医療用医薬品 : サルポグレラート塩酸塩

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医薬品情報


総称名 サルポグレラート塩酸塩
一般名 サルポグレラート塩酸塩
欧文一般名 Sarpogrelate Hydrochloride
薬効分類名 5-HT2ブロッカー
薬効分類番号 3399
KEGG DRUG
D01624 サルポグレラート塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
サルポグレラート塩酸塩錠50mg「ケミファ」 (後発品) Sarpogrelate Hydrochloride Tablets 50mg“Chemiphar” 日本ケミファ 3399006F1174 28.5円/錠
サルポグレラート塩酸塩錠100mg「ケミファ」 (後発品) Sarpogrelate Hydrochloride Tablets 100mg“Chemiphar” 日本ケミファ 3399006F2170 34.2円/錠

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 出血している患者(血友病、毛細血管脆弱症、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、硝子体出血等)[出血を更に増強する可能性がある。][9.1.211.1.1参照]
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛および冷感等の虚血性諸症状の改善

6. 用法及び用量

サルポグレラート塩酸塩として、通常成人1回100mgを1日3回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

本剤投与中は定期的に血液検査を行うことが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 月経期間中の患者
出血を増強するおそれがある。
9.1.2 出血傾向並びにその素因のある患者
出血傾向を増強するおそれがある。[2.111.1.1参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
排泄に影響するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で胚胎児死亡率増加及び新生児生存率低下が報告されている。[2.2参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
低用量(例えば150mg/日)より投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に腎、肝等の生理機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
抗凝固剤
ワルファリン等
出血傾向を増強するおそれがある。相互に作用を増強する。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
アスピリン
チクロピジン塩酸塩
シロスタゾール等
出血傾向を増強するおそれがある。相互に作用を増強する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 脳出血、消化管出血(いずれも0.1%未満)
脳出血、吐血や下血等の消化管出血があらわれることがある。[2.19.1.2参照]
11.1.2 血小板減少(頻度不明)
11.1.3 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、ALP、γ−GTP、LDHの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
11.1.4 無顆粒球症(頻度不明)
注)発現頻度は、製造販売後調査の結果を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹、発赤丘疹、そう痒紅斑、蕁麻疹
肝臓肝機能障害(ビリルビン、AST、ALT、ALP、γ−GTP、LDHの上昇等)  
出血傾向出血(鼻出血、皮下出血等)  
消化器嘔気、胸やけ、腹痛、便秘異物感(食道)、食欲不振、腹部膨満感、下痢嘔吐、口内炎
循環器心悸亢進息切れ、胸痛、ほてり 
精神神経系頭痛眠気、味覚異常、めまい 
腎臓蛋白尿、尿潜血、BUN上昇、クレアチニン上昇  
血液貧血血小板減少白血球減少
その他血清中性脂肪の上昇、血清コレステロールの上昇、血清アルブミンの減少、尿糖、尿沈渣体重の増加、浮腫、倦怠感、血清カルシウムの減少しびれ感、発熱、咽頭痛、咽頭不快感、咽頭灼熱感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
<サルポグレラート塩酸塩錠50mg「ケミファ」>
サルポグレラート塩酸塩錠50mg「ケミファ」とアンプラーグ錠50mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(サルポグレラート塩酸塩として50mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された1)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0→3
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
サルポグレラート塩酸塩錠50mg「ケミファ」0.240±0.0660.391±0.1720.43±0.100.76±0.33
アンプラーグ錠50mg0.239±0.0870.399±0.1580.41±0.110.65±0.18
<サルポグレラート塩酸塩錠100mg「ケミファ」>
サルポグレラート塩酸塩錠100mg「ケミファ」とアンプラーグ錠100mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(サルポグレラート塩酸塩として100mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)についてAUCは対数値の平均値の差の90%信頼区間において生物学的同等性の判定基準に適合し、さらにCmaxも対数値の平均値の差がlog(0.90)〜log(1.11)の範囲内であり、且つ、溶出試験で溶出挙動が類似していると判定されたことから、両剤の生物学的同等性が確認された1)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0→6
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
サルポグレラート塩酸塩錠100mg「ケミファ」0.510±0.3120.652±0.4150.67±0.570.65±0.36
アンプラーグ錠100mg0.443±0.1550.583±0.3330.68±0.590.62±0.22
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
健康成人における経口吸収率は尿、糞中への未変化体及び代謝物の排泄率より50%以上と推定される2)
16.3 分布
16.3.1 組織への移行性
雄性ラットに14C-サルポグレラート塩酸塩を20mg/kg経口投与したとき、大部分の組織中放射能濃度は15〜30分で最高値に達し、肝臓、腎臓及び肺に血漿中より高い放射能の分布が認められたが、他の組織中濃度は血漿中濃度と同等かもしくは低値であった3)
16.3.2 蛋白結合率
ヒト血清:95%以上4)in vitro、限外ろ過法)。
16.4 代謝
サルポグレラート塩酸塩は脱エステル化された後、代謝物は複数のチトクロームP450分子種(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4)で代謝される5)
16.5 排泄
健康成人6例にサルポグレラート塩酸塩を100mg単回経口投与したとき、投与後24時間までに未変化体は尿及び糞中に認められなかったが、大部分が抱合型代謝物として尿中に排泄された。また、尿中及び糞中への合計排泄率はそれぞれ44.5%及び4.2%であった2)
注)本剤の承認用法は1日3回食後経口投与である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相比較試験
慢性動脈閉塞症を対象に100mg錠を1回1錠1日3回6週間毎食後に経口投与した二重盲検比較試験において、有用度は64.3%(45/70例)(有用以上)、90.0%(63/70例)(やや有用以上)であった。
副作用発現頻度は2.6%(2/76例)であった。副作用の内訳は腹痛、嘔気、消化管出血いずれも1.3%(1/76例)であった6)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
サルポグレラート塩酸塩は血小板及び血管平滑筋における5-HT2(セロトニン)レセプターに対する特異的な拮抗作用を示す。その結果、抗血小板作用及び血管収縮抑制作用を示す7)8)9)10)
18.2 血小板凝集抑制作用
18.2.1 健康成人及び慢性動脈閉塞症患者において、セロトニンとコラーゲン同時添加による血小板凝集を抑制する11)12)ex vivo試験)。
18.2.2 In vitroの試験(ヒト、ウサギ、ラット)においてコラーゲンによる血小板凝集及びADP又はアドレナリンによる血小板の二次凝集を抑制する7)
また、コラーゲンによる血小板凝集はセロトニンにより増強されるが、この増強された血小板凝集を抑制する7)
18.3 抗血栓作用
18.3.1 末梢動脈閉塞症モデル(ラウリン酸注入によるラット末梢動脈閉塞)における病変の進展を抑制する13)
18.3.2 動脈血栓モデル(血管内皮損傷によるマウス動脈血栓、ポリエチレンチューブ置換ラット動脈血栓)における血栓の形成を抑制する14)
18.4 血管収縮抑制作用
ラットの血管平滑筋を用いたin vitroの試験において、セロトニンによる血管平滑筋の収縮を抑制する7)
また、血小板凝集に伴い血管平滑筋が収縮するが、この収縮を抑制する8)
18.5 微小循環改善作用
慢性動脈閉塞症患者の経皮的組織酸素分圧及び皮膚表面温度を上昇させる15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. サルポグレラート塩酸塩

一般的名称 サルポグレラート塩酸塩
一般的名称(欧名) Sarpogrelate Hydrochloride
化学名 (2RS)-1-Dimethylamino-3-{2-[2-(3-methoxyphenyl)ethyl]phenoxy}propan-2-yl hydrogen succinate monohydrochloride
分子式 C24H31NO6・HCl
分子量 465.97
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末である。水又はエタノール(99.5)に溶けにくい。0.01mol/L塩酸試液に溶ける。水溶液(1→100)は旋光性を示さない。結晶多形が認められる。
KEGG DRUG D01624

22. 包装

<サルポグレラート塩酸塩錠50mg「ケミファ」>
100錠[10錠(PTP)×10、乾燥剤入り]
<サルポグレラート塩酸塩錠100mg「ケミファ」>
100錠[10錠(PTP)×10、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 日本ケミファ株式会社:生物学的同等性に関する資料(社内資料)
  2. 小松貞子, 他, 薬物動態, 6 (3), 353-375, (1991) »DOI
  3. 小松貞子, 他, 薬物動態, 6 (3), 377-398, (1991) »DOI
  4. 丹羽卓朗, 他, 薬理と治療, 19, S749-756, (1991)
  5. 第十八改正日本薬局方解説書, C2091-2095, (2021), (廣川書店)
  6. 古川欽一, 他, 臨床医薬, 7 (8), 1747-1770, (1991)
  7. 原 啓人, 他, Thromb Haemost., 65 (4), 415-420, (1991) »PubMed
  8. 原 啓人, 他, 薬理と治療, 19, S611-618, (1991)
  9. 土橋洋史, 他, J Pharmacobiodyn., 14 (8), 461-466, (1991) »PubMed
  10. 丸山恵子, 他, J Pharmacobiodyn., 14 (4), 177-181, (1991) »PubMed
  11. 山口 寛, 他, 臨床医薬, 7 (6), 1235-1241, (1991)
  12. 磯貝行秀, 他, 臨床医薬, 7 (6), 1227-1233, (1991)
  13. 原 啓人, 他, Arzneimittelforschung., 41 (6), 616-620, (1991) »PubMed
  14. 原 啓人, 他, Thromb Haemost., 66 (4), 484-488, (1991) »PubMed
  15. 伊藤勝朗, 他, 臨床医薬, 7 (6), 1243-1251, (1991)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本薬品工業株式会社 安全管理課
〒101-0032 東京都千代田区岩本町2丁目2番3号
電話:03-5833-5011
FAX:03-5833-5100
製品情報問い合わせ先
日本薬品工業株式会社 安全管理課
〒101-0032 東京都千代田区岩本町2丁目2番3号
電話:03-5833-5011
FAX:03-5833-5100

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日本ケミファ株式会社
東京都千代田区岩本町2丁目2-3
26.2 販売元
日本薬品工業株式会社
東京都千代田区岩本町2丁目2-3

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/10/23 版