医療用医薬品 : ポラプレジンク

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医薬品情報


総称名 ポラプレジンク
一般名 ポラプレジンク
欧文一般名 Polaprezinc
製剤名 ポラプレジンク口腔内崩壊錠
薬効分類名 亜鉛含有胃潰瘍治療剤
薬効分類番号 2329
KEGG DRUG
D01611 ポラプレジンク
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ポラプレジンクOD錠75mg「サワイ」 (後発品) POLAPREZINC OD Tablets[SAWAI] 沢井製薬 2329027F1037 14.3円/錠

4. 効能または効果

胃潰瘍

6. 用法及び用量

通常、成人にはポラプレジンクとして1回75mgを1日2回朝食後及び就寝前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行がみられたとの報告がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど患者の状態を観察しながら投与することが望ましい。一般に消化器機能が低下していることがある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ペニシラミン製剤同時に服用することにより、併用薬剤の効果を減弱するおそれがあるので、やむを得ず投与する場合には、同時に服用させないなど注意して投与すること。同時投与した場合、本剤が併用薬剤とキレートを形成し、吸収を低下させる可能性がある。
レボチロキシンナトリウム同時に服用することにより、併用薬剤の効果を減弱するおそれがあるので、やむを得ず投与する場合には、同時に服用させないなど注意して投与すること。同時投与した場合、本剤が併用薬剤とキレートを形成し、吸収を低下させる可能性がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、γ-GTP、Al-Pの上昇等の肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.2 銅欠乏症(頻度不明)
本剤は亜鉛を含有するため、亜鉛により銅の吸収が阻害され銅欠乏症を起こすことがある。栄養状態不良の患者で銅欠乏に伴う汎血球減少や貧血が報告されている。
注1)発現頻度の算出には使用成績調査を含む
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%〜1%未満0.1%未満頻度不明
過敏症 発疹、そう痒感蕁麻疹
血液好酸球増多、白血球減少、血小板減少  
肝臓AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇  
消化器便秘、嘔気、腹部膨満感嘔吐、胸やけ、下痢 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシート誤飲により硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.2 薬剤服用時の注意
14.2.1 本剤は舌の上にのせ唾液を湿潤させ舌で軽くつぶし、崩壊後唾液のみで服用可能である。また、水で服用することもできる。なお、本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。
14.2.2 本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜から吸収されることはないため、唾液、又は水で飲み込むこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与(絶食下)
健康成人男性にポラプレジンク顆粒15% 0.5g又はポラプレジンク口腔内崩壊錠1錠(ポラプレジンクとして75mg)を単回経口投与した結果、血漿中亜鉛濃度より得られた薬物動態パラメータは以下の通りであり、顆粒と口腔内崩壊錠は生物学的に同等であることが確認されている1)
単回投与における薬物動態パラメータ
(顆粒15%:水で服用,口腔内崩壊錠75mg:水で服用)
顆粒15%口腔内崩壊錠75mg
AUC0-12(μg・hr/mL)16.85±2.9616.31±2.63
Cmax(μg/mL)2.42±0.412.33±0.38
Tmax(hr)1.84±0.501.47±0.61
単回投与における薬物動態パラメータ
(顆粒15%:水で服用,口腔内崩壊錠75mg:水なしで服用)
顆粒15%口腔内崩壊錠75mg
AUC0-12(μg・hr/mL)17.20±2.3316.56±2.29
Cmax(μg/mL)2.33±0.282.19±0.29
Tmax(hr)1.95±1.002.30±1.03
16.1.2 生物学的同等性試験
ポラプレジンクOD錠75mg「サワイ」とプロマックD錠75を健康成人男子にそれぞれ1錠(ポラプレジンクとして75mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中亜鉛濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)
各製剤1錠投与時の薬物動態パラメータ
  Cmax(μg/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)AUC0-12hr(μg・hr/mL)
水なしポラプレジンクOD錠75mg「サワイ」2.17±0.262.2±0.77.7±3.815.42±1.44
プロマックD錠752.12±0.212.2±0.77.1±1.415.40±1.31
水ありポラプレジンクOD錠75mg「サワイ」2.14±0.381.9±0.77.3±2.214.77±1.67
プロマックD錠752.01±0.232.0±0.77.9±2.714.56±1.46
<水なしで服用時の血中濃度曲線>
血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性6名に朝食後にポラプレジンク顆粒をポラプレジンクとして150mg投与すると、絶食下にポラプレジンク顆粒をポラプレジンクとして150mg投与した際に比べ、Tmaxは延長し、Cmax及びAUCが低下したことから、食事の影響が認められた3)
16.3 分布
16.3.1 胃粘膜への分布
ラット酢酸潰瘍においてポラプレジンク3mg/kgを単回経口投与した結果、潰瘍部位の亜鉛濃度は投与後12時間まで投与前値(内因性亜鉛濃度)に比べ高値を示した4)
16.4 代謝
ポラプレジンクは吸収過程で亜鉛とL-カルノシンに解離し、L-カルノシンはさらにL-ヒスチジン及びβ-アラニンに代謝される。これらアミノ酸及び吸収された亜鉛は、それぞれ内因性の代謝系に従って挙動するものと考えられた3)5)6)7)
16.5 排泄
16.5.1 尿中排泄
健康成人男性6名にポラプレジンク顆粒を反復経口投与(1日目:ポラプレジンクとして150mgを朝食後に投与、2〜6日目:ポラプレジンクとして150mgを1日3回毎食後投与、7日目:ポラプレジンクとして150mgを朝食絶食下投与)した際の亜鉛の尿中排泄率注2)は、150mg単回投与において、絶食時0.47%であった。また、1回150mg1日3回7日間連続投与において、1日の尿中亜鉛排泄率は、0.21%〜0.46%であった3)
注2)ポラプレジンク非投与時の内因性尿中亜鉛量を差し引いて算出。
16.5.2 糞中排泄
健康成人男性6名にポラプレジンク顆粒をポラプレジンクとして1回300mg絶食下経口投与による糞中亜鉛の累積排泄率は、投与後24時間までで41.4%、投与後48時間までで58.8%であった3)。ポラプレジンク投与後24時間までの累積において、糞中に排泄された亜鉛量は、投与前の約2倍であったが、亜鉛の吸収率は低いことから、未吸収の亜鉛によるものと考えられる。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 第III相試験
16歳以上75歳以下で、内視鏡検査により胃潰瘍(潰瘍のステージA1、A2)と診断された患者299例を対象に、ポラプレジンク顆粒をポラプレジンクとして1日150mg(75mg1日2回)または塩酸セトラキサート800mg(200mg1日4回)を8週間、または内視鏡検査で潰瘍の治癒が確認されるまで投与した。内視鏡的治癒率は、最終判定においてポラプレジンク顆粒群51.1%(67/131例)、塩酸セトラキサート群38.6%(49/127例)であった。自他覚症状改善度及び内視鏡判定を総合した最終改善度判定で、著明改善の率はポラプレジンク顆粒群で50.4%(66/131例)、塩酸セトラキサート群で37.0%(47/127例)であった。副作用は両群で1例も認められなかった8)
17.1.2 一般臨床試験
16歳以上75歳以下で、内視鏡検査により胃潰瘍(潰瘍のステージA1、A2、H1)の合併が確認された慢性肝炎・肝硬変症の患者10例(慢性肝炎6例、肝硬変4例)を対象に、ポラプレジンク顆粒をポラプレジンクとして1日150mg(75mg1日2回)12週間、または内視鏡検査で潰瘍の治癒が確認されるまで投与した。8週後の累積治癒率は40.0%(2/5例)であった。自他覚症状改善度及び内視鏡判定を総合した最終改善度判定では、著明改善の率は8週後に40.0%(2/5例)、12週後に33.3%(1/3例)、最終評価時50.0%(3/6例)であった。副作用は1例も認められなかった9)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ポラプレジンクは、胃粘膜損傷部位に特異的に付着し10)、再生粘膜における増殖細胞の促進、潰瘍部位のヒドロキシプロリン量を増加させ創傷治癒促進作用を示す11)12)。また、内因性プロスタグランジンを介さず、抗酸化作用及び膜安定化作用により直接細胞保護作用を示す13)
18.2 実験潰瘍に対する作用
ラットにおける急性潰瘍モデルである水浸拘束ストレス潰瘍、塩酸エタノール潰瘍、無水エタノール潰瘍、幽門結紮アスピリン潰瘍、低温拘束ストレス潰瘍、熱傷ストレス潰瘍及び虚血−再血流胃粘膜損傷に対し、抑制効果を示す。また、ラットにおける慢性潰瘍モデルである酢酸潰瘍、鉄−アスコルビン酸潰瘍に対して治癒促進効果を認め、ヒドロコルチゾン負荷酢酸潰瘍に対しても再発・再燃抑制作用を示す14)15)16)17)18)19)20)21)
18.3 胃粘膜への付着性
潰瘍底及び潰瘍辺縁部粘膜に対する親和性が高く、長時間付着し、潰瘍部位を被覆し、直接保護して治癒促進効果を示す4)10)(ラット)。
18.4 胃粘膜防御能に対する作用
正常ラットの胃粘膜電位差、胃粘膜被覆粘液量及び胃粘膜血流量にはほとんど影響を及ぼさず、アスピリン胃内適応により生ずる胃粘膜電位差の低下、無水エタノール投与による胃粘膜被覆粘液量及び胃粘膜血流量の減少を抑制する14)22)23)24)
18.5 細胞保護作用
ラットの胃粘膜プロスタグランジンE2量には影響を及ぼさず、内因性プロスタグランジンを介さない細胞保護作用を示す13)(ラット)。
18.6 膜安定化作用
胃粘膜障害によるライソゾーム酵素の遊離及び肥満細胞の脱顆粒を抑制する作用を有する19)in vitro)。
18.7 フリーラジカルに対する作用
活性酸素の消去作用、多形核白血球からの活性酸素産生抑制作用及び過酸化脂質生成抑制作用を示す25)in vitro)。また、フリーラジカル反応の関与する虚血−再血流胃粘膜損傷及び鉄−アスコルビン酸潰瘍において過酸化脂質量の増加を抑制する18)21)26)(ラット)。
18.8 創傷治癒促進作用
モルモット皮膚切創モデルにおいて耐創張力、ヒドロキシプロリン量及び血管新生量を増加させ、ラット酢酸潰瘍に対しても、再生粘膜における増殖細胞の促進、潰瘍部位のヒドロキシプロリン量を増加させ、創傷治癒促進作用を示す11)12)
18.9 生物学的同等性試験
ラット塩酸エタノール胃粘膜損傷モデルを用い、ポラプレジンクOD錠75mg「サワイ」とプロマックD錠75の胃粘膜損傷抑制作用について比較検討した。その結果、両剤ともコントロール群に比して有意な胃粘膜損傷抑制作用を示し、また、両剤間に有意な差は認められず、両剤の生物学的同等性が確認された27)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ポラプレジンク

一般的名称 ポラプレジンク
一般的名称(欧名) Polaprezinc
化学名 catena-Poly{zinc-μ-[β-alanyl-L-histidinato(2-)-N,NN,ONτ]}
分子式 (C9H12N4O3Zn)n
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。水、メタノール又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
KEGG DRUG D01611

22. 包装

PTP
100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)
バラ[乾燥剤入り]
200錠

23. 主要文献

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  2. 竹内譲他, 診療と新薬, 47 (9), 828-838, (2010)
  3. 柴田久雄, 薬理と治療, 20 (1), 149-163, (1992)
  4. 会田浩幸他, Ther.Res., 13 (6), 2413-2422, (1992)
  5. Sano,H.et al., Arzneim.Forsch./Drug Res., 41 (II), 965-975, (1991)
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  27. 社内資料:生物学的同等性試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966
製品情報問い合わせ先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
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26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版