医療用医薬品 : ポピヨドン

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医薬品情報


総称名 ポピヨドン
一般名 ポビドンヨード
欧文一般名 Povidone-Iodine
製剤名 ポビドンヨードエタノール製剤
薬効分類名 外用殺菌消毒剤
薬効分類番号 2612
ATCコード D08AG02 D09AA09 D11AC06 G01AX11 R02AA15 S01AX18
KEGG DRUG
D00863 ポビドンヨード
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ポピヨドンフィールド10% (後発品) Popiyodon Field 10% 吉田製薬 2612701Q4063 1.86円/mL

4. 効能または効果

手術部位(手術野)の皮膚の消毒

6. 用法及び用量

本剤を塗布する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 本剤又はヨウ素に対し過敏症の既往歴のある患者
9.1.2 甲状腺機能に異常のある患者
血中ヨウ素の調節ができず甲状腺ホルモン関連物質に影響を与えるおそれがある。
9.7 小児等
ポビドンヨード製剤を新生児に使用し、一過性の甲状腺機能低下を起こしたとの報告がある1)

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(0.1%未満)
呼吸困難、不快感、浮腫、潮紅、蕁麻疹等があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%未満
過敏症発疹
皮膚接触皮膚炎、そう痒感、灼熱感、皮膚潰瘍、皮膚変色
甲状腺血中甲状腺ホルモン値(T3、T4値等)の上昇あるいは低下などの甲状腺機能異常

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

酸化反応を利用した潜血試験において、本剤が検体に混入すると偽陽性を示すことがある2)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
14.1.1 エタノールによる刺激作用を有するため、損傷・創傷皮膚及び粘膜には使用しないこと。
14.1.2 大量かつ長時間の接触によって接触皮膚炎、皮膚変色があらわれることがあるので、溶液の状態で長時間皮膚と接触させないこと3)。本剤が手術時に体の下にたまった状態や、ガーゼ・シーツ等にしみ込み湿った状態で、長時間皮膚と接触しないよう消毒後は拭き取るか乾燥させるなど注意すること。
14.1.3 眼に入らないように注意すること。入った場合には水でよく洗い流すこと。
14.1.4 石けん類は本剤の殺菌作用を弱めるので、石けん分を洗い落としてから使用すること。
14.1.5 電気的な絶縁性をもっているので、電気メスを使用する場合には、本剤が対極板と皮膚の間に入らないよう注意すること。
14.1.6 エタノールを含有しているので、電気メスを使用する場合には、本剤を乾燥させ、エタノール蒸気の拡散を確認してから使用すること。特にドレープ(覆い布)等の使用時には、本剤が液状として残ったり、ドレープ下に気化したエタノール蒸気が充満することで、引火しやすくなるおそれがある。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
水溶液中のポビドンヨード液はヨウ素を遊離し、その遊離ヨウ素(I2)が水を酸化してH2OIが生じる。H2OIは細菌及びウイルス表面の膜タンパク(−SHグループ、チロシン、ヒスチジン)と反応することにより、細菌及びウイルスを死滅させると推定される。
18.2 細菌等に対する効果( in vitro )
ポビドンヨード製剤(10%液剤)の臨床分離株に対する効果は次の通りであった4)5)6)7)
被験菌株数ポビドンヨード製剤(10%液剤)の希釈倍率(PVP-I濃度)作用時間減菌率
Staphylococcus aureus(MSSA)2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Staphylococcus aureus(MRSA)2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Escherichia coli1020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Pseudomonas aeruginosa2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Serratia marcescens2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Burkholderia cepacia1020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Klebsiella pneumoniae1020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Mycobacterium avium2100倍(0.1%)30秒99.9%以上
Mycobacterium kansasii3100倍(0.1%)30秒99.9%以上
Mycobacterium tuberculosis7100倍(0.1%)30秒99.99%以上
Bordetella pertussis1050倍(0.2%)15秒99.99%以上
18.3 ウイルスに対する効果( in vitro )
ポビドンヨード製剤(10%液剤)のウイルスに対する効果は次の通りであった8)9)10)11)12)13)
ウイルスポビドンヨード製剤(10%液剤)の希釈倍率(PVP-I濃度)作用時間ウイルス不活化率
単純ヘルペスウイルス10倍(1.0%)30秒99.99%以上
アデノウイルス10倍(1.0%)30秒99.9%以上
風疹ウイルス10倍(1.0%)60秒99.99%以上
麻疹ウイルス10倍(1.0%)60秒99.0%以上
ムンプスウイルス10倍(1.0%)60秒99.99%以上
インフルエンザウイルス10倍(1.0%)30秒99.99%以上
ロタウイルス(サル)10倍(1.0%)30秒99.9%以上
ポリオウイルス2倍(5.0%)30秒99.9%以上
HIV20倍(0.05%)30秒99.9%以上
サイトメガロウイルス10倍(1.0%)30秒99.9%以上
SARSウイルス10倍(1.0%)60秒99.99%以上
鳥インフルエンザウイルス(高病原性)5倍(2.0%)10秒99.99%以上
鳥インフルエンザウイルス(低病原性)5倍(2.0%)10秒99.99%以上
豚インフルエンザウイルス10倍(1.0%)10秒99.99%以上
カリシウイルス(ネコ、イヌ)40倍(0.25%)10秒99.9%以上
マウスノロウイルス50倍(0.2%)15秒99.99%以上
また、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルスに対しても効果が認められた14)15)
18.4 生物学的同等性
ポピヨドンフィールド10%とイソジンフィールド液10%を任意に希釈し菌液と接触させたとき、両剤の生存菌数の経時的変化には相関がみられ、生物学的同等性が認められた16)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ポビドンヨード

一般的名称 ポビドンヨード
一般的名称(欧名) Povidone-Iodine
化学名 Poly[1-(2-oxopyrrolidin-1-yl)ethylene]iodine
分子式 (C6H9NO)n・xI
物理化学的性状 暗赤褐色の粉末で、わずかに特異なにおいがある。
水又はエタノール(99.5)に溶けやすい。
1.0gを水100mLに溶かした液のpHは1.5〜3.5である。
KEGG DRUG D00863

20. 取扱い上の注意

直射日光を避けて保存すること。

22. 包装

250mL(ポリ容器)

23. 主要文献

  1. 竹内 敏ほか, 日本小児外科学会雑誌, 30 (4), 749-754, (1994) »DOI
  2. Bar-Or,D.,et al., Lancet., 2 (8246), 589, (1981) »PubMed
  3. Okano,M., J Am Acad Derm., 20 (5), 860, (1989)
  4. 国定孝夫ほか, 環境感染, 14 (2), 142-147, (1999) »DOI
  5. 国定孝夫ほか, 環境感染, 15 (2), 156-162, (2000) »DOI
  6. Rikimaru,T.,et al., Dermatology., 195 (Suppl.2), 104-106, (1997)
  7. Suzuki,T.,et al., J Infect Chemother., 18 (2), 272-275, (2012) »PubMed
  8. 川名林治ほか, 臨床とウイルス, 26 (5), 371-386, (1998)
  9. Kariwa,H.,et al., Dermatology., 212 (Suppl.1), 119-123, (2006) »PubMed
  10. Ito,H.,et al., Dermatology., 212 (Suppl.1), 115-118, (2006)
  11. 伊藤啓史ほか, 日本化学療法学会雑誌, 57 (6), 508-510, (2009)
  12. 遠矢幸伸ほか, 日本化学療法学会雑誌, 54 (3), 260-262, (2006) »DOI
  13. Matsuhira,T.,et al., Exp Anim., 61 (1), 35-40, (2012) »PubMed
  14. 栗村 敬ほか, Biomedica., 2 (12), 1223-1226, (1987)
  15. 野田伸司ほか, 岐衛研所報, 24, 15-21, (1979)
  16. 吉田製薬株式会社 社内資料:生物学的同等性

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
吉田製薬株式会社 学術部
〒164-0011 東京都中野区中央5-1-10
電話:03-3381-2004
FAX:03-3381-7728
製品情報問い合わせ先
吉田製薬株式会社 学術部
〒164-0011 東京都中野区中央5-1-10
電話:03-3381-2004
FAX:03-3381-7728

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
吉田製薬株式会社
埼玉県狭山市南入曽951

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版