパ腫患者27例を対象に、造血幹細胞移植翌日から好中球数が連続3日間1,000/mm3以上又は1日でも10,000/mm3以上を示すまで、本剤5μg/kgを連日皮下投与又は連日点滴静注した。その結果、好中球数(≧500/mm3)の回復日数の中央値は11日であった。
副作用発現頻度は3.7%(1/27例)であった。認められた副作用は、頭痛であった。
本剤投与による臨床検査値異常は認められなかった。
17.1.7 国内第III相試験(同種同系骨髄移植)
同種同系の骨髄移植患者68例を対象に、骨髄移植後5日目より14日間、本剤300μg/m
2又はプラセボを連日点滴静注した。その結果、本剤投与群は、プラセボ投与群に比して有意な好中球数の増加促進が認められ、その有効率は本剤投与群78.1%(25/32例)、プラセボ投与群35.3%(12/34例)であった
7)。
本剤投与群の副作用発現頻度は6.3%(2/32例)であった。認められた副作用は、腰痛及び骨痛 各3.1%(1/32例)であった。
本剤投与群の臨床検査値異常発現頻度は3.1%(1/32例)であった。認められた臨床検査値異常は、LDH上昇であった。
17.1.8 国内第III相試験(自家骨髄移植)
自家骨髄移植患者35例を対象に、骨髄移植後1日目より14日間、本剤1日300μg/m
2を連日点滴静注した。その結果、好中球数の増加促進を認め、その有効率は90.6%(29/32例)であった
8)。
副作用及び臨床検査値異常は認められなかった。
<がん化学療法による好中球減少症>
17.1.9 国内第III相試験(悪性リンパ腫)
非ホジキン悪性リンパ腫患者63例を対象に、化学療法終了3日後から14日間、本剤75μg又はプラセボを連日皮下投与した。その結果、本剤投与群は、プラセボ投与群に比し有意な好中球数の回復促進効果が認められ、その有効率は本剤投与群89.3%(25/28例)、プラセボ投与群13.8%(4/29例)であった
9)。
本剤投与群の副作用発現頻度は6.7%(3/31例)であった。認められた副作用は、全身倦怠感、胸部不快感、胸部不快感・圧迫感、動悸及び発疹 各3.2%(1/31例)であった。
本剤投与群の臨床検査値異常発現頻度は19.4%(6/31例)であった。主な臨床検査値異常は、Al-P上昇9.7%(3/31例)、AST上昇、ALT上昇及びLDH上昇 各6.5%(2/31例)であった。
17.1.10 国内第III相試験(乳癌)
乳癌患者52例を対象に、14日間、本剤75μg/body(50μg/m
2)を連日皮下投与又はアデニン60mg/bodyを連日経口投与した。その結果、本剤投与群は、アデニン投与群に比し有意な好中球数の回復促進効果が認められ、その有効率は本剤投与群92.6%(25/27例)、アデニン投与群16.0%(4/25例)であった
10)。
本剤投与群の副作用発現頻度は10.7%(3/28例)であった。認められた副作用は、発熱、骨痛及び喘息の悪化 各3.6%(1/28例)であった。
本剤投与群の臨床検査値異常発現頻度は、7.1%(2/28例)であった。認められた臨床検査値異常はLDH上昇及び好酸球上昇 各3.6%(1/28例)であった。
17.1.11 国内第III相試験(急性白血病)
急性白血病患者54例を対象に、化学療法終了48時間後より本剤1日200μg/m
2を2〜4週間、連日点滴静注した。その結果、本剤投与群は、非投与群に比し有意な好中球数増加効果及び感染症発生の減少が認められた
11)。
副作用発現頻度は7.4%(4/54例)であった。認められた副作用は、骨痛3.7%(2/54例)、嘔気・嘔吐及び血小板回復遅延 各1.9%(1/54例)であった。
本剤投与による臨床検査値異常発現頻度は7.4%(4/54例)であった。認められた臨床検査値異常は、AST・ALT上昇及びAl-P上昇 各3.7%(2/54例)であった。
<ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症>
17.1.12 一般臨床試験
HIV感染症患者5例を対象に、本剤1日200μg/m
2を1〜6週間連日点滴静注した。その結果、好中球数の増加効果が認められ、その有効率は100%(5/5例)であった
12)。
副作用発現頻度は40.0%(2/5例)であった。認められた副作用は骨痛及び血小板減少 各20.0%(1/5例)であった。
本剤投与による臨床検査値異常は認められなかった。
17.1.13 国内第III相試験
好中球減少症を有するHIV感染症患者で抗ウイルス剤の継続投与が困難な症例又は細菌感染症(二次感染症)の治癒効果が不十分な症例24例を対象に、本剤1日200μg/m
2を14日間連日点滴静注した。その結果、好中球数の増加効果が認められ、その有効率は81.0%(17/21例)であった
13)。
副作用発現頻度は8.3%(2/24例)であった。認められた副作用は、骨痛(関節痛・腰痛)、眼瞼腫脹及び食思不振が各4.2%(1/24例)であった。
本剤投与による臨床検査値異常発現頻度は、29.2%(7/24例)であった。主な臨床検査値異常は、Al-P上昇6件、LDH上昇4件であった。
<骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症>
17.1.14 国内第III相試験
骨髄異形成症候群21例に対して漸増法により本剤50〜400μg/m
2注1)を点滴静注した。その結果、好中球数の増加効果が認められ、有効率は71.4%(15/21例)であった
14)。
副作用発現頻度は9.5%(2/21例)であった。認められた副作用は肝機能障害9.5%(2/21例)、皮膚そう痒感4.8%(1/21例)であった。
本剤投与による臨床検査値異常発現頻度は14.3%(3/21例)であった。臨床検査値異常はAST上昇、ALT上昇及びAl-P上昇 各9.5%(2/21例)であった。
注1)本剤の骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症における承認用量は1日1回100μg/m2である。
<再生不良性貧血に伴う好中球減少症>
17.1.15 国内第III相試験
再生不良性貧血患者35例を対象に、漸増法により本剤100〜1,200μg/m
2注2)を点滴静注した。その結果、好中球数の増加効果が認められ、その有効率は67.6%(23/34例)であった
15)。
副作用発現頻度は2.9%(1/35例)であった。認められた副作用は発熱であった。
本剤投与による臨床検査値異常発現頻度は17.1%(6/35例)であった。認められた臨床検査値異常はAl-P上昇5件、AST・ALT上昇2件、LDH上昇及び血糖上昇 各1件であった。
注2)本剤の再生不良性貧血に伴う好中球減少症における承認用量は1日1回400μg/m2である。
<先天性・特発性好中球減少症>
17.1.16 国内第III相試験
先天性又は特発性の好中球減少症患者53例を対象に、本剤25〜200μg/m
2注3)を皮下投与した。その結果、好中球数の増加効果が認められ、その有効率は78.0%(32/41例)であった
16)。
副作用発現頻度(臨床検査値異常を含む)は20.8%(11/53例)であった。主な副作用は、嘔吐、発疹、注射部位の疼痛、Al-P上昇及びLDH上昇 各3.8%(2/53例)であった。
注3)本剤の先天性・特発性好中球減少症における承認用量は1日1回50μg/m2である。
<神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強>
17.1.17 国内第IIb相試験(GD2-P II試験)
初回診断時に31歳未満の大量化学療法を含む集学的治療施行後に疾患進行が認められない高リスク群神経芽腫患者
注4)35例を対象として、本剤、ジヌツキシマブ及びテセロイキンの併用投与
注5)(DIN/FIL/TEC群)と、ジヌツキシマブ、sargramostim、aldesleukin及びisotretinoinの併用投与(米国レジメン群)の有効性及び安全性を検討する非盲検無作為化比較試験を実施した。主要評価項目である治験責任医師判定による2年無イベント生存率[95%信頼区間]は、DIN/FIL/TEC群で80.8[51.4〜93.4]%、米国レジメン群で62.3[36.7〜80.0]%であった。
DIN/FIL/TEC群16例において、副作用が全例(100%)に認められた。主な副作用は、発熱16例(100%)、低アルブミン血症15例(93.8%)、ALT増加14例(87.5%)、GGT増加、嘔吐、好中球数減少、貧血、AST増加、顔面浮腫〔以上13例(81.3%)〕、血小板数減少、便秘〔以上12例(75.0%)〕、倦怠感、食欲減退〔以上11例(68.8%)〕、腹痛、疼痛〔以上10例(62.5%)〕、下痢9例(56.3%)、血中尿素増加、咳嗽〔以上8例(50.0%)〕であった(2019年9月6日データカットオフ)
17)。
注4)臨床試験に組み入れられた患者の年齢は2〜8歳であった。
注5)28日間を1サイクルとして、[1]ジヌツキシマブ17.5mg/m2を第1、3、5サイクルの第4〜7日目及び第2、4、6サイクルの第8〜11日目に静脈内投与、[2]本剤5μg/kgを第1、3、5サイクルの第1〜14日目に皮下投与、[3]テセロイキン75万単位/m2を第2、4、6サイクルの第1〜4日目、及び100万単位/m2を同サイクルの第8〜11日目に静脈内投与
無イベント生存期間の主要解析時のKaplan-Meier曲線
<グラン注射液>
<グランシリンジ>
20.2 できるだけ使用直前までピロー包装からシリンジを取り出さないこと。外箱開封後は遮光して保存すること。
20.3 シリンジ先端部のフィルム・チップキャップが外れている、またはシリンジの破損等の異常が認められるときは使用しないこと。