医療用医薬品 : ブリカニール

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医薬品情報


総称名 ブリカニール
一般名 テルブタリン硫酸塩
欧文一般名 Terbutaline Sulfate
製剤名 テルブタリン硫酸塩シロップ
薬効分類名 気管支拡張剤
薬効分類番号 2252
ATCコード R03AC03 R03CC03
KEGG DRUG
D00688 テルブタリン硫酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年7月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ブリカニールシロップ0.5mg/mL Bricanyl Syrup 0.5mg/mL アストラゼネカ 2252003Q1035 6.9円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

下記疾患の気道閉塞性障害にもとづく呼吸困難などの諸症状の緩解
気管支喘息、急性気管支炎、喘息様気管支炎

6. 用法及び用量

通常幼小児に対して、1日量として0.45mL/kg(テルブタリン硫酸塩として0.225mg/kg)を3回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
年齢別用量の目安は1日量として次の通りである。
0.5歳〜1歳未満3〜4mL(1.5〜2mg)
1歳〜3歳未満4〜6mL(2〜3mg)
3歳〜5歳未満6〜8mL(3〜4mg)
5歳〜7歳未満8〜10mL(4〜5mg)

8. 重要な基本的注意

8.1 用法・用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合は、本剤が適当でないと考えられるので投与を中止すること。なお、小児に投与する場合には、使用法を正しく指導し、経過の観察を十分に行うこと。
8.2 過度に使用を続けた場合、不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあるので、使用が過度にならないように注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 甲状腺機能亢進症の患者
動悸、頻脈を助長させるおそれがある。
9.1.2 高血圧のある患者
血圧を上昇させるおそれがある。
9.1.3 心疾患のある患者
症状を悪化させるおそれがある。
9.1.4 糖尿病の患者
血糖値を上昇させるおそれがある。
9.1.5 低酸素血症の患者
血清カリウム値をモニターすることが望ましい。低酸素血症では血清カリウム値の低下により心リズムに及ぼす作用が増強されることがある。[11.1.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。なお、妊娠3ヵ月以内には投与しないことが望ましい。[15.1.1参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。海外で実施された臨床薬理試験において、喘息をもつ授乳婦2例にテルブタリン硫酸塩2.5mgを1日3回経口投与したとき、投与後8時間までの母乳中テルブタリン濃度は平均3.5ng/mLであったとの報告がある1)
9.7 小児等
低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
カテコールアミン製剤
アドレナリン、
イソプロテレノール等
不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがある。併用によりアドレナリン作動性神経刺激の増大が起きる。
キサンチン誘導体
テオフィリン、
アミノフィリン水和物、
ジプロフィリン等
11.1.2参照]
低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。
血清カリウム値のモニターを行う。
キサンチン誘導体との併用によりc-AMP量が増加し、血清カリウム値の低下を増強することがある。
ステロイド剤
ベタメタゾン、
プレドニゾロン、
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム等
カリウム排泄型利尿剤
フロセミド、
トリクロルメチアジド、
ヒドロクロロチアジド等
11.1.2参照]
低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。
血清カリウム値のモニターを行う。
ステロイド剤及びカリウム排泄型利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下を増強することが考えられる。
β遮断剤(β1選択性)注)
アテノロール、
塩酸セリプロロール、
ビソプロロールフマル酸塩等
本剤の作用を減弱させるおそれがある。β遮断剤は、β2刺激剤である本剤の作用と拮抗することがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 アナフィラキシー(頻度不明)
アナフィラキシー(呼吸困難、血管浮腫、蕁麻疹等)があらわれることがある。
11.1.2 重篤な血清カリウム値の低下(頻度不明)
キサンチン誘導体、ステロイド剤及び利尿剤の併用により増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意すること。[9.1.510.2参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹
循環器動悸、頻脈、血圧変動、胸部圧迫感、不整脈
精神神経系手指の振戦・こわばり・しびれ感、頭痛、めまい・ふらつき、痙直、不眠、傾眠、激越、運動過多、情緒不安
消化器悪心・嘔吐、食欲不振

13. 過量投与

13.1 徴候・症状
頭痛、不安感、振戦、強直性筋痙直、心悸亢進、不整脈、血圧低下、高血糖、乳酸アシドーシス、低カリウム血症があらわれることがある。
13.2 処置
治療剤として心選択性β遮断剤があるが、気管支痙攣誘発の可能性があるため慎重に投与すること。血圧低下に対しては血漿増量剤を投与する。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時及び投与時の注意
14.1.1 ステンレス、アルミ以外の金属(鉄、銅等)に接触すると変色するおそれがあるので注意すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 適応外であるが、海外において切迫早産の治療に使用した際に、母体において重篤な循環器系の副作用や死亡が認められたとの報告がある。[9.5参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 SD系ラットに50mg/kg以上の量を2年間経口投与した試験で、卵巣間膜過形成、卵巣嚢胞が、また、用量依存的に卵巣間膜平滑筋腫が発現した2)。この腫瘍はラットに特異的なものであると考えられており、また、各種β刺激剤を長期間反復投与することにより発現することが報告されている。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
小児喘息患者12例(平均体重26.5kg)に本剤4mL(テルブタリン硫酸塩として2mg)を単回経口投与した場合、血清中テルブタリン(未変化体)及び総テルブタリン(未変化体+抱合体)のTmax、Cmax及びAUCは下表のとおりであった3)
小児2mg経口未変化体総テルブタリン
Tmax2.7時間3時間
Cmax3.1ng/mL20.4ng/mL
AUC0〜8hr14.6ng・hr/mL100.4ng・hr/mL
16.5 排泄
小児喘息患者7例に本剤4mL(テルブタリン硫酸塩として2mg)を単回経口投与した場合、投与後24時間までの累積尿中排泄率は、未変化体では5.8%、総テルブタリンでは31.7%であった3)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 一般臨床試験4)5)6)7)8)
気管支喘息、気管支炎及び喘息様気管支炎患児248例を対象として、1回標準投与量0.075mg/kg 1日3回を2〜35日間投与した一般臨床試験5試験で得られた改善率及び副作用は次のとおりであった。一般臨床試験5試験において、248例中1例(0.4%)に1件の副作用が報告された。報告された副作用は腹痛であった。
試験番号疾患名有効以上/効果判定例数
有効率(%)
副作用
一般臨床試験(1)4)気管支喘息10/20(50.0)なし
気管支炎13/20(65.0)
喘息様気管支炎13/20(65.0)
一般臨床試験(2)5)気管支喘息9/11(81.8)なし
気管支炎1/4(25.0)
喘息様気管支炎8/9(88.9)
一般臨床試験(3)6)気管支喘息13/21(61.9)なし
気管支炎9/12(75.0)
喘息様気管支炎1/1(100.0)
一般臨床試験(4)7)気管支喘息25/32(78.1)腹痛1例
(1.2%)
気管支炎29/35(82.9)
喘息様気管支炎10/16(62.5)
一般臨床試験(5)8)気管支喘息13/21(61.9)なし
気管支炎12/16(75.0)
喘息様気管支炎8/10(80.0)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
テルブタリン硫酸塩はアドレナリン作動性β受容体刺激剤であり、気管支拡張作用を示す9)10)
18.2 気管支平滑筋及び心筋に対する作用
テルブタリン硫酸塩はモルモット、イヌあるいはそれらの摘出器官を用いた実験でβ刺激作用、すなわち気管支平滑筋に対して弛緩作用、心筋に対して収縮力増強作用を示す9)10)11)。その作用は気管支平滑筋に対する方が強く、心筋に影響を与えない量で気管支平滑筋の弛緩が認められる10)11)
18.3 ヒスタミンによる気道抵抗増大に対する抑制作用とその持続時間
モルモット、ネコあるいはイヌにヒスタミンを静注して生じる気道抵抗の増大に対して、テルブタリン硫酸塩は、抑制作用を示す9)10)。同等の作用を示す投与量でのテルブタリン硫酸塩の作用持続時間は、イソプロテレノールやオルシプレナリンより長い9)
18.4 アナフィラキシー性気道抵抗増大に対する抑制作用
テルブタリン硫酸塩は、感作ラットに抗原を静注して生じるアナフィラキシー性気道抵抗の増大に対しても抑制作用を示し、その効力は、イソプロテレノールとほぼ同等である9)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. テルブタリン硫酸塩

一般的名称 テルブタリン硫酸塩
一般的名称(欧名) Terbutaline Sulfate
化学名 5-[(1RS)-2-(1,1-Dimethylethylamino)-1-hydroxyethyl]benzene-1,3-diol hemisulfate
分子式 (C12H19NO32・H2SO4
分子量 548.65
融点 約255℃(分解)
物理化学的性状 テルブタリン硫酸塩は白色〜帯褐白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに酢酸臭がある。水に溶けやすく、アセトニトリル、エタノール(95)、酢酸(100)、クロロホルム又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。光又は空気によって徐々に着色する。
KEGG DRUG D00688

22. 包装

500mL[1瓶]

23. 主要文献

  1. Boreus LO,et al., Br J Clin Pharmacol., 13 (5), 731, (1982) »PubMed
  2. 社内資料:テルブタリンのがん原性の検討, (1983)
  3. 佐々木聖 他, 基礎と臨床, 17 (11), 3713-3718, (1983)
  4. 古川漸 他, 小児科臨床, 36 (12), 2908-2916, (1983)
  5. 我妻義則, 基礎と臨床, 17 (11), 3705-3712, (1983)
  6. 佐々木聖 他, 小児科診療, 47 (1), 119-124, (1984)
  7. 吉田政己 他, 小児内科, 15 (12), 1817-1823, (1983)
  8. 押田喜博 他, 基礎と臨床, 17 (12), 4171-4177, (1983)
  9. 内田精一 他, 基礎と臨床, 6 (4), 770-777, (1972)
  10. Persson H,et al., Acta Med Scand Suppl., 512, 11-19, (1970) »PubMed
  11. Persson H,et al., Acta Med Scand Suppl., 512, 21-24, (1970) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
アストラゼネカ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒530-0011 大阪市北区大深町3番1号
電話:0120-189-115
URL:https://www.astrazeneca.co.jp
製品情報問い合わせ先
アストラゼネカ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒530-0011 大阪市北区大深町3番1号
電話:0120-189-115
URL:https://www.astrazeneca.co.jp

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
アストラゼネカ株式会社
大阪市北区大深町3番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版