出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢患者では、症状の悪化、治療期間の延長をきたすおそれがある。]
通常成人1回2錠を1日3回経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 細菌性下痢患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。治療期間の延長をきたすおそれがある。
9.5 妊婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
18.1 作用機序
ベルベリン塩化物水和物・ゲンノショウコエキス配合錠は腸管ぜん動抑制作用をはじめ、腸管平滑筋収縮抑制作用、抗菌作用、腸内腐敗・醗酵抑制作用、胆汁分泌促進作用、収れん作用などの薬理作用に基づく止しゃ作用を発現する。
18.2 薬効を裏付ける試験成績
18.2.1 止しゃ作用
ベルベリン塩化物水和物及びゲンノショウコエキス配合剤はヒマシ油及び塩化バリウム誘発下痢(マウス、
in vivo)を抑制した
18)。
18.2.2 抗菌作用
ベルベリン塩化物水和物及びゲンノショウコエキス配合剤は腸炎ビブリオやキャンピロバクターに対し抗菌活性を示した
19)(
in vitro)。
18.2.3 腸管平滑筋収縮抑制作用
ベルベリン塩化物水和物及びゲンノショウコエキス配合剤はアセチルコリン、バリウム及び経壁電気刺激によるモルモット摘出腸管(回腸及び結腸)の収縮を抑制した
18)。
18.2.4 腸管ぜん動抑制作用
腸管ぜん動抑制作用は腸管において、ベルベリン塩化物水和物単独で認められており、ゲンノショウコエキスの配合により更に抑制作用が増大された
20)(イヌ)。
18.2.5 腸内腐敗・醗酵抑制作用
ベルベリン塩化物水和物は大腸菌のトリプトファナーゼによるインドールの産生を抑制する
21)22)(
in vitro)。
18.2.6 胆汁分泌促進作用
ベルベリン塩化物水和物は肝臓での胆汁生成を促進し、胆汁分泌を増大させる
23)24)(イヌ)。
18.2.7 収れん作用
ゲンノショウコエキス中に含まれるタンニンが消化管粘膜に付着して被膜を作り収れん作用を示す。このタンニンは大部分がgeraniinから成り、刺激性が少なく消化管壁に対して好ましい性質と考えられている
7)。
ゲンノショウコエキスはウサギ血液ヘモグロビンに対する結合活性を指標とした試験で収れん作用を示す
25)(
in vitro)。
アルミピロー包装開封後は湿気を避けて保存すること。