医療用医薬品 : ペルサンチン

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医薬品情報


総称名 ペルサンチン
一般名 ジピリダモール
欧文一般名 Dipyridamole
製剤名 ジピリダモール製剤
薬効分類名 冠血管拡張剤
抗血小板剤
薬効分類番号 2171
ATCコード B01AC07
KEGG DRUG
D00302 ジピリダモール
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ペルサンチン錠25mg Persantin Tablets 25mg Medical Parkland 2171010F2553 6.1円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 アデノシン(アデノスキャン)を投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

○狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全
○ワーファリンとの併用による心臓弁置換術後の血栓・塞栓の抑制
○次の疾患における尿蛋白減少
ステロイドに抵抗性を示すネフローゼ症候群

6. 用法及び用量

<狭心症、心筋梗塞、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全の場合>
ジピリダモールとして、通常成人1回25mgを1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<血栓・塞栓の抑制の場合>
ジピリダモールとして、通常成人1日300〜400mgを3〜4回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<尿蛋白減少を目的とする場合>
ジピリダモールとして、通常成人1日300mgを3回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
投薬開始後、4週間を目標として投薬し、尿蛋白量の測定を行い、以後の投薬継続の可否を検討する。
尿蛋白量の減少が認められない場合は、投薬を中止するなど適切な処置をとること。
尿蛋白量の減少が認められ投薬継続が必要な場合は、以後定期的に尿蛋白量を測定しながら投薬すること。

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合、本剤の作用が増強され、副作用が発現するおそれがあるので、併用しないこと。[13.1参照]
<尿蛋白減少を目的とする場合>
8.2 病態の急速な進展がみられる場合には、中止又は他の療法を考慮するなど適切な処置を行うこと。
8.3 尿蛋白が減少した場合でも、腎機能が低下することがあるので、定期的に腎機能を検査するなど注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 低血圧の患者
更に血圧を低下させることがある。
9.1.2 重篤な冠動脈疾患(不安定狭心症、亜急性心筋梗塞、左室流出路狭窄、心代償不全等)のある患者
症状を悪化させることがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス)でわずかに胎児への移行が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ウサギ)で母乳中へ移行することが報告されている。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
アデノシン
(アデノスキャン)
2.2参照]
完全房室ブロック、心停止等が発現することがある。本剤の投与を受けた患者にアデノシン(アデノスキャン)を投与する場合には少なくとも12時間の間隔をおく。もし完全房室ブロック、心停止等の症状があらわれた場合はアデノシン(アデノスキャン)の投与を中止する。本剤は体内でのアデノシンの血球、血管内皮や各臓器での取り込みを抑制し、血中アデノシン濃度を増大させることによりアデノシンの作用を増強する。
10.2 併用注意
キサンチン系製剤
テオフィリン
アミノフィリン
本剤の作用が減弱されるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。テオフィリン等のキサンチン系製剤は、本剤のアデノシンを介した作用を阻害する。
アデノシン三リン酸二ナトリウム本剤はアデノシンの血漿中濃度を上昇させ、心臓血管に対する作用を増強するので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。本剤は体内でのアデノシンの血球、血管内皮や各臓器での取り込みを抑制し、血中アデノシン濃度を増大させることによりアデノシンの作用を増強する。
降圧剤本剤は降圧剤の作用を増強することがあるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。本剤の血管拡張作用により、降圧剤の作用が増強されることがある。
抗凝固剤
ダビガトランエテキシラート、ヘパリン等
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。これら薬剤は抗凝固作用を有するためと考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと注)
11.1.1 狭心症状の悪化(0.1%未満)
11.1.2 出血傾向(頻度不明)
眼底出血、消化管出血、脳出血等の出血傾向があらわれることがある。
11.1.3 血小板減少(頻度不明)
11.1.4 過敏症(頻度不明)
気管支痙攣、血管浮腫等の過敏症があらわれることがある。
注)発現頻度は再評価調査症例及び再審査調査症例を含む
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと注)
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹 蕁麻疹
精神神経系頭痛、めまい、熱感、のぼせ感、ほてり、倦怠感、脱力感しびれ感、肩こり 
循環器心悸亢進頻脈、血圧低下、潮紅 
消化器悪心、嘔気、嘔吐、食欲不振、口渇、便秘、腹痛、下痢腹部膨満感 
肝臓  肝機能検査値異常(AST上昇、ALT上昇等)
その他違和感、胸痛発汗、耳鳴、筋肉痛、鼻出血、皮下出血 

13. 過量投与

13.1 症状
本剤の過量服用により熱感、顔面潮紅、発汗、不穏、脱力感、めまい、狭心様症状、血圧低下、頻脈があらわれることがある。[8.1参照]
13.2 処置
激しい胸痛が発現した場合は、アミノフィリンの静注等の適切な処置を行うこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外において慢性安定狭心症の患者を対象にβ遮断剤、カルシウム拮抗剤、および長時間型硝酸剤投与中の本剤の追加投与の効果を検討するため、二重盲検法にてジピリダモール徐放カプセル(1回200mg 1日2回)またはプラセボを24週間追加投与したところ、「運動耐容時間」に対する本剤の追加投与の効果は認められなかったとの試験成績がある。
15.1.2 少数例ではあるが、非抱合型ジピリダモールが胆石中に取り込まれていたことを示す症例がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人12例にジピリダモール100mgを経口投与した場合、速やかに吸収され、0.5〜2時間後に最高血漿中濃度約1.2μg/mLに達した1)
16.1.2 反復投与
健康成人9例にジピリダモール300mg/日を3日間経口投与した場合、最高血漿中濃度は約1.7μg/mLであり、蓄積性は認められなかった2)
16.4 代謝
健康成人7例にジピリダモール50mgを経口投与した場合の主代謝産物は、ジピリダモールのモノグルクロン酸抱合体であった(外国人のデータ)3)
16.5 排泄
健康成人10例にジピリダモール200mgを経口投与した場合、24時間尿中には未変化体は認められず、1%以下のモノグルクロン酸抱合体が認められた(外国人のデータ)3)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<狭心症、心筋梗塞、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全の場合>
17.1.1 国内臨床試験
国内で実施された臨床試験の結果、承認された効能・効果に対する本剤の臨床効果が認められた。
<血栓・塞栓の抑制の場合>
17.1.2 国内比較臨床試験、国内一般臨床試験
心臓弁置換術を受けた患者を対象とした国内比較臨床試験(本剤投与量:200〜400mg/日注1)、平均投与期間:30.1ヵ月)及び国内一般臨床試験(本剤投与量:225〜450mg/日注1)、平均投与期間:17.5ヵ月)において、ワーファリン及び本剤併用投与された298例のうち効果判定がなされた273例の血栓・塞栓発生率は4.4%(12/273例)であり、血栓・塞栓の抑制における本剤とワーファリンとの併用投与の有用性が認められた。
副作用発現頻度は本剤とワーファリン併用投与群で12.7%(30/237例)であり、主な副作用は頭痛3.4%(8/237例)、そう痒性発疹0.8%(2/237例)であった。
<尿蛋白減少を目的とする場合>
17.1.3 国内二重盲検試験、用量検討試験、一般臨床試験
蛋白尿を主訴とする腎疾患患者355例を対象とした国内二重盲検比較試験4)(投与期間:4週間)、国内用量検討試験(投与期間:2〜4週間)及び国内一般臨床試験(投与期間:7日〜4ヵ月以上)において、ネフローゼ症候群における尿蛋白減少に対する本剤300mg/日投与群の有効率(有効例数/効果判定例数)は68.2%(88/129例)であり、本剤の有用性が認められた。
なお、ステロイド抵抗性以外のネフローゼ症候群に対する有用性は確立していない。
本剤投与群注2)における副作用発現頻度は28.7%(87/303例)であり、主な副作用は頭痛23.4%(71/303例)、心悸亢進(動悸)5.6%(17/303例)、嘔気2.6%(8/303例)、ほてり2.0%(6/303例)であった。
注1)血栓・塞栓の抑制で本剤を用いる場合の成人における投与量は、300mg〜400mg/日である(年齢、症状により適宜増減)
注2)尿蛋白減少を目的とした成人における承認投与量300mg/日(年齢、症状により適宜増減)以外に75〜250mg/日、312.5〜450mg/日を含む

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
18.1.1 冠血管拡張作用
血液中アデノシンの赤血球、血管壁への再取り込みを抑制し、血液中アデノシン濃度を上昇させることにより冠血管を拡張する(健康成人、モルモット)5)6)
18.1.2 抗血小板作用
健康成人において血管壁からのプロスタサイクリン(PGI2)の放出促進、作用増強及び血小板のトロンボキサンA2(TXA2)の合成抑制により、PGI2とTXA2のバランスを改善する7)。また、血液中アデノシンの赤血球、血管壁への再取り込み抑制作用により、血液中アデノシン濃度を上昇させ、血小板のアデニールサイクラーゼ活性を増強し、血小板内c-AMPの合成を促進する5)6)8)。また、血小板内c-AMPホスホジエステラーゼの活性を抑制し、血小板内のc-AMP濃度を高める(ヒト血小板、in vitro9)。また、c-GMPホスホジエステラーゼ活性を抑制し、c-GMP濃度を高める9)。これらの作用により、血小板の活性化を抑制する。
18.1.3 尿蛋白減少作用
抗血小板作用(ウサギ)、糸球体係蹄壁の陰荷電減少抑制作用(ラット)等により、尿蛋白を減少する10)11)12)
18.2 薬理作用
18.2.1 抗血小板作用
心臓弁置換患者において短縮した血小板生存日数を延長し、血小板の放出反応を抑制し、また異常に亢進した血小板凝集能・粘着能を抑制する13)14)
血小板凝集能・粘着能及び放出反応等の血小板機能を抑制する(ウサギ)10)15)
18.2.2 血栓・塞栓抑制作用
右心房への鋼材移植(イヌ)、プロナーゼ灌流(イヌ)、大脳皮質動脈の損傷(ウサギ)、腸間膜動脈への電気刺激(ラット)による血栓・塞栓形成を抑制する16)17)18)19)
18.2.3 尿蛋白減少作用
アミノヌクレオシド腎症(ラット)、プロタミン腎症(ラット)、抗GBM型腎炎(ラット)において、尿蛋白を減少させる11)12)20)21)
18.2.4 心筋保護作用
ヒポキシアによる心筋内ATP濃度の低下及び心筋ミトコンドリアの形態学的変化を抑制する(イヌ)22)23)
18.2.5 虚血心筋への酸素供給作用
冠血流量を増加し(イヌ)、冠動脈の副血行路系の発達を促進し(ミニチュアピッグ)、十分な酸素を虚血心筋へ供給する24)25)
18.2.6 腎機能改善作用
ネフローゼ症候群患者において、内因性クレアチニンクリアランス値を増加させる4)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ジピリダモール

一般的名称 ジピリダモール
一般的名称(欧名) Dipyridamole
化学名 2,2',2'',2'''-{[4,8-Di(piperidin-1-yl)pyrimido[5,4-d]pyrimidine-2,6-diyl]dinitrilo}tetraethanol
分子式 C24H40N8O4
分子量 504.63
融点 165〜169℃
物理化学的性状 黄色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。クロロホルムに溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00302

22. 包装

100錠[10錠(PTP)×10]
1000錠[10錠(PTP)×100]
500錠 瓶

23. 主要文献

  1. 河野恒文ほか, 薬理と治療, 11, 4291, (1983)
  2. 河野恒文ほか, 薬理と治療, 15, 1531, (1987)
  3. Beisenherz G et al., Arzneimittelforschung., 10, 307, (1960)
  4. 上田 泰ほか, 日腎誌, 21, 1171, (1979) »DOI
  5. Bunag R D et al., Circulation Res., 15, 83, (1964)
  6. Roos H et al., Molec Pharmacol., 8, 417, (1972)
  7. Neri Serneri G G et al., Florence International Meeting on Myocardial Infarction May 8〜12,1979 Proceedings, Volume I, 489
  8. Gresele P et al., Thromb Haemostas., 50, 852, (1983)
  9. Best L C et al., Thromb Res., 16, 367, (1979)
  10. 小山哲夫ほか, 日腎誌, 24, 27, (1982) »DOI
  11. Nagase M et al., Renal Physiol., 7, 218, (1984)
  12. 相原吉雄, 日腎誌, 30, 895, (1988) »DOI
  13. Harker L A et al., N Engl J Med., 283, 1302, (1970)
  14. Rajah S M et al., Br J Clin Pharmacol., 4, 129, (1977)
  15. Philp R B et al., Nature., 218, 1072, (1968)
  16. Alshabkhoun S, Am J Cardiol., 19, 325, (1967)
  17. Mayer J E et al., Ann Surg., 178, 108, (1973)
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  20. Kimura K et al., J Toxicol Sci., 4, 1, (1978)
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  22. Hockerts Th et al., Arzneimittelforschung., 9, 47, (1959)
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  25. Nakagawa Y et al., Jpn J Pharmacol., 29, 271, (1979) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社Medical Parkland カスタマーセンター
〒152-0035 東京都目黒区自由が丘3丁目2番17号202
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製品情報問い合わせ先
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26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社Medical Parkland
東京都目黒区自由が丘3丁目2番17号202

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版