医療用医薬品 : メチルエルゴメトリンマレイン酸塩

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医薬品情報


総称名 メチルエルゴメトリンマレイン酸塩
一般名 メチルエルゴメトリンマレイン酸塩
欧文一般名 Methylergometrine Maleate
薬効分類名 子宮収縮止血剤
薬効分類番号 2531
ATCコード G02AB01
KEGG DRUG
D00680 メチルエルゴメトリンマレイン酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年3月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
メチルエルゴメトリンマレイン酸塩錠0.125mg「F」 富士製薬工業 2531002F1222 10.1円/錠 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
2.2 児頭娩出前[子宮破裂、胎児死亡のおそれがある。]
2.3 本剤又は麦角アルカロイドに対し過敏症の既往歴のある患者
2.4 重篤な虚血性心疾患又はその既往歴のある患者[冠動脈の攣縮により、狭心症、心筋梗塞が誘発されることがある。][11.1.2参照]
2.5 敗血症の患者[血管収縮に対する感受性が増大し、症状が悪化するおそれがある。]
2.6 HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル含有製剤、アタザナビル、ホスアンプレナビル、ダルナビル含有製剤)、エファビレンツ、アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール)、コビシスタット含有製剤、ニルマトレルビル・リトナビル、レテルモビル、エンシトレルビル、レナカパビル、5-HT1B/1D受容体作動薬(スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン)、エルゴタミン・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリンを投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

子宮収縮の促進ならびに子宮出血の予防及び治療の目的で次の場合に使用する。
胎盤娩出後、子宮復古不全、流産、人工妊娠中絶

6. 用法及び用量

メチルエルゴメトリンマレイン酸塩として、通常、成人1回0.125〜0.25mgを1日2〜4回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高血圧症、妊娠高血圧症候群又は子癇の患者、心疾患又は閉塞性血管障害のある患者
血管収縮作用により、これらの症状が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎疾患のある患者
本剤の代謝・排泄が遅延するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝疾患のある患者
本剤の代謝・排泄が遅延するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。子宮収縮作用により、子宮内の胎児への悪影響、流産のおそれがある。[2.1参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は主にCYP3A4で代謝される。
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
10.1 併用禁忌
HIVプロテアーゼ阻害剤
リトナビル含有製剤(ノービア、カレトラ)
アタザナビル(レイアタッツ)
ホスアンプレナビル(レクシヴァ)
ダルナビル含有製剤(プリジスタ、プリジスタナイーブ、プレジコビックス、シムツーザ)
エファビレンツ(ストックリン)
アゾール系抗真菌薬
イトラコナゾール(イトリゾール)
ボリコナゾール(ブイフェンド)
ポサコナゾール(ノクサフィル)
コビシスタット含有製剤(ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)
ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッド)
レテルモビル(プレバイミス)
エンシトレルビル(ゾコーバ)
レナカパビル(シュンレンカ)
2.6参照]
本剤の血中濃度が上昇し、血管攣縮等の重篤な副作用を起こすおそれがある。これらの薬剤がCYP3A4を阻害することにより、本剤の代謝が阻害されるおそれがある。
5-HT1B/1D受容体作動薬
スマトリプタン(イミグラン)
ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)
エレトリプタン(レルパックス)
リザトリプタン(マクサルト)
ナラトリプタン(アマージ)
エルゴタミン・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン)
2.6参照]
血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがある。なお、5-HT1B/1D受容体作動薬と本剤を前後して投与する場合は24時間以上の間隔をあけて投与すること。これらの薬剤との薬理的相加作用により、相互に作用(血管収縮作用)を増強させる。
10.2 併用注意
ブロモクリプチン血圧上昇、頭痛、痙攣等があらわれるおそれがある。機序は明確ではないが、相互に血管収縮作用、血圧上昇作用を増強すると考えられる。
マクロライド系抗生物質
エリスロマイシン
クラリスロマイシン
シメチジン
スチリペントール
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇し、血管攣縮等の重篤な副作用を起こすおそれがある。これらの薬剤がCYP3A4を阻害することにより、本剤の代謝が阻害されるおそれがある。
ネビラピン
リファンピシン
本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。これらの薬剤はCYP3A4を誘導することから本剤の代謝が促進されると考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 アナフィラキシー(頻度不明)
11.1.2 心筋梗塞、狭心症、冠動脈攣縮、房室ブロック(いずれも頻度不明)[2.4参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹等
循環器動悸、頻脈、徐脈、胸痛、胸部圧迫感、血圧上昇、血圧低下等
血管系静脈血栓、末梢循環障害、血管痙攣
精神神経系頭痛、めまい、眠気、痙攣、耳鳴、幻覚、興奮、口渇、錯感覚等
消化器悪心、嘔吐、下痢、腹痛等
筋・骨格系筋痙攣
その他胎盤嵌頓、多汗

13. 過量投与

13.1 症状
悪心、嘔吐、腹痛、しびれ感、手足の刺痛感、血圧上昇、血圧低下、呼吸抑制、低体温、痙攣、昏睡等を生じることがある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
子宮平滑筋に選択的に作用して子宮を持続的に収縮させ、子宮血管を圧迫して止血効果を発現する。1)2)3)
18.2 子宮収縮作用
メチルエルゴメトリンマレイン酸塩は、バッカクアルカロイドをメチル化した合成化合物であるが、エルゴメトリンと比べて、子宮収縮作用の強さと持続性が上昇している。臨床的には子宮収縮薬として使用される。4)妊娠子宮に対してのみ収縮作用を示し、非妊娠子宮には殆んど作用しない。5)6)血圧上昇作用はエルゴメトリン、エルゴタミンより弱い。1)2)7)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. メチルエルゴメトリンマレイン酸塩

一般的名称 メチルエルゴメトリンマレイン酸塩
一般的名称(欧名) Methylergometrine Maleate
化学名 (8R)-N-[(1S)-1-(Hydroxymethyl)propyl]-6-methyl-9,10-didehydroergoline-8-carboxamide monomaleate
分子式 C20H25N3O2・C4H4O4
分子量 455.50
融点 約190℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶性の粉末で、においはない。
水、メタノール又はエタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
光によって徐々に黄色となる。
KEGG DRUG D00680

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. Osol A,et al., The United States Dispensatory 27th ed., 745-746, (1973), (J.B.Lippincott,Philadelphia.)
  2. 田中 潔, 現代の薬理学, 394-399, (1984), (金原出版)
  3. Goth A., Medical Pharmacology 5th., 462-464, (1971), (丸善)
  4. 第十七改正日本薬局方解説書, C-5397-5400, (2016), (廣川書店)
  5. Sandberg F,et al., J Obstet Gynaecol Br Emp., 66 (3), 417-423, (1959)
  6. Rothlin E,et al., Helv Physiol Pharmacol Acta., 12 (3), 191-205, (1954) »PubMed
  7. Landersman R.and Mendelsohn B., Am J Obstet Gynecol., 72 (1), 84-92, (1956)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
富士製薬工業株式会社 くすり相談室
〒939-3515 富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
電話:0120-956-792
FAX:076-478-0336
製品情報問い合わせ先
富士製薬工業株式会社 くすり相談室
〒939-3515 富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
電話:0120-956-792
FAX:076-478-0336

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
富士製薬工業株式会社
富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版