医療用医薬品 : タンドスピロンクエン酸塩

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医薬品情報


総称名 タンドスピロンクエン酸塩
一般名 タンドスピロンクエン酸塩
欧文一般名 Tandospirone Citrate
製剤名 タンドスピロンクエン酸塩錠
薬効分類名 セロトニン作動性抗不安薬
薬効分類番号 1129
KEGG DRUG
D01992 タンドスピロンクエン酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2025年1月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
タンドスピロンクエン酸塩錠5mg「アメル」 (後発品) Tandospirone Citrate Tablets「AMEL」 共和薬品工業 1129008F1047 6.1円/錠 劇薬, 処方箋医薬品
タンドスピロンクエン酸塩錠10mg「アメル」 (後発品) Tandospirone Citrate Tablets「AMEL」 共和薬品工業 1129008F2051 9.3円/錠 劇薬, 処方箋医薬品
タンドスピロンクエン酸塩錠20mg「アメル」 (後発品) Tandospirone Citrate Tablets「AMEL」 共和薬品工業 1129008F3040 18円/錠 劇薬, 処方箋医薬品

4. 効能または効果

○神経症における抑うつ、恐怖
○心身症(自律神経失調症、本態性高血圧症、消化性潰瘍)における身体症候ならびに抑うつ、不安、焦躁、睡眠障害

6. 用法及び用量

通常、成人にはタンドスピロンクエン酸塩として1日30mgを3回に分け経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減するが、1日60mgまでとする。

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤の使用にあたっては、高度の不安症状を伴う患者の場合効果があらわれにくいので、慎重に症状を観察する等注意すること。
8.2 眠気・めまい等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
8.3 ベンゾジアゼピン系誘導体とは交差依存性がないため、ベンゾジアゼピン系誘導体から直ちに本剤に切り替えると、ベンゾジアゼピン系誘導体の退薬症候が引き起こされ、症状が悪化することがあるので、前薬を中止する場合は徐々に減量する等注意すること。動物実験(ラット)で、ジアゼパム連続投与後休薬により起こる体重減少に対し、60mg/kg/日及び200mg/kg/日経口投与で抑制作用を示さず、ベンゾジアゼピン系誘導体との交差依存性は認められなかった。
<神経症>
8.4 罹病期間が長い(3年以上)例や重症例あるいは他剤(ベンゾジアゼピン系誘導体)での治療効果が不十分な例等の治療抵抗性の患者に対しては効果があらわれにくい。1日60mgを投与しても効果が認められないときは、漫然と投与することなく、中止すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 脳に器質的障害のある患者
本剤の作用が強くあらわれるおそれがある。
9.1.2 中等度又は重篤な呼吸不全のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.1.3 心障害のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.1.4 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者
悪性症候群が起こりやすい。[11.1.3参照]
9.2 腎機能障害患者
高い血中濃度が持続するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
高い血中濃度が持続するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.1 動物実験(ラット)において、母獣に死亡が認められる投与量(200mg/kg)で胎児に波状肋骨の増加が報告されている。
9.5.2 妊娠前・妊娠初期投与試験
SD系ラット(雄、雌)に8、20、50、80mg/kg/日連続経口投与した試験で、50mg/kg/日以上で性周期の異常、受胎率の低下、着床率の低下、胎児体重の低値が認められた1)
9.5.3 器官形成期投与試験
SD系ラットに13、32、80、200mg/kg/日連続経口投与した催奇形性試験で、80mg/kg/日以上で胎児体重の低値が、200mg/kg/日で生後修復するといわれている波状肋骨の増加が認められた。
同じく、SD系ラットに8、20、50、80mg/kg/日連続経口投与した器官形成期投与試験で、80mg/kg/日で胎児及び出生児体重の低値が認められた。
また、ウサギに38、75、150mg/kg/日連続経口投与した試験では、150mg/kg/日で胎児体重の低値が認められた1)
9.5.4 周産期・授乳期投与試験
SD系ラットに8、20、50mg/kg/日連続経口投与した試験で、50mg/kg/日で出生児の生後発育の抑制が認められた1)
9.5.5 胎児への移行
妊娠ラットに14C-タンドスピロンを20、100mg/kg1回経口投与した場合、胎児に母体血漿と同程度の放射能が認められた2)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。哺育中のラットに14C-タンドスピロンを20、100mg/kg1回経口投与した場合、乳汁中に血漿中濃度の2.1〜2.6倍の放射能の移行が認められた2)
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
低用量(例えば1日15mg)から投与を開始するなど注意すること。外国における高用量(90mg/日)注)を用いた体内薬物動態試験で若年者に比べ高い血中濃度を示した。
注)本剤の承認された1日最大用量は60mgである。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ブチロフェノン系薬剤
ハロペリドール
ブロムペリドール
スピペロン 等
18.6.2参照]
錐体外路症状を増強することがある。本剤の弱い抗ドパミン作用が、ブチロフェノン系薬剤の作用を増強する。
カルシウム拮抗剤
ニカルジピン
アムロジピン
ニフェジピン 等
降圧作用を増強することがある。本剤のセロトニン受容体を介した中枢性の血圧降下作用が降圧作用を増強する。
セロトニン再取り込み阻害作用を有する薬剤
フルボキサミン
パロキセチン
ミルナシプラン
トラゾドン 等
11.1.2参照]
セロトニン症候群があらわれることがある。併用により、セロトニン作用が増強するおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、ALP、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
11.1.2 セロトニン症候群(頻度不明)
興奮、ミオクロヌス、発汗、振戦、発熱等を主症状とするセロトニン症候群があらわれることがあるので、これらの症状が出現した場合には、投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。[10.2参照]
11.1.3 悪性症候群(頻度不明)
抗精神病薬、抗うつ薬等との併用、あるいは本剤の急激な減量・中止により、悪性症候群があらわれることがある。発熱、意識障害、強度の筋強剛、不随意運動、発汗、頻脈等があらわれた場合には、体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。[9.1.4参照]
注)発現頻度は使用成績調査を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1%以上0.1〜1%未満0.1%未満頻度不明
精神神経系眠気めまい、ふらつき、頭痛、頭重、不眠振戦、パーキンソン様症状悪夢
肝臓 AST、ALT、γ-GTPの上昇ALPの上昇 
循環器系 動悸頻脈、胸内苦悶 
消化器系 悪心、食欲不振、口渇、腹部不快感、便秘嘔吐、胃痛、胃のもたれ、腹部膨満感、下痢 
過敏症  発疹、じん麻疹、そう痒感 
その他 倦怠感、脱力感、気分不快、四肢のしびれ、目のかすみ悪寒、ほてり(顔面紅潮、灼熱感等)、多汗(発汗、寝汗等)、BUNの上昇、尿中NAGの上昇、好酸球増加、CKの上昇浮腫

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人6例に20mgを食後あるいは絶食時に単回経口投与した場合、未変化体の血清中濃度は投与0.8〜1.4時間後に最高値に達し、血清中半減期は1.2〜1.4時間であった3)。[16.2参照]
投与量投与条件Tmax(hr)Cmax(ng/mL)AUC(ng・hr/mL)T1/2(hr)
20mg絶食0.8±0.13.2±0.68.2±2.11.2
食後1.4±0.32.9±0.711.5±3.11.4
16.1.2 反復投与
健康成人6例に1回10mg、1日3回、5日間連続経口投与した場合、投与開始後5日目の血清中未変化体濃度は単回投与時と同様の推移を示し、投与休止により速やかに消失し、蓄積性は認められなかった3)
また、心身症患者及び神経症患者10例に30又は60mg/日を連続経口投与した場合、血清中未変化体濃度は健康成人と同様の推移を示し、蓄積性はないと考えられた4)
16.1.3 生物学的同等性試験
タンドスピロンクエン酸塩錠10mg「アメル」とセディール錠10mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(タンドスピロンクエン酸塩として10mg)をタンドスピロンクエン酸塩安定同位体を溶解させた水溶液(10mg/100mL)100mLとともに健康成人男子に絶食単回経口投与し、直ちに水100mLで共洗い後服用して、血漿中未変化体(12C-タンドスピロン)濃度及び血漿中安定同位体未変化体(13C-タンドスピロン)濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(r-AUC、r-Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された5)
薬物動態パラメータ(生物学的同等性)
 参考パラメータ
AUC(0→12)(ng・hr/mL)※1)Cmax(ng/mL)※1)
AUC(0→12)(ng・hr/mL)※2)Cmax(ng/mL)※2)
タンドスピロンクエン酸塩錠10mg「アメル」2.43±2.301.16±1.07
3.18±1.981.58±1.10
セディール錠10mg1.90±1.221.13±0.92
2.82±1.051.63±0.79
 判定パラメータ参考パラメータ
r-AUC(0→12)※3)r-Cmax※4)Tmax(hr)※5)T1/2(hr)※5)
Tmax(hr)※6)T1/2(hr)※6)
タンドスピロンクエン酸塩錠10mg「アメル」0.67±0.190.63±0.240.97±0.532.41±0.30
0.44±0.212.33±0.33
セディール錠10mg0.63±0.180.63±0.220.57±0.252.53±0.52
0.38±0.102.45±0.47
※1)12C-タンドスピロン濃度測定時のAUC(0→12),Cmax
※2)13C-タンドスピロン濃度測定時のAUC(0→12),Cmax
※3)r-AUC(0→12)12C-タンドスピロンのAUC(0→12)/13C-タンドスピロンのAUC(0→12)
※4)r-Cmax=12C-タンドスピロンのCmax/13C-タンドスピロンのCmax
※5)12C-タンドスピロン濃度測定時のTmax,T1/2
※6)13C-タンドスピロン濃度測定時のTmax,T1/2
血漿中未変化体(12C-タンドスピロン)濃度(生物学的同等性)
血漿中安定同位体未変化体(13C-タンドスピロン)濃度(生物学的同等性)
血漿中濃度並びにr-AUC、r-Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
健康成人6例に20mgを食後あるいは絶食時に単回経口投与した場合、食事による影響はほとんど認められなかった3)。[16.1.1参照]
16.8 その他
タンドスピロンクエン酸塩錠5mg「アメル」及びタンドスピロンクエン酸塩錠20mg「アメル」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成18年11月24日薬食審査発第1124004号)」に基づき、タンドスピロンクエン酸塩錠10mg「アメル」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた6)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
脳内セロトニン受容体のサブタイプの1つである5-HT1A受容体に選択的に作用することにより、抗不安作用や心身症モデルにおける改善効果を示すと考えられる7)
また、抗うつ作用の主な発現機序は、セロトニン神経終末のシナプス後5-HT2受容体密度の低下が関与していると推定される。
18.2 抗不安作用
臨床における抗不安作用の指標となるコンフリクト試験で、ジアゼパムと同等の効力を示す8)9)(ラット)。
18.3 抗うつ作用
従来の三環系抗うつ薬が有する生体アミンの神経終末への再取り込み阻害作用は示さないが(ラット)、臨床における抗うつ作用の指標となる嗅覚球摘出ラットのマウス攻撃行動(ムリサイド)の抑制、オペラント試験における強化数の増加(ラット)、また、強制水泳試験での無動時間の短縮(ラット)等の作用が認められている8)10)11)
18.4 心身症モデルにおける昇圧反応抑制作用、血漿中レニン活性上昇抑制作用、胃潰瘍発生抑制作用、摂食低下抑制作用
視床下部刺激による昇圧反応(ネコ)、電撃ショックストレス負荷による血漿中レニン活性の上昇(ラット)を抑制する8)
また、心理的ストレス負荷による胃潰瘍の発生(マウス)、水浸拘束ストレス負荷による摂食低下(ラット)を抑制する8)12)
18.5 筋弛緩作用、麻酔増強作用、自発運動抑制作用、協調運動抑制作用、抗けいれん作用
臨床における眠気、ふらつき、過度の鎮静に結びつく筋弛緩作用(マウス、ラット)、麻酔増強作用(マウス)、自発運動抑制作用(マウス)、協調運動抑制作用(マウス、ラット)をほとんど示さず、また抗けいれん作用(マウス)もほとんど認められていない8)13)
18.6 薬力学的薬物相互作用
18.6.1 ベンゾジアゼピン系誘導体との併用で、相互に抗不安作用を増強するが、抗けいれん作用、麻酔増強作用や協調運動抑制作用には影響は認められていない8)(ラット)。
18.6.2 ブチロフェノン系誘導体との併用で、抗ドパミン作用を軽度に増強することが認められている8)(ラット)。[10.2参照]

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. タンドスピロンクエン酸塩

一般的名称 タンドスピロンクエン酸塩
一般的名称(欧名) Tandospirone Citrate
化学名 (1R,2S,3R,4S)-N-[4-[4-(2-Pyrimidinyl)-1-piperazinyl]butyl]-2,3-bicyclo[2.2.1]heptanedicarboximide dihydrogen citrate
分子式 C21H29N5O2・C6H8O7
分子量 575.61
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。
酢酸(100)に溶けやすく、水又はメタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくい。
KEGG DRUG D01992

22. 包装

<タンドスピロンクエン酸塩錠5mg「アメル」>
100錠[10錠(PTP)×10]
<タンドスピロンクエン酸塩錠10mg「アメル」>
100錠[10錠(PTP)×10]
500錠[瓶、バラ]
<タンドスピロンクエン酸塩錠20mg「アメル」>
100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. 河南昇,他, 基礎と臨床, 26, 1803-1823, (1992)
  2. 水野佳子,他, 基礎と臨床, 26, 1903-1945, (1992)
  3. 中島光好,他, 基礎と臨床, 26, 4143-4165, (1992)
  4. 筒井末春,他, 基礎と臨床, 26, 4252-4263, (1992)
  5. 田中孝典,他, 新薬と臨牀, 57 (6), 936, (2008), ([錠10mg])
  6. 社内資料:生物学的同等性試験(溶出挙動比較)
  7. 清水宏志,他, Jap.J.Pharmacol., 46, 311-314, (1988) »PubMed
  8. 清水宏志,他, 基礎と臨床, 26, 1681-1695, (1992)
  9. 清水宏志,他, Jap.J.Pharmacol., 58, 283-289, (1992) »PubMed
  10. 龍野徹,他, Pharmacol.Biochem.Behav., 32, 1049-1055, (1989) »PubMed
  11. S.Wieland.,et al., Psychopharmacol., 101, 497-504, (1990)
  12. 原千高,他, 薬物・精神・行動, 9, 110-110, (1989)
  13. 清水宏志,他, Jap.J.Pharmacol., 45, 493-500, (1987) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
共和薬品工業株式会社 お問い合わせ窓口
〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4
電話:0120-041-189
FAX:06-6121-2858
製品情報問い合わせ先
共和薬品工業株式会社 お問い合わせ窓口
〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4
電話:0120-041-189
FAX:06-6121-2858

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
共和薬品工業株式会社
大阪市北区中之島3-2-4

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/12/17 版