高カルシウム血症の患者[本剤はカルシウム塩であり、本剤投与により症状を悪化させるおそれがある。]
通常成人には、アルミノパラアミノサリチル酸カルシウムとして1日量10〜15gを2〜3回に分けて経口投与する。
年齢、症状により適宜増減する。
なお、他の抗結核薬と併用することが望ましい。
8.1 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2 本剤を含む抗結核薬による治療で、薬剤逆説反応を認めることがある。治療開始後に、既存の結核の悪化又は結核症状の新規発現を認めた場合は、薬剤感受性試験等に基づき投与継続の可否を判断すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 血液障害のある患者
9.1.2 薬物過敏症の既往歴のある患者
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎機能障害が悪化するおそれがある。また、排泄遅延により本剤の作用が増強するおそれがある。
9.2.2 定期的に血中のアルミニウム、リン、カルシウム、アルカリフォスファターゼ等の測定を行うこと。アルミニウムを含有する製剤を長期投与することによりアルミニウム脳症、アルミニウム骨症等があらわれたとの報告がある。
9.3 肝機能障害患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。アミノサリチル酸製剤とイソニアジドを併用投与されている患者で、奇形児の出現率が高いとする疫学的調査がある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行するとの報告がある。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 無顆粒球症、溶血性貧血(いずれも頻度不明)
11.1.2 肝炎、黄疸(いずれも頻度不明)
11.1.3 低リン血症(頻度不明)
持続的な低リン血症による骨症状(骨軟化症等)の報告がある。
注)発現頻度は再評価結果を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 |
過敏症 | 発熱、皮膚症状 |
血液 | 白血球減少、血小板減少 |
甲状腺 | 甲状腺機能障害又は甲状腺腫 |
肝臓 | AST、ALTの上昇 |
腎臓 | 蛋白尿 |
消化器 | 食欲不振、悪心、胃部不快感、下痢 |
18.1 作用機序
パラアミノサリチル酸(PAS)の抗結核菌作用に、パラアミノ安息香酸(PABA)が拮抗することから、サルファ剤と同様PASも菌のPABAと競合し、葉酸代謝を阻害するという考え方がある。
一方PABAは抗菌スペクトルが著しく狭く、PABAとPASの共存下で結核菌の発育を抑制することから、PABA競合説を否定する考え方もある。
18.2 抗菌作用
18.3 協力作用
SM(ストレプトマイシン)あるいはINH(イソニアジド)との併用で試験管内抗菌力、血中抗菌作用及び耐性上昇遅延等の協力効果を示す
2)。