医療用医薬品 : ラジカット

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医薬品情報


総称名 ラジカット
一般名 エダラボン
欧文一般名 Edaravone
薬効分類名 フリーラジカルスカベンジャー
薬効分類番号 1190
ATCコード N07XX14
KEGG DRUG D01552 エダラボン
商品一覧 米国の商品 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報 2016年12月 改訂 (第10版 D11)


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 取扱い上の注意 承認条件 包装 主要文献

商品情報 組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ラジカット点滴静注バッグ30mg RADICUT BAG for I.V.Infusion 30mg 田辺三菱製薬 1190401G1026 3818円/キット 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

重篤な腎機能障害のある患者〔腎機能障害が悪化するおそれがある.筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者に使用する場合,「重要な基本的注意」の項(3)-3),4)参照〕

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果及び用法・用量

効能効果

脳梗塞急性期に伴う神経症候,日常生活動作障害,機能障害の改善

筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制

効能効果に関連する使用上の注意

筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者に使用する場合

臨床試験に組み入れられた患者のALS重症度分類,呼吸機能等の背景及び試験ごとの結果を熟知し,本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で,適応患者の選択を行うこと.(【臨床成績】の項参照)

ALS重症度分類4度以上の患者及び努力性肺活量が理論正常値の70%未満に低下している患者における本剤の投与経験は少なく,有効性及び安全性は確立していない.これらの患者に本剤を投与することについては,リスクとベネフィットを考慮して慎重に判断すること.

用法用量

脳梗塞急性期に伴う神経症候,日常生活動作障害,機能障害の改善

通常,成人に1回1袋(エダラボンとして30mg)を,30分かけて1日朝夕2回の点滴静注を行う.
発症後24時間以内に投与を開始し,投与期間は14日以内とする.

筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制

通常,成人に1回2袋(エダラボンとして60mg)を,60分かけて1日1回点滴静注を行う.

通常,本剤投与期と休薬期を組み合わせた28日間を1クールとし,これを繰り返す.第1クールは14日間連日投与する投与期の後14日間休薬し,第2クール以降は14日間のうち10日間投与する投与期の後14日間休薬する.

用法用量に関連する使用上の注意

脳梗塞急性期の患者に使用する場合

症状に応じてより短期間で投与を終了することも考慮すること.

使用上の注意

慎重投与

腎機能障害,脱水のある患者〔急性腎不全や腎機能障害の悪化を来すことがある.特に投与前のBUN/クレアチニン比が高い患者では致命的な経過をたどる例が多く報告されている.(「重要な基本的注意」の項参照)〕

感染症のある患者〔全身状態の悪化により急性腎不全や腎機能障害の悪化を来すことがある.(「重要な基本的注意」の項参照)〕

肝機能障害のある患者〔肝機能障害が悪化するおそれがある.(「重要な基本的注意」の項参照)〕

心疾患のある患者〔心疾患が悪化するおそれがある.また,腎機能障害があらわれるおそれがある.〕

高度な意識障害(Japan Coma Scale 100以上:刺激しても覚醒しない)のある患者〔致命的な経過をたどる例が多く報告されている.(「重要な基本的注意」の項参照)〕

高齢者〔致命的な経過をたどる例が多く報告されている.(「重要な基本的注意」の項参照)〕

重要な基本的注意

本剤の投与は,本剤に関する十分な知識及び適応疾患の治療経験を持つ医師との連携のもとで行うこと.

投与に際しては,患者又はそれに代わり得る適切な者に対して,本剤の副作用等について十分な説明を行うこと.

急性腎不全又は腎機能障害の増悪,重篤な肝障害,播種性血管内凝固症候群(DIC)があらわれ,致命的な経過をたどることがある.これらの症例では,腎機能障害,肝機能障害,血液障害等を同時に発現する重篤な症例が報告されている.

検査値の急激な悪化は,投与開始初期に発現することが多いので,投与前又は投与開始後速やかにBUN,クレアチニン,AST(GOT),ALT(GPT),LDH,CK(CPK),赤血球,血小板等の腎機能検査,肝機能検査及び血液検査を実施すること.本剤投与中も,腎機能検査,肝機能検査及び血液検査を頻回に実施し,検査値の異常や乏尿等の症状が認められた場合には,直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.また,投与後も継続して十分な観察を行うこと.

投与前にBUN/クレアチニン比が高いなど脱水状態が認められた患者では,致命的な経過をたどる例が多く報告されているので,投与に際し全身管理を徹底すること.

筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者では,病勢進展に伴う筋萎縮により血清クレアチニン値の低下を認める可能性があるため,一時点の血清クレアチニン値を基準値と比較するのではなく,血清クレアチニン値の推移を確認し,悪化傾向の有無を確認すること.また,BUN値は体内水分量等により変動するため,一時点のBUN値を基準値と比較するのではなく,BUN値の推移を確認し,悪化傾向の有無を確認すること.

筋萎縮のある患者では,投与開始前及び投与中定期的に,血清クレアチニン値・BUN値の測定に加えて,血清シスタチンCによる推定糸球体濾過量の算出や,蓄尿によるクレアチニンクリアランスの算出等,筋肉量による影響を受けにくい腎機能評価を実施すること.

投与中に腎機能障害が発現した場合は,直ちに投与を中止し,腎機能不全の治療に十分な知識と経験を有する医師との連携のもとで適切な処置を行うこと.

投与中に感染症等の合併症を発症し,抗生物質を併用した場合には,投与継続の可否を慎重に検討し,投与を継続する場合は特に頻回に検査を実施すること.また,投与終了後も頻回の検査を実施して観察を十分に行うこと.(「相互作用」の項参照)

感染症を合併した患者,高度な意識障害(Japan Coma Scale 100以上)のある患者においては,致命的な経過をたどる例が多く報告されているので,投与に際してはリスクとベネフィットを十分考慮すること.

特に高齢者においては,致命的な経過をたどる例が多く報告されているので注意すること.

相互作用

併用注意

抗生物質
(セファゾリンナトリウム,セフォチアム塩酸塩,ピペラシリンナトリウム等)
腎機能障害が増悪するおそれがあるので,併用する場合には頻回に腎機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)機序は不明であるが,本剤は主として腎臓から排泄されるため,腎排泄型の抗生物質との併用により,腎臓への負担が増強する可能性が考えられる.

副作用

副作用発現状況の概要

脳梗塞急性期

承認時までの国内臨床試験(アンプル製剤承認時)

総症例数569例中26例(4.57%)30件の副作用が報告されている.主な副作用は肝機能障害16件(2.81%),発疹4件(0.70%)等であった.また,臨床検査値の異常変動は569例中122例(21.4%)に認められ,主なものはAST(GOT)上昇7.71%(43/558),ALT(GPT)上昇8.23%(46/559)等の肝機能検査値異常であった.

承認後における調査(アンプル製剤再審査終了時)

使用成績調査

3,882例中報告された副作用は431例(11.10%)709件であった.主な副作用は肝障害・肝機能異常160件(4.12%),AST(GOT)上昇79件(2.04%),ALT(GPT)上昇59件(1.52%),LDH上昇34件(0.88%),γ-GTP上昇33件(0.85%),ALP上昇24件(0.62%),腎機能障害22件(0.57%)等であった.

製造販売後臨床試験

194例中報告された副作用は20例(10.31%)30件であった.主な副作用は肝障害・肝機能障害5件(2.58%),不眠症2件(1.03%),発熱2件(1.03%)等であった.また,臨床検査値の異常変動は194例中52例(26.80%)に認められ,主なものはAST(GOT)上昇17件(8.76%),ALT(GPT)上昇12件(6.19%),血清尿酸上昇10件(5.15%),クレアチニン上昇9件(4.64%)等であった.

小児の脳梗塞を対象とした特定使用成績調査

118例中報告された副作用は5例(4.24%)6件であり,主な副作用は肝障害・肝機能異常4件(3.39%)であった.

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

承認時までの国内臨床試験(効能追加承認時)

総症例数317例中37例(11.7%)46件の副作用が報告されている.主な副作用は発疹4件(1.3%),肝障害4件(1.3%),高血圧3件(0.9%),γ-GTP上昇3件(0.9%),尿中ブドウ糖陽性3件(0.9%)等であった.

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

急性腎不全(0.26%),ネフローゼ症候群(0.02%)

急性腎不全,ネフローゼ症候群があらわれることがあるので,頻回に腎機能検査を実施し観察を十分に行うこと.腎機能低下所見や乏尿等の症状が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)

劇症肝炎(頻度不明),肝機能障害(0.24%),黄疸(頻度不明)

劇症肝炎等の重篤な肝炎,AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTP,LDH,ビリルビン等の著しい上昇を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,頻回に肝機能検査を実施し観察を十分に行うこと.異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)

血小板減少(0.08%),顆粒球減少(頻度不明)

血小板減少,顆粒球減少があらわれることがあるので,頻回に血液検査を実施し観察を十分に行うこと.異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(0.08%)

播種性血管内凝固症候群があらわれることがあるので,定期的に血液検査を行うこと.播種性血管内凝固症候群を疑う血液所見や症状があらわれた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.

急性肺障害(頻度不明)

発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常を伴う急性肺障害があらわれることがあるので,患者の状態を十分に観察し,このような症状があらわれた場合には,投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと.

横紋筋融解症(頻度不明)

横紋筋融解症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.

ショック,アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

ショック,アナフィラキシー(蕁麻疹,血圧低下,呼吸困難等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.

発現頻度は脳梗塞急性期患者を対象とした国内臨床試験,承認後の調査結果及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象とした国内臨床試験(効能追加承認時)に基づき算出した.

その他の副作用

 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症注)発疹発赤,腫脹,膨疹,そう痒感紅斑(多形滲出性紅斑等)
血液赤血球減少,白血球増多,白血球減少,ヘマトクリット値減少,ヘモグロビン減少,血小板増加,血小板減少  
注射部位 注射部発疹,注射部発赤腫脹 
肝臓総ビリルビン値上昇,ウロビリノーゲン陽性,AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇,LDH上昇,Al-P上昇,γ-GTP上昇ビリルビン尿 
腎臓BUN上昇,血清尿酸上昇,蛋白尿,血尿,クレアチニン上昇血清尿酸低下多尿
消化器 嘔気,嘔吐 
その他発熱,血清コレステロール上昇,トリグリセライド上昇,血清総蛋白減少,CK(CPK)上昇,CK(CPK)低下,血清カリウム低下,血清カリウム上昇,尿中ブドウ糖陽性熱感,血圧上昇,血清コレステロール低下,血清カルシウム低下,頭痛 
発現頻度は脳梗塞急性期患者を対象とした国内臨床試験,承認後の調査結果及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象とした国内臨床試験(効能追加承認時)に基づき算出した.注)このような場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので,副作用があらわれた場合は投与を中止し,適切な処置を行うこと.特に高齢者においては,致命的な経過をたどる例が多く報告されているので注意すること.(「重要な基本的注意」の項参照)

妊婦,産婦,授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい.〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.〕

授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること.〔動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている.〕

小児等への投与

小児等に対する安全性は確立していない.(脳梗塞急性期:使用経験が少ない,ALS:使用経験がない.)

適用上の注意

投与時

高カロリー輸液,アミノ酸製剤との混合又は同一経路からの点滴はしないこと.〔混合すると,その後エダラボンの濃度低下を来すことがある.〕

抗痙攣薬の注射液(ジアゼパム,フェニトインナトリウム等)と混合しないこと.〔白濁することがある.〕

カンレノ酸カリウムと混合しないこと.〔白濁することがある.〕

その他の注意

本剤投与中あるいは投与後に,脳塞栓の再発又は脳内出血が認められたとの報告がある.

24時間持続静注によるイヌ28日間投与毒性試験において,60mg/kg/日以上の用量で,四肢動作の限定,歩行異常等の症状及び病理組織検査における末梢神経及び脊髄(背索)の神経線維変性が観察されたとの報告がある.

薬物動態

<参考>ラジカット注30mgの薬物動態

血中濃度1)

健康成人男子(5例)及び65歳以上の健康高齢者(5例)に本剤を体重1kg当たり0.5mg,30分かけて1日2回2日間反復点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移及び初回投与時の血漿中未変化体濃度推移から求めたパラメータは次のとおりである.

(注)本剤の脳梗塞急性期で承認された1回用量は30mg,筋萎縮性側索硬化症(ALS)で承認された1回用量は60mgである.

(mean±S.D.)

薬物動態パラメータ健康成人男子(5例)健康高齢者(5例)
Cmax(ng/mL)888±1711041±106
t1/2α(h)0.27±0.110.17±0.03
t1/2β(h)2.27±0.801.84±0.17

健康成人男子及び健康高齢者いずれにおいても血漿中未変化体濃度はほぼ同様に消失し,蓄積性は認められなかった.

血清蛋白結合率2)

エダラボン(5μM及び10μM)のヒト血清蛋白及びヒト血清アルブミンに対する結合率は,92%及び89〜91%であった(in vitro).

代謝1)

健康成人男子及び健康高齢者の血漿中における主代謝物は硫酸抱合体であり,グルクロン酸抱合体も検出された.一方,尿中においては主代謝物はグルクロン酸抱合体であり,硫酸抱合体も認められた.

排泄1)

健康成人男子及び健康高齢者に本剤を1日2回2日間反復点滴静脈内投与(0.5mg/kg/30分×2回/日)したとき,各回投与12時間までに尿中に未変化体として0.7〜0.9%,代謝物として71.0〜79.9%が排泄された.

(注)本剤の脳梗塞急性期で承認された1回用量は30mg,筋萎縮性側索硬化症(ALS)で承認された1回用量は60mgである.

臨床成績

脳梗塞急性期3)4)5)6)7)

発症後72時間以内の脳梗塞急性期患者※1を対象に実施した,プラセボ対照の二重盲検群間比較試験において,エダラボン群は神経症候,日常生活動作障害の改善を示した.最終全般改善度における改善率の差は32.8%(95%信頼区間:20.3〜45.3%)であり,順位和検定でエダラボン群とプラセボ群の間に有意な差が認められた.この内,発症後24時間以内に投与を開始した患者においては,最終全般改善度における改善率の差は48.2%(95%信頼区間:26.6〜69.7%)であった.全症例及び発症後24時間で層別した最終全般改善度(改善以上)は表1のとおりである.

表1 最終全般改善度で改善以上であった患者の割合

 エダラボン群プラセボ群
全症例
発症後72時間以内に投与を開始
64.8%(81例/125例)32.0%(40例/125例)
発症後24時間以内に投与を開始73.8%(31例/42例)25.6%(10例/39例)

また,全症例における3ヵ月以内の退院日(入院中の場合は3ヵ月後)に評価した機能予後(modified Rankin Scale)に関し,エダラボン群とプラセボ群の間に順位和検定で有意な差が認められ,「全く症状なし」の率においてエダラボン群がプラセボ群を上回った(エダラボン群:22.3%(27例/121例),プラセボ群:10.0%(12例/120例)).この内,発症後24時間以内に投与を開始した患者において,「全く症状なし」の率はエダラボン群:34.1%(14例/41例),プラセボ群:2.9%(1例/35例)であった.
なお,両群とも基礎治療として濃グリセリン・果糖を原則併用している.

上記を含む承認時までの全臨床試験における1回30mg投与症例の全般改善度の改善率(改善以上)は,発症後72時間以内の患者※1においては65.9%(178例/270例)であったが,発症後24時間以内の患者においては70.3%(71例/101例)と効果はより顕著であった.

※1 ラジカット注30mg開発時の臨床試験は主として発症後72時間以内の脳梗塞急性期患者を対象に実施された.この全症例を対象にした解析において有効性が認められたが,層別解析の結果,発症後24時間以内に投与を開始した症例において効果がより顕著であったため,承認された用法・用量においては「発症後24時間以内に投与を開始」と設定された.

(注)ラジカット注30mgの承認された用法・用量の抜粋

発症後24時間以内に投与を開始し,投与期間は14日以内とする.

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

本剤投与による生存期間への影響を確認する試験は実施されていない.

プラセボ対照二重盲検比較試験(検証的試験2回目)8)

ALS患者(El Escorial改訂Airlie House診断基準の「Definite」又は「Probable」に該当し,ALS重症度分類1度又は2度,努力性肺活量(%FVC)が80%以上及び罹病期間が2年以内)を対象に,本剤60mg又はプラセボを6クール※2点滴静注した結果,主要評価項目である改訂ALS機能評価尺度(ALSFRS-R)の変化量は表2のとおりであり,投与群間で統計学的に有意な差が認められた.

表2 ALSFRS-Rスコア変化量

投与群評価例数a) ALSFRS-Rスコアb) 変化量d)e) プラセボ群との比較e)
第1クール投与開始前最終評価時c) 群間差[95%信頼区間]p値
プラセボ群6641.9±2.235.0±5.6−7.50±0.662.49[0.99,3.98]0.0013
本剤群6841.9±2.537.5±5.3−5.01±0.64
a)第3クール完了例(投与開始81日後到達症例)が評価対象b)平均値±標準偏差c)第6クール投与終了2週後又は中止時(LOCF)d)調整済平均値±標準誤差e)投与群,前観察期ALSFRS-Rスコア変化量,El Escorial改訂Airlie House診断基準及び年齢を因子とした分散分析モデルに基づく

プラセボ対照二重盲検比較試験(検証的試験1回目)9)

ALS患者(El Escorial改訂Airlie House診断基準の「Definite」,「Probable」又は「Probable-laboratorysupported」に該当し,ALS重症度分類1度又は2度,%FVCが70%以上及び罹病期間が3年以内)を対象に,本剤60mg又はプラセボを6クール※2点滴静注した結果,主要評価項目であるALSFRS-Rの変化量は表3のとおりであり,投与群間で統計学的に有意な差は認められなかった.

表3 ALSFRS-Rスコア変化量

投与群評価例数a) ALSFRS-Rスコアb) 変化量d)e) プラセボ群との比較e)
第1クール投与開始前最終評価時c) 群間差[95%信頼区間]p値
プラセボ群9941.1±2.935.1±7.4−6.35±0.840.65[−0.90,2.19]0.4108
本剤群10040.5±3.535.3±7.1−5.70±0.85
a)第3クール完了例(投与開始81日後到達症例)が評価対象b)平均値±標準偏差c)第6クール投与終了2週後又は中止時(LOCF)d)調整済平均値±標準誤差e)投与群,前観察期ALSFRS-Rスコア変化量,初発症状(球症状/四肢症状)及びリルゾール併用有無を因子とした分散分析モデルに基づく

ALS重症度分類3度の患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験10)

ALS重症度分類3度のALS患者を対象に,本剤60mg又はプラセボを6クール※2点滴静注した結果,主要評価項目であるALSFRS-Rの変化量は表4のとおりであり,投与群間で統計学的に有意な差は認められなかった.

表4 ALSFRS-Rスコア変化量

投与群評価例数a) ALSFRS-Rスコアb) 変化量d)e) プラセボ群との比較e)
第1クール投与開始前最終評価時c) 群間差[95%信頼区間]p値
プラセボ群1234.6±3.329.2±4.9−6.00±1.83−0.52[−5.62,4.58]0.8347
本剤群1332.5±5.526.6±9.9−6.52±1.78
a)第3クール完了例(投与開始81日後到達症例)が評価対象b)平均値±標準偏差c)第6クール投与終了2週後又は中止時(LOCF)d)調整済平均値±標準誤差e)投与群及び前観察期ALSFRS-Rスコア変化量を因子とした分散分析モデルに基づく

※2 1日1回14日間の連日投与とそれに続く14日間の休薬期間を第1クールとし,第1クール終了後に,14日間のうち1日1回計10日間の投与とそれに続く14日間の休薬期間から成るクールを5回繰り返した(第2〜6クール).

薬効薬理

作用機序

ヒドロキシルラジカル(・OH)等のフリーラジカルが虚血に伴う脳血管障害の主要な1因子であることは数多く報告されており,虚血ないし虚血−再開通時にはアラキドン酸代謝系の異常亢進等によりフリーラジカルの産生が増加する.このフリーラジカルは細胞膜脂質の不飽和脂肪酸を過酸化することにより細胞膜傷害ひいては脳機能障害を引き起こす.
また,筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症並びに病勢進展は原因不明であるが,フリーラジカルによる酸化ストレスが関与している可能性が示唆されている.
本剤は,フリーラジカルを消去し脂質過酸化を抑制する作用により,脳細胞(血管内皮細胞・神経細胞)の酸化的傷害を抑制する.
すなわち,脳梗塞急性期に対しては,脳浮腫,脳梗塞,神経症候,遅発性神経細胞死などの虚血性脳血管障害の発現及び進展(増悪)を抑制することにより脳保護作用を示す.筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対しても,神経細胞の酸化的傷害を抑制することで病勢進展の抑制を示す.

脳梗塞急性期に対する作用

脳神経保護作用6)

NAA(N-acetyl aspartate)は特異的生存神経細胞マーカーであり,脳梗塞発症直後より減少し24時間以降傷害組織ではほとんど観察されなくなるとされる.脳梗塞急性期患者に本剤を投与し,1H-MRS(magnetic resonance spectroscopy)により測定したところ,梗塞巣中心部のNAAは,第28病日においてコントロール群に比し有意に保持されていた.

梗塞周辺領域血流量低下に対する抑制作用7)

脳梗塞急性期患者(8例)に本剤を投与し,133Xe-SPECT(シングルフォトン断層法)により局所脳血流量を測定したところ,機能予後(modified Rankin Scale)の良好例(5例)では,梗塞周辺領域の局所脳血流量低下に対して抑制作用が認められた.

脳虚血モデルに対する脳保護作用11)12)13)14)15)16)

脳浮腫及び脳梗塞抑制作用,神経症候軽減作用

虚血性脳血管障害モデル(ラット)において,虚血後若しくは虚血再開通後の静脈内投与(3mg/kg)は,脳浮腫及び脳梗塞の進展を抑制し,随伴する神経症候を軽減した.

遅発性神経細胞死抑制作用

前脳虚血再開通モデル(ラット)において,再開通直後の静脈内投与(3mg/kg)は,遅発性神経細胞死を抑制した.

フリーラジカル消去作用11)12)17)18)19)

フリーラジカル消去作用及び脂質過酸化抑制作用(in vitro)

エダラボンは,ヒドロキシルラジカル消去作用を示した.また,ヒドロキシルラジカルによるリノール酸の過酸化及び脳ホモジネートの脂質過酸化を濃度依存的に抑制した.更に,水溶性及び脂溶性ペルオキシルラジカルによる人工リン脂質膜リポソームの脂質過酸化を抑制した.

脳虚血モデルに対するフリーラジカル消去作用

ラット脳虚血モデルに対し脳保護作用を示した用量(3mg/kg)の静脈内投与は,虚血周辺部位及び虚血再開通部位におけるヒドロキシルラジカルの増加を抑制した.

フリーラジカルによる血管内皮細胞傷害に対する抑制作用(in vitro)

1μMから15-HPETE(hydroperoxyeicosatetraenoic acid)による培養血管内皮細胞傷害を抑制した.

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態に関連した試験20)

家族性ALSの原因遺伝子とされる変異型スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を導入したトランスジェニックラットに対し,エダラボン3mg/kg/hを1時間かけて静脈内投与(2日間投与し2日間休薬を繰り返す用法)し,ラットの正向反射消失時まで投与したとき,四肢の運動機能を総合的に評価する傾斜板の角度について,雌で有意な低下抑制作用が認められた.

有効成分に関する理化学的知見

一般名エダラボン
一般名(欧名)Edaravone
化学名5-Methyl-2-phenyl-2,4-dihydro-3H-pyrazol-3-one
分子式C10H10N2O
分子量174.20
融点127〜131℃
性状白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末.
エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けやすく,水に溶けにくい.
KEGG DRUGD01552

取扱い上の注意

製品の安定性を保持するため脱酸素剤を封入しているので,プラスチックバッグの外包装は使用直前まで開封しないこと.また,開封後は速やかに使用すること.

外包装内に挿入している酸素検知剤の色が,ピンク以外になっている場合は使用しないこと.

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上,適切に実施すること.

包装

ラジカット点滴静注バッグ30mg

100mL×10袋

主要文献


1. 横田愼一 他,  臨床薬理,  28 (3),  693-702,  (1997) »J-STAGE
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作業情報


改訂履歴

2015年6月 改訂
2016年12月 改訂 (第10版 D11)

文献請求先

田辺三菱製薬株式会社
541-8505
大阪市中央区道修町3-2-10
0120-753-280

業態及び業者名等

製造販売元
田辺三菱製薬株式会社
大阪市中央区道修町3-2-10


[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2020/6/17 版