○ビタミンA欠乏症の予防および治療
(
夜盲症、結膜乾燥症、角膜乾燥症、角膜軟化症)
○ビタミンAの需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給
(妊産婦、授乳婦、乳幼児、消耗性疾患など)
○下記疾患のうち、ビタミンAの欠乏または代謝障害が関与すると推定される場合
補給の目的には、通常成人、1日0.2〜0.4g(ビタミンAとして、2,000〜4,000ビタミンA単位)を3回に分けて経口投与する。なお、年齢により適宜減量する。
治療の目的には、通常成人、1日0.3〜10g(ビタミンAとして、3,000〜100,000ビタミンA単位)を3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
9.4 生殖能を有する者
9.5 妊婦
9.5.1 妊娠3ヵ月以内又は妊娠を希望する女性
ビタミンA欠乏症の治療に用いる場合を除いて本剤を投与しないこと。なお、ビタミンAの補給を目的として本剤を用いる場合は食品などからの摂取量に注意し、本剤による投与は5,000IU/日未満に留めるなど必要な注意を行うこと。
外国において、妊娠前3ヵ月から妊娠初期3ヵ月までにビタミンAを10,000IU/日以上摂取した女性から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学調査結果がある。[
2.2、
9.4参照]
9.5.2 妊婦(妊娠3ヵ月以内の女性を除く)
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
13.1 症状
ビタミンA過剰症はビタミンA摂取後12時間前後で発病する急性過剰症(急性症)とビタミンAを数ヵ月以上摂取して次第に症状のあらわれる慢性過剰症(慢性症)とがある。[
11.2参照]
13.1.1 急性症状
ビタミンA摂取後数時間〜24時間(約12時間)であらわれ、摂取中止後1〜2日後に症状は消失し何ら後遺症を残さない。主症状は小児では急性脳水腫に起因し、嘔吐、不眠、嗜眠、興奮のほか大泉門が膨隆して茸状に膨れあがる。乳幼児ではそのほか吐乳、下痢、不機嫌、不安症状、痙攣、水頭症の報告もある。髄膜症はみられない。成人では全身倦怠、悪心、嘔吐、腹痛、めまい、運動鈍化が起こり、嗜眠状態となり、その後全身の皮膚がはく離し回復する。臨床検査成績としては脳脊髄液圧がやや亢進するほか病的所見はみられず、大泉門膨隆程度と脳圧間に必ずしも平行関係はないといわれ、脳波にも異常なく眼底変化はみられない。
急性症は成人にはまれで大多数乳幼児である。
13.1.2 慢性症状
主症状は小児では食欲不振、体重増加停止、便秘、不機嫌、不眠、興奮、ときに肝肥大などの一般症状、中枢神経症状としては頭痛、嘔吐、神経過敏、痙攣、複視、斜視、脳圧亢進、脳水腫など、骨症状は四肢の有痛性長管骨腫脹が特徴的で、骨幹が紡錘状に腫脹し、X線で骨膜増殖、尺骨、蹠骨の限局性皮質性骨肥厚、限局性骨粗鬆症を起こし歩行障害を訴える。成人では最も著明な症状は全身倦怠である。皮膚症状はまず毛髪乾燥、ついで脱毛、脂漏、そう痒症、尋常性ざ瘡、落屑、口唇乾燥亀裂、口角亀裂、舌縁疼痛、水疱形成など、腹部では肝・脾肥大、リンパ腺軽度肥大、泌尿器では尿意頻回などが起こり、神経系の障害は小児ほど著明でない。血液では軽い貧血、白血球増多又は減少などが起こるが血液化学や肝機能検査では著しい障害は認められない。血漿中ビタミンA量が上昇しエステル型よりアルコール型ビタミンAの増量が著しく、血清リポイド、アルカリ性フォスファターゼ値が増加する。
13.2 処置
ビタミンA摂取を中止することで容易に治癒する。このほかの処置としては下剤服用、必要なら補液を行う(急性症)。出血性素因にはビタミンK使用、罹患肢の固定を行う。
開栓後は遮光し、湿気を避けて保存すること(徐々に分解して含量が低下する)。