医療用医薬品 : アリセプト

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医薬品情報


総称名 アリセプト
一般名 ドネペジル塩酸塩
欧文一般名 Donepezil Hydrochloride
薬効分類名 アルツハイマー型、レビー小体型認知症治療剤
薬効分類番号 1190
ATCコード N06DA02
KEGG DRUG D00670 ドネペジル塩酸塩
商品一覧 米国の商品 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 承認条件 包装 主要文献

商品情報 詳細

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アリセプト錠3mg Aricept エーザイ 1190012F1026 180.6円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品
アリセプト錠5mg Aricept エーザイ 1190012F2022 265.4円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品
アリセプト錠10mg Aricept エーザイ 1190012F5021 473.3円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品
アリセプト細粒0.5% Aricept エーザイ 1190012C1020 255.1円/g 劇薬 , 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果及び用法・用量

効能効果

アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

効能効果に関連する使用上の注意

アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制

本剤は、アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること。

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

本剤は、レビー小体型認知症の臨床診断基準に基づき、適切な症状観察や検査等によりレビー小体型認知症と診断された患者にのみ使用すること。

精神症状・行動障害に対する本剤の有効性は確認されていない。

両効能共通

本剤がアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。

アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない。

用法用量

アリセプト錠3mg

アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制

通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。

アリセプト錠5mg

アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制

通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。

アリセプト錠10mg

アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制

通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。

アリセプト細粒0.5%

アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制

通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。

(参考)細粒

通常、成人には1日1回0.6gから開始し、1〜2週間後に1.0gに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、1.0gで4週間以上経過後、2.0gに増量する。なお、症状により適宜減量する。

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。

(参考)細粒

通常、成人には1日1回0.6gから開始し、1〜2週間後に1.0gに増量し、経口投与する。1.0gで4週間以上経過後、2.0gに増量する。なお、症状により1.0gまで減量できる。

用法用量に関連する使用上の注意

3mg/日投与は有効用量ではなく、消化器系副作用の発現を抑える目的なので、原則として1〜2週間を超えて使用しないこと。

10mg/日に増量する場合は、消化器系副作用に注意しながら投与すること。

医療従事者、家族などの管理のもとで投与すること。

使用上の注意

慎重投与

本剤はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であり、コリン作動性作用により以下に示す患者に対しては症状を誘発又は増悪する可能性があるため慎重に投与すること。

洞不全症候群、心房内及び房室接合部伝導障害等の心疾患のある患者〔迷走神経刺激作用により徐脈あるいは不整脈を起こす可能性がある。〕

消化性潰瘍の既往歴のある患者、非ステロイド性消炎鎮痛剤投与中の患者〔胃酸分泌の促進及び消化管運動の促進により消化性潰瘍を悪化させる可能性がある。〕

気管支喘息又は閉塞性肺疾患の既往歴のある患者〔気管支平滑筋の収縮及び気管支粘液分泌の亢進により症状が悪化する可能性がある。〕

錐体外路障害(パーキンソン病、パーキンソン症候群等)のある患者〔線条体のコリン系神経を亢進することにより、症状を誘発又は増悪する可能性がある。〕

重要な基本的注意

本剤の投与により、QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)等があらわれることがあるので、特に心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)を有する患者や電解質異常(低カリウム血症等)のある患者等では、観察を十分に行うこと。

レビー小体型認知症では、日常生活動作が制限される、あるいは薬物治療を要する程度の錐体外路障害を有する場合、本剤の投与により、錐体外路障害悪化の発現率が高まる傾向がみられていることから、重篤な症状に移行しないよう観察を十分に行い、症状に応じて減量又は中止など適切な処置を行うこと。

他の認知症性疾患との鑑別診断に留意すること。

定期的に認知機能検査を行う等患者の状態を確認し、本剤投与で効果が認められない場合、漫然と投与しないこと。

他のアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有する同効薬(ガランタミン等)と併用しないこと。

アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症では、自動車の運転等の機械操作能力が低下する可能性がある。また、本剤により、意識障害、めまい、眠気等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう患者等に十分に説明すること。

相互作用

相互作用序文

本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2D6で代謝される。〔「薬物動態」の項参照〕

薬物代謝酵素用語

CYP3A4

薬物代謝酵素用語

CYP2D6

併用注意

スキサメトニウム塩化物水和物筋弛緩作用を増強する可能性がある。併用薬剤の脱分極性筋弛緩作用を増強する可能性がある。
コリン賦活剤
アセチルコリン塩化物
カルプロニウム塩化物
ベタネコール塩化物
アクラトニウムナパジシル酸塩
コリンエステラーゼ阻害剤
アンベノニウム塩化物
ジスチグミン臭化物
ピリドスチグミン臭化物
ネオスチグミン等
迷走神経刺激作用などコリン刺激作用が増強される可能性がある。本剤とともにコリン作動性の作用メカニズムを有している。
CYP3A阻害剤
イトラコナゾール
エリスロマイシン等
本剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性がある。併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)阻害作用による。
ブロモクリプチンメシル酸塩
イストラデフィリン
本剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性がある。併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)阻害作用による。
キニジン硫酸塩水和物等本剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性がある。併用薬剤のチトクロームP450(CYP2D6)阻害作用による。
カルバマゼピン
デキサメタゾン
フェニトイン
フェノバルビタール
リファンピシン等
本剤の代謝を促進し、作用を減弱させる可能性がある。併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の誘導による。
中枢性抗コリン剤
トリヘキシフェニジル塩酸塩
ピロヘプチン塩酸塩
マザチコール塩酸塩水和物
メチキセン塩酸塩
ビペリデン塩酸塩等
アトロピン系抗コリン剤
ブチルスコポラミン臭化物
アトロピン硫酸塩水和物等
本剤と抗コリン剤は互いに干渉し、それぞれの効果を減弱させる可能性がある。本剤と抗コリン剤の作用が、相互に拮抗する。
非ステロイド性消炎鎮痛剤消化性潰瘍を起こす可能性がある。コリン系の賦活により胃酸分泌が促進される。

副作用

副作用発現状況の概要

軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症

承認時までの臨床試験において、総症例457例中、48例(10.5%)の副作用が報告されている。また、98例(21.4%)の臨床検査値異常変動が報告されている。(承認時)

使用成績調査において、総症例3,240例中、346例(10.7%)の副作用(臨床検査値異常変動を含む)が報告されている。(再審査終了時)

高度のアルツハイマー型認知症

承認時までの臨床試験において、総症例386例中、171例(44.3%)の副作用(臨床検査値異常変動を含む)が報告されている。(承認時)

レビー小体型認知症

承認時までの臨床試験において、総症例346例中、169例(48.8%)の副作用(臨床検査値異常変動を含む)が報告されている。(承認時)

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック、失神

QT延長(0.1〜1%未満)、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈(各頻度不明)、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)、失神(各0.1〜1%未満)があらわれ、心停止に至ることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

心筋梗塞、心不全

心筋梗塞、心不全(各0.1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

消化性潰瘍、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血

本剤のコリン賦活作用による胃酸分泌及び消化管運動の促進によって消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)(0.1%未満)、十二指腸潰瘍穿孔(頻度不明)、消化管出血(0.1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

肝炎、肝機能障害、黄疸

肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1〜1%未満)、黄疸(頻度不明)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

脳性発作、脳出血、脳血管障害

脳性発作(てんかん、痙攣等)(0.1〜1%未満)、脳出血、脳血管障害(各0.1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

錐体外路障害(アルツハイマー型認知症:0.1〜1%未満、レビー小体型認知症:9.5%)

寡動、運動失調、ジスキネジア、ジストニア、振戦、不随意運動、歩行異常、姿勢異常、言語障害等の錐体外路障害があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

悪性症候群(Syndrome malin)(0.1%未満)

無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水・電解質管理等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。

横紋筋融解症(頻度不明)

横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。

呼吸困難(0.1%未満)

呼吸困難があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

急性膵炎(0.1%未満)

急性膵炎があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

急性腎障害(0.1%未満)

急性腎障害があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

原因不明の突然死(0.1%未満)

血小板減少(0.1%未満)

血小板減少があらわれることがあるので、血液検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

発現頻度は、軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症承認時までの臨床試験及び使用成績調査、高度のアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症承認時までの臨床試験の結果をあわせて算出した。

その他の副作用

 1〜3%未満0.1〜1%未満0.1%未満頻度不明
過敏症注)  発疹、そう痒感  
消化器食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢腹痛、便秘、流涎嚥下障害、便失禁 
精神神経系 興奮、不穏、不眠、眠気、易怒性、幻覚、攻撃性、せん妄、妄想、多動、抑うつ、無感情リビドー亢進、多弁、躁状態、錯乱悪夢
中枢・末梢神経系 徘徊、振戦、頭痛、めまい昏迷 
肝臓 LDH、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇  
循環器 動悸、血圧上昇、血圧低下、上室性期外収縮、心室性期外収縮  心房細動
泌尿器 BUNの上昇、尿失禁、頻尿 尿閉
血液 白血球減少、ヘマトクリット値減少、貧血  
その他 CK(CPK)、総コレステロール、トリグリセライド、アミラーゼ、尿アミラーゼの上昇、倦怠感、むくみ、転倒、筋痛、体重減少 顔面紅潮、脱力感、胸痛発汗、顔面浮腫、発熱、縮瞳
注)このような症状があらわれた場合には、投与を中止すること。

発現頻度は、軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症承認時までの臨床試験及び使用成績調査、高度のアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症承認時までの臨床試験の結果をあわせて算出した。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療での有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔動物実験(ラット経口10mg/kg)で出生率の減少、死産児頻度の増加及び生後体重の増加抑制が報告されている。〕

授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。〔ラットに14C-ドネペジル塩酸塩を経口投与したとき、乳汁中へ移行することが認められている。〕

小児等への投与

小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

過量投与

徴候・症状

コリンエステラーゼ阻害剤の過量投与は高度な嘔気、嘔吐、流涎、発汗、徐脈、低血圧、呼吸抑制、虚脱、痙攣及び縮瞳等のコリン系副作用を引き起こす可能性がある。筋脱力の可能性もあり、呼吸筋の弛緩により死亡に至ることもあり得る。

処置

アトロピン硫酸塩水和物のような3級アミン系抗コリン剤が本剤の過量投与の解毒剤として使用できる。アトロピン硫酸塩水和物の1.0〜2.0mgを初期投与量として静注し、臨床反応に基づいてその後の用量を決める。他のコリン作動薬では4級アンモニウム系抗コリン剤と併用した場合、血圧及び心拍数が不安定になることが報告されている。本剤あるいはその代謝物が透析(血液透析、腹膜透析又は血液濾過)により除去できるかどうかは不明である。

適用上の注意

薬剤交付時(錠)

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)

その他の注意

外国において、NINDS-AIREN診断基準に合致した脳血管性認知症(本適応は国内未承認)と診断された患者を対象(アルツハイマー型認知症と診断された患者は除外)に6カ月間のプラセボ対照無作為二重盲検試験3試験が実施された。最初の試験の死亡率はドネペジル塩酸塩5mg群1.0%(2/198例)、ドネペジル塩酸塩10mg群2.4%(5/206例)及びプラセボ群3.5%(7/199例)であった。2番目の試験の死亡率はドネペジル塩酸塩5mg群1.9%(4/208例)、ドネペジル塩酸塩10mg群1.4%(3/215例)及びプラセボ群0.5%(1/193例)であった。3番目の試験の死亡率はドネペジル塩酸塩5mg群1.7%(11/648例)及びプラセボ群0%(0/326例)であり両群間に統計学的な有意差がみられた。なお、3試験を合わせた死亡率はドネペジル塩酸塩(5mg及び10mg)群1.7%、プラセボ群1.1%であったが、統計学的な有意差はなかった。

動物実験(イヌ)で、ケタミン・ペントバルビタール麻酔又はペントバルビタール麻酔下にドネペジル塩酸塩を投与した場合、呼吸抑制があらわれ死亡に至ったとの報告がある。

薬物動態

血中濃度

単回投与

健康成人男子を対象に、錠剤を絶食下単回経口投与したときの平均血漿中濃度推移を図に示した。最高血漿中濃度(Cmax)及び血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)は投与量の増加に依存して高くなった。5mg又は10mg単回投与時における薬物動態パラメータを表に示した。

健康成人男子に単回経口投与したときの平均血漿中濃度推移(錠剤)(Mean±S.E.,n=6)

健康成人男子に5mg又は10mg単回経口投与した際の薬物動態パラメータ(錠剤)

投与量Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
AUC
(ng・hr/mL)
t1/2
(hr)
CL/F
(L/hr/kg)
5mg9.97±2.083.00±1.10591.72±155.8789.3±36.00.141±0.040
10mg28.09±9.812.42±1.241098.40±304.6375.7±17.30.153±0.043
CL/F:総クリアランス(Mean±S.D.,n=6)

反復投与

健康成人男子を対象に、錠剤5mg又は8mg注)を1日1回14日間反復経口投与した。図に示すように、反復投与後の血漿中濃度は投与後約2週間で定常状態に達し、蓄積性あるいは体内動態に変化はないと考えられた。

健康成人男子に5mg又は8mg注)を1日1回14日間反復経口投与したときの平均血漿中濃度推移(錠剤)(Mean±S.E.,n=6)

食事の影響

健康成人男子を対象に吸収に及ぼす食事の影響を錠2mg注)で検討した結果、摂食時投与の血漿中濃度は絶食時とほぼ同様な推移を示し、食事による影響は認められなかった。

生物学的同等性

健康成人男子13名を対象に実施した生物学的同等性試験の結果、細粒0.5%、錠5mg、錠3mgは生物学的に同等であることが確認された。また、錠10mgは錠5mgを標準製剤としたとき溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた。

蛋白結合

In vitro試験において、ヒト血漿蛋白結合率は88.9%であり、in vivoでの血清蛋白結合率は92.6%であった。

代謝

主代謝経路はN-脱アルキル化反応であり、それに次いでO-脱メチル化反応とそれに続くグルクロン酸抱合反応であると考えられた。
N-脱アルキル化反応には主としてCYP3A4が、またO-脱メチル化反応には主としてCYP2D6が関与していることが示唆された。[1]

排泄

健康成人男子を対象に錠2mg注)を単回経口投与したとき、投与後7日目までに尿中に排泄された未変化体は投与量の9.4%であり、代謝物を含めると29.6%であった。また、10mgの単回経口投与後、11日目までに排泄された未変化体は尿中で10.6%、糞中で1.7%であった。未変化体及び代謝物を合計した尿中排泄率は35.9%であり、糞中排泄率は8.4%であった。

高齢者、肝疾患及び腎機能障害患者における薬物動態

高齢者

高齢者を対象に錠2mg注)を単回経口投与したときの薬物動態パラメータは健康成人と比較して、消失半減期が1.5倍有意に延長したが、Cmax、tmax及びAUCに有意な差は認められなかった。

肝疾患患者

アルコール性肝硬変患者(米国)を対象に錠5mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは健康成人と比較して肝疾患患者のCmaxが1.4倍高く有意差が認められたが、他のパラメータに有意差は認められなかった。[2]

腎機能障害患者

腎機能障害患者(英国)を対象に錠5mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータには、健康成人のそれと有意差は認められなかった。[3]

注)承認用法・用量は、アルツハイマー型認知症では「通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。」、レビー小体型認知症では「通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。」である。

臨床成績

軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症

軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症患者268例を対象に本剤5mg(3mg/日を1週間投与後、5mg/日を23週間投与)又はプラセボを24週間投与する二重盲検比較試験を実施した。
最終全般臨床症状評価において5mg群はプラセボ群と比較して有意に優れていた。「改善」以上の割合は5mg群17%、プラセボ群13%、「軽度悪化」以下の割合は5mg群17%、プラセボ群43%であった。

最終全般臨床症状評価

投与群\判定著明改善改善軽度改善不変軽度悪化悪化著明悪化判定不能合計
5mg例数119403615401116
(1)(16)(34)(31)(13)(3)(0)(1)
区分%(17)(34)(31)(17)
プラセボ例数1131040212151112
(1)(12)(9)(36)(19)(19)(4)(1)
区分%(13)(9)(36)(43)

認知機能を評価するADAS-Jcog得点の経時変化を表に示す(最終解析対象:205例)。投与開始時との得点差の平均では、投与12週後より5mg群がプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。最終時の5mg群とプラセボ群の投与前後の変化量の差は2.44点であった。

ADAS-Jcogの経時変化

評価時期投与群0週からの変化量※1 変化量の群間比較
平均値±S.E.(n)平均差※2
12週5mg−3.03±0.47(106)
プラセボ−0.84±0.50(101)2.19
24週5mg−3.07±0.50(96)
プラセボ−0.11±0.56(86)2.96
最終※3 5mg−2.70±0.48(107)
プラセボ−0.26±0.52(98)2.44
(マイナス値は改善を示す。)

重症度評価尺度であるCDRの経時変化を表に示す(最終解析対象:228例)。投与開始時との得点差の平均では、投与12週後より5mg群がプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。[4]

CDR合計点の経時変化

評価時期投与群0週からの変化量※1 変化量の群間比較
平均値±S.E.(n)平均差※2
12週5mg−0.12±0.08(113)
プラセボ0.23±0.10(109)0.35
24週5mg−0.14±0.13(104)
プラセボ0.72±0.17(95)0.86
最終※3 5mg−0.10±0.12(116)
プラセボ0.75±0.15(112)0.85
(マイナス値は改善を示す。)

※1:[各評価時期の値]−[0週の値]

※2:[プラセボ群の0週からの変化量の平均値]−[5mg群の0週からの変化量の平均値]

※3:最終時は原則として24週時の評価としたが、中止・脱落例については、12週以上の服薬がある場合の最終データを解析の対象とした。

高度のアルツハイマー型認知症

高度のアルツハイマー型認知症患者302例を対象に本剤10mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、次いで10mg/日を18週間投与)、5mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を22週間投与)又はプラセボを24週間投与する二重盲検比較試験を実施した。
CIBIC plus(全般的臨床症状評価)において10mg群はプラセボ群と比較して有意に優れていた(最終解析対象:287例)。

最終時のCIBIC plus

投与群\判定著明改善改善軽度改善不変軽度悪化悪化著明悪化判定不能合計
10mg例数0735201990090
(0)(8)(39)(22)(21)(10)(0)(0)
5mg例数0427263090096
(0)(4)(28)(27)(31)(9)(0)(0)
プラセボ例数061830341111101
(0)(6)(18)(30)(34)(11)(1)(1)

認知機能を評価するSIB得点の最終時の変化量を表に示す(最終解析対象:288例)。投与開始時との得点差の平均では、5mg群、10mg群それぞれ、6.7点、9.0点であり、プラセボ群と比較して有意な改善が認められた。[5]

最終時※1のSIB

投与群0週からの変化量※2 変化量の群間比較
平均値±S.E.(n)平均差※3
10mg4.7±1.1(92)9.0
5mg2.5±1.0(95)6.7
プラセボ−4.2±1.0(101)
(プラス値は改善を示す。)

※1:最終時は原則として24週時の評価としたが、中止・脱落例については、最終データを解析の対象とした。

※2:[最終の値]−[0週の値]

※3:[各投与群の0週からの変化量の平均値]−[プラセボ群の0週からの変化量の平均値]

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症患者(MMSE得点:10点以上26点以下)140例を対象に本剤10mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、次いで10mg/日を6週間投与)、5mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を10週間投与)、3mg又はプラセボを12週間投与する二重盲検比較試験を実施した。

全般臨床症状を評価するCIBIC plusにおいて、3mg群、5mg群、10mg群はいずれもプラセボ群と比較して有意に優れていた。

最終時のCIBIC plus

投与群\判定著明改善改善軽度改善不変軽度悪化悪化著明悪化合計
10mg例数1313810026
(4)(12)(50)(31)(4)(0)(0)
5mg例数5510422028
(18)(18)(36)(14)(7)(7)(0)
3mg例数1514610128
(4)(18)(50)(21)(4)(0)(4)
プラセボ例数0185103027
(0)(4)(30)(19)(37)(11)(0)

認知機能を評価するMMSE得点の最終時の変化量のプラセボ群との差は、3mg群、5mg群、10mg群それぞれ1.8点、4.1点、2.8点であり、全ての群でプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。

最終時※1のMMSE

投与群0週からの変化量※2 変化量の群間比較
平均値±S.D.(n)平均差※3
10mg2.3±3.2(30)2.8
5mg3.5±3.2(30)4.1
3mg1.2±3.8(30)1.8
プラセボ−0.6±2.7(28)
(プラス値は改善を示す。)

精神症状・行動障害のうち幻覚、認知機能変動を評価するNPI-2得点の最終時の変化量のプラセボ群との差は、3mg群、5mg群、10mg群それぞれ−2.4点、−3.6点、−5.2点であり、5mg群、10mg群でプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。

最終時※1のNPI-2

投与群0週からの変化量※2 変化量の群間比較
平均値±S.D.(n)平均差※3
10mg−5.1±4.6(31)−5.2
5mg−3.4±3.9(30)−3.6
3mg−2.2±6.1(30)−2.4
プラセボ0.2±4.0(28)
(マイナス値は改善を示す。)

本試験は探索的試験であり、主要評価項目は選択せず、評価項目毎・用量毎の検定の多重性も制御していない。[6][7]

レビー小体型認知症患者(MMSE得点:10点以上26点以下)142例を対象に本剤10mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、次いで10mg/日を6週間投与)、5mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を10週間投与)又はプラセボを12週間投与する二重盲検比較試験を実施した。

認知機能を評価するMMSE得点の最終時の変化量のプラセボ群との差は、5mg群、10mg群それぞれ0.8点、1.6点であり、10mg群でプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。

最終時※1のMMSE

投与群0週からの変化量※2 変化量の群間比較
平均値±S.E.(n)平均差※3
10mg2.2±0.4(49)1.6
5mg1.4±0.5(43)0.8
プラセボ0.6±0.5(44)
(プラス値は改善を示す。)

精神症状・行動障害のうち幻覚、認知機能変動を評価するNPI-2得点の最終時の変化量では、5mg群、10mg群ともにプラセボ群との間に有意差は認められなかった。

最終時※1のNPI-2

投与群0週からの変化量※2 変化量の群間比較
平均値±S.E.(n)平均差※3
10mg−2.8±0.5(49)−0.7
5mg−1.8±0.6(45)0.4
プラセボ−2.1±0.6(44)
(マイナス値は改善を示す。)

本試験では、認知機能障害、精神症状・行動障害の両症状に対する本剤の有効性がプラセボに比較して優れているという検証仮説は検証されていない。[8]

※1:最終時は原則として12週時の評価としたが、中止・脱落例については、最終データを解析の対象とした。

※2:[最終の値]−[0週の値]

※3:[各投与群の0週からの変化量の平均値]−[プラセボ群の0週からの変化量の平均値]

薬効薬理

作用機序

アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症では、脳内コリン作動性神経系の顕著な障害が認められている。本薬は、アセチルコリン(ACh)を分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を可逆的に阻害することにより脳内ACh量を増加させ、脳内コリン作動性神経系を賦活する。[9][10][11][12]

AChE阻害作用及びAChEに対する選択性

In vitroでのAChE阻害作用のIC50値は6.7nmol/Lであり、ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用のIC50値は7,400nmol/Lであった。AChEに対し選択的な阻害作用を示した。[9]

脳内AChE阻害作用及びACh増加作用

経口投与により、ラット脳のAChEを阻害し、また脳内AChを増加させた。[10][11]

学習障害改善作用

脳内コリン作動性神経機能低下モデル(内側中隔野の破壊により学習機能が障害されたラット)において、経口投与により学習障害改善作用を示した。[12]

有効成分に関する理化学的知見

一般名ドネペジル塩酸塩
一般名(欧名)Donepezil Hydrochloride
化学名(2RS)-2-[(1-Benzylpiperidin-4-yl)methyl]-5,6-dimethoxy-2,3-dihydro-1H-inden-1-one monohydrochloride
分子式C24H29NO3・HCl
分子量415.95
融点223.5℃(分解)
物理化学的性状ドネペジル塩酸塩は白色の結晶性の粉末である。
本品は水にやや溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
本品の水溶液(1→100)は旋光性を示さない。
本品は結晶多形が認められる。
分配係数log P=4.27(1-オクタノール/水)
KEGG DRUGD00670

承認条件

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

レビー小体型認知症を対象に、本剤の有効性の検証及び安全性の確認を目的とした臨床試験を実施し、終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。

包装

日本薬局方 ドネペジル塩酸塩錠

アリセプト錠3mg

14錠(PTP14T×1)

28錠(PTP14T×2)

140錠(PTP14T×10)

アリセプト錠5mg

56錠(PTP14T×4)・100錠(バラ)

140錠(PTP14T×10)

アリセプト錠10mg

56錠(PTP14T×4)・100錠(バラ)

140錠(PTP14T×10)

日本薬局方 ドネペジル塩酸塩細粒

アリセプト細粒0.5%

16.8g(分包0.6g×2×14)

56g(分包1.0g×2×28)・100g

140g(分包1.0g×2×70)

主要文献


1. 松井賢司ら,  薬物動態,  15,  101,  (2000) »J-STAGE
2. Tiseo,P.et al.,  Br.J.Clin.Pharmacol.,  46 (S.1),  51,  (1998) »PubMed
3. Tiseo,P.et al.,  Br.J.Clin.Pharmacol.,  46 (S.1),  56,  (1998) »PubMed
4. Homma,A.et al.,  Dement.Geriatr.Cogn.Disord.,  11,  299,  (2000) »PubMed
5. Homma,A.et al.,  Dement.Geriatr.Cogn.Disord.,  25,  399,  (2008) »PubMed
6. 社内資料:レビー小体型認知症を対象とした臨床第II相試験
7. Mori,E.et al.,  Ann.Neurol.,  72,  41,  (2012) »PubMed
8. Ikeda,M.et al.,  Alzheimers Res.Ther.,  7,  4,  (2015) »PubMed
9. 山西嘉晴ら,  薬理と治療,  26,  S-1277,  (1998)
10. 山西嘉晴ら,  薬理と治療,  26,  S-1283,  (1998)
11. 小笹貴史ら,  薬理と治療,  26,  S-1303,  (1998)
12. 小倉博雄ら,  薬理と治療,  26,  S-1313,  (1998)

作業情報


改訂履歴

2014年9月 改訂
2017年5月 第28版 改訂

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[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2019/1/23 版