医療用医薬品 : ニトロペン

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医薬品情報


総称名 ニトロペン
一般名 ニトログリセリン
欧文一般名 Nitroglycerin
製剤名 ニトログリセリン製剤
薬効分類名 狭心症用舌下錠
薬効分類番号 2171
ATCコード C01DA02 C05AE01
KEGG DRUG
D00515 ニトログリセリン
KEGG DGROUP
DG03231 血圧降下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年8月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ニトロペン舌下錠0.3mg (後発品) Nitropen Sublingual Tablets 0.3mg 日本化薬 2171018K1039 10.5円/錠 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 重篤な低血圧又は心原性ショックの患者[血管拡張作用により、さらに血圧を低下させ、症状を悪化させるおそれがある。][9.1.1参照]
2.2 閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]
2.3 頭部外傷又は脳出血の患者[頭蓋内圧を上昇させるおそれがある。]
2.4 高度な貧血の患者[血圧低下により貧血症状(めまい、立ちくらみ等)を悪化させるおそれがある。]
2.5 硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
2.6 ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)を投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

狭心症心筋梗塞、心臓喘息、アカラジアの一時的緩解

6. 用法及び用量

ニトログリセリンとして、通常成人0.3〜0.6mg(本剤1〜2錠)を舌下投与する。狭心症に対し投与後、数分間で効果のあらわれない場合には、更に0.3〜0.6mg(本剤1〜2錠)を追加投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 狭心症に対し本剤を用いる場合には、次の事項に留意すること。
8.1.1 投与後、数分間で効果をあらわすが、効果があらわれない場合には更に1〜2錠を追加投与すること。
8.1.2 1回の発作に3錠まで投与しても効果があらわれない場合、発作が15〜20分以上持続する場合には、直ちに主治医に連絡するよう患者を指導すること。
8.2 起立性低血圧を起こすことがあるので注意すること。また、めまいや失神等を起こすことがあるので、椅子に腰掛けるか、座って服用させること。
8.3 過度の血圧低下が起こった場合には、下肢の挙上あるいは昇圧剤の投与等、適切な処置を行うこと。
8.4 本剤の投与開始時には、他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤と同様に血管拡張作用による頭痛等の副作用が起こりやすく、これらの副作用のために注意力、集中力、反射運動等の低下が起こることがあるので、このような場合には、自動車の運転等の危険を伴う機械の操作には従事させないように注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 低血圧の患者(重篤な低血圧の患者を除く)
血管拡張作用により、さらに血圧を低下させるおそれがある。[2.1参照]
9.1.2 心筋梗塞の急性期の患者
血圧を低下させるおそれがある。
9.1.3 原発性肺高血圧症の患者
心拍出量が低下し、ショックを起こすおそれがある。
9.1.4 閉塞性肥大型心筋症の患者
心室内圧較差の増強をもたらし、症状を悪化させるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が報告されている。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら用量に留意して慎重に投与すること。本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では一般に肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続し、血圧低下等が発現するおそれがある。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ、レバチオ)
バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)
タダラフィル(シアリス、アドシルカ、ザルティア)
2.6参照]
併用により、降圧作用を増強することがある。
本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。
本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤
リオシグアト(アデムパス)
2.6参照]
併用により、降圧作用を増強することがある。
本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。
本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
10.2 併用注意
降圧作用及び血管拡張作用を有する薬物
Ca拮抗剤
ACE阻害剤
β遮断剤
利尿剤
三環系抗うつ剤
メジャートランキライザー
血圧低下が増強されることがある。血圧低下作用が相加的に増強される。
他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤頭痛、血圧低下等の副作用が増強されることがある。血管拡張作用が増強される。
非ステロイド性抗炎症剤
アスピリン等
本剤の作用が減弱されるおそれがある。プロスタグランジンI2等の合成が阻害され、血管拡張作用が減弱される可能性がある。
アルコール摂取血圧低下が増強されることがある。血圧低下作用が相加的に増強される。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上又は頻度不明0.1%未満
循環器脳貧血、血圧低下、熱感、潮紅、動悸めまい
精神神経系頭痛失神
消化器悪心・嘔吐 
その他 発汗、尿失禁、便失禁

14. 適用上の注意

14.1 患者に対し次項を守るよう注意すること。
14.1.1 幼小児、特に乳児の手のとどかない所に保存するよう注意すること。
14.1.2 本剤は舌下で溶解させ、口腔粘膜より吸収されて速やかに効果を発現するもので、内服では効果がない。
14.1.3 本剤を初めて使用する患者は、最初の数回は必ず1錠を投与すること。このとき一過性の頭痛が起こることがあるが、この症状は投与を続ける間に起こらなくなる。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
本剤使用中に本剤又は他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し、耐薬性を生じ、作用が減弱することがある。
なお、ニトログリセリンの経皮吸収型製剤での労作狭心症に対するコントロールされた外国の臨床試験成績によると、休薬時間を置くことにより、耐薬性が軽減できたとの報告がある1)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男子(N=10)にニトロペン舌下錠(ニトログリセリン0.3mg含有)を1錠ずつ舌下投与後の血漿中濃度を測定した結果、投与後4分で最高値に到達し、以後二相性で消失した2)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ニトログリセリンは直接血管平滑筋に作用し、低用量では静脈の、高用量では静脈及び動脈の拡張作用を示すとされている3)。その機序として、ニトログリセリンが細胞内で一酸化窒素に変換され、グアニル酸シクラーゼを介してcGMPを増加することにより、細胞外へカルシウムが排出されること及び収縮蛋白のカルシウム感受性が低下することなどが考えられている4)
18.1.1 ニトログリセリンは容量血管である静脈系に強く作用して静脈還流量を減少させ肺うっ血を軽減し左室充満圧や左室拡張末期容積を減少させる5)6)
18.1.2 比較的弱いが、抵抗血管である細動脈に作用して末梢血管抵抗を減少させ後負荷を軽減する。この結果心仕事量、心筋02需要が減少する5)6)
18.1.3 直接冠動脈を拡張し冠血流量を増加させ心筋虚血を改善する。さらに、側副血行路を拡張して、虚血に陥りやすい心筋内膜の血流を改善する。また、ニトログリセリンは冠血管スパズム(攣縮)を緩解し冠血流の減少を抑制する作用や、比較的太い冠動脈を拡張することでCoronary Steal(盗流現象)を起こさないことが知られている5)6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ニトログリセリン

一般的名称 ニトログリセリン
一般的名称(欧名) Nitroglycerin
化学名 1,2,3-propanetriol trinitrate
分子式 C3H5N3O9
分子量 227.09
物理化学的性状 ニトログリセリンは、常温では無色澄明の粘稠性の液体で、味は甘く灼熱感があり、衝撃により爆発する。
KEGG DRUG D00515

22. 包装

100錠[10錠(SP)×10]
500錠[10錠(SP)×50]

23. 主要文献

  1. Demots H,et al., J Am Coll Cardiol., 13, 786-793, (1989) »PubMed
  2. 井津源市ほか, 病院薬学, 15, 36-42, (1989) »DOI
  3. Mason DT,et al., Am J Med., 65, 106-125, (1978) »PubMed
  4. 平則夫, 医学と薬学, 25, 73-78, (1991)
  5. 磯部光章ほか, Medical Practice, 4, 1463-1467, (1987)
  6. 野見山, 臨床麻酔, 9, 13-20, (1985)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本化薬株式会社 医薬品情報センター
〒100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目1番1号
電話:0120-505-282
製品情報問い合わせ先
日本化薬株式会社 医薬品情報センター
〒100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目1番1号
電話:0120-505-282

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日本化薬株式会社
東京都千代田区丸の内二丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版