医療用医薬品 : ポリカルボフィルCa

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医薬品情報


総称名 ポリカルボフィルCa
一般名 ポリカルボフィルカルシウム
欧文一般名 Polycarbophil Calcium
製剤名 ポリカルボフィルカルシウム細粒
薬効分類名 過敏性腸症候群治療剤
薬効分類番号 2399
ATCコード A06AC08
KEGG DRUG
D03306 ポリカルボフィルカルシウム
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年9月 改訂(承継に伴う改訂)(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ポリカルボフィルCa細粒83.3%「日医工」 Polycarbophil Ca Fine Granules 富士化学工業 2399011C1069 26.7円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 急性腹部疾患(虫垂炎、腸出血、潰瘍性結腸炎等)の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
2.2 術後イレウス等の胃腸閉塞を引き起こすおそれのある患者[症状を悪化させるおそれがある。]
2.3 高カルシウム血症の患者[高カルシウム血症を助長するおそれがある。]
2.4 腎結石のある患者[腎結石を助長するおそれがある。]
2.5 腎不全(軽度及び透析中を除く)のある患者[9.2.1参照]
2.6 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

過敏性腸症候群における便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状

5. 効能または効果に関連する注意

本剤による治療は対症療法である。

6. 用法及び用量

通常、成人にはポリカルボフィルカルシウムとして1日量1.5〜3.0gを3回に分けて、食後に水とともに経口投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 1日あたりの製剤量は以下のとおりである。
 1日投与量
細粒1.8〜3.6g
7.2 下痢状態では1日1.5gでも効果が得られているので、下痢状態の場合には1日1.5gから投与を開始することが望ましい。
7.3 症状の改善が認められない場合、長期にわたって漫然と使用しないこと。(通常2週間)

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高カルシウム血症があらわれやすい患者
高カルシウム血症を起こすおそれがある。
9.1.2 無酸症・低酸症が推定される患者及び胃全切除術の既往のある患者
本剤の薬効が十分に発揮されない可能性がある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎不全(軽度及び透析中を除く)のある患者
投与しないこと。組織への石灰沈着を助長するおそれがある。[2.5参照]
9.2.2 透析中の患者及び軽度の腎不全のある患者
組織への石灰沈着を助長するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど用量に留意すること。一般に高齢者では腎機能が低下していることが多く、高カルシウム血症があらわれやすい。

10. 相互作用

10.2 併用注意
活性型ビタミンD製剤
アルファカルシドール
カルシトリオール
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。これらの薬剤は腸管でのカルシウムの吸収を促進させる。
カルシウム剤
L-アスパラギン酸カルシウム
乳酸カルシウム水和物
(1)高カルシウム血症があらわれるおそれがある。
(2)本剤の作用が減弱するおそれがある。
(1)本剤はカルシウムを含有(ポリカルボフィルカルシウム1.0g中にカルシウムとして約200mg含有)するため、これらの薬剤と併用するとカルシウムの過剰摂取となる。
(2)本剤はカルシウムが脱離して薬効を発揮するが、カルシウムとの共存下では再結合により薬効が減弱する。
強心配糖体
ジゴキシン
これらの薬剤の作用を増強し、不整脈等を誘発するおそれがある。カルシウムは強心配糖体の心筋収縮力増強作用を強める。
テトラサイクリン系抗生物質
テトラサイクリン
ミノサイクリン

ニューキノロン系抗菌剤
ノルフロキサシン
シプロフロキサシン塩酸塩水和物
トスフロキサシントシル酸塩水和物
これらの薬剤の作用を減弱するおそれがある。カルシウムイオンはこれらの薬剤とキレートを形成し、吸収を阻害する。
プロトンポンプ阻害剤
オメプラゾール
ランソプラゾール

H2受容体拮抗剤
ファモチジン
ラニチジン

制酸剤
水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム
乾燥水酸化アルミニウムゲル
本剤の作用が減弱するおそれがある。本剤は酸性条件下でカルシウムが脱離して薬効を発揮するが、これらの薬剤の胃内pH上昇作用によりカルシウムの脱離が抑制される。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜2%未満頻度不明
過敏症発疹、そう痒感 
血液白血球減少 
消化器嘔気・嘔吐、口渇、腹部膨満感、下痢、便秘、腹痛、腹鳴 
肝臓AST上昇、ALT上昇γ-GTP上昇、ALP上昇、総ビリルビン上昇、LDH上昇
その他浮腫、頭痛、尿潜血陽性、尿蛋白陽性 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 本剤は、服用後に途中でつかえた場合に、膨張して喉や食道を閉塞する可能性があるので、十分量(コップ1杯程度)の水とともに服用させること。

16. 薬物動態

16.2 吸収
ラット及びイヌに14C標識ポリカルボフィルカルシウムを経口投与したときの血液中放射能濃度試験、尿・糞中排泄試験及びラットにおける全身オートラジオグラフィー、胆汁中排泄試験、in situループ法での消化管吸収試験の結果、ポリカルボフィルカルシウムは消化管から吸収されなかった1)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 その他の薬剤
ポリカルボフィルカルシウムが他の薬剤の吸収に及ぼす影響をトリメブチンマレイン酸塩、ジアゼパム、チキジウム臭化物、シメチジン及びジギトキシンの血漿中濃度を指標としてイヌで検討した結果、ポリカルボフィルカルシウムはいずれの薬剤の吸収にも影響を及ぼさなかった2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内後期第II相試験
過敏性腸症候群患者を対象に、ポリカルボフィルカルシウム錠1.5g及び3.0g/日(分3)、2週間経口投与した結果、最終全般改善度の改善率(「改善」以上)は、68.8%(88/128例)であり、有効性が認められた。
副作用は6.5%(155例中10例)に認められ、主な副作用は口渇1.3%(2/155例)、発疹・皮疹1.9%(3/155例)であった3)
17.1.2 国内第III相試験
過敏性腸症候群患者を対象に、ポリカルボフィルカルシウム錠3.0g/日(分3)、2週間経口投与した結果、最終全般改善度の改善率(「改善」以上)は63.6%(56/88例)であり、有効性が認められた。
副作用は11.1%(99例中11例)に認められ、主な副作用は口渇4.0%(4/99例)、発疹・皮疹4.0%(4/99例)であった4)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ポリカルボフィルカルシウムは胃内の酸性条件下でカルシウムを脱離してポリカルボフィルとなり、小腸や大腸等の中性条件下で高い吸水性を示し、膨潤・ゲル化する。下痢及び便秘には消化管内水分保持作用及び消化管内容物輸送調節作用により効果を発現すると考えられる5)
18.2 消化管内水分保持作用
ラットにおいて、腸管の水分分泌に影響することなく腸管内で水分を保持した6)
18.3 消化管内容物輸送調節作用
マウス及びラットにおいて、亢進させた消化管内容物の輸送を抑制し、遅延させた消化管内容物の輸送を改善した7)
18.4 下痢抑制効果
マウス、ラット及びイヌの下痢モデルに対して抑制作用を示したが、便秘を誘発しなかった8)9)
18.5 便秘改善効果
ラット及びイヌの排便量を増加し、ラット便秘モデルに対して改善作用を示したが、下痢は誘発しなかった8)9)
18.6 生物学的同等性試験
下記の薬効比較試験の結果、ポリカルボフィルCa細粒83.3%「日医工」とコロネル細粒83.3%の生物学的同等性が確認された10)。(ラットにポリカルボフィルCa細粒83.3%「日医工」とコロネル細粒83.3%をそれぞれ500mg/kgを経口投与)
18.6.1 便秘改善作用
ラット便秘モデルについて、糞便の重量を測定し統計解析を行った結果、有意差が認められなかった10)
18.6.2 下痢抑制効果
ラット下痢モデルについて、糞便の形状及び水分含有率を測定し統計解析を行った結果、有意差が認められなかった10)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ポリカルボフィルカルシウム

一般的名称 ポリカルボフィルカルシウム
一般的名称(欧名) Polycarbophil Calcium
分子式 (C6H6CaO4)a・(C6H10O2)b
物理化学的性状 白色〜微黄白色の粉末である。
水又はエタノール(95)にほとんど溶けない。
吸湿性である。
理化学知見その他 3,4-ジヒドロキシ-1,5-ヘキサジエンにより架橋したポリアクリル酸のカルシウム塩
Calcium salt of polyacrylic acid cross-linked with 3,4-dihydroxy-1,5-hexadiene
KEGG DRUG D03306

20. 取扱い上の注意

アルミ袋開封後は湿気を避けて保存すること。

22. 包装

0.6g×105包
1.2g×105包
100g[アルミ袋:バラ]

23. 主要文献

  1. 山田健久 他, 医薬品研究, 28 (1), 23-32, (1997)
  2. 山田健久 他, 医薬品研究, 28 (1), 33-39, (1997)
  3. 正宗研 他, 薬理と治療, 26 (S-5), S945-S965, (1998)
  4. 正宗研 他, 薬理と治療, 26 (S-5), S967-S996, (1998)
  5. 作用機序(ポリフル原末・錠・細粒、コロネル錠・細粒:2000年7月3日承認、申請資料概要ホ.1.(2))
  6. Yamada T.,et al., Pharm.Sci., 2, 149-152, (1996)
  7. Yasumori A.,et al., Jpn.J.Pharmacol., 76 (Suppl.1), 296, (1998)
  8. Saito T.,et al., Jpn.J.Pharmacol., 83 (3), 206-214, (2000) »PubMed
  9. Saito T.,et al., Jpn.J.Pharmacol., 89 (2), 133-141, (2002) »PubMed
  10. 梅澤武彦 他, 診療と新薬, 46 (7), 683-687, (2009)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948
製品情報問い合わせ先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
富士化学工業株式会社
富山県中新川郡上市町郷柿沢1
26.2 販売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版