医療用医薬品 : マスキン

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医薬品情報


総称名 マスキン
一般名 クロルヘキシジングルコン酸塩
欧文一般名 Chlorhexidine Gluconate
製剤名 クロルヘキシジン製剤
薬効分類名 手指用殺菌消毒剤
薬効分類番号 2619
ATCコード A01AB03 B05CA02 D08AC02 D09AA12 R02AA05
KEGG DRUG
D00858 クロルヘキシジングルコン酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
マスキンスクラブ4% MASKIN SCRUB 4% 丸石製薬 261970BQ2147

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
クロルヘキシジン製剤に対し過敏症の既往歴のある者[8.参照]

4. 効能または効果

医療施設における医師、看護師等の医療従事者の手指消毒

6. 用法及び用量

<術前、術後の術者の手指消毒>
手指及び前腕部を水でぬらし、本剤約5mLを手掌にとり、1分間洗浄後、流水で洗い流し、更に本剤約5mLで2分間洗浄をくりかえし、同様に洗い流す。
<術前、術後の術者以外の医療従事者の手指消毒>
手指を水でぬらし、本剤約2.5mLを手掌にとり、1分間洗浄後、流水で洗い流す。

8. 重要な基本的注意

ショック、アナフィラキシー等の反応を予測するため、使用に際してはクロルヘキシジン製剤に対する過敏症の既往歴、薬物過敏体質の有無について十分な問診を行うこと。[2.、9.1.111.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 薬物過敏体質の者(クロルヘキシジン製剤に対し過敏症の既往歴のある者を除く)[8.参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(頻度不明)
血圧低下、じん麻疹、呼吸困難等があらわれた場合は、直ちに使用を中止し、適切な処置を行うこと。[8.参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満
過敏症発疹

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
14.1.1 本剤は希釈せず、原液のまま使用すること。
14.1.2 経口投与しないこと。誤飲した場合には、牛乳、生卵、ゼラチン等を用いて、胃洗浄を行うなど適切な処置を行う。
14.1.3 手指消毒以外の目的には使用しないこと。
14.1.4 眼に入らないように注意すること。眼に入った場合には、直ちによく水洗すること。
14.1.5 溶液の状態で長時間皮膚と接触させた場合に皮膚化学熱傷を起こしたとの報告があるので、注意すること。
14.2 薬剤使用後の注意
本剤の付着した白布を次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系漂白剤で漂白すると、褐色のシミができることがある。漂白には過炭酸ナトリウム等の酸素系漂白剤が適当である。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
クロルヘキシジングルコン酸塩製剤の使用によりショック症状を起こした患者のうち数例について、血清中にクロルヘキシジンに特異的なIgE抗体が検出されたとの報告がある1)

16. 薬物動態

16.2 吸収
16.2.1 5例の健康成人男性の上腕皮膚面50cm2に、5%又は4%の標識されたクロルヘキシジングルコン酸塩液(18μCiの14Cを含有)を塗布し3時間放置した。14C標識物質は塗布後6時間及び24時間後の血中から検出されなかった2)(外国人データ)。
16.2.2 15例の健康成人が4%のクロルヘキシジングルコン酸塩液10mLで手指と腕の消毒を3週間(1日5回、週5日)行ったが、消毒30分後の血中からクロルヘキシジン及びその誘導体は検出されなかった2)(外国人データ)。
16.5 排泄
5例の健康成人男性の上腕皮膚面50cm2に、5%又は4%の標識されたクロルヘキシジングルコン酸塩液(18μCiの14Cを含有)を塗布し3時間放置した。塗布後10日間の糞尿中の14C標識物質の総量の測定では、尿中から検出されず、2例の糞便中から塗布量の0.009%以下の14C標識物質が検出された2)(外国人データ)。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
低濃度では細菌の細胞膜に障害を与え、細胞質成分の不可逆的漏出や酵素阻害を起こし、抗菌作用(殺菌作用)を示す。高濃度では細胞内のタンパク質や核酸の沈着を起こすことにより、抗菌作用を示す3)
18.2 殺菌効果
広範囲の微生物に作用するが、特にグラム陽性菌には低濃度でも有効である。グラム陰性菌にも比較的低濃度で殺菌作用を示すが、グラム陽性菌に比べて抗菌力に幅がある。グラム陰性菌のうちAlcaligenesPseudomonasAchromobacterFlavobacterium属などにはまれに抵抗菌株もある。芽胞形成菌の芽胞には無効である。結核菌に対し水溶液では静菌作用、アルコール溶液では迅速な殺菌作用がある。真菌類の多くに対し抗菌力を示すが細菌類より弱い。ウイルスに対する効力は確定していない3)
18.3 殺菌効力試験(in vitro)
マスキンスクラブ4%(処方変更前製剤)の細菌および真菌に対する殺菌時間は次の通りであった4)
菌種殺菌時間
細菌グラム陽性菌Staphylococcus aureus(MRSA 89-27)30秒以内
Streptococcus faecalis IFO 397130秒以内
グラム陰性菌Acinetobacter calcoaceticus RIMD 010200230秒以内
Achromobacter xylosoxidans RIMD 010100130秒以内
Burkholderia cepacia IID 134030秒以内
Enterobacter aerogenes IFO 1353430秒以内
Enterobacter cloacae IID 97730秒以内
Escherichia coli NIHJC30秒以内
Flavobacterium meningosepticum RIMD 061400230秒以内
Proteus mirabilis IFO 384930秒以内
Proteus vulgaris IFO 304530秒以内
Providencia rettgeri IFO 1350130秒以内
Pseudomonas aeruginosa IFO 1327530秒以内
Serratia marcescens IFO 1264830秒以内
真菌(酵母)Candida albicans IFO 1061120秒以内
18.4 消毒効力試験(in vivo)
術者以外に対する、マスキンスクラブ4%(処方変更前製剤)を2.5mL使用した手洗い前後の菌数を測定したところ、平均指数減少値は1.49±0.70であり、90%以上の菌を減少させた5)
18.5 生物学的同等性
18.5.1 殺菌効力同等性試験(in vitro
マスキンスクラブ4%の現行処方製剤と処方変更前製剤について5種の菌株に対する最小殺菌濃度(MBC)試験を実施したところ、いずれの菌株においても最小殺菌濃度に有意な差は認められず、両製剤は生物学的に同等と判断された6)
試験に用いた菌種
菌種
細菌グラム陽性菌Staphylococcus aureus IFO 13276
グラム陰性菌Escherichia coli NIHJC
Pseudomonas aeruginosa IFO 13275
Serratia marcescens IFO 12648
真菌(酵母)Candida albicans IFO 1061
18.5.2 殺菌効力同等性試験(in vivo
マスキンスクラブ4%の現行処方製剤と処方変更前製剤について、FDAのグローブジュース法に準じた試験をクロスオーバー法にて実施した。手指消毒後の残存菌数に対して分散分析(有意水準5%)した結果、両製剤の殺菌効力は、消毒直後、消毒1時間後のいずれにおいても差は認められず、両製剤は生物学的に同等と判断された6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クロルヘキシジングルコン酸塩

一般的名称 クロルヘキシジングルコン酸塩
一般的名称(欧名) Chlorhexidine Gluconate
化学名 1,1'-Hexamethylenebis[5-(4-chlorophenyl)biguanide],di-D-gluconate
分子式 C22H30Cl2N10・2C6H12O7
分子量 897.76
物理化学的性状 通常、水溶液として存在し、その20w/v%液は、無色〜微黄色の澄明な液で、においはなく、味は苦い。
水又は酢酸(100)と混和する。20w/v%液1mLはエタノール(99.5)5mL以下又はアセトン3mL以下と混和するが、溶媒の量を増加するとき白濁する。
光によって徐々に着色する。
比重 d2020:1.06〜1.07
KEGG DRUG D00858

20. 取扱い上の注意

使用期限内であっても容器開封後はなるべく速やかに使用すること。

22. 包装

500mL[ポリ容器]、500mL×10[ポリ容器]、1L[ポリ容器]

23. 主要文献

  1. Ohtoshi T.,et al., Clin.Allergy., 16 (2), 155-161, (1986) »PubMed
  2. Case D.E., R.Soc.Med.Int.Congr.Symp.Ser., (23), 39-43, (1980)
  3. 第十八改正日本薬局方解説書, C-1877-C-1881, (2021), (廣川書店)
  4. 社内資料:マスキンスクラブ4%の殺菌時間(in vitro)
  5. 社内資料:マスキンスクラブ4%の術者以外の手指消毒における消毒効果について
  6. 社内資料:マスキンスクラブ4%の生物学的同等性(処方変更時)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
丸石製薬株式会社 学術情報部
〒538-0042 大阪市鶴見区今津中2-4-2
電話:0120-014-561
製品情報問い合わせ先
丸石製薬株式会社 学術情報部
〒538-0042 大阪市鶴見区今津中2-4-2
電話:0120-014-561

25. 保険給付上の注意

本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
丸石製薬株式会社
大阪市鶴見区今津中2-4-2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/12/17 版