医療用医薬品 : インクレミン

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医薬品情報


総称名 インクレミン
一般名 溶性ピロリン酸第二鉄
欧文一般名 Ferric Pyrophosphate,Soluble
製剤名 溶性ピロリン酸第二鉄シロップ
薬効分類名 鉄欠乏性貧血治療剤
薬効分類番号 3222
KEGG DRUG
D04946 溶性ピロリン酸第二鉄
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年7月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
インクレミンシロップ5% (後発品) INCREMIN Syrup 5% アルフレッサファーマ 3222012Q1030 6.4円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
鉄欠乏状態にない患者[鉄過剰症を起こすおそれがある。]

4. 効能または効果

鉄欠乏性貧血

6. 用法及び用量

通常次の量を1日量とし、3〜4回に分けて経口投与する。
年齢シロップとして(mL)
1歳未満2〜4
1〜5歳3〜10
6〜15歳10〜15
なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 1日量は以下のとおりである。
年齢溶性ピロリン酸第二鉄として(mg)鉄として(mg)
1歳未満100〜20012〜24
1〜5歳150〜50018〜60
6〜15歳500〜75060〜90
7.2 下痢、吐乳等を起こしやすい低出生体重児、新生児又は乳児に投与する場合、初め少量から開始し、身体の様子を見ながら徐々に通常1日量まで増量すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 消化性潰瘍、慢性潰瘍性大腸炎、限局性腸炎等の胃腸疾患のある患者
症状を増悪させるおそれがある。
9.1.2 発作性夜間血色素尿症の患者
溶血を誘発することがある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
テトラサイクリン系抗生物質
テトラサイクリン
ミノサイクリン等
相互に吸収を阻害し、効果が減弱するおそれがある。
両剤の服用間隔を2〜4時間とすること。
本剤とテトラサイクリン系抗生物質が消化管内で難溶性のキレートを形成して、両剤の吸収を阻害し、血中濃度が低下する。
制酸剤本剤の吸収が阻害され、効果が減弱するおそれがあるので、投与間隔をあけること。消化管pH上昇により、鉄の溶解性が減少する。また、難溶性塩を形成し、鉄の消化管吸収が阻害されると考えられる。
セフジニル
ニューキノロン系抗菌剤
オフロキサシン
シプロフロキサシン塩酸塩水和物
ノルフロキサシン等
これらの薬剤の吸収を阻害し、効果を減弱させるおそれがあるので、投与間隔をあけること。キレートを形成し、吸収を阻害すると考えられる。
甲状腺ホルモン製剤
レボチロキシンナトリウム
リオチロニンナトリウム等
甲状腺ホルモン製剤の吸収を阻害し、効果を減弱させるおそれがあるので、投与間隔をあけること。難溶性の複合体を形成し、吸収を阻害すると考えられる。
タンニン酸を含有する食品本剤の吸収が阻害され、効果が減弱するおそれがある。不溶性の塩を形成し、吸収が阻害されると考えられる。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
消化器悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢、便秘、胃部不快感
皮膚光線過敏症
過敏症発疹、蕁麻疹、そう痒

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

潜血反応で偽陽性となることがある。

13. 過量投与

13.1 症状
主な症状は胃粘膜刺激による悪心、嘔吐、腹痛、血性下痢、吐血等の消化器症状である。また、頻脈、血圧低下、チアノーゼ等がみられる。重症の場合は、昏睡、ショック、肝壊死、肝不全に至ることがある。
13.2 処置
服用初期には催吐、胃洗浄が有効である。その他に下剤、鉄排泄剤(デフェロキサミン)等の投与を行う。血圧低下や循環虚脱があらわれた場合には、昇圧剤、輸液等による対症療法を行う。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 本剤の投与により、一過性に歯又は舌が着色(黒色等)することがある。
15.1.2 本剤の投与により、一過性に便が黒色を呈することがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物実験において、鉄剤と大量のアロプリノールとの併用で、肝の鉄貯蔵量が増加したとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
本剤の2mL/kg(鉄として12mg/kg)をビーグル犬に、単回経口投与したときの外因性の血清鉄の平均血清中濃度は、投与2時間後に平均最高血清中濃度211.5μg/dLを示し、以後下図のような推移を示した。
図 インクレミンシロップ単回経口投与後の血清鉄濃度(ビーグル犬)
Cmax(μg/dL)AUC(μg・hr/dL)T1/2(hr)
217.6±10.32031±1396.5±1.1

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
鉄欠乏性貧血患者を対象に国内7施設で総計149例について実施された臨床試験において有効率は77.9%(116/149)であり、副作用及び臨床検査値の異常は認められなかった1)2)3)4)5)6)7)
なお、年齢別有効率は下記のとおりである。
1歳未満 74.4%(61/82)
1〜5歳 82.4%(42/51)
6〜15歳 81.3%(13/16)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
赤血球造血での構成要素として使用され、鉄欠乏性貧血の症状を改善する。
18.2 造血作用
瀉血により貧血状態にしたラットに、ピロリン酸第二鉄を混餌投与した実験では、対照群に比し血色素量、組織鉄の増加が認められた8)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. 溶性ピロリン酸第二鉄

一般的名称 溶性ピロリン酸第二鉄
一般的名称(欧名) Ferric Pyrophosphate,Soluble
分子式 Fe4(P2O73・4Na3C6H5O7
分子量 1777.49
物理化学的性状 淡緑色透明な薄片又は顆粒状の砕片で、光により変化する。
水溶液(1→10)は弱酸性である。
水に溶けやすく、エタノールにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D04946

20. 取扱い上の注意

20.1 0℃を下回る場合、D-ソルビトールの結晶が析出することがある。
20.2 光により変色することがあるので、他の容器に分割して使用する場合には遮光して保存すること。

22. 包装

250mL[ガラス瓶(褐色)]

23. 主要文献

  1. 西村こう三 他, 薬理と治療, 10 (11), 6583-6591, (1982)
  2. 竹下茂夫, 薬理と治療, 10 (8), 4995-5001, (1982)
  3. 岡本健治 他, 薬理と治療, 10 (8), 4987-4993, (1982)
  4. 西田五郎, 薬理と治療, 10 (10), 6065-6069, (1982)
  5. 能勢 修, 薬理と治療, 10 (10), 6055-6063, (1982)
  6. 山田忠正 他, 基礎と臨床, 16 (12), 6935-6940, (1982)
  7. 木下敏子 他, 佼成医誌, 7 (1), 64-68, (1982)
  8. 滝野義忠 他, 日本血液学会雑誌, 20 (6), 455-464, (1957)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
アルフレッサファーマ株式会社 製品情報部
〒540-8575 大阪市中央区石町二丁目2番9号
電話:06-6941-0306
FAX:06-6943-8212
製品情報問い合わせ先
アルフレッサファーマ株式会社 製品情報部
〒540-8575 大阪市中央区石町二丁目2番9号
電話:06-6941-0306
FAX:06-6943-8212

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
アルフレッサファーマ株式会社
大阪市中央区石町二丁目2番9号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/12/17 版