医療用医薬品 : チノ

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医薬品情報


総称名 チノ
一般名 ケノデオキシコール酸
欧文一般名 Chenodeoxycholic Acid
製剤名 ケノデオキシコール酸カプセル
薬効分類名 経口胆石溶解剤
薬効分類番号 2362
ATCコード A05AA01
KEGG DRUG
D00163 ケノデオキシコール酸
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年1月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
チノカプセル125 CHINO CAPSULES 藤本製薬 2362003M2031 22.4円/カプセル

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 重篤な胆道・膵障害のある患者[利胆作用があるため、原疾患を悪化させるおそれがある。]
2.2 重篤な肝障害のある患者[9.3.1参照]
2.3 肝・胆道系に閉塞性病変のある患者[9.3.2参照]
2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解

6. 用法及び用量

通常、成人にはケノデオキシコール酸として、300〜400mgを1日2〜3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は600mgとする。

8. 重要な基本的注意

8.1 動物実験において、本剤の投与により肝障害が認められているので、定期的に肝機能検査を実施して観察を十分に行うこと1)
8.2 1年間以上の投与によっても、胆石の縮小あるいは減少が認められない場合には、他の治療法を検討すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 消化管に潰瘍性病変のある患者
粘膜刺激作用により症状を悪化させるおそれがある。
9.1.2 胆管に胆石のある患者
利胆作用により胆汁うっ滞を惹起するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
投与しないこと。肝での代謝物により、肝障害を悪化させるおそれがある。[2.2参照]
9.3.2 肝・胆道系に閉塞性病変のある患者
投与しないこと。利胆作用により、胆汁うっ滞を惹起するおそれがある。[2.3参照]
9.3.3 肝障害の既往歴のある患者
肝での代謝物により、肝障害を惹起するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で、胎仔肝の組織学的変化等が報告されている。[2.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットにおいて、乳汁移行が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般的に、生理機能が低下していることが多い。

10. 相互作用

10.2 併用注意
スルフォニル尿素系経口糖尿病薬
トルブタミド等
血糖降下作用を増強するおそれがある。本剤によりトルブタミドが血漿蛋白から遊離することが考えられる。
制酸剤
水酸化アルミニウムゲル等
本剤の作用を減弱するおそれがある。アルミニウムを含有する制酸剤は本剤を吸着し、本剤の吸収が阻害されるおそれがある。
コレスチラミン本剤の作用を減弱するおそれがある。コレスチラミンは陰イオン交換樹脂であるため、本剤と結合し吸収が阻害されるおそれがある。
脂質低下剤
クロフィブラート等
本剤の作用を減弱するおそれがある。脂質低下剤は胆汁中のコレステロール分泌を促進するため、コレステロール胆石形成が促進され、本剤の作用を減弱するおそれがある。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満頻度不明
肝臓ALT、ASTの上昇等 Al-P、ビリルビンの上昇等
消化器下痢軟便、悪心・嘔吐、食欲不振、腹痛、胸やけ腹部不快感、腹部膨満感
過敏症  発疹、そう
その他  倦怠感、めまい、顔のむくみ

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人5例に本剤2カプセル(ケノデオキシコール酸として250mg)を単回経口投与した時、未変化体の血清中濃度は投与後1時間目に、約20μg/mLであり、投与後4時間目の血清中濃度は投与前の血清中濃度とほぼ同じであった2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内二重盲検比較試験
コレステロール胆石症の患者に本剤3カプセル(ケノデオキシコール酸として375mg)を34例又はウルソデオキシコール酸製剤6錠(ウルソデオキシコール酸として600mg)を31例に6か月間連日経口投与した。本剤の投与群では胆石に対する溶解効果は効果判定可能な症例28例中、「消失」3例、「明らかな減少又は縮小」5例、「やや減少又は縮小」2例であり、「やや減少又は縮小」までを含めた有効率は10例/28例(35.7%)であった。この結果をウルソデオキシコール酸製剤の投与群の有効率8例/25例(32.0%)と比較すると両群に有意な差は認めなかった。
安全性においては、本剤投与群では解析対象群34例中4例に5件の副作用(下痢2件、嘔吐・嘔気1件、食欲不振1件、腹痛1件)が発現した。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
HMG-CoA還元酵素及びコレステロール7α-ヒドロキシラーゼを抑制し、コール酸合成、デオキシコール酸生成の減少、ケノデオキシコール酸の腸肝循環増加により、胆汁中胆汁酸の大部分がケノデオキシコール酸に置換される。胆汁酸プールの増大、外因性のコレステロールの吸収の阻害により、コレステロール過飽和の胆汁組成を変化させ、コレステロール溶存能の増加により胆石を溶解するものと推定されている。
18.2 胆石溶解作用
18.2.1 In vitroにおいてケノデオキシコール酸は、ヒトコレステロール胆石溶解作用が認められ、その効果は他の胆汁酸(ウルソデオキシコール酸等)に比し溶解作用が強い。また、タウリン及びグリシン抱合体にも胆石溶解作用が認められる3)
18.2.2 In vivoにおける胆石溶解作用については、ハムスターでの実験的コレステロール胆石に対し、胆石溶解効果が認められ、その用量は5〜10mg/kgが良好であった4)
また、ウサギの胆のう内に植込んだヒトコレステロール胆石に対し、ケノデオキシコール酸投与(1mg/kg、10mg/kg)で軽度の溶解作用を認める。
18.2.3 ハムスターの胆汁組成に対しケノデオキシコール酸投与は、総胆汁酸の増加、レシチンは増加傾向を示し、コレステロール溶存能を高める4)
また、ラットの胆汁中胆汁酸の組成はコール酸、デオキシコール酸が減少し、ケノデオキシコール酸がこれにおきかわる5)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ケノデオキシコール酸

一般的名称 ケノデオキシコール酸
一般的名称(欧名) Chenodeoxycholic Acid
化学名 3α,7α-Dihydroxy-5β-cholan-24-oic acid
分子式 C24H40O4
分子量 392.57
融点 164〜169℃
物理化学的性状 白色の結晶、結晶性の粉末又は粉末である。メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、アセトンにやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00163

22. 包装

100カプセル[10カプセル(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. 大出 博功 他, 薬理と治療, 10, 4529-4569, (1982)
  2. 社内資料:チノカプセル125の健康成人における血清中濃度の測定
  3. 茂在 俊光 他, 薬理と治療, 6, 1359-1364, (1978)
  4. 大出 博功 他, 薬理と治療, 10, 3879-3886, (1982)
  5. 大出 博功 他, 薬理と治療, 6, 1338-1358, (1978)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
藤本製薬株式会社 学術部
〒580-8503 大阪府松原市西大塚1丁目3番40号
電話:0120-225-591
FAX:0120-116-026
製品情報問い合わせ先
藤本製薬株式会社 学術部
〒580-8503 大阪府松原市西大塚1丁目3番40号
電話:0120-225-591
FAX:0120-116-026

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
藤本製薬株式会社
〒580-8503 大阪府松原市西大塚1丁目3番40号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/09/18 版