医療用医薬品 : ヒカリレバン

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医薬品情報


総称名 ヒカリレバン
薬効分類名 肝性脳症改善アミノ酸注射液
薬効分類番号 3253
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年5月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヒカリレバン注 Hikarilevan Injection 光製薬 3253404A3047 394円/袋 処方箋医薬品注)
ヒカリレバン注 Hikarilevan Injection 光製薬 3253404A4043 711円/袋 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 アミノ酸代謝異常のある患者[投与されたアミノ酸が代謝されず、アミノ酸インバランスが助長されるおそれがある。]
2.2 重篤な腎障害のある患者(透析又は血液ろ過を実施している患者を除く)[8.、9.2.19.2.2参照]

4. 効能または効果

慢性肝障害時における脳症の改善

6. 用法及び用量

通常成人1回500〜1000mLを点滴静注する。
投与速度は通常成人500mL当たり180〜300分を基準とする。
経中心静脈輸液法を用いる場合は、本品の500〜1000mLを糖質輸液等に混和し、24時間かけて中心静脈内に持続注入する。
なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

透析又は血液ろ過を実施している重篤な腎障害のある患者における、尿素等の除去量、蓄積量は透析の方法及び病態によって異なる。血液生化学検査、酸塩基平衡、体液バランス等の評価により患者の状態を確認した上で投与開始及び継続の可否を判断すること。[2.29.2.2参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高度のアシドーシスのある患者
アシドーシスが悪化するおそれがある。
9.1.2 うっ血性心不全の患者
循環血液量の増加により、症状が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎障害のある患者(透析又は血液ろ過を実施している患者を除く)
投与しないこと。アミノ酸の代謝産物である尿素等が滞留し、症状が悪化するおそれがある。[2.2参照]
9.2.2 透析又は血液ろ過を実施している重篤な腎障害のある患者
アミノ酸の代謝産物である尿素等の滞留がおこるおそれがある。[2.2、8.参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 低血糖(頻度不明)
低血糖発現時には速やかにブドウ糖注射液の投与を行うこと。
また、このような患者では栄養管理を十分に行うことが望ましい1)2)
11.1.2 高アンモニア血症(頻度不明)
本剤適用時に本症が発現し遷延する場合には、本剤を含む窒素源の投与を中止し、適切な処置を行うこと。[13.参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
過敏症 発疹
消化器悪心・嘔吐 
循環器 胸部不快感、動悸
代謝異常 一過性の血中アンモニア値の上昇
大量・急速投与 アシドーシス
その他血管痛悪寒、発熱、頭痛

13. 過量投与

窒素源の経口摂取に加えて本剤を含むアミノ酸製剤を投与したところ(窒素源の総投与量160g)、高アンモニア血症を呈したとの報告がある3)。[11.1.2参照]

14. 適用上の注意

14.1 全般的な注意
14.1.1 使用時には、感染に対する配慮をすること。
14.1.2 注射針や輸液セットのびん針は、ゴム栓の刻印部(○印)に垂直にゆっくりと刺すこと。斜めに刺した場合、削り片の混入及び液漏れの原因となるおそれがある。また、針は同一箇所に繰り返し刺さないこと。
14.2 薬剤調製時の注意
薬剤を配合する場合には、配合変化に注意すること。
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 ナトリウムイオン約14mEq/L、クロールイオン約94mEq/Lを含有しているため、大量投与時又は電解質液を併用する場合には電解質バランスに注意すること。
14.3.2 血管痛があらわれた場合には、注射部位を変更すること。また、場合によっては投与を中止すること。
14.3.3 原則として、連結管を用いたタンデム方式による投与は行わないこと。輸液セット内に空気が流入するおそれがある。
14.3.4 容器の目盛りは目安として使用すること。
14.3.5 残液は使用しないこと。

16. 薬物動態

16.3 分布
14C-アミノ酸を含む肝性脳症改善アミノ酸注射液を7週齢のラットの尾静脈内に5mL/kg/hrの速度で2時間持続投与した結果、放射能は速やかに組織内に移行してほぼ全身に分布し、6時間後には50〜70%が蛋白画分に取り込まれた。組織内蛋白画分に取り込まれた全アミノ酸由来の放射能に対する分岐鎖アミノ酸由来の放射能の比率は、脳において最も高い値を示した4)
16.5 排泄
14C-アミノ酸を含む肝性脳症改善アミノ酸注射液を7週齢のラットの尾静脈内に5mL/kg/hrの速度で2時間持続投与した結果、投与後72時間までの排泄率は、呼気中41.7%、尿中5.9%、糞中2.6%、合計50.1%であった4)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内一般臨床試験
肝性脳症を伴う慢性肝障害患者に肝性脳症改善アミノ酸注射液を投与し、その臨床効果を検討した。その結果、意識レベルの指標となる昏睡度は速やかに改善され、血中アンモニア濃度の低下が認められた。また、書字・描図試験、はばたき振戦、Number Connection Test、指南力試験、計算力試験、脳波所見等の精神・神経検査において、改善が認められた5)6)
肝性脳症に対する有効率は次のとおりであった5)6)7)8)9)10)11)12)13)14)
疾患名有効率注)
肝硬変脳症73.3%(198/270)
原発性肝癌脳症62.2%(56/90)
その他の肝性脳症62.5%(5/8)
合計70.4%(259/368)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は肝不全時の脳症発現時の病態を考慮して、分岐鎖アミノ酸を35.5%配合し、芳香族アミノ酸及びトリプトファンの配合比率を減らした特殊アミノ酸組成の注射剤であり、血中及び脳内遊離アミノ酸パターンを改善することにより、脳内のモノアミン代謝異常を改善し、肝性脳症を改善させる。
18.2 肝性脳症改善効果
18.2.1 肝性脳症モデルとして用いた門脈−下大静脈吻合ラットにおいて、血漿中及び脳内のフィッシャー比が是正され、脳内モノアミン代謝異常が正常化された。また、睡眠覚醒リズム異常も改善された15)
18.2.2 アンモニアを負荷した門脈−下大静脈吻合ラットにおいて、血漿中及び脳内のフィッシャー比が是正され、血中アンモニア値の低下、脳内モノアミン代謝並びに脳波の改善が認められた16)

20. 取扱い上の注意

20.1 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2 品質保持のためにガスバリア性の外袋で包装し、脱酸素剤を封入しているので、外袋は使用時まで開封しないこと。
20.3 以下の場合には使用しないこと。
・外袋が破損している場合
・外袋内や容器表面に水滴や結晶が認められる場合
・容器から薬液が漏れている場合
・容器を振とうしても溶解しない結晶が認められる場合
・性状その他薬液に異状が認められる場合
・ゴム栓部のシールがはがれている場合

22. 包装

200mL[20袋(ソフトバッグ、脱酸素剤入り)]
500mL[20袋(ソフトバッグ、脱酸素剤入り)]

23. 主要文献

  1. 植村一幸ほか, 日本消化器病学会雑誌, 90 (9), 2127-2131, (1993) »DOI
  2. 松岡正敬ほか, 北里医学, 23 (6), 503-504, (1993)
  3. 宮本俊八ほか, JJPEN., 18 (10), 819-824, (1996)
  4. 新宮平三ほか, 医薬品研究, 13 (3), 702-715, (1982)
  5. 高橋善彌太, 新薬と臨床, 31 (2), 175-185, (1982)
  6. 高橋善彌太, 新薬と臨床, 31 (2), 186-244, (1982)
  7. 山本哲ほか, 基礎と臨床, 15 (13), 6549-6555, (1981)
  8. 円谷敏彦ほか, 薬理と治療, 9 (12), 5071-5078, (1981)
  9. 菅野千治ほか, 新薬と臨床, 30 (12), 2035-2043, (1981)
  10. 佐藤真ほか, 外科診療, 24 (5), 641-649, (1982)
  11. 浅木信一郎ほか, 基礎と臨床, 15 (13), 6556-6562, (1981)
  12. 村田行孝ほか, 薬理と治療, 9 (12), 5055-5069, (1981)
  13. 大北日吉ほか, 基礎と臨床, 15 (13), 6667-6676, (1981)
  14. 浜崎啓介ほか, 臨床外科, 37 (4), 565-571, (1982)
  15. 小林勝ほか, 基礎と臨床, 16 (1), 151-174, (1982)
  16. 長沢孝二郎ほか, 薬理と治療, 9 (12), 4923-4935, (1981)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
光製薬株式会社 医薬情報部
〒111-0024 東京都台東区今戸2丁目11番15号
電話:03-3874-9351
FAX:03-3871-2419
製品情報問い合わせ先
光製薬株式会社 医薬情報部
〒111-0024 東京都台東区今戸2丁目11番15号
電話:03-3874-9351
FAX:03-3871-2419

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
光製薬株式会社
東京都台東区今戸2丁目11番15号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版