医療用医薬品 : ミケラン |
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総称名 | ミケラン |
一般名 | カルテオロール塩酸塩 |
欧文一般名 | Carteolol Hydrochloride |
製剤名 | カルテオロール塩酸塩徐放性カプセル |
薬効分類名 | 徐放性 高血圧治療剤 |
薬効分類番号 | 2149 |
ATCコード | C07AA15 |
KEGG DRUG |
D00599
カルテオロール塩酸塩
商品一覧 商品一覧(他薬効を含む) 米国の商品 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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ミケランLAカプセル15mg | Mikelan LA capsules 15mg | 大塚製薬 | 2149025N1034 | 63.5円/カプセル | 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[気管支筋収縮作用により、喘息症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。]
糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]
高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(II、III度)、洞不全症候群、洞房ブロックのある患者[刺激伝導系に対し抑制的に作用し、症状を悪化させるおそれがある。]
心原性ショックの患者[心拍出量抑制作用により、症状が悪化するおそれがある。]
肺高血圧による右心不全のある患者[心拍出量抑制作用により、症状が悪化するおそれがある。]
うっ血性心不全のある患者[心収縮力抑制作用により、症状が悪化するおそれがある。]
低血圧症の患者[降圧作用により症状を悪化させるおそれがある。]
未治療の褐色細胞腫の患者(≪用法・用量に関連する使用上の注意≫の項参照)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
本態性高血圧症(軽症〜中等症)
通常、成人には1日1カプセル(カルテオロール塩酸塩として15mg)を朝食後に経口投与する。なお、効果が不十分な場合には1日1回2カプセル(カルテオロール塩酸塩として30mg)まで増量することができる。
褐色細胞腫の患者では、本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがあるので、α遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα遮断剤を併用すること。
慎重投与
うっ血性心不全のおそれのある患者[心収縮力抑制作用により、症状を悪化させるおそれがあるので、観察を十分に行い、ジギタリス剤を併用するなど慎重に投与すること。]
特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつ症状をマスクしやすいので血糖値に注意すること。]
徐脈、房室ブロック(I度)のある患者[心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
重篤な肝・腎機能障害のある患者[薬物代謝の遅延等で副作用が出現するおそれがある。]
末梢循環障害のある患者(レイノー症候群、間欠性跛行症等)[末梢血管収縮作用により、症状が悪化するおそれがある。]
甲状腺中毒症の患者[頻脈等の中毒症状をマスクすることがある。(「2.重要な基本的注意(3)」の項参照)]
異型狭心症の患者[類薬で症状を悪化させたとの報告がある。]
高齢者(「5.高齢者への投与」の項参照)
小児(「7.小児等への投与」の項参照)
重要な基本的注意
投与が長期にわたる場合は、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を定期的に行うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には減量又は中止すること。また、必要に応じアトロピン硫酸塩水和物を使用すること。なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。
β遮断剤を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。特に高齢者においては注意すること。
甲状腺中毒症の患者では急に投与を中止すると、症状を悪化させることがあるので、休薬を要する場合には徐々に減量し、観察を十分に行うこと。
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
めまい・ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期)には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
相互作用
併用注意
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤 レセルピン等 | 過剰の交感神経抑制を来すことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 | 相加的に交感神経抑制作用を増強させる。 |
血糖降下剤 インスリン トルブタミド アセトヘキサミド等 | 血糖降下作用が増強することがある。また、低血糖症状(頻脈、発汗等)をマスクすることがあるので、血糖値に注意すること。 | 低血糖に伴う交感神経系の症状をマスクしたり、β遮断作用により低血糖の回復を遅れさせる。 |
カルシウム拮抗剤 ベラパミル塩酸塩 ジルチアゼム塩酸塩 | 徐脈、房室ブロック等の伝導障害、うっ血性心不全があらわれることがある。併用する場合には用量に注意すること。 | 相互に作用が増強される。 |
クロニジン塩酸塩 グアナベンズ酢酸塩 | クロニジン塩酸塩、グアナベンズ酢酸塩投与中止後のリバウンド現象を増強するおそれがある。β遮断剤を先に中止し、クロニジン塩酸塩、グアナベンズ酢酸塩を徐々に減量すること。 | クロニジン塩酸塩はα2受容体に選択的に作用し、ノルアドレナリンの遊離を抑制しているため、急激な中止によって血中カテコラミンの上昇が起こる。この時、β受容体遮断薬を併用すると上昇したカテコラミンの作用のうち、β受容体刺激作用が遮断され、α受容体刺激作用だけが残り、急激な血圧上昇が起こるおそれがある。グアナベンズ酢酸塩も作用機序から同様な反応が予想される。 |
クラスI抗不整脈剤 リン酸ジソピラミド プロカインアミド塩酸塩 アジマリン等 | 過度の心機能抑制があらわれるおそれがあるので、減量するなど注意すること。 | 相加的に心機能抑制作用を増強させる。 |
ジギタリス製剤 | 徐脈、房室ブロック等の伝導障害があらわれるおそれがあるので、心機能に注意すること。 | 相加的に心刺激伝導抑制作用を増強させる。 |
非ステロイド性抗炎症剤 インドメタシン等 | 本剤の降圧作用が減弱するおそれがある。 | 非ステロイド性抗炎症剤は、血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成・遊離を阻害する。 |
降圧作用を有する他の薬剤 降圧剤 硝酸剤等 | 降圧作用が増強するおそれがある。 併用する場合には、用量に注意すること。 | 降圧作用を増強させる。 |
副作用
副作用発現状況の概要
調査症例6,193例中144例(2.33%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。70歳以上の高齢者への使用経験は総症例1,339例であり、副作用発現率は1.87%(25/1,339)であった。(承認時及び再審査終了時)以下の副作用には別途市販後に報告された頻度の算出できない副作用を含む。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
房室ブロック(0.1%未満)、洞不全症候群(0.1%未満)、洞房ブロック(0.1%未満)、洞停止(0.1%未満)等の徐脈性不整脈、うっ血性心不全(又はその悪化)(0.1%未満)、冠攣縮性狭心症(頻度不明*)
房室ブロック、洞不全症候群、洞房ブロック、洞停止等の徐脈性不整脈、うっ血性心不全(又はその悪化)、冠攣縮性狭心症等があらわれることがあるので、定期的に心機能検査を行い、必要に応じ、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
失神(頻度不明*)
高度な徐脈に伴う失神があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
*:自発報告又は類薬において認められた副作用のため頻度不明。
その他の副作用
0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明* | |
循環器 | めまい・ふらつき・立ちくらみ | 徐脈、動悸、息切れ、胸痛等 | 低血圧 |
精神神経系 | 頭痛・頭重感、眠気 | 不眠、耳鳴、抑うつ感等 | 振戦、不安感、悪夢、耳の蟻走感 |
消化器 | 嘔気 | 腹部不快感、腹部膨満感、胸やけ、心窩部痛、下痢、食欲不振、腹痛、便秘、口内炎等 | 鼓腸 |
呼吸器 | 呼吸困難、咳・痰、喘息様症状等 | 上気道閉塞感 | |
眼 | 目がしょぼつく、霧視、涙液分泌減少注1) | ||
過敏症注2) | 皮疹、皮膚そう痒感等 | ||
肝臓 | AST(GOT)、ALT(GPT)、LDHの上昇等 | ||
その他 | 倦怠感、血清CK(CPK)値の上昇 | 脱力感、浮腫、手足のしびれ、下肢冷感、発汗、冷汗、鼻出血、ほてり、疲労感、総コレステロール値の上昇、中性脂肪値の上昇、血糖値の上昇、腓腸筋痙攣(こむらがえり)注2) | 血糖値の低下、頻尿、筋肉痛注2) |
高齢者への投与
高齢者には、次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。
休薬を要する場合は、徐々に減量すること(「2.重要な基本的注意(2)」の項参照)。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(低出生体重児又は新生児には使用経験がない。乳児、幼児又は小児には使用経験が少ない。)。(小児用カルテオロール塩酸塩製剤で、低血糖による意識障害、痙攣が報告されている。低血糖症状があらわれた場合には、経口摂取可能な状態では角砂糖、あめ等の糖分の摂取、意識障害、痙攣を伴う場合には、ブドウ糖の静注等を行い、十分に経過観察すること。)
過量投与
症状
過量投与により、徐脈、完全房室ブロック、心不全、低血圧、気管支痙攣等があらわれることがある。
処置
過量投与の場合は、本剤の投与を中止し、必要に応じて胃洗浄等により薬剤の除去を行うとともに、下記等の適切な処置を行うこと。
徐脈、完全房室ブロック
アトロピン硫酸塩水和物、イソプレナリン等の投与や心臓ペーシングを適用すること。
心不全、低血圧
強心剤、昇圧剤、輸液等の投与や補助循環を適用すること。
気管支痙攣
β2刺激剤又はアミノフィリン水和物を静注等の投与や補助呼吸を適用すること。
これらの処置の間は常に観察下におくこと。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
本剤は徐放性の製剤であるため、かまずに服用するように指示すること。
その他の注意
β遮断剤服用中の患者では、他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重篤になることがあり、また、通常用量のアドレナリンによる治療に抵抗するとの報告がある。
健康成人男子に本剤を1回1カプセル(カルテオロール塩酸塩として15mg)1日1回(朝食後)、ミケラン錠5mgを1回1錠1日3回(毎食後)9日間クロス・オーバー法にて連続経口投与し、血漿中カルテオロール濃度を測定した。本剤は投与開始3日目には定常状態に達し、最低〜最高血漿中濃度範囲は10〜50ng/mLで血漿中半減期は7〜10時間であった。定常状態の本剤とミケラン錠5mgの血漿中濃度の推移を図にした1)。
図 健康成人男子6名にミケランLAカプセル15mgを1回1カプセル、1日1回(朝食後)又はミケラン錠5mgを1回1錠、1日3回(毎食後)をそれぞれ9日間経口投与した際の最終投与日の血漿中カルテオロール濃度推移
正常胃液酸度あるいは低胃液酸度の健康成人男子に本剤を空腹時及び食後1回経口投与し、薬物速度論的パラメータを検討したところ、本剤は胃液酸度及び食事の影響を受けにくいことが確認されている2)。
代謝・排泄3)
健康成人男子に本剤を1カプセル経口投与した場合、その50〜70%が未変化体として尿中に排泄される。カルテオロールはCYP2D6により水酸化され、8-ヒドロキシカルテオロールが生成される3)。なお、代謝産物に本剤をしのぐ薬理作用・毒性は認められていない。
本態性高血圧症に対する本剤の有効率は、「下降」以上65.1%(97/149例)であった。
二重盲検試験7)
本態性高血圧症を対象に二重盲検群間比較法により検討した結果、本剤を1回1〜2カプセル、1日1回投与における有効率は、「下降」以上65.3%(81/124例)であり、対照薬のミケラン錠5mgを1回1〜2錠、1日3回投与の有効率より高く、本剤の1日1回投与の有用性が認められている。
本態性高血圧症を対象に症例登録制下、本剤の長期投与試験を行った結果、本剤の有効率は「下降」以上78.7%(48/61例)であった。
アドレナリン性β受容体遮断作用9)
健康成人男子に本剤を1カプセル経口投与した場合、運動負荷時のダブルプロダクト(収縮期血圧×脈拍数)は投与直後より減少が認められ、その抑制作用は投与後24時間まで持続した。
麻酔開胸犬において、カルテオロール塩酸塩はアドレナリン性β受容体遮断用量での陰性変時・変力作用は弱く、大量投与で心臓興奮作用があらわれ、除神経・レセルピン処理下では低用量からそれが明確にあらわれる10)11)。
健康成人及び動揺性高血圧症患者において、カルテオロール塩酸塩は安静時の心拍数に影響を与えず、心機能抑制作用も弱いことが確認されている12)13)。
本態性高血圧症患者に対し、カルテオロール塩酸塩の降圧効果は早期に発現し、緩徐で持続的な降圧パターンを示す14)。
カルテオロール塩酸塩は自然発症高血圧ラット(SHR)の心肥大・血管肥厚を抑制する15)。
血圧日内変動に及ぼす影響16)
本態性高血圧症患者において、本剤を1日1回1〜2カプセル経口投与した場合、降圧効果は投与後24時間まで持続して認められ、血圧の変動幅及び最大日内較差に影響しないことが認められている。
ミケランLAカプセル15mg
[PTP]
100カプセル(10カプセル×10)、500カプセル(10カプセル×50)
1. | 小富正昭ほか, 臨床薬理, 20 (2), 435-440, (1989) »DOI |
2. | 小富正昭ほか, 社内資料(胃液酸度,食事の影響), (1989) |
3. | Kudo,S.et al., Eur.J.Clin.Pharmacol., 52 (6), 479-485, (1997) »PubMed »DOI |
4. | 尾前照雄ほか, 新薬と臨牀, 38 (2), 176-193, (1989) |
5. | 半田俊之介ほか, 新薬と臨牀, 38 (2), 216-235, (1989) |
6. | 稲垣義明ほか, 診療と新薬, 26 (2), 195-210, (1989) |
7. | 尾前照雄ほか, 医学のあゆみ, 149 (3), 169-191, (1989) |
8. | 尾前照雄ほか, 新薬と臨牀, 38 (2), 195-214, (1989) |
9. | 小富正昭ほか, 臨床薬理, 20 (2), 427-434, (1989) »DOI |
10. | Yabuuchi,Y.et al., Jpn.J.Pharmacol., 24 (6), 853-861, (1974) »DOI |
11. | Taira,N.et al., Jpn.J.Pharmacol., 28 (3), 473-483, (1978) »PubMed »DOI |
12. | 近藤照夫ほか, 臨牀と研究, 58 (4), 1313-1318, (1981) |
13. | 佐藤 光ほか, 臨床成人病, 6 (5), 815-824, (1976) |
14. | 池田正男ほか, 臨床成人病, 8 (11), 1793-1806, (1978) |
15. | Igawa,T.et al., Eur.J.Pharmacol., 104 (1-2), 93-99, (1984) »PubMed »DOI |
16. | 尾前照雄ほか, 基礎と臨床, 23 (3), 1013-1021, (1989) |
改訂履歴 |
2015年1月 改訂 (第12版) |
文献請求先 |
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業態及び業者名等 |
製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2020/12/16 版 |