医療用医薬品 : ゼチーア |
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総称名 | ゼチーア |
一般名 | エゼチミブ |
欧文一般名 | Ezetimibe |
製剤名 | エゼチミブ錠 |
薬効分類名 | 小腸コレステロールトランスポーター阻害剤−高脂血症治療剤− |
薬効分類番号 | 2189 |
ATCコード | C10AX09 |
KEGG DRUG |
D01966
エゼチミブ
商品一覧 米国の商品 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
---|---|---|---|---|---|
ゼチーア錠10mg | Zetia | MSD | 2189018F1027 | 177円/錠 | 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤を併用する場合,重篤な肝機能障害のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)
高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症,ホモ接合体性シトステロール血症
適用の前に十分な検査を実施し,高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症,ホモ接合体性シトステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
ホモ接合体性家族性高コレステロール血症については,HMG-CoA還元酵素阻害剤及びLDLアフェレーシス等の非薬物療法の補助として,あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。
通常,成人にはエゼチミブとして1回10mgを1日1回食後経口投与する。なお,年齢,症状により適宜減量する。
慎重投与
シクロスポリンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
肝機能障害のある患者(【薬物動態】「1.血漿中濃度」(3)の項参照)
糖尿病患者[空腹時血糖の上昇が報告されている。(【臨床成績】「3.その他」(4)の項参照)]
重要な基本的注意
あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い,更に運動療法や,高血圧・喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
甲状腺機能低下症,閉塞性胆のう胆道疾患,慢性腎不全,膵炎等の疾患の合併,血清脂質に悪影響を与える薬剤の服用等の二次的要因により高脂血症を呈している場合は,原疾患の治療,薬剤の切り替え等を可能な限り実施した上で本剤での治療を考慮すること。
本剤は中等度又は重度の肝機能障害を有する患者には投与しないことが望ましい。[本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。(【薬物動態】「1.血漿中濃度」(3)の項参照)]
本剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤を併用する場合,併用するHMG-CoA還元酵素阻害剤の添付文書を必ず参照し,【使用上の注意】の禁忌,慎重投与,重要な基本的注意,重大な副作用等の記載を確認すること。また,肝機能検査を,併用開始時及び併用するHMG-CoA還元酵素阻害剤の添付文書で推奨されている時期に実施すること。
フィブラート系薬剤との併用に関しては,使用経験が限られている。併用する場合は,胆石症などの副作用の発現に注意すること。[フィブラート系薬剤では胆汁へのコレステロール排泄を増加させ,胆石形成がみられることがある。本剤はイヌで胆のう胆汁中のコレステロール濃度の上昇が報告されている。(「その他の注意」(1)及び(2)の項参照)]
投与中は血中脂質値を定期的に検査し,治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
相互作用
併用注意
陰イオン交換樹脂 (コレスチミド,コレスチラミン等) | 本剤の血中濃度の低下がみられた。本剤は陰イオン交換樹脂の投与前2時間あるいは投与後4時間以上の間隔をあけて投与すること。 | 本剤が陰イオン交換樹脂と結合し,吸収が遅延あるいは減少する可能性がある。 |
シクロスポリン | 本剤及びシクロスポリンの血中濃度の上昇がみられた。併用する場合は,シクロスポリンの血中濃度のモニターを十分に行うこと。 | 機序不明 |
クマリン系抗凝血剤 (ワルファリン等) | プロトロンビン時間国際標準比(INR)の上昇がみられた。併用する場合には適宜INR検査を行うこと。 | 機序不明 |
副作用
副作用発現状況の概要
承認時までの長期投与試験を含む臨床試験(HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用投与を含む)で,副作用は504例中95例(18.8%)に認められた。主なものは,便秘15件(3.0%),発疹12件(2.4%),下痢11件(2.2%),腹痛10件(2.0%),腹部膨満及び悪心・嘔吐のそれぞれ8件(1.6%)であった。
また,臨床検査値の異常変動は504例中61例(12.1%)に認められた。主なものは,γ-GTP上昇13件注1)(2.6%),CK(CPK)上昇11件注2)(2.2%),ALT(GPT)上昇11件注3)(2.2%)であった。
注1)基準値上限の3倍以上2件
注2)基準値上限の10倍以上1件
注3)全て基準値上限の3倍未満
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
過敏症(頻度不明)
アナフィラキシー,血管神経性浮腫,発疹を含む過敏症状があらわれたとの報告があるので,このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
横紋筋融解症(頻度不明)
本剤との因果関係は確立していないが,まれに横紋筋融解症,ミオパシーの報告があるので,観察を十分に行い,筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。特に,本剤をHMG-CoA還元酵素阻害剤と併用する場合,併用薬の添付文書のモニタリングに関する記載を参照すること。
肝機能障害(頻度不明)
AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1%以上 | 1%未満 | 頻度不明 | |
精神神経系 | 頭痛,しびれ,めまい,坐骨神経痛 | 抑うつ,錯感覚 | |
消化器 | 便秘,下痢,腹痛,腹部膨満,悪心・嘔吐 | アミラーゼ上昇,食欲不振,消化不良,逆流性食道炎,鼓腸放屁,口内炎,胃炎 | 膵炎,胆石症,胆のう炎,口内乾燥 |
肝臓 | ALT(GPT)上昇注4),γ-GTP上昇 | AST(GOT)上昇,ビリルビン上昇 | 肝炎 |
腎臓 | 蛋白尿 | BUN上昇 | |
循環器 | 期外収縮,動悸,血圧上昇,胸痛 | ほてり | |
筋肉 | CK(CPK)上昇注5) | 関節痛,背部痛,四肢痛 | 筋肉痛,筋力低下,筋痙縮 |
血液 | 白血球減少 | 血小板減少 | |
皮膚 | 発疹 | そう痒 | 蕁麻疹,多形紅斑 |
その他 | コルチゾール上昇 | テストステロン低下,TSH上昇,尿酸上昇,リン値上昇,疲労,浮腫(顔面・四肢),帯状疱疹,単純疱疹,結膜炎,咳嗽 | 無力症,疼痛 |
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているため,副作用の発現に注意すること。
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
なお,HMG-CoA還元酵素阻害剤は,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦に対して禁忌であるため,本剤との併用投与は行わないこと。
授乳中の婦人には,投与を避けることが望ましい。やむを得ず投与する場合は,授乳を中止させること。[ヒト母乳中への移行の有無は不明であるが,妊娠後から授乳期まで投与したラットで乳児への移行が認められている。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験が少ない。]
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
イヌで1ヵ月間投与(0.03mg/kg/日以上)により,胆のう胆汁コレステロール濃度が約2〜3倍増加したとの報告がある[1]。しかし,300mg/kg/日をイヌに12ヵ月間投与しても胆石あるいは肝・胆管系への影響はみられなかった[2]。マウスに2週間投与(5mg/kg/日)しても胆のう胆汁コレステロール濃度への影響はみられなかった[3]。
複合型高脂血症患者を対象に本剤とフェノフィブラートを併用した海外の臨床試験(625例が12週間以内,576例が1年以内の投与)において,血清トランスアミナーゼの上昇(基準値上限の3倍を超える連続した上昇)の発現率は,フェノフィブラート単独群で4.5%,本剤とフェノフィブラート併用群で2.7%であった。同様に,胆のう摘出術の発現率は,フェノフィブラート単独群で0.6%,本剤とフェノフィブラート併用群で1.7%であった。CPK上昇(基準値上限の10倍を超える)についてはいずれの群でも認められなかった。また,本剤とフェノフィブラート併用における一般的な有害事象は腹痛であった。なお,本試験は,頻繁に発現しない有害事象を群間で比較するようにはデザインされていない[4][5]。
エゼチミブは,主に小腸における初回通過効果によって主要活性代謝物であるエゼチミブ抱合体(フェノール性水酸基におけるグルクロン酸抱合体)に代謝される。エゼチミブ抱合体は胆汁中に排泄されたのち,腸内細菌叢による脱抱合をうけ,一部はエゼチミブ(非抱合体)として再吸収される(腸肝循環)[6]。血漿中エゼチミブ抱合体濃度は,等モルのエゼチミブ相当量として表記した。
血漿中濃度
健康成人
単回投与
健康成人男性(20例)に本剤10mgを食後に単回投与したとき,血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度は以下の図表に示したとおりであった[7]。
本剤10mg単回経口投与時の薬物動態パラメータ
エゼチミブ(非抱合体) | エゼチミブ抱合体 | ||||
tmax(hr) | Cmax(ng/mL) | AUC0-t(ng・hr/mL) | tmax(hr) | Cmax(ng Eq/mL) | AUC0-t(ng Eq・hr/mL) |
2.10(92) | 6.03(56) | 55.6(30) | 1.48(28) | 72.3(38) | 333(40) |
本剤10mg単回経口投与時の血漿中濃度
健康成人男性(20例)に本剤10mgを食後又は空腹時に単回投与したとき,血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度のいずれにおいても,食事によるAUCへの明らかな影響は認められなかった[7]。
健康成人男性(各6例)に本剤10,20,40mgを食後に単回投与したとき,血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度のいずれについても投与量に応じたCmax及びAUCの上昇が認められた[8]。(本剤の承認用量は1日1回10mgである。)
反復投与[9]
健康成人男性(9例)に本剤20mgを1日1回14日間反復投与したとき,血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度はいずれも連投開始後3日までに定常状態に到達し,AUCについて算出した累積係数はエゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体についてそれぞれ1.54及び1.37であった。(本剤の承認用量は1日1回10mgである。)
高齢者[10]
高齢者(12例,年齢:65〜75歳)に本剤10mgを1日1回10日間反復投与したとき,非高齢対照群(11例,年齢:20〜24歳)と比較して血漿中エゼチミブ抱合体濃度のAUCに約2.4倍の上昇が認められたが,血漿中エゼチミブ(非抱合体)濃度のAUCについて明らかな変化は認められなかった。
肝機能障害患者[11]
軽度,中等度又は重度の慢性肝機能障害患者(外国人,各4例)もしくは健康成人(外国人8例)に本剤10mgを単回投与したとき,血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度の薬物動態パラメータは以下の表に示したとおりであった。肝機能障害患者では肝機能障害の程度に応じた血漿中薬物濃度の上昇が認められた。
肝機能障害患者における本剤10mg単回経口投与時の薬物動態パラメータ
肝機能障害 | エゼチミブ(非抱合体) | エゼチミブ抱合体 | ||||
tmax(hr) | Cmax(ng/mL) | AUC0-t(ng・hr/mL) | tmax(hr) | Cmax(ng Eq/mL) | AUC0-t(ng Eq・hr/mL) | |
正常(n=8) | 7.00(59) | 3.86(118) | 54.6(36) | 1.81(95) | 95.3(50) | 864(45) |
軽度(n=4) | 6.25(72) | 4.10(37) | 75.8(54) | 1.25(23) | 138(32) | 1468(14) |
中等度(n=4) | 9.50(26) | 13.1(41) | 316(51) | 2.75(79) | 171(24) | 2685(16) |
重度(n=4) | 7.00(49) | 16.2(43) | 265(57) | 2.88(46) | 178(31) | 3418(41) |
腎機能障害患者[12]
重度の慢性腎機能障害患者(外国人8例,クレアチニンクリアランス10〜29mL/min)に本剤10mgを単回投与したとき,健康成人(外国人9例,クレアチニンクリアランス>80mL/min)と比較して血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度のAUCにそれぞれ約1.6及び1.5倍の上昇が認められた。
血漿蛋白結合[13]
ヒト血漿に添加したときの蛋白結合率は,3H-エゼチミブ99.5%〜99.8%,3H-エゼチミブ抱合体87.8%〜92.0%であった。肝機能障害や腎機能障害による血漿蛋白結合率への影響は認められていない。
代謝[6]
健康成人男性(外国人8例)に14C-エゼチミブカプセル20mgを単回投与したとき,血漿中の総放射能に占めるエゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体の割合(AUC比)はそれぞれ11%及び82%(合計93%)であった。(本剤の承認用量は1日1回10mgである。)
排泄
尿・糞中排泄
健康成人男性(外国人8例)に14C-エゼチミブカプセル20mgを単回投与したとき,投与後240時間までの放射能排泄率は糞中に78%,尿中に11%であった[6]。
健康成人男性(各6例)に本剤10,20,40mgを単回投与したとき,投与後72時間までのエゼチミブ(非抱合体)としての尿中排泄率は0.05%未満であり,尿中総エゼチミブ(非抱合体+抱合体)排泄率は8.7%〜11%であった[8]。(本剤の承認用量は1日1回10mgである。)
胆汁中排泄(腸肝循環)[14]
(参考)胆管カニューレを施した雌雄ラットに14C-エゼチミブを単回投与したとき,投与後24時間までに排泄された放射能は,胆汁中に40%〜63%,尿中には3%以下であり,未吸収のまま糞中に排泄された放射能は21%〜32%であった。採取された胆汁を別ラットの十二指腸内へ投与したとき,投与放射能の54%〜81%が再吸収ののち再び胆汁中に排泄された。
薬物相互作用
チトクロムP450酵素系への影響[13]
健康成人(外国人12例)を対象として,本剤20mgと各種チトクロムP450酵素系の基質となる代表的な指標薬を併用したとき,CYP1A2,CYP2C8/9,CYP2D6及びCYP3A4活性,並びにN-アセチルトランスフェラーゼ活性への影響は認められなかった。(本剤の承認用量は1日1回10mgである。)
HMG-CoA還元酵素阻害剤との相互作用[13]
健康成人を対象として,各種HMG-CoA還元酵素阻害剤(シンバスタチン,プラバスタチン,フルバスタチン,アトルバスタチン,ロスバスタチン,ピタバスタチン)と本剤10mgを反復併用投与した結果注6),エゼチミブはいずれのHMG-CoA還元酵素阻害剤の薬物動態に対しても明らかな影響を及ぼさず,また,いずれのHMG-CoA還元酵素阻害剤もエゼチミブの薬物動態に明らかな影響を与えなかった。
注6)ピタバスタチン以外は外国人(LDLコレステロール値≧130mg/dL)を対象とした試験
コレスチラミンによる影響[15]
健康成人(外国人8例,LDLコレステロール値≧130mg/dL)を対象として,コレスチラミン4g(1日2回)と本剤10mg(1日1回)を併用したとき,血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度のAUCはそれぞれ約1/5及び1/2に低下した。
フェノフィブラートとの相互作用[16]
健康成人(外国人8例,LDLコレステロール値≧130mg/dL)を対象として,フェノフィブラート200mg(1日1回)と本剤10mg(1日1回)を併用したとき,血漿中エゼチミブ抱合体濃度のCmax及びAUCはそれぞれ約1.7倍及び1.5倍上昇したが,臨床上意味のあるものではなかった。フェノフィブラートの薬物動態に及ぼすエゼチミブの影響は認められなかった。
シクロスポリン製剤との相互作用
クレアチニンクリアランスが50mL/minを超え,かつ,一定用量(75〜150mg1日2回)のシクロスポリン製剤を服用中の腎移植患者(外国人8例)に本剤10mgを単回投与したとき,総エゼチミブ(非抱合体+抱合体)濃度のAUCは健康成人と比較して約3.4倍高値を示した[17]。別の試験で,重度の腎機能障害のため腎移植を行い,シクロスポリン製剤を含む複数の薬剤による治療を受けていた患者(外国人1例,クレアチニンクリアランス:13.2mL/min)に本剤10mgを単回投与したとき,総エゼチミブ(非抱合体+抱合体)濃度のAUCは健康成人と比較して約12倍高値を示した[18]。健康成人(外国人12例)を対象として,本剤20mg(1日1回8日間)の連投7日目にシクロスポリン製剤100mgを単回経口投与したとき,血液中シクロスポリン濃度のCmax及びAUCはシクロスポリン単独投与と比較してそれぞれ10%及び15%上昇した[19]。(本剤の承認用量は1日1回10mgである。)
その他の薬物動態学的相互作用
二重盲検比較試験[21]
高コレステロール血症患者100例に本剤10mgを1日1回食後に12週間投与した結果,LDLコレステロールは18.1%,総コレステロールは12.8%,トリグリセリドは2.2%低下し,HDLコレステロールは5.9%上昇した。
長期投与試験[22]
高コレステロール血症患者178例に本剤10mgを1日1回食後に52週間投与した。効果が不十分な場合は,16週目以降にHMG-CoA還元酵素阻害剤の併用を可とし,本剤単独投与終了時の値を投与終了時の値とした。その結果,投与終了時でLDLコレステロールは16.8%,総コレステロールは13.0%,トリグリセリドは0.6%低下し,HDLコレステロールは4.9%上昇した。また,本剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤を併用投与した65例では,LDLコレステロールは33.5%低下した。
その他
HMG-CoA還元酵素阻害剤でコントロール不良の高コレステロール血症患者に対する臨床試験[23]
HMG-CoA還元酵素阻害剤により治療中でLDLコレステロールが治療目標値まで低下していない高コレステロール血症患者39例(ヘテロ接合体性家族性高コレステロール血症患者29例を含む)に本剤10mgを12週間投与した。本剤服用前のLDLコレステロール(平均値)は185mg/dL,総コレステロール(平均値)は267mg/dLであったが,本剤の併用投与により,LDLコレステロールは23.0%,総コレステロールは17.0%低下した。
ホモ接合体性家族性高コレステロール血症患者に対する臨床試験
LDLアフェレーシスを施行中であり,かつHMG-CoA還元酵素阻害剤を服用しているホモ接合体性家族性高コレステロール血症患者6例に本剤10mgを12週間投与した結果,LDLアフェレーシス施行前のLDLコレステロールは9.6%,総コレステロールは9.1%低下した[24]。
また,海外臨床試験でもHMG-CoA還元酵素阻害剤を服用しているホモ接合体性家族性高コレステロール血症患者に本剤を投与した結果,LDLコレステロール及び総コレステロールはさらに低下した[25]。
ホモ接合体性シトステロール血症患者に対する臨床試験(海外成績)[26]
ホモ接合体性シトステロール血症患者に本剤10mg(30例)又はプラセボ(7例)を二重盲検群間比較により8週間投与した結果,本剤投与によりシトステロールは21.0%,カンペステロールは24.3%低下した。
糖代謝に及ぼす影響検討試験[27]
高コレステロール血症及び2型糖尿病を合併している患者27例に本剤10mgを12週間投与した結果,血清脂質の改善が認められ,空腹時血糖の上昇は認められたが,HbA1c及びグリコアルブミンに変化はなく,糖代謝への影響は認められなかった。
なお,上述の臨床試験等によって,本剤は動脈硬化性疾患に関連する種々の脂質因子の改善(総コレステロール低下,LDLコレステロール低下,HDLコレステロール上昇)を認めたが,本剤の単独投与,又はHMG-CoA還元酵素阻害剤の併用による心血管系の罹患率及び死亡率に対する効果は確立されていない(国内承認時)。
作用機序
エゼチミブは食事性及び胆汁性コレステロールの吸収を阻害する。エゼチミブの作用部位は小腸であり,ハムスター等を用いた動物試験において,小腸でのコレステロールの吸収を選択的に阻害し,その結果,肝臓のコレステロール含量を低下させ,血中コレステロールを低下させた[28][29][30][31]。エゼチミブは小腸壁細胞に存在する蛋白質(Niemann-Pick C1 Like 1)を介してコレステロール及び植物ステロールの吸収を阻害する[32][33][34]。このことから,エゼチミブの作用機序は他の高脂血症治療剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤,陰イオン交換樹脂,フィブラート系薬剤,植物ステロール)とは異なる。18例の高コレステロール血症患者を対象とした海外の臨床薬理試験において,エゼチミブは2週間の投与によりコレステロール吸収をプラセボ群に比し54%阻害した[35]。
エゼチミブは小腸でのコレステロール吸収阻害により肝臓のコレステロール含量を低下させるが,肝臓でのコレステロールの生合成が代償的に亢進する。コレステロールの生合成を抑制するHMG-CoA還元酵素阻害剤との併用により,血中コレステロールが相補的に低下することが,イヌを用いた試験[30]及び海外の高コレステロール血症患者を対象とした試験[36][37][38]において示された。
また,ラット等において,エゼチミブはコレステロール及び植物ステロールの吸収を選択的に阻害するが,脂肪酸,胆汁酸,プロゲステロン,エチニルエストラジオール並びに脂溶性ビタミンA及びDの吸収には影響しなかった[28]。
血中コレステロール低下作用
粥状動脈硬化病変進展抑制作用
ゼチーア錠10mg
100錠(PTP10錠×10)
500錠(PTP10錠×50)
700錠(PTP14錠×50)
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改訂履歴 |
2010年10月 改訂 |
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業態及び業者名等 |
製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2019/1/23 版 |