医療用医薬品 : フロリード

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医薬品情報


総称名 フロリード
一般名 ミコナゾール硝酸塩
欧文一般名 Miconazole Nitrate
製剤名 ミコナゾール硝酸塩
薬効分類名 抗真菌剤
薬効分類番号 2655
ATCコード D01AC02 J02AB01
KEGG DRUG
D00882 ミコナゾール硝酸塩
KEGG DGROUP
DG00004 ミコナゾール
DG01883 イミダゾール系抗真菌薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2021年6月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
フロリードDクリーム1% FLORID-D Cream 1% 持田製薬 2655702N1060 9.8円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

下記の皮膚真菌症の治療
体部白癬(斑状小水疱性白癬、頑癬)、股部白癬(頑癬)、足部白癬汗疱状白癬
指間びらん症、間擦疹、乳児寄生菌性紅斑、爪囲炎、外陰カンジダ症皮膚カンジダ症
癜風

6. 用法及び用量

1日2〜3回患部に塗布する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦(3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ワルファリンカリウムワルファリンの作用を増強することがある(皮膚からの吸収はほとんど認められていないが、外国において、ワルファリンとの併用により出血を来した症例が報告されている)。ミコナゾール硝酸塩がCYP3A及びCYP2C9を阻害することによると考えられる。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
皮膚発赤・紅斑、そう痒感、乾燥・亀裂、丘疹接触性皮膚炎、びらん、刺激感、小水疱、落屑、腫脹等

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
本剤の基剤として使用されている油脂性成分は、コンドーム等の避妊用ラテックスゴム製品の品質を劣化・破損する可能性があるため、これらとの接触を避けさせること。
14.2 薬剤使用時の注意
眼科用として、角膜、結膜には使用しないこと。

16. 薬物動態

16.2 吸収
健康人3例の正常皮膚に本剤1回0.5gを1日2回14日間連日塗布した結果並びに足部白癬患者4例の障害皮膚に本剤1回0.5gを1日2回14〜21日間連日塗布したときの投与7日目の結果より、皮膚からの吸収はほとんど認められていない。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II/III相試験及び一般臨床試験
皮膚真菌症患者を対象に、本剤を1日2〜3回塗布した二重盲検試験及び一般臨床試験(29施設、611例)の概要は次のとおりである。
有効性解析対象560例における疾患名別の効果を下表に示した1)2)3)4)5)6)7)8)9)10)11)12)
疾患名真菌学的効果
<真菌消失率>
臨床効果注)
<改善率>
総合効果注)
<有効率>
白癬体部白癬89%(70/79例)98%(49/50例)88%(44/50例)
股部白癬93%(63/68例)97%(37/38例)92%(35/38例)
足部白癬75%(76/101例)92%(61/66例)82%(54/66例)
カンジダ症指間びらん症96%(51/53例)100%(34/34例)97%(33/34例)
間擦疹95%(72/76例)95%(73/77例)91%(70/77例)
乳児寄生菌性紅斑96%(53/55例)96%(53/55例)95%(52/55例)
爪囲炎77%(23/30例)80%(24/30例)77%(23/30例)
外陰カンジダ症100%(20/20例)100%(20/20例)100%(20/20例)
皮膚カンジダ症100%(28/28例)100%(28/28例)100%(28/28例)
癜風89%(42/47例)96%(22/23例)96%(22/23例)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ミコナゾール硝酸塩の抗菌作用13)14)15)、生化学的作用16)17)及び超微形態学的作用18)を検討した結果、ミコナゾール硝酸塩は低濃度では主として膜系(細胞膜並びに細胞壁)に作用して、細胞の膜透過性を変化させることにより抗菌作用を示す。また、高濃度では細胞の壊死性変化をもたらし、殺菌的に作用する16)17)18)19)20)
18.2 抗菌作用
18.2.1 真菌に対する作用
ミコナゾール硝酸塩は白癬の起因菌である白癬菌属、小胞子菌属、表皮菌属やカンジダ症の起因菌であるカンジダ属をはじめ、アスペルギルス属、クリプトコックス・ネオフォルマンス等の諸菌種に対しても強い抗真菌作用を有する13)14)15)
各種真菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)は下表のとおりであった13)in vitro)。
菌種MIC(μg/mL)
Trichophyton mentagrophytes0.16〜0.63
Trichophyton rubrum0.32
Trichophyton violaceum0.08
Microsporum audouinii1.25
Microsporum gypseum0.63
Candida albicans0.08〜5
Aspergillus fumigatus0.63〜1.25
Cryptococcus neoformans0.16〜0.63
18.2.2 細菌に対する作用
Heart infusion agar及びBrain-heart infusion agarを用いた実験では、グラム陽性菌に対するミコナゾール硝酸塩のMICは球菌、桿菌とも2.5〜10μg/mLであり、特に嫌気性菌に対しては0.32〜0.63μg/mLであるが、グラム陰性菌に対しては感受性は認められない13)in vitro)。
18.3 感染治療実験
モルモットのT.mentagrophytes感染に対しミコナゾール硝酸塩の1%クリームを1日1回連日塗布すると、投与6日目から症状の消退が認められ、2週間後には組織内の菌は陰性化した21)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ミコナゾール硝酸塩

一般的名称 ミコナゾール硝酸塩
一般的名称(欧名) Miconazole Nitrate
化学名 1-[(2RS)-2-(2,4-Dichlorobenzyloxy)-2-(2,4-dichlorophenyl)ethyl]-1H-imidazole mononitrate
分子式 C18H14Cl4N2O・HNO3
分子量 479.14
融点 約180℃(分解)
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)、アセトン又は酢酸(100)に溶けにくく、水又はジエチルエーテルに極めて溶けにくい。
KEGG DRUG D00882

22. 包装

チューブ
10g×20本

23. 主要文献

  1. 福代良一 他, 皮膚, 21 (3), 325-339, (1979) »DOI
  2. 斉藤文雄, 基礎と臨床, 13 (4), 317-322, (1979)
  3. 渡辺 靖 他, 基礎と臨床, 13 (4), 327-334, (1979)
  4. 山田 実 他, 基礎と臨床, 13 (4), 323-326, (1979)
  5. 藤田恵一 他, 基礎と臨床, 13 (4), 335-340, (1979)
  6. 山本一哉 他, 基礎と臨床, 13 (4), 345-348, (1979)
  7. 富沢尊儀, 基礎と臨床, 13 (4), 341-344, (1979)
  8. 亀田 洋 他, 西日本皮膚科, 41 (5), 986-987, (1979) »DOI
  9. 田中道雄 他, 西日本皮膚科, 41 (5), 988-989, (1979) »DOI
  10. 岡島晶子, 基礎と臨床, 13 (4), 349-351, (1979)
  11. 眞崎治行 他, 西日本皮膚科, 41 (5), 983-985, (1979) »DOI
  12. 古沢嘉衛, 基礎と臨床, 13 (10), 348-350, (1979)
  13. 江川朝生 他, 真菌と真菌症, 18 (1), 65-72, (1977) »DOI
  14. Van Cutsem,J.M.et al., Chemotherapy., 17 (6), 392-404, (1972) »PubMed
  15. 青河寛次 他, 産婦人科の世界, 29 (2), 67-71, (1977)
  16. Van den Bossche,H., Biochem.Pharmacol., 23 (4), 887-899, (1974) »PubMed
  17. Sreedhara Swamy,K.H.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 5 (4), 420-425, (1974) »PubMed
  18. De Nollin,S.et al., Sabouraudia., 12 (3), 341-351, (1974) »PubMed
  19. De Nollin,S.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 7 (5), 704-711, (1975) »PubMed
  20. Van den Bossche,H.et al., Sabouraudia., 13 (1), 63-73, (1975)
  21. 江川朝生 他, 真菌と真菌症, 20 (1), 10-19, (1979) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
持田製薬株式会社 くすり相談窓口
〒160-8515 東京都新宿区四谷1丁目7番地
電話:03-5229-3906
0120-189-522
FAX:03-5229-3955
製品情報問い合わせ先
持田製薬株式会社 くすり相談窓口
〒160-8515 東京都新宿区四谷1丁目7番地
電話:03-5229-3906
0120-189-522
FAX:03-5229-3955

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
持田製薬株式会社
東京都新宿区四谷1丁目7番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版