医療用医薬品 : テルビナフィン塩酸塩

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医薬品情報


総称名 テルビナフィン塩酸塩
一般名 テルビナフィン塩酸塩
欧文一般名 Terbinafine Hydrochloride
薬効分類名 アリルアミン系抗真菌剤
薬効分類番号 2659
ATCコード D01AE15
KEGG DRUG
D02219 テルビナフィン塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
テルビナフィン塩酸塩外用液1%「F」 (後発品) 富士製薬工業 2659710Q1094 13円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

下記の皮膚真菌症の治療
白癬、体部白癬、股部白癬
指間びらん症、間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む)
癜風

6. 用法及び用量

1日1回患部に塗布する。

8. 重要な基本的注意

<乳児寄生菌性紅斑>
アルコール性基剤(エタノール等)が局所刺激作用を有するため、注意して使用すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
9.7 小児等
低出生体重児又は新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症そう痒症、紅斑発疹、蕁麻疹、血管浮腫
適用部位接触皮膚炎、発赤、刺激感鱗屑、落屑、皮膚亀裂湿疹、皮膚乾燥、疼痛、色素沈着、皮膚灼熱感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 眼科用として角膜、結膜には使用しないよう指導すること。誤って眼に入った場合は、刺激症状があらわれることがあるので、流水で十分に目をすすぐよう指導すること。
14.1.2 亀裂、びらん面には注意して使用するよう指導すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 反復塗布
健康成人の内腿部にテルビナフィン塩酸塩1%液を1日1回反復塗布し、投与7日目の塗布直前と2時間後の血漿中濃度を測定したところ、いずれの測定時点においても測定限界(8ng/mL)以下であった1)。(外国人のデータ)
16.8 その他
16.8.1 ケラチンへの吸着性
角質層の主要構成成分であるヒトケラチンへのテルビナフィン塩酸塩の吸着性を検討したところ、73〜98%の吸着率が得られた。一方、一旦ケラチンに吸着されたテルビナフィン塩酸塩は、緩衝液で洗浄することにより遊離され、ほぼ100%の薬剤活性が回収されたことから、ケラチンがテルビナフィン塩酸塩の貯蔵器として活性型薬剤の濃度維持に役立っていると考えられる(in vitro2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
白癬(足部白癬、体部白癬、股部白癬)、皮膚カンジダ症(指間びらん、間擦疹)、癜風患者63例を対象としてテルビナフィン塩酸塩外用液1%の1日1回塗布による有効性及び安全性を検討した結果、有効率は足白癬68.6%(24/35例)、体部白癬88.9%(8/9例)、股部白癬100%(3/3例)、カンジダ性指間びらん100%(2/2例)、カンジダ性間擦疹80.0%(8/10例)、癜風66.7%(2/3例)であった。
副作用発現率は3.2%(2/63例)であり、副作用は刺激感3.2%(2/63例)であった3)
17.1.2 国内臨床試験
白癬(足部白癬、体部白癬、股部白癬)、皮膚カンジダ症(指間びらん、間擦疹)、癜風患者49例を対象としてテルビナフィン塩酸塩外用液1%の1日1回塗布による有効性及び安全性を検討した結果、有効率は足白癬71.0%(22/31例)、体部白癬33.3%(1/3例)、股部白癬100%(4/4例)、カンジダ性指間びらん100%(1/1例)、カンジダ性間擦疹100%(1/1例)、癜風75.0%(3/4例)であった。
副作用発現率は4.1%(2/49例)であり、副作用は刺激感4.1%(2/49例)であった4)
17.3 その他
健康成人の無傷背部皮膚表面にテルビナフィン塩酸塩外用液1%及び基剤を用いたパッチテスト並びに光パッチテストの結果では、皮膚感作性は認められていない5)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
テルビナフィン塩酸塩は真菌細胞内のスクアレンエポキシダーゼを選択的に阻害し、スクアレンの蓄積並びにエルゴステロール含量の低下をもたらし抗真菌作用を示す6)7)。皮膚糸状菌に対しては低濃度で細胞膜構造を破壊し、殺真菌的に作用する7)8)。また、C.albicansに対しては低濃度から部分的発育阻止効果を示し、高濃度では直接的細胞膜障害作用により抗真菌活性をあらわす9)
18.2 抗真菌作用
18.2.1 テルビナフィン塩酸塩は広い抗真菌スペクトルをもち、皮膚糸状菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、カンジダ属及び癜風菌(Malassezia furfur)に対して優れた抗真菌活性が認められている(in vitro10)11)12)13)
18.2.2 テルビナフィン塩酸塩は皮膚糸状菌(T.rubrum、T.mentagrophytes)に対して0.001〜0.01μg/mLの最小発育阻止濃度(MIC)を示す13)。また、T.mentagrophytes発芽分生子に対し低濃度で明らかな殺真菌作用を示す(in vitro11)
18.2.3 テルビナフィン塩酸塩はC.albicansに対して0.098μg/mL以上の濃度で酵母形から菌糸形への変換を阻止し14)、1μg/mL以上の濃度では酵母形増殖に対し静真菌作用を示す(in vitro9)
18.3 実験的白癬に対する作用
モルモットのT.mentagrophytes感染に対しテルビナフィン塩酸塩1%外用剤1日1回塗布により、治療開始4日目には明らかな症状の改善がみられ、2週間後には優れた真菌学的治療効果が認められている15)。また、テルビナフィン塩酸塩1%外用剤をT.mentagrophytes接種1〜3日前に局所に単回塗布した場合、感染後14日間経過する期間を通して発症は全くみられなかったことから、薬効の持続性が示された。これはテルビナフィン塩酸塩の良好な皮膚貯留性に基づくものと考えられる16)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. テルビナフィン塩酸塩

一般的名称 テルビナフィン塩酸塩
一般的名称(欧名) Terbinafine Hydrochloride
化学名 (2E)-N,6,6-Trimethyl-N-(naphthalen-1-ylmethyl)hept-2-en-4-yn-1-amine monohydrochloride
分子式 C21H25N・HCl
分子量 327.89
融点 約205℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。
メタノール、エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けやすく、水に溶けにくい。
1.0gを水1000mLに溶かした液のpHは3.5〜4.5である。
KEGG DRUG D02219

20. 取扱い上の注意

火気を避けて保存すること。

22. 包装

10g×10本

23. 主要文献

  1. 第十八改正 日本薬局方解説書, C3413-C3417, (2021), (廣川書店)
  2. 内田勝久 他, 日本医真菌学会雑誌, 34 (2), 207-212, (1993) »DOI
  3. テルビナフィン液剤研究班, 西日本皮膚科, 58 (4), 676-683, (1996) »DOI
  4. テルビナフィン液研究班, 西日本皮膚科, 58 (4), 684-690, (1996) »DOI
  5. 庄司昭伸ほか, 西日本皮膚科, 58 (4), 629-634, (1996) »DOI
  6. Ryder,N.S., Antimicrob.Agents Chemother., 27 (2), 252-256, (1985) »PubMed
  7. Ryder,N.S., Clin.Exp.Dermatol., 14 (2), 98-100, (1989) »PubMed
  8. 西山彌生 他, 日本医真菌学会雑誌, 32 (2), 165-175, (1991) »DOI
  9. 平谷民雄 他, 日本医真菌学会雑誌, 33 (1), 9-18, (1992) »DOI
  10. Petranyi,G.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 31 (9), 1365-1368, (1987) »PubMed
  11. 平谷民雄 他, 日本医真菌学会雑誌, 32 (4), 323-332, (1991) »DOI
  12. 内田勝久 他, 日本医真菌学会雑誌, 32 (4), 343-346, (1991) »DOI
  13. Schuster,I.et al., "Preclinical characteristics of allylamines.";in Berg,D.et al.eds.Sterol Biosynthesis Inhibitors:Pharmaceutical and Agrochemical Aspects., 449-470, (1988), (Pbl.:Ellis Horwood Ltd.,Chichester(UK))
  14. Schaude,M.et al., Mykosen., 30 (6), 281-287, (1987) »PubMed
  15. 内田勝久 他, 日本医真菌学会雑誌, 32 (4), 333-342, (1991) »DOI
  16. 内田勝久 他, 日本医真菌学会雑誌, 34 (2), 199-206, (1993) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
富士製薬工業株式会社 くすり相談室
〒939-3515 富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
電話:0120-956-792
FAX:076-478-0336
製品情報問い合わせ先
富士製薬工業株式会社 くすり相談室
〒939-3515 富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
電話:0120-956-792
FAX:076-478-0336

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
富士製薬工業株式会社
富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版