医療用医薬品 : アスタット

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医薬品情報


総称名 アスタット
一般名 ラノコナゾール
欧文一般名 Lanoconazole
薬効分類名 抗真菌剤
薬効分類番号 2655
ATCコード D01AC22
KEGG DRUG
D01092 ラノコナゾール
KEGG DGROUP
DG01883 イミダゾール系抗真菌薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年7月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アスタットクリーム1% Astat Cream マルホ 2655710N1030 19.1円/g
アスタット外用液1% Astat Solution マルホ 2655710Q1036 19.1円/mL
アスタット軟膏1% Astat Ointment マルホ 2655710M1034 19.1円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

下記の皮膚真菌症の治療
白癬、体部白癬、股部白癬
間擦疹、指間びらん症、爪囲炎
癜風

6. 用法及び用量

1日1回患部に塗布する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満
皮膚皮膚炎(接触皮膚炎等)、刺激感、発赤小水疱、そう痒感、亀裂、乾燥、腫脹

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
<製剤共通>
14.1.1 著しいびらん面には使用しないこと。
14.1.2 眼科用として角膜、結膜には使用しないこと。
<外用液>
14.1.3 亀裂、びらん面には注意して使用すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
ラノコナゾール1%クリーム1)5g又はラノコナゾール1%外用液2)5mLを健康成人各6例の背部に8時間単回塗布し血漿中未変化体濃度を測定した。その結果、ラノコナゾール1%クリームでは2例で塗布8時間〜12時間後に0.35〜0.44ng/mL検出したが、それ以外は検出限界(0.3ng/mL)以下であった。ラノコナゾール1%外用液では4例で塗布24時間後に0.38〜1.25(平均0.45)ng/mL検出したが、48時間後には全例検出限界以下となった。
また、健康成人6例の背部に、ラノコナゾール1%クリーム1)5gを1日あたり8時間、7日間反復塗布した結果、7日目の塗布後8時間目に0.31〜0.76(平均0.45)ng/mLを検出したが、24時間後には全例検出限界以下となった。
16.2 吸収
健康成人にラノコナゾール1%クリーム1)を単回あるいは7日間反復塗布、また、ラノコナゾール1%外用液2)を単回塗布した結果、塗布部位からの回収率はいずれも高く、皮膚からの吸収率は低いと考えられた。
16.3 分布
ラノコナゾールを0.01〜1.0μg/mLの濃度範囲でヒト血漿に添加したときの蛋白結合率は、いずれの添加濃度でも99%以上であった3)in vitro、平衡透析法)。
16.4 代謝
ヒト尿中の代謝物から、ジチオラン環の開裂が代謝経路の一つであると考えられた1)2)
16.5 排泄
健康成人によるラノコナゾール1%クリームの単回及び反復塗布試験時の尿からジチオラン環開裂型の代謝物が検出され、未変化体はほとんど検出されなかった1)。また、健康成人によるラノコナゾール1%及び2%注)クリームの単回塗布試験時の糞中から未変化体が12例中7例に検出された。その排泄率は投与量の0.27%以下であった4)
注)本剤の承認規格は1%クリームである。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<クリーム>
17.1.1 国内二重盲検比較試験
皮膚真菌症患者を対象に、ラノコナゾール1%クリーム、ビホナゾール1%クリームのいずれかを入浴後又は就寝前に1日1回、足白癬では4週間、その他の疾患では2週間塗布した二重盲検比較試験5)を実施した。本剤群の有効性評価対象395例の有効率は次のとおりであった。
副作用発現頻度は本剤群で0.9%(4/442例)であった。その内訳は「接触皮膚炎の疑い」、「発赤、びらん、二次感染」、「ジーンと熱い感じ」及び「AST、ALT、BUNの上昇」が各1例であった。
対象疾患名有効率(%)(有効以上)
白癬足白癬78.9(101/128)
体部白癬84.3(70/83)
股部白癬90.6(48/53)
カンジダ症間擦疹90.7(39/43)
指間びらん症92.6(25/27)
癜風96.7(59/61)
<外用液>
17.1.2 国内第II相臨床試験
皮膚真菌症患者を対象に、ラノコナゾール1%外用液を入浴後又は就寝前に1日1回、足白癬及びカンジダ性爪囲炎では4週間、その他の疾患では2週間塗布した非盲検試験6)を実施した。有効性評価対象390例の有効率は次のとおりであった。
副作用発現頻度は2.4%(11/465例)であった。その内訳は外用初期の刺激感6例、接触皮膚炎2例、塗布部の発赤とそう痒感1例、病変部の角化の悪化1例及びASTの軽度上昇1例であった。
対象疾患名有効率(%)(有効以上)
白癬足白癬80.0(120/150)
体部白癬84.8(56/66)
股部白癬92.0(46/50)
カンジダ症間擦疹81.8(36/44)
指間びらん症88.5(23/26)
爪囲炎75.0(3/4)
癜風90.0(45/50)
<軟膏>
17.1.3 国内第III相臨床試験
皮膚真菌症患者を対象に、ラノコナゾール1%軟膏を入浴後又は就寝前に1日1回、足白癬及びカンジダ性爪囲炎では4週間、その他の疾患では2週間塗布した非盲検試験7)を実施した。有効性評価対象210例の有効率は次のとおりであった。
副作用発現頻度は1.6%(4/245例)であった。その内訳は接触皮膚炎3例及び刺激感1例であった。
対象疾患名有効率(%)(有効以上)
白癬足白癬71.4(40/56)
体部白癬77.1(27/35)
股部白癬87.5(28/32)
カンジダ症間擦疹87.5(21/24)
指間びらん症100(17/17)
爪囲炎76.9(10/13)
癜風97.0(32/33)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ラノコナゾールは真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成阻害作用により抗真菌作用を示す8)9)in vitro)。
18.2 抗真菌作用
18.2.1 ラノコナゾールは、皮膚糸状菌(Trichophyton属、Microsporum属、Epidermophyton属)、Candida属及びMalassezia属真菌に対して高い抗真菌活性を有する。特に皮膚糸状菌に対するMICはすべて0.04μg/mL以下であり、殺菌活性も低濃度で発現した10)11)12)in vitro)。
18.2.2 ラノコナゾールは種々の病原性真菌保存株(酵母状真菌、黒色真菌、二形性真菌、Aspergillus属及びPenicillium属)に対し、広い抗真菌スペクトルを示す10)in vitro)。
18.2.3 モルモット足白癬モデルに対し、ラノコナゾール1%クリーム、外用液及び軟膏は1日1回、10日間塗布により、完全に菌を陰性化した。また、モルモット体部白癬モデルにおいても1日1回、11〜14日間の塗布で同様の作用を示すとともに感染症状の改善が認められた13)14)15)16)
18.2.4 モルモット背部にラノコナゾール1%クリームを0.1g前塗布した後、Trichophyton mentagrophytesを接種した実験では、菌接種1〜4日前の1回塗布でも感染は成立せず、良好な角質内貯留性を有することが示唆された17)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ラノコナゾール

一般的名称 ラノコナゾール
一般的名称(欧名) Lanoconazole
化学名 (2E)-2-[(4RS)-4-(2-Chlorophenyl)-1,3-dithiolan-2-ylidene]-2-(1H-imidazol-1-yl)acetonitrile
分子式 C14H10ClN3S2
分子量 319.83
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶又は結晶性の粉末である。
アセトンにやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01092

20. 取扱い上の注意

<外用液>
20.1 合成樹脂を軟化したり、塗料を溶かすことがあるので注意すること。
20.2 火気を避けて保存すること。

22. 包装

<クリーム>
チューブ
10g×10
<外用液>
ボトル
10mL×10
<軟膏>
チューブ
10g×10

23. 主要文献

  1. 大西明弘ら, 臨床医薬, 8 (4), 799-811, (1992)
  2. 社内資料:外用抗真菌剤ラトコナゾール液剤の安全性ならびに薬物動態に関する検討
  3. 社内資料:ラトコナゾールのヒト血漿蛋白結合
  4. 社内資料:ヒトにおけるラトコナゾールの代謝および排泄
  5. TJN-318クリーム研究班, 西日本皮膚科, 54 (5), 977-992, (1992) »DOI
  6. TJN-318液剤研究班, 西日本皮膚科, 54 (5), 944-953, (1992) »DOI
  7. ラノコナゾール軟膏剤研究会, 西日本皮膚科, 57 (4), 829-840, (1995) »DOI
  8. 近江哲人ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 339-348, (1992) »DOI
  9. 近江哲人ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 349-354, (1992) »DOI
  10. 平谷民雄ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 321-328, (1992) »DOI
  11. 内田勝久ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (2), 217-220, (1992) »DOI
  12. 内田勝久ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 361-366, (1992) »DOI
  13. Ohmi T.,et al., Arzneim.-Forsch./Drug Res., 41(II) (8), 847-851, (1991)
  14. Oka H.,et al., Arzneim.-Forsch./Drug Res., 42(I) (3), 345-349, (1992)
  15. 庭野吉己ら, Jpn.J.Antibiot., 47 (9), 1192-1195, (1994) »PubMed
  16. 庭野吉己ら, Jpn.J.Antibiot., 48 (1), 150-154, (1995) »PubMed
  17. 岡 秀紀ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 313-319, (1992) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
マルホ株式会社 製品情報センター
〒531-0071 大阪市北区中津1-11-1
電話:0120-12-2834
製品情報問い合わせ先
マルホ株式会社 製品情報センター
〒531-0071 大阪市北区中津1-11-1
電話:0120-12-2834

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
マルホ株式会社
大阪市北区中津1-5-22

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版