医療用医薬品 : ルトラール

List   Top

医薬品情報


総称名 ルトラール
一般名 クロルマジノン酢酸エステル
欧文一般名 Chlormadinone Acetate
製剤名 クロルマジノン酢酸エステル錠
薬効分類名 経口黄体ホルモン剤
薬効分類番号 2478
ATCコード G03DB06
KEGG DRUG
D01299 クロルマジノン酢酸エステル
KEGG DGROUP
DG01591 アンドロゲン受容体拮抗薬
DG02004 プロゲステロン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2024年12月 改訂(第4版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ルトラール錠2mg Lutoral tablets 富士製薬工業 2478001F1040 23.6円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 重篤な肝障害・肝疾患のある患者[9.3.1参照]

4. 効能または効果

無月経、月経周期異常(稀発月経、多発月経)又は生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、月経量異常(過少月経、過多月経)、月経困難症、機能性子宮出血、卵巣機能不全症、黄体機能不全による不妊症又は生殖補助医療における黄体補充

5. 効能または効果に関連する注意

<生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整>
妊娠率や生産率の報告を踏まえると、本剤を含む黄体ホルモン剤と卵胞ホルモン剤の併用で調節卵巣刺激の開始時期の調整を行った場合は、開始時期の調整を行わない場合と比べて、妊娠率や生産率が低下する可能性があるので、このことを患者に説明した上で、本剤の投与の要否は、患者ごとに治療上の必要性を考慮して慎重に判断すること。[15.1参照]

6. 用法及び用量

クロルマジノン酢酸エステルとして、通常成人1日2〜12mgを1〜3回に分割経口投与する。生殖補助医療における黄体補充で用いる場合、本剤の投与期間は、新鮮胚移植の場合は採卵後から胚移植日まで、凍結融解胚移植の場合は子宮内膜が十分に厚くなった時点から胚移植日までとし、他の黄体補充法と組み合わせて用いる。

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 クロルマジノン酢酸エステルの投与後に髄膜腫が報告されている。本剤投与中は、頭痛、運動麻痺、視力視野障害、脳神経麻痺、けいれん発作、認知機能の変化等の髄膜腫を示唆する症状に注意し、必要に応じて画像検査を実施すること。髄膜腫と診断された場合は本剤の投与中止を検討すること。投与中止後に髄膜腫が縮小した症例が報告されている。[9.1.215.1.2参照]
<生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、黄体機能不全による不妊症、生殖補助医療における黄体補充>
8.2 本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心疾患のある患者又はその既往歴のある患者
ナトリウム又は体液の貯留があらわれることがある。
9.1.2 髄膜腫又はその既往歴のある患者
髄膜腫や原疾患の状態を踏まえ、本剤投与の必要性を検討すること。[8.115.1.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎疾患のある患者又はその既往歴のある患者
ナトリウム又は体液の貯留があらわれることがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害・肝疾患のある患者
投与しないこと。肝障害・肝疾患を悪化させることがある。[2.1参照]
9.5 妊婦
9.5.1 黄体ホルモン剤の使用と先天異常児出産との因果関係は、いまだ確立されたものではないが、心臓・四肢等の先天異常児を出産した母親では、対照群と妊娠初期に黄体又は黄体・卵胞ホルモン剤を使用していた群との間に、有意差があったとの疫学的調査結果が報告されている1)
9.5.2 妊娠期間中に本剤が投与された妊婦より出生した児において、尿道下裂の発現が認められた報告がある。また、動物実験(ラット)でクロルマジノン酢酸エステルを妊娠期間中に経口又は皮下投与した場合、雄胎児に尿道下裂が認められたとの報告がある2)3)
9.6 授乳婦
治療上の有効性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血栓症(脳、心、四肢等)(0.1%未満)
注)発現頻度は再評価結果時を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上又は頻度不明0.1〜5%未満0.1%未満
過敏症発疹等  
肝臓 肝機能異常 
電解質代謝  浮腫、体重増加等
消化器食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、腹痛等  
子宮不正出血、破綻出血、点状出血、経血量の変化、下腹部痛等  
乳房乳房緊満感、乳房痛等  
精神神経系頭痛 眠気等
その他  倦怠感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 調節卵巣刺激の前周期に低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤を投与した場合の生産率及び継続妊娠率は、投与しなかった場合と比較して低かったとの報告がある4)。[5.参照]
15.1.2 海外の疫学調査において、クロルマジノン酢酸エステルの6カ月間の累積投与量が360mg超の女性では、360mg以下の女性と比較して髄膜腫の発生リスクが高く(ハザード比4.4(95%信頼区間:3.4-5.8))、累積投与量の増加に伴い発生リスクが高くなるとの報告がある5)。また、クロルマジノン酢酸エステルを使用している女性では、使用していない女性と比較して髄膜腫の発生リスクが高かった(オッズ比3.87(95%信頼区間:3.48-4.30))との報告がある6)。[8.19.1.2参照]

16. 薬物動態

16.5 排泄
健康女性に14C-標識クロルマジノン酢酸エステル2mgを投与したとき、72時間以内に5.5%が尿中に排泄され、主な代謝物は3位の水酸化物であった(外国人データ)7)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<月経量異常(過多月経)、月経困難症、機能性子宮出血、卵巣機能不全症>
17.1.1 臨床試験
再評価結果における有効性評価対象例は20例であり、有効率は85.0%(17例)であった8)9)
表1 臨床成績
疾患名有効例数/有効性評価対象例数有効率(%)
月経量異常(過多月経)2/2
月経困難症6/6
機能性子宮出血7/1070.0
卵巣機能不全症2/2

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
標的臓器(子宮内膜等)の細胞内に存在する特定のレセプター蛋白を介して発揮される。すなわち、細胞内のレセプター蛋白と結合してその立体構造を変え、DNAの特定領域に結合する。
その部位の遺伝子が活性化されて特定のmRNAが生成され、特異蛋白の合成が起こり、ホルモン効果が発揮される10)11)
18.2 女性ホルモン作用
ウサギの試験において黄体ホルモン作用を有するが、幼若雌性マウス(dds系)において卵胞ホルモン作用は認められない12)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クロルマジノン酢酸エステル

一般的名称 クロルマジノン酢酸エステル
一般的名称(欧名) Chlormadinone Acetate
化学名 6-Chloro-3,20-dioxopregna-4,6-dien-17-yl acetate
分子式 C23H29ClO4
分子量 404.93
融点 211〜215℃
物理化学的性状 白色〜淡黄色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。
クロロホルムに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けやすく、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01299

22. 包装

100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. Nora JJ,et al., Lancet., 1 (7809), 941-942, (1973) »PubMed
  2. Chambon Y,et al., Ann.Endocrinol, 28, 433-443, (1967), (Paris) »PubMed
  3. Junkmann K,et al., Acta Endocrinol., 45 (suppl 90), 139-154, (1964), (Copenh.)
  4. Cochrane Database Syst Rev 2017, (5), (2017), (CD006109)
  5. Pierre Nguyen,et al., Utilisation prolongee de l'acetate de chlormadinone et risque de meningiome intracranien:une etude de cohorte a partir des donnees du SNDS., (Available from:https://www.epi-phare.fr/app/uploads/2021/04/epi-phare_rapport_acetate_chlormadinone_avril-2021-1.pdf[Accessed 1st June 2023].)
  6. Noemie Roland,et al., BMJ, 384, e078078, (2024) »PubMed
  7. Handy RW,et al., Pharmacologist., 13 (2), 221, (1971)
  8. 石塚直隆ほか, 最新医学, 20 (5), 1180-1195, (1965)
  9. 赤須文男ほか, ホルモンと臨床, 11 (12), 1135-1143, (1963)
  10. 藤原元始ほか監訳, グッドマン・ギルマン薬理書 第8版, 1718-1724, (1992), (廣川書店)
  11. 岡田弘二編著, 産婦人科における薬物療法, 1, 27-31, (1991)
  12. 三宅有ほか, 日本内分泌学会雑誌, 41 (9), 1079-1093, (1965) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
富士製薬工業株式会社 くすり相談室
〒939-3515 富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
電話:0120-956-792
FAX:076-478-0336
製品情報問い合わせ先
富士製薬工業株式会社 くすり相談室
〒939-3515 富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
電話:0120-956-792
FAX:076-478-0336

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
富士製薬工業株式会社
富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
26.2 提携先
Searle
米国

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版