国内で実施された2つの臨床試験(シクロスポリン及び副腎皮質ホルモン剤を併用)における新規腎移植患者(総症例31例)において、移植後6ヵ月までに急性拒絶反応が認められなかった患者の割合(無発現率)は以下のとおりであった(Kaplan-Meier(K-M)法)
8)。
シクロスポリン・副腎皮質ホルモン剤併用試験 拒絶反応無発現率の推移
(1)成人腎移植患者を対象とし、シクロスポリン及び副腎皮質ホルモン剤に加え、本剤又はプラセボを投与した二重盲検試験(総症例722例)において、移植後0〜6ヵ月間に急性拒絶反応(死亡、腎機能廃絶を含む)が認められなかった患者の割合(無発現率)は、本剤投与群で有意に高く(P<0.001、K-M推定量の差)、また移植12ヵ月後でも同様に本剤投与群が有意に高かった(P<0.001、K-M推定量の差)
7)11)12)。
シクロスポリン・副腎皮質ホルモン剤併用試験(EU、カナダ) 拒絶反応無発現率の推移
シクロスポリン・副腎皮質ホルモン剤併用試験(米国) 拒絶反応無発現率の推移
拒絶反応所見を除いた有害事象※の発現率は、本剤投与群、プラセボ投与群(P群)の両群とも99%で、ほぼ全例に有害事象の発現が認められた。最も多く認められた有害事象は便秘(本剤投与群48%、P群49%)で、ついで尿路感染症(本剤投与群46%、P群46%)、疼痛(本剤投与群42%、P群39%)、嘔気(本剤投与群34%、P群40%)等で、高頻度(発現率20%以上)で認められた有害事象において、本剤投与群に特異的に認められた有害事象はなかった。
(※薬剤との関連性の有無にかかわらず治験中に発現したもの)
本試験終了後、4年間の追跡調査(総症例586例)を行った。
本試験終了から移植後60ヵ月までのリンパ増殖性疾患及び悪性腫瘍の発現率は本剤投与群、P群ともに7%であった。また移植後60ヵ月までに本剤投与群とP群間の生着率に有意差はみられなかった。死亡率は本剤投与群15%、P群11%であり有意差はみられなかった。主な死因は、両群ともに心疾患であった
13)。
(2)成人腎移植患者を対象とし、シクロスポリン、副腎皮質ホルモン剤及びアザチオプリンに加え本剤又はプラセボを投与した二重盲検試験(総症例340例)において、移植後6ヵ月までに急性拒絶反応が認められなかった患者の割合(無発現率)は、本剤投与群78.7%、P群64.3%で、本剤投与群で有意に高かった(P=0.002、K-M推定量の差)。
拒絶反応及び感染症を除いた有害事象の集計では、本剤投与群88.7%、P群87.8%に発現が認められた。また、感染症の発現率は本剤投与群65.5%、P群65.7%であった
14)15)。
シクロスポリン・副腎皮質ホルモン剤・アザチオプリン併用試験 拒絶反応無発現率の推移
(3)成人腎移植患者を対象とし、シクロスポリン、副腎皮質ホルモン剤及びミコフェノール酸モフェチルに加え本剤又はプラセボを投与した二重盲検試験(総症例123例)において、移植後6ヵ月までに急性拒絶反応が認められなかった患者の割合(無発現率)は、本剤投与群84.7%、P群73.4%で、本剤投与群で有意に高かった(P=0.047、K-M推定量の差)。
有害事象の集計では、本剤投与群98.3%、P群96.9%で、ほぼ全例に発現が認められた。また、感染症の発現率は本剤投与群62.7%、P群70.3%であった
16)。
シクロスポリン・副腎皮質ホルモン剤・ミコフェノール酸モフェチル併用試験 拒絶反応無発現率の推移