医療用医薬品 : ケトプロフェン

List   Top

医薬品情報


総称名 ケトプロフェン
一般名 ケトプロフェン
欧文一般名 Ketoprofen
製剤名 ケトプロフェン含有プラスター剤
薬効分類名 経皮鎮痛消炎剤
薬効分類番号 2649
ATCコード M01AE03 M02AA10
KEGG DRUG
D00132 ケトプロフェン
KEGG DGROUP
DG01504 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2024年10月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ケトプロフェンテープ20mg「日医工」 (後発品) Ketoprofen Tape 日医工 2649729S2126 12.7円/枚
ケトプロフェンテープ40mg「日医工」 (後発品) Ketoprofen Tape 日医工 2649729S3114 17.6円/枚

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤又は本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2.2 アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[喘息発作を誘発するおそれがある。][9.1.111.1.2参照]
2.3 チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート並びにオキシベンゾン及びオクトクリレンを含有する製品(サンスクリーン、香水等)に対して過敏症の既往歴のある患者[これらの成分に対して過敏症の既往歴のある患者では、本剤に対しても過敏症を示すおそれがある1)。]
2.4 光線過敏症の既往歴のある患者[5.、8.111.1.4参照]
2.5 妊娠後期の女性[9.5.1参照]

4. 効能または効果

○下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
腰痛症(筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫)、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛
関節リウマチにおける関節局所の鎮痛

5. 効能または効果に関連する注意

本剤の使用により重篤な接触皮膚炎、光線過敏症が発現することがあり、中には重度の全身性発疹に進展する例が報告されているので、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。[2.48.19.811.1.311.1.4参照]

6. 用法及び用量

1日1回患部に貼付する。

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 接触皮膚炎又は光線過敏症を発現することがあり、中には重度の全身性発疹に至った症例も報告されているので、使用前に患者に対し次の指導を十分に行うこと。[2.4、5.、9.811.1.311.1.4参照]
・紫外線曝露の有無にかかわらず、接触皮膚炎を発現することがあるので、発疹・発赤、そう痒感、刺激感等の皮膚症状が認められた場合には、直ちに使用を中止し、患部を遮光し、受診すること。なお、使用後数日を経過して発現する場合があるので、同様に注意すること。
・光線過敏症を発現することがあるので、使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、貼付部を衣服、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること。また、使用後数日から数カ月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。異常が認められた場合には直ちに使用を中止し、患部を遮光し、適切な処置を行うこと。
<腰痛症、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛>
8.2 消炎鎮痛剤による治療は対症療法であるので、症状に応じて薬物療法以外の療法も考慮すること。また、使用が長期にわたる場合には患者の状態を十分に観察し、副作用の発現に留意すること。
<関節リウマチにおける関節局所の鎮痛>
8.3 消炎鎮痛剤による治療は対症療法であるので、抗リウマチ薬等による適切な治療が行われ、なお関節に痛みの残る患者のみに使用すること。
8.4 関節痛の状態を観察しながら使用し、長期にわたり漫然と連用しないこと。また、必要最小限の枚数にとどめること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 気管支喘息のある患者(アスピリン喘息又はその既往歴のある患者を除く)
アスピリン喘息でないことを十分に確認すること。気管支喘息の患者の中にはアスピリン喘息患者が潜在していることが考えられており、それらの患者では喘息発作を誘発するおそれがある。[2.211.1.2参照]
9.1.2 皮膚感染症のある患者
感染を伴う炎症に対して用いる場合には適切な抗菌剤又は抗真菌剤を併用し、観察を十分に行い慎重に使用すること。皮膚の感染症を不顕性化するおそれがある。
9.5 妊婦
9.5.1 妊娠後期の女性
使用しないこと。ケトプロフェンの外皮用剤を妊娠後期の女性に使用した場合、胎児動脈管収縮が起きることがある。[2.5参照]
9.5.2 妊婦(妊娠後期を除く)又は妊娠している可能性のある女性
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。必要最小限の使用にとどめるなど慎重に使用すること。ケトプロフェンの外皮用剤を妊娠中期の女性に使用し、羊水過少症が起きたとの報告がある。また、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(全身作用を期待する製剤)を妊娠中期の妊婦に使用し、胎児動脈管収縮が起きたとの報告がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
貼付部の皮膚の状態に注意しながら慎重に使用すること。類薬(0.3%ケトプロフェン貼付剤)の市販後調査の結果、高齢者で副作用(接触皮膚炎)の発現率が有意に高かった。[5.、8.111.1.3参照]

10. 相互作用

10.2 併用注意
メトトレキサート2)ケトプロフェン経口剤とメトトレキサートの併用によりメトトレキサートの作用が増強されることがある。ケトプロフェンとメトトレキサートを併用した場合、メトトレキサートの腎排泄が阻害されることが報告されている。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(0.1%未満)
ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、顔面浮腫等)があらわれることがある。
11.1.2 喘息発作の誘発(アスピリン喘息)(0.1%未満)
乾性ラ音、喘鳴、呼吸困難感等の初期症状が発現した場合は使用を中止すること。なお、本剤による喘息発作の誘発は、貼付後数時間で発現している。[2.29.1.1参照]
11.1.3 接触皮膚炎(5%未満、重篤例は頻度不明)
貼付部に発現した発疹・発赤、そう痒感、刺激感、紅斑等が悪化し、腫脹、浮腫、水疱・びらん等の重度の皮膚炎症状や色素沈着、色素脱失が発現し、さらに全身に皮膚炎症状が拡大し重篤化することがある。なお、使用後数日を経過してから発現することもある。[5.、8.19.8参照]
11.1.4 光線過敏症(頻度不明)
貼付部を紫外線に曝露することにより、強いそう痒を伴う紅斑、発疹、刺激感、腫脹、浮腫、水疱・びらん等の重度の皮膚炎症状や色素沈着、色素脱失が発現し、さらに全身に皮膚炎症状が拡大し重篤化することがある。なお、使用後数日から数カ月を経過してから発現することもある。[2.4、5.、8.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
皮膚局所の発疹、発赤、腫脹、そう痒感、刺激感、水疱・びらん、色素沈着皮下出血皮膚剥脱
過敏症  蕁麻疹、眼瞼浮腫、顔面浮腫
消化器  消化性潰瘍

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
使用部位の皮膚刺激をまねくことがあるので、損傷皮膚、粘膜、湿疹又は発疹の部位には使用しないこと。

16. 薬物動態

16.2 吸収
16.2.1 モルモット正常皮膚・損傷皮膚
14C-ケトプロフェン含有テープ剤をモルモットに単回投与したとき、正常皮膚では約8時間で最高血中濃度に達し、24時間までに投与量の約20%が吸収されたのに対し、角質層を剥離した損傷皮膚では30分で約20%が吸収され1時間で最高血中濃度に達し、24時間までに約90%が吸収された3)
16.3 分布
16.3.1 組織内濃度
モルモット背部皮膚
正常皮膚への14C-ケトプロフェン含有テープ剤(ケトプロフェンとして1.53mg/head)を24時間単回投与した場合、血漿中ケトプロフェン濃度及び経皮適用部直下の筋膜、筋肉内ケトプロフェン濃度は共に8時間で最高に達し、それぞれ0.15μg当量/mL、1.48μg当量/g、0.36μg当量/gであった。筋膜、筋肉内ケトプロフェン濃度は最高血漿中ケトプロフェン濃度より高く、14C-ケトプロフェン(5mg/kg)経口投与による当該ケトプロフェン濃度(筋膜内0.37μg当量/g、筋肉内0.32μg当量/g)より高かった。さらに、24時間においてもそれぞれ、1.05μg当量/g、0.21μg当量/gと高濃度を維持していた。また、その他の臓器で血漿中より高い放射能濃度を示した臓器は腎臓のみであったが、その最高濃度は0.19μg当量/gと低かった3)
16.3.2 生物学的同等性試験
ケトプロフェンテープ40mg「日医工」とモーラステープL40mgについて、健康成人男子(n=16)の背部皮膚に6時間及び24時間貼付(4cm×5cm、ケトプロフェンとして約5.71mg)した時の角層内ケトプロフェン量を指標として、両製剤の生物学的同等性を検証した。ケトプロフェンテープ40mg「日医工」及びモーラステープL40mgを貼付したとき、角層中ケトプロフェン量は次のとおりであった。
適用時間角層内ケトプロフェン量(μg)
6時間24時間
ケトプロフェンテープ40mg「日医工」51.954±10.61943.653±14.472
モーラステープL40mg45.489±7.46244.202±11.394
ケトプロフェンテープ40mg「日医工」とモーラステープL40mgの角層内ケトプロフェン量の対数値の平均値の差の90%信頼区間は、log(0.70)〜log(1.43)の範囲内で両製剤の生物学的同等性が確認された4)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 ケトプロフェンテープ20mg「日医工」について実施された国内での一般臨床試験40例に対する改善度は、次のとおりであった5)
対象疾患名使用期間改善率 %(症例数/症例数)
中等度改善以上軽度改善以上
変形性関節症2週間45.0(9/20)85.0(17/20)
腰痛症2週間60.0(12/20)85.0(17/20)
<関節リウマチ>
17.1.2 国内第III相試験(検証的試験)
国内80施設で676例の関節リウマチ患者を対象にケトプロフェンテープ剤を1日1回、1回1枚を2週間貼付したときの手関節における疼痛軽減効果をプラセボ対照ランダム化二重盲検試験により検討した結果、患者による疼痛VAS注)値変化率(平均値±標準偏差)はプラセボ(338例)25.45±31.19%、ケトプロフェンテープ剤(338例)31.20±30.26%であり、両群間に有意差が認められた(対応のないt検定:p=0.015)。なお、手関節での優越性は検証されたが、他の関節における優越性は確認されていない。副作用発現頻度は8.9%(30/338例)、主な副作用は接触性皮膚炎3.0%(10/338例)等であった6)7)
注)100mmのスケールを用い痛みを評価する視覚アナログスケール(Visual Analogue Scale)の略。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
プロスタグランジンの生合成抑制作用、血管透過性亢進抑制作用、白血球遊走阻止作用などが考えられている8)
18.2 抗炎症・鎮痛作用
ケトプロフェンテープ剤は、慢性炎症モデルであるラットのcotton pellet肉芽腫及びadjuvant関節炎、疼痛モデルであるラットのyeast炎症足疼痛、kaolin-carrageenin炎症足疼痛及び硝酸銀関節炎疼痛のいずれに対しても、有意な抑制作用を示した8)9)
18.3 生物学的同等性試験
18.3.1 鎮痛作用
ラットの炎症性疼痛抑制試験(Randall-Selitto法)において、鎮痛作用が認められた。また、本剤とモーラステープとにおいて、鎮痛作用に有意な差は認められなかった10)
18.3.2 抗炎症作用
ラットのカラゲニン足蹠浮腫抑制試験及びアジュバント関節炎抑制試験において、抗炎症作用が認められた。また、本剤とモーラステープとにおいて、抗炎症作用に有意な差は認められなかった11)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ケトプロフェン

一般的名称 ケトプロフェン
一般的名称(欧名) Ketoprofen
化学名 (2RS)-2-(3-Benzoylphenyl)propanoic acid
分子式 C16H14O3
分子量 254.28
融点 94〜97℃
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末である。
メタノールに極めて溶けやすく、エタノール(95)又はアセトンに溶けやすく、水にほとんど溶けない。
エタノール(99.5)溶液(1→100)は旋光性を示さない。
光によって微黄色になる。
KEGG DRUG D00132

22. 包装

<ケトプロフェンテープ20mg「日医工」>
70枚[7枚×10袋]
700枚[7枚×100袋]
<ケトプロフェンテープ40mg「日医工」>
70枚[7枚×10袋]
560枚[7枚×80袋]

23. 主要文献

  1. Veyrac G.,et al., Therapie., 57 (1), 55-64, (2002) »PubMed
  2. Thyss A.,et al., Lancet., 1 (8475), 256-258, (1986) »PubMed
  3. 矢野忠則 他, 医薬品研究, 24 (7), 727-741, (1993)
  4. 社内資料:生物学的同等性試験
  5. 社内資料:一般臨床試験
  6. Kawai S.,et al., J.Clin.Pharmacol., 50 (10), 1171-1179, (2010) »PubMed
  7. 手関節に疼痛を有する患者を対象とした試験(モーラステープ:2009年11月6日承認、審査報告書)
  8. 谷口恭章 他, 医薬品研究, 24 (8), 819-830, (1993)
  9. 谷口恭章 他, 医薬品研究, 24 (8), 831-841, (1993)
  10. 社内資料:鎮痛作用
  11. 社内資料:抗炎症作用

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948
製品情報問い合わせ先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版