医療用医薬品 : ネオミノファーゲンシー |
List Top |
総称名 | ネオミノファーゲンシー |
一般名 | グリチルリチン酸一アンモニウム, グリシン, アミノ酢酸, L-システイン塩酸塩水和物 |
欧文一般名 | Monoammonium glycyrrhizinate, Glycine, Aminoacetic acid, L-Cysteine hydrochloride hydrate |
薬効分類名 | 肝臓疾患用剤, アレルギー用薬 |
薬効分類番号 | 3919 4490 |
KEGG DRUG |
D04990
グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩
商品一覧 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
---|---|---|---|---|---|
強力ネオミノファーゲンシー静注20mL | STRONGER NEO-MINOPHAGEN C Inj.20mL | ミノファーゲン製薬 | 3919502A1341 | 122円/管 | 処方箋医薬品 |
強力ネオミノファーゲンシー静注5mL | STRONGER NEO-MINOPHAGEN C Inj.5mL | ミノファーゲン製薬 | 3919502A2186 | 66円/管 | 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
アルドステロン症の患者、ミオパシーのある患者、低カリウム血症の患者[低カリウム血症、高血圧症等を悪化させるおそれがある]
湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症、薬疹・中毒疹、口内炎、小児ストロフルス、フリクテン
慢性肝疾患における肝機能異常の改善
通常、成人には1日1回5〜20mLを静脈内に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
慢性肝疾患に対しては1日1回40〜60mLを静脈内に注射または点滴静注する。年齢、症状により適宜増減する。なお、増量する場合は1日100mLを限度とする。
慎重投与
高齢者[低カリウム血症等の発現率が高い](「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
ショック等の発現を予測するため、十分な問診を行うこと。
ショック発現時に救急処置のとれる準備をしておくこと。
投与後、患者を安静な状態に保たせ、十分な観察を行うこと。
甘草を含有する製剤との併用は、本剤に含まれるグリチルリチン酸が重複し、偽アルドステロン症があらわれやすくなるので注意すること。
相互作用
併用注意
ループ利尿剤 エタクリン酸、 フロセミド等 チアジド系およびその類似降圧利尿剤 トリクロルメチアジド、 クロルタリドン等 | 低カリウム血症(脱力感、筋力低下等)があらわれるおそれがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を行うなど十分に注意すること。 | これらの利尿作用が、本剤に含まれるグリチルリチン酸のカリウム排泄作用を増強し、血清カリウム値の低下があらわれやすくなる。 |
モキシフロキサシン塩酸塩 | 心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)、QT延長を起こすおそれがある。 | 本剤が有するカリウム排泄作用により血清カリウム濃度が低下すると、モキシフロキサシン塩酸塩による心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)、QT延長が発現するおそれがある。 |
副作用
副作用発現状況の概要
本剤の慢性肝疾患における肝機能異常の改善の効能追加の二重盲検試験、用量変更の用量比較試験および効能追加に伴う使用成績調査の合計4,451例中27例(0.61%)に副作用が認められた。主なものは血清カリウム値の低下13件(0.29%)、血圧上昇5件(0.11%)、上腹部不快感3件(0.07%)等であった。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
ショック、アナフィラキシーショック(頻度不明)
ショック、アナフィラキシーショック(血圧低下、意識消失、呼吸困難、心肺停止、潮紅、顔面浮腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー様症状(頻度不明)
アナフィラキシー様症状(呼吸困難、潮紅、顔面浮腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
偽アルドステロン症(頻度不明)
増量または長期連用により高度の低カリウム血症、低カリウム血症の発現頻度の上昇、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれるおそれがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。
また、低カリウム血症の結果として、脱力感、筋力低下などがあらわれるおそれがある。
その他の副作用
0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
過敏症 | 発疹 | 蕁麻疹、そう痒 | |
体液・電解質 | 血清カリウム値の低下 | 浮腫 | |
循環器 | 血圧上昇 | ||
消化器 | 上腹部不快感 | 嘔気・嘔吐 | |
呼吸器 | 咳嗽 | ||
眼 | 一過性の視覚異常(目のかすみ、目のチカチカ等) | ||
その他 | 全身倦怠感、筋肉痛、異常感覚(しびれ感、ピリピリ感等)、発熱、過呼吸症状(肩の熱感、四肢冷感、冷汗、口渇、動悸)、尿糖陽性 | 頭痛、熱感、気分不良 |
高齢者への投与
臨床での使用経験において、高齢者に低カリウム血症等の副作用の発現率が高い傾向が認められるので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦等への投与に関する安全性は確立していないので、これらの患者には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[グリチルリチン酸一アンモニウムを大量投与したときの動物実験(ラット)において腎奇形等が認められている]
適用上の注意
注射速度
静脈内投与は、患者の状態を観察しながらできるだけ投与速度を緩徐にすること。
アンプルカット時
本剤はワンポイントカット(イージーカット)アンプルであるが、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭しカットすることが望ましい。
その他の注意
グリチルリチン酸または甘草を含有する製剤の経口投与により、横紋筋融解症があらわれたとの報告がある。
ヒトにおける薬物動態
血中濃度
健康成人に本剤40mL(グリチルリチン酸80mg含有)を静注した場合、血中グリチルリチン酸は投与10時間後までは速やかに減少し、以後徐々に減少した。また、グリチルリチン酸の加水分解物グリチルレチン酸は投与6時間後よりあらわれ24時間後ピークに達し、48時間後にはほとんど消失した1)。
尿中排泄
健康成人に本剤を静注した場合、尿中グリチルリチン酸は時間の経過とともに減少し、27時間後までの排泄量は投与量の1.2%であった。グリチルレチン酸は6時間後よりあらわれ、22〜27時間後ピークに達した1)。
(参考)動物における薬物動態
分布
マウスに3H-グリチルリチン酸を静注した場合、注射10分後には採取した臓器すべてに分布が認められた。最も分布の多い臓器は肝臓で、投与3H-グリチルリチン酸の62%を示し、以下、腎、肺、心臓、副腎の順であった2)。
慢性肝炎についての二重盲検比較試験3)
国内36施設における慢性肝炎133例に対して本剤1日40mL、連日1カ月間静注投与を行った二重盲検比較試験の成績は、次のとおりである。本剤投与群はプラセボ群に比し有効であることが認められ、肝機能検査項目別ではAST(GOT)、ALT(GPT)およびγ-GTP値の改善が有意の差をもって認められた。
薬剤\有効率(%) | 有効以上 | やや有効以上 |
本剤投与群 | 25.4%(17/67) | 68.7%(46/67) |
プラセボ群 | 9.1%(6/66) | 27.3%(18/66) |
慢性肝炎、肝硬変に対する用量別比較試験4)
国内11施設における慢性肝炎、肝硬変178症例を対象に、本剤40mL/日3週間連日静注投与を行い、2週目のALT(GPT)値が正常上限値の1.5倍以下に改善しなかった症例93例を対象に、40mL/日継続投与群と100mL/日増量投与群との用量別比較試験を行った。その結果、本剤100mL/日増量投与群が40mL/日継続投与群に比し、有意にALT(GPT)値を改善することが認められた。このことより、40mL/日でALT(GPT)値改善不十分な症例に100mL/日増量投与は有用であることが認められた。
投与量\有効率(%) | 有効以上 |
40mL投与群 | 25.5%(12/47) |
100mL投与群 | 50.0%(23/46) |
一般臨床試験
抗炎症作用
抗アレルギー作用
ウサギにおけるアルツス反応抑制8)9)およびシュワルツマン反応抑制8)等の抗アレルギー作用を有する。また、本剤はコルチゾンの作用に対し、ストレス反応抑制作用を増強、抗肉芽作用および胸腺萎縮作用に拮抗的に作用し、抗浸出作用に対しては影響を及ぼさなかった10)。
アラキドン酸代謝系酵素の阻害作用
免疫調節作用
グリチルリチン酸は、in vitroの実験系において、(1)T細胞活性化調節作用14)、(2)インターフェロン-γ誘起作用15)、(3)NK細胞活性化作用16)、(4)胸腺外Tリンパ球分化増強作用17)等の作用が示されている。
実験的肝細胞障害抑制作用
グリチルリチン酸はラットの初代培養肝細胞を用いたin vitroの実験系で、四塩化炭素による肝細胞障害を抑制することが示されている18)。
肝細胞増殖促進作用
グリチルリチン酸、ならびにグリチルレチン酸は、ラットの初代培養肝細胞を用いたin vitroの実験系において、肝細胞の増殖促進作用を有することが示されている19)。
ウイルス増殖抑制・不活化作用
マウスでのMHV(マウス肝炎ウイルス)の感染実験で、本剤投与により生存日数の延長が認められ、また、ウサギにおけるワクシニアウイルス発痘の阻止実験で発痘を抑制した20)。また、in vitroの実験系でヘルペスウイルス等の増殖抑制・不活化作用が示されている21)22)。
グリシンおよびL-システイン塩酸塩は、グリチルリチン酸の大量長期投与による電解質代謝異常にもとづく偽アルドステロン症の発症を抑制ないし軽減する等の作用を有する23)。
20mL×10管、20mL×30管、5mL×5管、5mL×50管
1. | 中野直子ほか, 薬理と治療, 8, 4171, (1980) |
2. | 三宅輝明ほか, Minophagen Med.Rev., 24, 263, (1979) |
3. | 鈴木 宏ほか, 医学のあゆみ, 102, 562, (1977) |
4. | Iino,S.,et al., Hepatol.Res., 19, 31, (2001) »PubMed »DOI |
5. | 藤沢 洌ほか, 臨牀と研究, 70, 1615, (1993) |
6. | 日野邦彦ほか, 肝胆膵, 13, 797, (1986) |
7. | 平山千里ほか, 肝胆膵, 15, 291, (1987) |
8. | 市川 收ほか, ミノファーゲン研究部報告, (160), (1950) |
9. | 栗栖 明ほか, 最新医学, 9, 1260, (1954) |
10. | 熊谷 朗, 代謝, 10 (臨時増刊号), 632, (1973) |
11. | 沖増英治ほか, 医学のあゆみ, 122, 174, (1982) |
12. | Ohtsuki,K.,et al., Biol.Pharm.Bull., 21, 574, (1998) »PubMed »DOI |
13. | Shimoyama,Y.,et al., FEBS Lett., 391, 238, (1996) »PubMed »DOI |
14. | Zhang,Y.,et al., Immunol.Lett., 32, 147, (1992) »PubMed »DOI |
15. | Abe,N.,et al., Microbiol.Immunol., 26, 535, (1982) »PubMed »DOI |
16. | 熊谷勝男, Minophagen Med.Rev., Suppl.17, 21, (1987) |
17. | Kimura,M.,et al., Biotherapy, 5, 167, (1992) »PubMed »DOI |
18. | ヒキノヒロシ, 薬学雑誌, 105, 109, (1985) »J-STAGE |
19. | Kimura,M.,et al., Eur.J.Pharm., 431, 151, (2001) »PubMed »DOI |
20. | 飯島 登ほか, Minophagen Med.Rev., 15, 121, (1970) |
21. | Pompei,R.,et al., Nature, 281, 689, (1979) »PubMed »DOI |
22. | Baba,M.,et al., Antiviral Res., 7, 99, (1987) »PubMed »DOI |
23. | 熊谷 朗ほか, 薬理と治療, 7, 2933, (1979) |
改訂履歴 |
2011年6月 改訂 |
文献請求先 |
株式会社ミノファーゲン製薬 EAファーマ株式会社 |
お問い合わせ先 |
株式会社ミノファーゲン製薬 EAファーマ株式会社 |
業態及び業者名等 |
製造販売元 販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2024/04/01 版 |