医療用医薬品 : グリジール

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医薬品情報


総称名 グリジール
一般名 クロベタゾールプロピオン酸エステル
欧文一般名 Clobetasol Propionate
製剤名 クロベタゾールプロピオン酸エステル製剤
薬効分類名 外用合成副腎皮質ホルモン剤
薬効分類番号 2646
ATCコード D07AD01
KEGG DRUG
D01272 クロベタゾールプロピオン酸エステル
KEGG DGROUP
DG01955 副腎皮質ステロイド
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
グリジール軟膏0.05% GLYDIL OINTMENT 0.05% 佐藤製薬 2646713M1195 17円/g 劇薬
グリジールクリーム0.05% GLYDIL CREAM 0.05% 佐藤製薬 2646713N1174 17円/g 劇薬

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬・けじらみ等)[感染を悪化させるおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2.3 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒が遅れるおそれがある。また、感染のおそれがある。]
2.4 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷[皮膚の再生が抑制され、治癒が著しく遅れるおそれがある。]

4. 効能または効果

○湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎を含む)
○痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)
掌蹠膿疱症
乾癬
○虫さされ
○薬疹・中毒疹
ジベルばら色粃糠疹
慢性円板状エリテマトーデス
○扁平紅色苔癬
○紅皮症
○肥厚性瘢痕・ケロイド
○肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)
○アミロイド苔癬
天疱瘡群
類天疱瘡ジューリング疱疹状皮膚炎を含む)
○悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)
○円形脱毛症(悪性を含む)

5. 効能または効果に関連する注意

皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。

6. 用法及び用量

通常1日1〜数回適量を塗布する。なお、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 皮膚萎縮、ステロイド潮紅などの局所的副作用が発現しやすいので、特に顔面、頸、陰部、間擦部位の皮疹への使用には、適応症、症状の程度を十分考慮すること。
8.2 大量又は長期にわたる広範囲の使用(特に密封法(ODT))により、副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがあるので、特別な場合を除き長期大量使用や密封法(ODT)を極力避けること。[9.59.79.811.1参照]
8.3 本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は使用を中止すること。
8.4 症状改善後は、速やかに他のより緩和な局所療法に転換すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。使用する必要がある場合には、大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。動物実験(ラット)で催奇形作用が報告されている1)。[8.2参照]
9.7 小児等
長期使用又は密封法(ODT)は避けること。発育障害を来すおそれがある。また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること。[8.2参照]
9.8 高齢者
大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用に際しては特に注意すること。一般に、副作用があらわれやすい。[8.2参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
眼圧亢進、緑内障、白内障(いずれも頻度不明)
眼瞼皮膚への使用に際し、あらわれることがある。大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により緑内障、白内障等の症状があらわれることがある。[8.2参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
皮膚の感染症注1)真菌症(カンジダ症、白癬等)、細菌感染症(伝染性膿痂疹、毛のう炎等)、ウイルス感染症
過敏症注2)紅斑、発疹、蕁麻疹、そう痒、皮膚灼熱感、接触性皮膚炎
その他の皮膚症状ステロイド皮膚注3)(皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑)、色素脱失注3)、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎注3)(ほほ、口囲等に潮紅、丘疹、膿疱、毛細血管拡張)、多毛注3)、ステロイドざ瘡、魚鱗癬様皮膚変化、一過性の刺激感、乾燥
その他下垂体・副腎皮質系機能抑制注4)、中心性漿液性網脈絡膜症

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に治療以外の目的(化粧下、ひげそり後など)には使用しないよう注意すること。
14.2 薬剤投与時の注意
眼科用として使用しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
乾癬患者に長期大量使用した場合、治療中あるいは治療中止後、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬等がみられたとの報告がある2)

16. 薬物動態

16.2 吸収
切除目的の腋臭症患者の腋窩皮膚に3H-クロベタゾールプロピオン酸エステル0.05%含有クリームを塗布(密封法(ODT))した後、オートラジオグラフィー法で表皮への取り込みを経時的に観察した結果、塗布後30分で既に表皮に取り込まれ、塗布後5時間で定常状態となり、この状態は塗布後24時間まで持続した。また外用剤除去24時間後も表皮内に貯留していた3)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎を含む)、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、掌蹠膿疱症、乾癬>
17.1.1 国内第III相試験
二重盲検比較試験を含む臨床試験において、湿疹・皮膚炎群、痒疹群、掌蹠膿疱症又は乾癬を有する成人及び小児患者総症例1206例に0.05%クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏及びクリームを1日1〜数回患部に塗布した時の有効率は下表のとおりであった。なお、症例の約89%が単純塗布であった4)5)6)7)8)9)10)
疾患名有効率%(有効症例数/症例数)
軟膏クリーム合計
湿疹・皮膚炎群注1)95.4(377/395)96.7(321/332)96.0(698/727)
痒疹群注2)81.3(26/32)80.5(33/41)80.8(59/73)
掌蹠膿疱症90.4(47/52)92.6(50/54)91.5(97/106)
乾癬99.3(148/149)96.7(146/151)98.0(294/300)
<虫さされ、薬疹・中毒疹、ジベルばら色粃糠疹、慢性円板状エリテマトーデス、扁平紅色苔癬、紅皮症、肥厚性瘢痕・ケロイド、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、アミロイド苔癬、天疱瘡群、類天疱瘡(ジューリング疱疹状皮膚炎を含む)、悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)、円形脱毛症(悪性を含む)>
17.1.2 国内第III相試験
難治性慢性皮膚疾患等のいずれかを有する患者557例に対する非盲検試験において、クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏・クリーム0.05%を1日1〜数回患部に塗布したときの有効率は下表のとおりであった11)
疾患名使用期間(日)有効率%(有効症例数/症例数)
軟膏クリーム合計
虫さされ2〜24100.0(20/20)100.0(20/20)100.0(40/40)
薬疹・中毒疹100.0(21/21)92.9(26/28)95.9(47/49)
ジベルばら色粃糠疹100.0(20/20)95.5(21/22)97.6(41/42)
慢性円板状エリテマトーデス14〜5695.2(20/21)81.8(18/22)88.4(38/43)
扁平紅色苔癬95.8(23/24)87.0(20/23)91.5(43/47)
紅皮症96.7(29/30)90.0(18/20)94.0(47/50)
肥厚性瘢痕・ケロイド65.3(32/49)61.9(26/42)63.7(58/91)
肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)81.3(13/16)84.2(16/19)82.9(29/35)
アミロイド苔癬93.8(15/16)100.0(16/16)96.9(31/32)
天疱瘡群100.0(14/14)80.0(8/10)91.7(22/24)
類天疱瘡(ジューリング疱疹状皮膚炎を含む)92.3(12/13)100.0(8/8)95.2(20/21)
悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)71.4(10/14)100.0(7/7)81.0(17/21)
円形脱毛症(悪性を含む)21〜6373.1(19/26)75.8(25/33)74.6(44/59)
副作用発現頻度は、クリームで14.7%(40/273例)、軟膏で13.0%(37/284例)であった。主な副作用は、皮膚萎縮24件、毛細血管拡張24件、毛包炎・せつ16件、瘡様疹16件であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
クロベタゾールプロピオン酸エステルは合成コルチコステロイドの一種であり、炎症性サイトカイン産生の抑制及びアラキドン酸代謝の阻害等のメカニズムを介して抗炎症作用を示すと考えられる。
18.2 血管収縮作用
クロベタゾールプロピオン酸エステルは健康成人皮膚における血管収縮試験においてフルオシノロンアセトニドの約18.7倍、ベタメタゾン吉草酸エステルの約5.2倍の血管収縮作用を示した12)
18.3 肉芽腫抑制作用
クロベタゾールプロピオン酸エステルは副腎摘出ラットにおける綿球肉芽腫抑制試験においてヒドロコルチゾンの112.5倍、ベタメタゾン吉草酸エステルの約2.4倍の肉芽腫抑制作用を示した13)
18.4 浮腫抑制作用
クロベタゾールプロピオン酸エステルはラットにおけるホルマリン浮腫及びカラゲニン浮腫抑制試験においてヒドロコルチゾンの約36〜161倍、ベタメタゾン吉草酸エステルの約2〜4倍の浮腫抑制作用を示した13)
18.5 皮膚局所への影響
クロベタゾールプロピオン酸エステル0.05%含有軟膏及びクリームのラットにおける塗布部位の皮膚萎縮に及ぼす影響は、0.025%フルオシノロンアセトニドより軽度であった14)
18.6 全身への影響
クロベタゾールプロピオン酸エステル0.05%含有軟膏及びクリームを成長期のラットの背部皮膚に塗布した結果、胸腺萎縮作用及び体重増加抑制に及ぼす影響は0.025%フルオシノロンアセトニドより軽度であった14)
18.7 生物学的同等性試験
18.7.1 Cotton pellet 肉芽腫法
SD系雄性ラット(1群10匹)を用いたCotton pellet 肉芽腫法で、肉芽増殖抑制効果を検討した結果、グリジール軟膏0.05%とデルモベート軟膏0.05%間、またグリジールクリーム0.05%とデルモベートクリーム0.05%間に有意差は認められなかった15)
18.7.2 カラゲニン足浮腫法
Wistar系雄性ラット(1群20匹)を用いたカラゲニン足浮腫法で、カラゲニン誘発足浮腫抑制効果を検討した結果、グリジール軟膏0.05%とデルモベート軟膏0.05%間、またグリジールクリーム0.05%とデルモベートクリーム0.05%間に有意差は認められなかった15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クロベタゾールプロピオン酸エステル

一般的名称 クロベタゾールプロピオン酸エステル
一般的名称(欧名) Clobetasol Propionate
化学名 21-Chloro-9-fluoro-11β,17-dihydroxy-16β-methylpregna-1,4-diene-3,20-dione 17-propanoate
分子式 C25H32ClFO5
分子量 466.97
融点 約196℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。光によって徐々に黄色になる。
KEGG DRUG D01272

22. 包装

<グリジール軟膏0.05%>
100g、500g(プラスチック容器)
<グリジールクリーム0.05%>
100g(プラスチック容器)

23. 主要文献

  1. 倉本昌明ほか, 基礎と臨床, 9, 3259-3283, (1975)
  2. Tan RS-H, Proc R Soc Med., 67, 719-720, (1974)
  3. 竹田勇士ほか, 西日本皮膚科, 37, 796-801, (1975) »DOI
  4. Clobetasol 17-Propionate外用剤臨床研究班, 臨床評価, 4, 507-548, (1976)
  5. 須貝哲郎, 西日本皮膚科, 37, 633-639, (1975) »DOI
  6. 渡辺靖, 西日本皮膚科, 37, 622-632, (1975) »DOI
  7. 外松茂太郎ほか, 西日本皮膚科, 38, 111-118, (1976) »DOI
  8. 阿曽三樹ほか, 西日本皮膚科, 37, 553-564, (1975) »DOI
  9. 安里哲時ほか, 西日本皮膚科, 37, 565-572, (1975) »DOI
  10. 木村秀人ほか, 西日本皮膚科, 37, 640-643, (1975) »DOI
  11. Clobetasol 17-Propionate外用剤難治性皮膚疾患研究班, 西日本皮膚科, 44, 677-689, (1982) »DOI
  12. Munro DD,et al., Br Med J., 3, 626-628, (1975) »PubMed
  13. 中村悦郎ほか, 共立薬科大学研究年報, 19, 13-25, (1974)
  14. 武田克之ほか, 西日本皮膚科, 39, 775-784, (1977) »DOI
  15. 社内資料:生物学的同等性試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
佐藤製薬株式会社 医薬事業部
〒107-0051 東京都港区元赤坂1丁目5番27号
電話:フリーダイヤル 0120-310-656
製品情報問い合わせ先
佐藤製薬株式会社 医薬事業部
〒107-0051 東京都港区元赤坂1丁目5番27号
電話:フリーダイヤル 0120-310-656

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
佐藤製薬株式会社
東京都港区元赤坂1丁目5番27号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版