医療用医薬品 : ペルジピン

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医薬品情報


総称名 ペルジピン
一般名 ニカルジピン塩酸塩
欧文一般名 Nicardipine Hydrochloride
製剤名 ニカルジピン塩酸塩カプセル
薬効分類名 持続性Ca拮抗剤
薬効分類番号 2149
ATCコード C08CA04
KEGG DRUG
D00617 ニカルジピン塩酸塩
KEGG DGROUP
DG01928 ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
DG03231 血圧降下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2022年12月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ペルジピンLAカプセル20mg Perdipine LA Capsules 20mg LTLファーマ 2149019N1160 9円/カプセル 処方箋医薬品注)
ペルジピンLAカプセル40mg Perdipine LA Capsules 40mg LTLファーマ 2149019N2175 9.4円/カプセル 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 頭蓋内出血で止血が完成していないと推定される患者[出血が促進する可能性がある。]
2.2 脳卒中急性期で頭蓋内圧が亢進している患者[頭蓋内圧が高まるおそれがある。]
2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

本態性高血圧症

6. 用法及び用量

通常成人には、本剤を1回ニカルジピン塩酸塩として20〜40mg1日2回経口投与する。

8. 重要な基本的注意

8.1 Ca拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。
8.2 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 低血圧症の患者
血圧がさらに低下する可能性がある。
9.1.2 緑内障の患者
血管拡張作用により眼圧の上昇を招くおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
一般に重篤な腎機能障害のある患者では、降圧に伴い腎機能が低下する可能性がある。
9.3 肝機能障害患者
本剤は肝臓で代謝される。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で、妊娠末期に投与すると出生児の体重が少なく、その後の体重増加も抑制された。[2.3参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
低用量から投与を開始し、経過を十分に観察しながら慎重に投与することが望ましい。一般的に過度の降圧は好ましくないとされている。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は、主としてCYP3A4で代謝される。
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
10.2 併用注意
他の血圧降下剤血圧降下作用が増強されることがある。両剤の薬理学的な相加作用等による。
β-遮断剤
プロプラノロール 等
うっ血性心不全患者では、過度の血圧低下、心機能の低下があらわれることがある。必要に応じどちらかを減量又は投与を中止する。両剤の薬理学的な相加作用による。
(1)血圧降下作用の増強
(2)陰性変力作用の増強
ジゴキシンジゴキシンの作用を増強し、中毒症状(嘔気、嘔吐、めまい、徐脈、不整脈等)があらわれることがある。必要に応じジゴキシンを減量する。本剤が、主に腎でのクリアランスを減少させ、ジゴキシンの血中濃度が上昇する。
ダントロレンナトリウム水和物他のCa拮抗剤(ベラパミル等)の動物実験で心室細動、循環虚脱がみられたとの報告がある。高カリウム血症を来すと考えられる。
タンドスピロンクエン酸塩動物実験で血圧降下作用が増強されたとの報告がある。タンドスピロンクエン酸塩は中枢性の血圧降下作用を有し、相加的な降圧作用を示す。
ニトログリセリン動物実験で房室ブロックを起こしたとの報告がある。機序不明
免疫抑制剤
シクロスポリン
タクロリムス水和物 等
免疫抑制剤の作用を増強し、中毒症状(特に腎機能異常)があらわれることがある。また、本剤の作用を増強し、血圧低下、頻脈等があらわれることがある。必要に応じ免疫抑制剤及び本剤を減量する。本剤あるいは免疫抑制剤によりCYP3A4が阻害され、免疫抑制剤あるいは本剤の血中濃度が上昇する。
フェニトイン(1)フェニトインの作用を増強し、中毒症状(神経的)があらわれることがある。必要に応じフェニトインを減量する。
(2)本剤の作用が減弱されることがある。必要に応じ本剤を増量する。
(1)本剤の蛋白結合率が高いため、血漿蛋白結合競合により、遊離型フェニトインが上昇する。
(2)CYP3A4が誘導され、本剤の代謝が促進される。
リファンピシン本剤の作用が減弱されることがある。必要に応じ本剤を増量する。CYP3A4が誘導され、本剤の代謝が促進される。
シメチジン本剤の作用が増強され、血圧低下、頻脈等があらわれることがある。必要に応じ本剤を減量する。これらの薬剤によりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する。
HIVプロテアーゼ阻害剤
サキナビル
リトナビル 等
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の作用が増強されるおそれがある。これらの薬剤によりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する。
グレープフルーツジュース本剤の作用が増強されるおそれがある。グレープフルーツジュースによりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血小板減少(頻度不明)
11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST・ALT・γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
発現頻度は、承認時までの臨床試験及び使用成績調査結果に基づいている。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満
肝臓AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇ビリルビン上昇、Al-P上昇、LDH上昇、血清コレステロール上昇
腎臓 BUN上昇、クレアチニン上昇
血液 顆粒球減少
消化器便秘、腹痛食欲不振、胸やけ、口渇、下痢、悪心・嘔吐、胃部不快感
循環器顔面潮紅、動悸、脱力・倦怠感、のぼせ立ちくらみ、頻脈、熱感、血圧低下、浮腫
過敏症発疹、そう痒感光線過敏症
口腔 歯肉肥厚
その他頭痛・頭重、めまい耳鳴、眠気、しびれ感、不眠、胸部不快感、流涎、発赤、頻尿、ふらふら感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
ラットに24カ月経口投与した実験で、45mg/kg/日投与群(臨床用量の約40倍)の雄に甲状腺濾胞の腫瘍が対照群に比し有意に増加したとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回経口投与
健康成人に40mgを単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度は2峰性を示し、最高血漿中濃度に達する時間が各々0.8時間及び6.0時間であった。また、最高血漿中濃度は各々16.5ng/mL及び12.4ng/mLであり、115ng・h/mLのAUCを示した1)
単回投与時の血漿中濃度(40mg投与)
16.1.2 連続経口投与
健康成人男子に1回40mgを1日2回連続経口投与(14日間)したところ、7日目以内に血漿中濃度は定常状態に達し、ほぼ24時間有効血漿中濃度が得られており、連続経口投与の半減期は、7.6時間であった2)
薬動力学パラメータ
 投与量(mg)Cmax(ng/mL)Tmax(h)AUC0-12h(ng・h/mL)t1/2(h)
1日目4021.14.590.6
7日目4030.04.0160.8
14日目4030.54.0157.97.6
16.1.3 連続経口投与(普通錠との比較)
健康成人男子に本剤40mgを1日2回及び通常錠20mgを1日3回クロスオーバー法で7日間連続経口投与したところ、本剤投与時のAUCは通常錠投与時よりもやや低かったが、最低血漿中濃度は通常錠投与時よりも高く、かつ安定した血漿中濃度推移を示した3)
16.4 代謝
健康成人男子に本剤20mg及び40mgを投与し、尿中代謝物を測定したところ、主代謝物は側鎖が脱ベンジル化され、ピリジン環への酸化体及びそのグルクロン酸抱合体であった2)
16.5 排泄
健康成人男子に本剤20mg及び40mgを投与し、尿中未変化体を測定したところ、尿中へ未変化体は排泄されなかった。
また、尿中への代謝物の総排泄率は20mg及び40mg投与時とほぼ同じ値を示し、連続投与してもそれらの値に変動は認められなかった2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
本態性高血圧症について二重盲検比較試験を含む臨床試験(634症例)が行われ、臨床効果は、529例で検討された。
降圧総合効果判定の対象は次のとおりであった。
 「下降」以上の有効率
軽症・中等症本態性高血圧症4)5)6)7)73.5%(358/487)
重症本態性高血圧症8)78.6%(33/42)
なお、軽症・中等症本態性高血圧症の場合、二重盲検比較試験の結果7)、40〜80mg/日(分2)、12週間経口投与で本剤の有用性が認められた。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ニカルジピン塩酸塩は、血管平滑筋細胞中へのCa2+の取り込みを抑制することにより、血管拡張作用を発揮する9)。ニカルジピン塩酸塩は、血管平滑筋において心筋の30,000倍の強いCa拮抗作用を示し、血管選択性は他のCa拮抗薬(ニフェジピン、ベラパミル、ジルチアゼム)より高かった10)
18.2 血圧降下作用
ニカルジピン塩酸塩は、種々の実験的高血圧動物において的確な降圧作用を示した。また、長期間投与によっても耐薬性を生ずることなく、持続的な降圧作用を示し、高血圧に伴う心臓肥大の進展及び脳卒中の発生を防止した11)12)13)
本態性高血圧症患者に投与した場合、穏和で日内変動や体位変換に伴う血圧変動の少ない安定した降圧効果が認められている14)
18.3 血管拡張作用
ニカルジピン塩酸塩は、麻酔イヌにおいて末梢血管抵抗を低下させ、用量依存的な血圧降下作用を示した12)13)。また、本薬は麻酔イヌにおいて椎骨動脈、冠動脈、大腿動脈、腎動脈等の血管を拡張し、これら臓器への血流を増加させた13)15)
18.4 血管平滑筋弛緩作用
ニカルジピン塩酸塩は、イヌ摘出冠動脈での実験においてKにより誘発された収縮を用量依存的に弛緩した。その作用はニフェジピンの約10倍、ベラパミルの約1,000倍強かった13)
18.5 利尿作用
ニカルジピン塩酸塩は、ラットにおいて用量依存的にナトリウム利尿作用を示した。麻酔イヌにおいては、腎血流量及び糸球体濾過率を増加させナトリウム利尿を起こした13)16)
18.6 その他
ニカルジピン塩酸塩は、麻酔イヌにおいて、他のCa拮抗薬に比べて房室伝導障害及び心収縮抑制を起こしにくかった12)13)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ニカルジピン塩酸塩

一般的名称 ニカルジピン塩酸塩
一般的名称(欧名) Nicardipine Hydrochloride
化学名 2-[Benzyl(methyl)amino]ethyl methyl(4RS)-2,6-dimethyl-4-(3-nitrophenyl)-1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate monohydrochloride
分子式 C26H29N3O6・HCl
分子量 515.99
融点 167〜171℃
物理化学的性状 ニカルジピン塩酸塩はわずかに緑みを帯びた黄色の結晶性の粉末である。メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水、アセトニトリル又は無水酢酸に溶けにくい。本品のメタノール溶液(1→20)は旋光性を示さない。光によって徐々に変化する。
KEGG DRUG D00617

20. 取扱い上の注意

本品は高防湿性の内袋により品質保持をはかっているので、内袋開封後は湿気を避けて遮光して保存すること。

22. 包装

<ペルジピンLAカプセル20mg>
100カプセル[10カプセル(PTP)×10]
<ペルジピンLAカプセル40mg>
100カプセル[10カプセル(PTP)×10]
500カプセル[10カプセル(PTP)×50]

23. 主要文献

  1. 樋口三朗 他, 基礎と臨床, 20 (6), 3015-3022, (1986)
  2. 樋口三朗 他, 基礎と臨床, 20 (9), 4647-4656, (1986)
  3. 米谷 悟 他, 基礎と臨床, 20 (17), 8897-8902, (1986)
  4. 上村博幸 他, 臨床医薬, 2 (5), 683-692, (1986)
  5. 吉永 馨 他, 診療と新薬, 23 (3), 509-519, (1986)
  6. 山田和生 他, 診療と新薬, 24 (11), 2199-2222, (1987)
  7. 吉永 馨 他, 医学のあゆみ, 140 (9), 691-715, (1987)
  8. 吉永 馨 他, 診療と新薬, 24 (11), 2179-2197, (1987)
  9. Terai,M.et al., Biochem.Pharmacol., 30, 375-378, (1981) »PubMed
  10. Bristow,M.R.et al., Br.J.Pharmacol., 82 (2), 309-320, (1984) »PubMed
  11. 竹中登一 他, 基礎と臨床, 14 (14), 4495-4509, (1980)
  12. 竹中登一 他, 基礎と臨床, 14 (14), 4477-4494, (1980)
  13. Takenaka,T.et al., Br.J.Clin.Pharmacol., 20, 7S-22S, (1985)
  14. 吉永 馨 他, 診療と新薬, 23 (4), 733-745, (1986)
  15. Takenaka,T.et al., Arzneimittel-Forschung, 26 (12), 2172-2178, (1976) »PubMed
  16. Abe,Y.et al., J.Cardiovasc.Pharmacol., 5 (2), 254-259, (1983) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
LTLファーマ株式会社 コールセンター
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目10番1号
電話:フリーダイヤル 0120-303-711
製品情報問い合わせ先
LTLファーマ株式会社 コールセンター
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目10番1号
電話:フリーダイヤル 0120-303-711

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
LTLファーマ株式会社
東京都新宿区西新宿6丁目10番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版