2.1 有効な抗菌剤の存在しない感染症・全身の真菌症の患者[症状を増悪するおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
通常、各鼻腔内に1日2回(1回噴霧あたりベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして25μg)、朝、夜(起床時、就寝時)に噴霧吸入する。
なお、症状により適宜増減する。
8.1 本剤の投与期間中に鼻症状の悪化がみられた場合には、抗ヒスタミン剤あるいは、全身性ステロイド剤を短期間併用し、症状の軽減にあわせて併用薬剤を徐々に減量すること。
8.2 本剤には持続効果が認められるので、特に通年性の患者において長期に使用する場合は、症状の改善状態が持続するようであれば、本剤の減量又は休薬につとめること。
8.3 全身性ステロイド剤の減量は本剤の吸入開始後症状の安定をみて徐々に行う。減量にあたっては一般のステロイド剤の減量法に準ずる。
8.4 全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って、気管支喘息、ときに湿疹、蕁麻疹、眩暈、動悸、倦怠感、顔のほてり、結膜炎等の症状が発現・増悪することがある。このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 結核性疾患又は感染症(有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症を除く)の患者
9.1.2 反復性鼻出血の患者
9.1.3 高血圧の患者
9.1.4 糖尿病の患者
9.1.5 重症な肥厚性鼻炎や鼻茸の患者
本剤の鼻腔内での作用を確実にするため、これらの症状がある程度減少するよう他の療法を併用するとよい。
9.1.6 長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている患者
全身性ステロイド剤の減量中並びに離脱後も副腎皮質機能検査を行い、外傷、手術、重症感染症等の侵襲には十分に注意を払うこと。また必要があれば一時的に全身性ステロイド剤の増量を行うこと。これらの患者では副腎皮質機能不全となっていることが考えられる。
9.1.7 喘息発作重積状態又は喘息の急激な悪化状態の患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で催奇形作用が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 本剤はステロイド剤であることを考慮し、非ステロイド系薬剤によって諸症状の緩解が得られない場合に使用すること。
9.7.2 使用に当たっては、使用法を正しく指導し、経過の観察を十分行うこと。長期、大量使用により発育障害をきたすおそれがある。
9.7.3 低出生体重児、新生児、乳児又は5才以下の幼児に対しては、器具の操作あるいは吸入が困難なため、臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら投与期間に注意するなど慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 眼圧亢進、緑内障(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 頻度不明 |
過敏症 | | 蕁麻疹等の発疹、紅斑、そう痒、浮腫等 |
鼻腔 | 鼻内刺激感、鼻内異物感、鼻閉感、嗅覚異常 | 感染注) |
精神神経系 | 頭痛・頭重、耳閉感 | |
口腔並びに呼吸器 | 咽頭乾燥感 | |
内分泌 | 血清コルチゾール値上昇 | |
その他 | | 鼻中隔穿孔 |
13.1 症状
下垂体・副腎皮質系機能抑制があらわれることがある。この抑制が長期にわたった場合、副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがある。
13.2 処置
全身性ステロイド療法を中止する手順で本剤を徐々に減量すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
レセルピン系製剤、α-メチルドパ製剤等の降圧剤には、副作用として鼻閉がみられることがある。このような降圧剤服用中のアレルギー性鼻炎又は血管運動性鼻炎の患者に、本剤を投与すると、鼻閉症状に対する本剤の効果が隠蔽されるおそれがあるので、臨床的観察を十分に行いながら投与すること。
18.1 作用機序
本剤は、鼻粘膜に付着滞留し、主薬ベクロメタゾンプロピオン酸エステルにより抗炎症作用及び誘発反応防御作用を示す。
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18.2 抗炎症作用
ベクロメタゾンプロピオン酸エステルは、ヒト皮膚における血管収縮試験においてトリアムシノロンアセトニドの5倍、デキサメタゾンの約600倍の局所抗炎症作用を示した。
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18.3 誘発反応防御作用
通年性鼻アレルギー成人患者を対象としたハウスダスト抗原による定量的鼻粘膜誘発試験を行い、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル3μg/日、25μg/日、50μg/日及び100μg/日の1週間連続投与における鼻呼吸抵抗の変化を検討したところ、主薬ベクロメタゾンプロピオン酸エステルの投与量が増えるほど、抗原に対する鼻粘膜の感受性及び反応性が共に低下し、鼻粘膜誘発による鼻呼吸抵抗を防御的に抑制した。また、この抑制効果は臨床症状である鼻症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)の改善効果と一致した。
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18.4 薬力学的試験
18.4.1 抗原誘発鼻粘膜血管透過性に対する抗アレルギー作用
ラットIgE関与鼻粘膜血管透過性亢進モデル(1群10匹)におけるベクロメタゾン鼻用パウダー25μg「トーワ」及びリノコートパウダースプレー鼻用25μg(50μg/body)の抗原−抗体反応による鼻粘膜血管透過性を比較検討した。
その結果、いずれも鼻粘膜血管透過性の抑制作用を示し、両剤の効果は生物学的に同等と判断された。
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18.4.2 抗原誘発鼻腔抵抗上昇に対する抗アレルギー作用
モルモットIgG
1関与鼻腔抵抗上昇モデル(1群10匹)におけるベクロメタゾン鼻用パウダー25μg「トーワ」及びリノコートパウダースプレー鼻用25μg(50μg/body)の抗原−抗体反応による鼻腔抵抗上昇率を比較検討した。
その結果、いずれも鼻腔抵抗上昇の抑制作用を示し、両剤の効果は生物学的に同等と判断された。
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