医療用医薬品 : カルグート

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医薬品情報


総称名 カルグート
一般名 デノパミン
欧文一般名 Denopamine
製剤名 デノパミン製剤
薬効分類名 心機能改善剤
薬効分類番号 2119
KEGG DRUG
D02614 デノパミン
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2020年9月 改訂(第1版 D6)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
カルグート錠5 KALGUT Tablets 田辺三菱製薬 2119004F1020 19.3円/錠
カルグート錠10 KALGUT Tablets 田辺三菱製薬 2119004F2027 33.4円/錠
カルグート細粒5% KALGUT Fine Granules 田辺三菱製薬 2119004C1032 203.3円/g

4. 効能または効果

慢性心不全

6. 用法及び用量

デノパミンとして通常成人1日量15〜30mgを3回に分けて経口投与する。
年齢、症状により適宜増減する。
ただし、多くの場合、他剤(ジギタリス、利尿剤、血管拡張剤等)と併用する。

7. 用法及び用量に関連する注意

カルグート錠5
7.1 1日あたりの製剤量は以下のとおりである。
成人1日量(15mg〜30mg)
カルグート錠53〜6錠
カルグート錠10
7.1 1日あたりの製剤量は以下のとおりである。
成人1日量(15mg〜30mg)
カルグート錠103錠
カルグート細粒5%
7.1 1日あたりの製剤量は以下のとおりである。
成人1日量(15mg〜30mg)
カルグート細粒5%0.3〜0.6g

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤投与中、心電図検査を定期的に行うこと、特に心室性期外収縮、心室頻拍等の不整脈の管理のため、心電図検査は通常3〜6ヵ月ごとに実施することが望ましい。[11.1.1参照]
8.2 心室性期外収縮、心室頻拍等の不整脈の発現は慢性心不全の重症例に多くみられている。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 急性心筋梗塞の患者
胸痛、前胸部不快感等の症状が発現することがある。
9.1.2 不整脈のある患者
心室性期外収縮等の不整脈が発現することがある。
9.1.3 肥大型閉塞性心筋症(特発性肥厚性大動脈弁下狭窄)の患者
心収縮力増強作用により、左室流出障害を増強させるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で、催奇形性(骨格異常)、胎児の致死及び発育抑制(ラット及びウサギ)、出生児の生存率低下、体重増加抑制、下腹部大動脈の血栓形成等(ラット)が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること。動物実験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
少量より開始するなど慎重に投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 心室頻拍等の不整脈(0.1〜5%未満)
症状があらわれた場合には、減量、休薬又は抗不整脈剤を投与するなど適切な処置を行うこと。[8.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満
循環器頻脈、心室性期外収縮等の不整脈、動悸血圧上昇、胸痛、前胸部不快感
精神神経系 頭痛
消化器 嘔気、嘔吐、食欲不振、腹痛
肝臓AST、ALTの上昇 
過敏症 発疹、そう痒

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男子にカルグート錠10(デノパミンとして10mg)を1錠経口投与した場合、血漿中濃度は約1時間後に最高に達し、以後約4時間の半減期で減少する1)
(mean±SE、n=9)
健康成人にデノパミン製剤を単回経口投与した時の薬物動態パラメータ(投与量各10mg、mean±SE、n=9)
製剤\パラメータCmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
AUC8
(ng・hr/mL)
カルグート錠519.2±2.40.83±0.1745.0±3.6
カルグート錠1015.5±1.60.89±0.1638.5±2.2
カルグート細粒5%16.9±1.30.50±0.0040.7±3.2
健康成人にデノパミン製剤を単回経口投与した時の薬物動態パラメータ(投与量各10mg、mean±SE、n=9)
製剤\パラメータAUC24
(ng・hr/mL)
AUC
(ng・hr/mL)
t1/2
(hr)
カルグート錠564.4±5.568.3±6.44.02±0.88
カルグート錠1054.3±3.357.2±3.54.00±0.93
カルグート細粒5%56.7±4.559.3±4.83.67±0.61
16.3 分布
in vitroにおけるデノパミンとヒト血漿蛋白との結合率は43%であった2)
16.4 代謝
ヒトでは酸化的脱メチル化、芳香環の水酸化に伴う水酸基のメチル化とこれらのグルクロン酸あるいは硫酸抱合化により代謝される3)
16.5 排泄
健康成人男子にデノパミン10mgを経口投与したとき、24時間以内に投与量の30〜40%が尿中に排泄される。尿中排泄物は、未変化体とそのグルクロン酸あるいは硫酸抱合体が約半量で、残りは脱メチル化体(3'又は4')と芳香環の水酸化体の抱合体である3)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
心筋症、虚血性心疾患、高血圧症、弁膜疾患等に基づく慢性心不全患者(本剤群114例、プラセボ群113例)を対象とした多施設二重盲検試験において、本剤15〜30mg/日を2日〜4週間投与したとき、本剤の有用性が認められている。副作用発現頻度は本剤群で15.0%(17例/113例)であった。主な副作用は、心室性期外収縮4.4%(5例/113例)、動悸1.8%(2例/113例)、胸部圧迫感1.8%(2例/113例)であった4)
17.1.2 国内臨床試験
二重盲検試験を除く一般臨床試験の成績は、下表のとおりで、倦怠感、息切れ、呼吸困難、浮腫、ギャロップ、胸部ラ音等の症状並びに左室駆出率、心係数、左室拡張末期圧、肺動脈圧、左室内圧最大変化率等の心機能指標の改善がみられた。
改善以上軽度改善以上
慢性心不全349/809(43.1%)607/809(75.0%)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
アドレナリンβ1受容体に選択的な刺激剤である。isoproterenolに比べ心筋のcAMP産生が少ない量で同程度の心筋収縮力増強作用を示した5)(イヌ)。
18.2 心筋収縮力増強(陽性変力)作用
18.2.1 摘出心筋(モルモット)の収縮力をouabain(ジギタリス様物質)と同程度増強させる6)(in vitro)。
18.2.2 0.4mg/kgを単回経口投与した場合、心筋収縮能(LV dp/dt max)の増強は1〜2時間後ピークに達し(66%増強)、7時間持続する。血圧、心拍数には有意な変化は示さない7)(イヌ)。
18.3 心拍数、心筋酸素消費量、血圧に及ぼす影響
18.3.1 同程度の心筋収縮能増強作用を示す用量での心拍数増加作用は、isoproterenolの約1/3である8)(ネコ)。
18.3.2 心筋収縮能(LV dp/dt max)を20%増加させる量では心拍数、血圧、心筋酸素消費量は有意な変化を示さない9)(イヌ)。
18.4 末梢血流に及ぼす影響
心拍出量増加に伴い冠血流量9)、腎血流量10)並びに大腿動脈血流量8)、総頸動脈血流量8)を増加する(イヌ)。
18.5 不整脈誘発作用
期外収縮、心室細動の発生はouabainが発生させる量の30倍量の静注においても発現しない11)(モルモット)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. デノパミン

一般的名称 デノパミン
一般的名称(欧名) Denopamine
化学名 (-)-(R)-1-(p-hydroxyphenyl)-2-[(3,4-dimethoxyphenethyl)amino]ethanol
分子式 C18H23NO4
分子量 317.38
融点 164〜168℃(分解)
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。希塩酸又は水酸化ナトリウム試液に溶ける。
旋光度 〔α〕D20:-25.5〜-27.5°(乾燥後、0.6g、N,N-ジメチルホルムアミド、20mL、100mm)
KEGG DRUG D02614

22. 包装

<カルグート錠5>
100錠[10錠(PTP)×10]
<カルグート錠10>
100錠[10錠(PTP)×10]
<カルグート細粒5%>
100g[瓶]

23. 主要文献

  1. Tagawa K, et al., J Chromatogr., 529 (2), 500-506, (1990) »PubMed
  2. Naito K, et al., Arzneimittelforschung., 36 (4), 643-651, (1986) »PubMed
  3. Suzuki T, et al., Drug Metab Dispos., 11 (4), 377-386, (1983) »PubMed
  4. 池田正男, 他, 医学のあゆみ., 140 (11), 839-864, (1987)
  5. Yokoyama H, et al., J Cardiovasc Pharmacol., 12 (3), 323-331, (1988) »PubMed
  6. 佐藤俊明, 他, 薬理と治療, 13 (10), 5727-5736, (1985)
  7. Ikeo T, et al., Jpn J Pharmacol., 39 (2), 191-199, (1985) »DOI
  8. Ikeo T, et al., Arzneimittelforschung., 36 (7), 1063-1068, (1986) »PubMed
  9. Ikeo T, et al., Jpn J Pharmacol., 39 (2), 179-189, (1985) »DOI
  10. 西山信右, 他, 薬理と治療, 13 (11), 6355-6365, (1985)
  11. 成田 寛, 他, 薬理と治療, 16 (8), 3089-3100, (1988)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
電話:0120-753-280
製品情報問い合わせ先
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
電話:0120-753-280

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
田辺三菱製薬株式会社
大阪市中央区道修町3-2-10

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版