医療用医薬品 : フロリード

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医薬品情報


総称名 フロリード
一般名 ミコナゾール
欧文一般名 Miconazole
製剤名 ミコナゾール
薬効分類名 口腔・食道カンジダ症治療剤
薬効分類番号 6290
ATCコード A01AB09 A07AC01 D01AC02 G01AF04 J02AB01
KEGG DRUG
D00416 ミコナゾール
KEGG DGROUP
DG00004 ミコナゾール
DG01883 イミダゾール系抗真菌薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2021年6月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
フロリードゲル経口用2% FLORID Oral Gel 2% 持田製薬 6290003X1039 98.2円/g 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 ワルファリンカリウム、ピモジド、キニジン硫酸塩水和物、トリアゾラム、シンバスタチン、アゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン、ニソルジピン、ブロナンセリン、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、リバーロキサバン、アスナプレビル、ロミタピドメシル酸塩、ルラシドン塩酸塩を投与中の患者[10.1参照]
2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

カンジダ属による下記感染症

6. 用法及び用量

<口腔カンジダ症>
通常、成人にはミコナゾールとして1日200〜400mg(ミコナゾールゲル10〜20g)を4回(毎食後および就寝前)に分け、口腔内にまんべんなく塗布する。なお、病巣が広範囲に存在する場合には、口腔内にできるだけ長く含んだ後、嚥下する。
<食道カンジダ症>
通常、成人にはミコナゾールとして1日200〜400mg(ミコナゾールゲル10〜20g)を4回(毎食後および就寝前)に分け、口腔内に含んだ後、少量ずつ嚥下する。

7. 用法及び用量に関連する注意

本剤の投与期間は原則として14日間とする。なお、本剤を7日間投与しても症状の改善がみられない場合には本剤の投与を中止し、他の適切な療法に切り替えること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 誤嚥を起こすおそれのある患者(嚥下障害、喘息患者等)
投与する際には注意すること。誤嚥により、呼吸困難、嚥下性肺炎等を引き起こすおそれがある。[9.7.19.8.1参照]
9.1.2 経口血糖降下剤(グリベンクラミド、グリクラジド、アセトヘキサミド等)を投与中の患者
血糖値その他患者の状態を十分観察しながら慎重に投与すること。低血糖症状をきたした症例が報告されている。[10.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。静脈投与による動物実験(ウサギ)において、流産動物数の増加及び死亡・吸収胚数の増加傾向が認められている。[2.3参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
9.7.1 誤嚥により、呼吸困難、嚥下性肺炎等を引き起こすおそれがある。外国において、6ヵ月未満の乳児で誤嚥により窒息を起こした症例が報告されている。[9.1.1参照]
9.7.2 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
9.8.1 誤嚥により、呼吸困難、嚥下性肺炎等を引き起こすおそれがある。高齢者において誤嚥により窒息を起こした症例が報告されている。[9.1.1参照]
9.8.2 減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤はCYP3A及びCYP2C9と親和性を有するため、これらで代謝される薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
薬物代謝酵素用語
CYP3A
薬物代謝酵素用語
CYP2C9
10.1 併用禁忌
ワルファリンカリウム
ワーファリン
2.2参照]
ワルファリンの作用が増強し、重篤な出血あるいは著しいINR上昇があらわれることがある。また、併用中止後も、ワルファリンの作用が遷延し重篤な出血を来したとの報告もある。患者がワルファリンの治療を必要とする場合は、ワルファリンの治療を優先し、本剤を投与しないこと。ミコナゾールがワルファリンの代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
ピモジド
オーラップ
2.2参照]
ピモジドによるQT延長、心室性不整脈(torsades de pointesを含む)等の重篤な心臓血管系の副作用があらわれるおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
キニジン硫酸塩水和物
キニジン硫酸塩
2.2参照]
キニジンによるQT延長等があらわれるおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
トリアゾラム
ハルシオン
2.2参照]
トリアゾラムの作用の増強及び作用時間の延長があらわれるおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
シンバスタチン
リポバス
2.2参照]
シンバスタチンによる横紋筋融解症があらわれるおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
アゼルニジピン
カルブロック
オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン
レザルタス配合錠
ニソルジピン
ブロナンセリン
ロナセン
2.2参照]
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン
クリアミン配合錠
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
2.2参照]
これらの薬剤の血中濃度が上昇し、血管攣縮等の重篤な副作用があらわれるおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
リバーロキサバン
イグザレルト
2.2参照]
リバーロキサバンの血中濃度が上昇し、抗凝固作用が増強されることにより、出血の危険性が増大するおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
アスナプレビル
スンベプラ
2.2参照]
アスナプレビルの血中濃度が上昇し、肝胆道系の副作用が発現又は重症化するおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
ロミタピドメシル酸塩
ジャクスタピッド
2.2参照]
ロミタピドメシル酸塩の血中濃度が著しく上昇するおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
ルラシドン塩酸塩
ラツーダ
2.2参照]
ルラシドン塩酸塩の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
10.2 併用注意
経口血糖降下剤
グリベンクラミド
グリクラジド
アセトヘキサミド 等
9.1.2参照]
これらの薬剤の作用を増強することがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
フェニトイン
カルバマゼピン
これらの薬剤の作用を増強することがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
ドセタキセル
パクリタキセル
イリノテカン塩酸塩水和物
これらの薬剤による骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
シクロスポリンシクロスポリンの血中濃度が上昇することがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
タクロリムス水和物
アトルバスタチン
ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤
ビンクリスチン硫酸塩
ビノレルビン酒石酸塩
ビンブラスチン硫酸塩 等
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤
ニフェジピン
アムロジピンベシル酸塩
シルニジピン 等
ベラパミル塩酸塩
シルデナフィルクエン酸塩
アルプラゾラム
ミダゾラム
ブロチゾラム
メチルプレドニゾロン
セレギリン塩酸塩
エバスチン
イマチニブメシル酸塩
ジソピラミド
シロスタゾール
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。ミコナゾールがこれらの薬剤の代謝酵素であるCYPを阻害することによると考えられる。
HIVプロテアーゼ阻害剤
リトナビル
ロピナビル・リトナビル
ダルナビル エタノール付加物 等
ミコナゾール又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。ミコナゾールとこれらの薬剤との、代謝における競合的阻害作用によると考えられる。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹等  
消化器嘔気・嘔吐、食欲不振下痢、口渇等腹鳴
肝臓AST・ALTの上昇等  
その他口腔内疼痛、味覚異常、口腔内異常感、口唇腫脹黒毛舌 

13. 過量投与

13.1 症状
主な症状は嘔吐、下痢である。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 眼科用として、角膜、結膜には投与しないこと。
14.1.2 義歯装着患者では十分な効果が得られにくい場合があるので、よく義歯を洗浄し、義歯にも塗布させること。
14.2 薬剤投与後の注意
本剤投与後は含嗽、食物摂取を控えさせること。

16. 薬物動態

16.3 分布
16.3.1 口腔内残存濃度
健康成人男性20例に本剤5g(ミコナゾールとして100mg)を舌上に塗布し、2時間後、4時間後及び6時間後の舌上付着液中のミコナゾール濃度を測定したところ、それぞれ、平均1,342.2μg/mL、326.2μg/mL及び149.0μg/mLであった1)
16.4 代謝
雄ラットに14C-ミコナゾールを10mg/kg経口投与したところ、投与2時間以降の血漿中放射能濃度の推移は、同用量を雄ラットに静注したときのそれとほぼ一致していた2)が、血漿中未変化体濃度は経口投与1時間後において静注時の1/16以下であった3)ことから、ミコナゾールは肝における初回通過効果による代謝を受けやすいことが示唆された。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<口腔カンジダ症>
17.1.1 国内第II相試験及び一般臨床試験
口腔カンジダ症患者143例を対象に、本剤1回5gを1日4回(毎食後及び就寝前)、原則10〜14日間、口腔内に塗布する臨床試験を実施した。有効性評価対象例122例において、本剤の真菌学的効果及び臨床効果を検討したところ、次のような成績が得られている4)5)6)7)8)9)
疾患名真菌学的効果
<真菌消失率>
臨床効果
<有効率>
口腔カンジダ症80.2%(89/111例)84.4%(103/122例)
<食道カンジダ症>
17.1.2 国内第II相試験及び一般臨床試験
食道カンジダ症患者18例を対象に、本剤1回5gを1日4回(毎食後及び就寝前)、原則14日間経口投与する臨床試験を実施した。有効性評価対象例17例において、本剤の真菌学的効果及び臨床効果を検討したところ、次のような成績が得られている4)6)10)11)12)13)
疾患名真菌学的効果
<真菌消失率>
臨床効果
<有効率>
食道カンジダ症87.5%(14/16例)94.1%(16/17例)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ミコナゾールは低濃度では主として真菌の膜系(細胞膜及び細胞壁)に作用して、膜透過性の変化を起こし、高濃度では細胞の壊死性変化をもたらして殺菌的に作用するものと考えられている14)15)16)17)
18.2 カンジダに対する作用
18.2.1 最小発育阻止濃度
Candida属に対する最小発育阻止濃度(MIC)は下表のとおりであった18)in vitro)。
菌種MIC(μg/mL)
Candidaalbicans≦0.04〜20
glabrata≦0.04〜10
krusei0.16〜10
tropicalis2.5〜10
lusitaniae0.16〜2.5
lipolytica0.08〜0.16
guilliermondii2.5〜10
parapsilosis0.31
18.2.2 感染治療実験
ラット実験的口腔カンジダ症において、本剤塗布開始1週目から4週目の口腔内生菌数は対照群に比べ有意に減少した19)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ミコナゾール

一般的名称 ミコナゾール
一般的名称(欧名) Miconazole
化学名 1-[(2RS)-2-(2,4-Dichlorobenzyloxy)-2-(2,4-dichlorophenyl)ethyl]-1H-imidazole
分子式 C18H14Cl4N2O
分子量 416.13
融点 84〜87℃
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。メタノール、エタノール(95)又は酢酸(100)に溶けやすく、ジエチルエーテルにやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00416

20. 取扱い上の注意

高温を避けて保存すること。

22. 包装

チューブ
5g×10本、5g×30本

23. 主要文献

  1. 持田製薬社内資料:MJR-1762R 口腔内残存性比較試験
  2. 大澤伸雄 他, 医薬品研究, 24 (2), 151-172, (1993)
  3. 大澤伸雄 他, 医薬品研究, 24 (2), 173-182, (1993)
  4. 螺良英郎 他, Jpn.J.Antibiot., 44 (3), 324-336, (1991) »PubMed
  5. 螺良英郎 他, 医学のあゆみ, 157 (6), 385-395, (1991)
  6. 太田宗夫 他, 救急医学, 16 (1), 109-113, (1992)
  7. 冲津光久 他, 日本口腔科学会雑誌, 40 (3), 568-573, (1991) »DOI
  8. 王 伯銘 他, 新薬と臨牀, 40 (3), 532-533, (1991)
  9. 白戸りさ 他, 化学療法の領域, 7 (6), 1160-1164, (1991)
  10. 若杉英之 他, 臨牀と研究, 68 (4), 1185-1187, (1991)
  11. 柏原英彦 他, 新薬と臨牀, 40 (3), 534-538, (1991)
  12. 吉川敏一 他, 臨牀と研究, 68 (5), 1517-1519, (1991)
  13. 小山茂樹 他, 新薬と臨牀, 40 (3), 523-530, (1991)
  14. Van den Bossche,H., Biochem.Pharmacol., 23 (4), 887-899, (1974) »PubMed
  15. Sreedhara Swamy,K.H.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 5 (4), 420-425, (1974) »PubMed
  16. De Nollin,S.et al., Sabouraudia., 12 (3), 341-351, (1974) »PubMed
  17. De Nollin,S.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 7 (5), 704-711, (1975) »PubMed
  18. 内田勝久 他, Jpn.J.Antibiot., 44 (3), 357-364, (1991) »PubMed
  19. 山田秀彦 他, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 329-337, (1992) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
持田製薬株式会社 くすり相談窓口
〒160-8515 東京都新宿区四谷1丁目7番地
電話:03-5229-3906
0120-189-522
FAX:03-5229-3955
製品情報問い合わせ先
持田製薬株式会社 くすり相談窓口
〒160-8515 東京都新宿区四谷1丁目7番地
電話:03-5229-3906
0120-189-522
FAX:03-5229-3955

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
持田製薬株式会社
東京都新宿区四谷1丁目7番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/09/18 版