医療用医薬品 : ロカイン

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医薬品情報


総称名 ロカイン
一般名 プロカイン塩酸塩
欧文一般名 Procaine Hydrochloride
薬効分類名 局所麻酔剤
薬効分類番号 1211
ATCコード C05AD05 N01BA02 S01HA05
KEGG DRUG
D00740 プロカイン塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年10月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ロカイン注1% ROCAIN Injection 扶桑薬品工業 1211401A4067 100円/管 劇薬, 処方箋医薬品注)
ロカイン注1% ROCAIN Injection 扶桑薬品工業 1211401A5071 100円/管 劇薬, 処方箋医薬品注)
ロカイン注1% ROCAIN Injection 扶桑薬品工業 1211401A6078 100円/管 劇薬, 処方箋医薬品注)
ロカイン注2% ROCAIN Injection 扶桑薬品工業 1211401A8070 100円/管 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
<効能共通>
2.1 本剤の成分又は安息香酸エステル(コカインを除く)系局所麻酔剤に対し、過敏症の既往歴のある患者
2.2 メトヘモグロビン血症の患者[症状が悪化するおそれがある。]
2.3 次の患者に投与する場合には、血管収縮剤(アドレナリン、ノルアドレナリン)を添加しないこと。
2.3.1 血管収縮剤に対し、過敏症の既往歴のある患者
2.3.2 高血圧、動脈硬化のある患者[急激に血圧が上昇し、脳出血が起こるおそれがある。]
2.3.3 心不全のある患者[血管収縮、心臓刺激の結果、症状が悪化するおそれがある。]
2.3.4 甲状腺機能亢進のある患者[血管収縮剤に対して反応しやすく、心悸亢進、胸痛等が起こるおそれがある。]
2.3.5 糖尿病の患者[血糖値が上昇するおそれがある。]
2.3.6 血管痙攣のある患者[阻血状態をきたし、局所壊死が起こるおそれがある。]
<硬膜外麻酔>
2.4 重篤な出血やショック状態の患者[症状が悪化するおそれがある。]
2.5 注射部位又はその周辺の炎症のある患者[吸収が高まり、効果が急激に発現するおそれがある。]
2.6 敗血症の患者[敗血症性の髄膜炎が起こるおそれがある。]
<伝達麻酔>
2.7 次の患者に投与する場合には、血管収縮剤(アドレナリン、ノルアドレナリン)を添加しないこと。
2.7.1 耳、指趾又は陰茎の麻酔[阻血状態をきたし、局所壊死が起こるおそれがある。]

4. 効能または効果

ロカイン注1%(1mL)
<ロカイン注1%>
伝達麻酔
ロカイン注1%(2mL)
<ロカイン注1%>
伝達麻酔
ロカイン注1%(5mL)
<ロカイン注1%>
伝達麻酔
ロカイン注2%(1mL)
<ロカイン注2%>
硬膜外麻酔、伝達麻酔

6. 用法及び用量

ロカイン注1%(1mL)
<伝達麻酔>
プロカイン塩酸塩として、通常成人10〜400mgを使用する。
ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。
必要に応じアドレナリン(通常濃度1:10万〜20万)を添加して使用する。
ロカイン注1%(2mL)
<伝達麻酔>
プロカイン塩酸塩として、通常成人10〜400mgを使用する。
ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。
必要に応じアドレナリン(通常濃度1:10万〜20万)を添加して使用する。
ロカイン注1%(5mL)
<伝達麻酔>
プロカイン塩酸塩として、通常成人10〜400mgを使用する。
ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。
必要に応じアドレナリン(通常濃度1:10万〜20万)を添加して使用する。
ロカイン注2%(1mL)
<硬膜外麻酔>
プロカイン塩酸塩として、通常成人300〜400mgを使用する(基準最高用量;1回600mg)。
<伝達麻酔>
プロカイン塩酸塩として、通常成人10〜400mgを使用する。
ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。
必要に応じアドレナリン(通常濃度1:10万〜20万)を添加して使用する。

8. 重要な基本的注意

8.1 まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、常時、ただちに救急処置のとれる準備が望ましい。[11.1.111.1.2参照]
8.2 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に注意すること。[11.1.111.1.2参照]
<効能共通>
8.2.1 患者の全身状態の観察を十分に行うこと。
8.2.2 できるだけ薄い濃度のものを用いること。
8.2.3 できるだけ必要最少量にとどめること。
8.2.4 必要に応じて血管収縮剤の併用を考慮すること。
8.2.5 注射針が血管に入っていないことを確かめること。
8.2.6 注射の速度はできるだけ遅くすること。
<硬膜外麻酔>
8.2.7 ショックあるいは中毒症状がみられた際に、迅速な処置が行えるように、原則として事前の静脈の確保が望ましい。
8.2.8 注射針がくも膜下腔に入っていないことを確かめること。
<伝達麻酔>
8.2.9 血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少ない量で使用すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
<効能共通>
9.1.1 血管収縮剤(アドレナリン、ノルアドレナリン)の併用に対して注意が必要な患者
次の患者に血管収縮剤(アドレナリン、ノルアドレナリン)を添加して投与する場合には、慎重に投与すること。
(1)ハロタン等のハロゲン含有吸入麻酔剤投与中の患者
血管収縮剤に対する心筋の感受性が高まり、不整脈が起こるおそれがある。
(2)三環系抗うつ剤又はモノアミン酸化酵素阻害剤投与中の患者
カテコールアミンの交感神経内への取り込み又は分解を阻害するので、血管収縮剤による心血管作用が増強され、不整脈、高血圧等が起こるおそれがある。
<硬膜外麻酔>
9.1.2 中枢神経系疾患(髄膜炎、灰白脊髄炎等)の患者
血液、脳へ移行する可能性があり、症状が悪化するおそれがある。
9.1.3 血液疾患のある患者、抗凝固剤投与中の患者
出血しやすいので、血腫形成や脊髄への障害を起こすことがある。
9.1.4 重篤な高血圧症の患者
急激な血圧低下が起こることがある。
9.1.5 脊柱の著明な変形のある患者
穿刺時、脊髄や神経根の損傷のおそれがある。
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.2 妊娠末期の女性では、麻酔範囲が広がり、仰臥性低血圧を起こすことがある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすい。また、血管収縮剤(アドレナリン、ノルアドレナリン)の作用に対する感受性が高いことがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
初期症状として血圧低下、顔面蒼白、脈拍の異常、呼吸抑制等があらわれることがある。[8.18.2参照]
11.1.2 振戦、痙攣(いずれも頻度不明)
振戦、痙攣等の中毒症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)の投与等の適切な処置を行うこと。[8.18.2参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
中枢神経注)ねむけ、不安、興奮、霧視、眩暈、悪心・嘔吐
血液メトヘモグロビン血症
過敏症じん麻疹、浮腫

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
非解離型の中性分子として神経細胞膜を通過し、細胞内で解離しイオン型となる。イオン型の分子は神経細胞の内側から細胞膜のNaチャネルに結合し、これを抑制する。神経の活動電位は神経細胞膜のNaチャネルが開口することにより発生するので、これが抑制されると活動電位が発生しなくなる。即ち、知覚神経の求心性の伝導が抑制されるので、麻酔作用が発揮されることとなる。局所麻酔薬は、細い神経ほど、かつ無髄の神経の方が作用しやすいので、比較的選択的に痛覚神経に作用するが、高濃度になればその作用は他の神経にも及ぶ。本薬は粘膜への浸透性が悪いので表面麻酔には不適で、伝導麻酔などに用いられる。通常、吸収を抑制するためにアドレナリンを添加する1)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. プロカイン塩酸塩

一般的名称 プロカイン塩酸塩
一般的名称(欧名) Procaine Hydrochloride
化学名 2-(Diethylamino)ethyl 4-aminobenzoate monohydrochloride
分子式 C13H20N2O2・HCl
分子量 272.77
融点 155〜158℃
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00740

22. 包装

<ロカイン注1%>
1mL 10管 ガラスアンプル
1mL 50管 ガラスアンプル
2mL 10管 ガラスアンプル
2mL 50管 ガラスアンプル
5mL 10管 ガラスアンプル
5mL 50管 ガラスアンプル
<ロカイン注2%>
1mL 10管 ガラスアンプル

23. 主要文献

  1. 第十八改正日本薬局方解説書, C-4970-4974, (2021), (廣川書店)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
アルフレッサファーマ株式会社 製品情報部
〒540-8575 大阪市中央区石町二丁目2番9号
電話:06-6941-0306
FAX:06-6943-8212
製品情報問い合わせ先
アルフレッサファーマ株式会社 製品情報部
〒540-8575 大阪市中央区石町二丁目2番9号
電話:06-6941-0306
FAX:06-6943-8212

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
扶桑薬品工業株式会社
大阪市城東区森之宮二丁目3番11号
26.2 販売元
アルフレッサファーマ株式会社
大阪市中央区石町二丁目2番9号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版