医療用医薬品 : テルビナフィン塩酸塩

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医薬品情報


総称名 テルビナフィン塩酸塩
一般名 テルビナフィン塩酸塩
欧文一般名 Terbinafine Hydrochloride
薬効分類名 アリルアミン系抗真菌剤
薬効分類番号 2659
ATCコード D01AE15
KEGG DRUG
D02219 テルビナフィン塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年9月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
テルビナフィン塩酸塩クリーム1%「JG」 (後発品) 日本ジェネリック 2659710N1187 9.5円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

下記の皮膚真菌症の治療
白癬、体部白癬、股部白癬
指間びらん症、間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む)
癜風

6. 用法及び用量

1日1回患部に塗布する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
9.7 小児等
低出生体重児又は新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症そう痒症、紅斑発疹、蕁麻疹、血管浮腫
適用部位接触皮膚炎、発赤、刺激感鱗屑、落屑、皮膚亀裂湿疹、皮膚乾燥、疼痛、色素沈着、皮膚灼熱感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
眼科用として角膜、結膜には使用しないよう指導すること。誤って眼に入った場合は、刺激症状があらわれることがあるので、流水で十分に目をすすぐよう指導すること。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
動物実験(モルモット)において、本剤に弱い光毒性が認められている。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人背部にテルビナフィン塩酸塩1%クリームを塗布し、24時間にわたって血漿中濃度を測定したところ、いずれの測定時点においても検出限界(1ng/mL)以下であった1)
16.2 吸収
健康成人背部にテルビナフィン塩酸塩1%クリームを塗布し、24時間にわたって血漿中濃度を測定した結果、薬剤の回収率から推定される吸収率は約5%であった1)
16.8 その他
16.8.1 ケラチンへの吸着性
角質層の主要構成成分であるヒトケラチンへのテルビナフィン塩酸塩の吸着性を検討したところ、73〜98%の吸着率が得られた。一方、一旦ケラチンに吸着されたテルビナフィン塩酸塩は、緩衝液で洗浄することにより遊離され、ほぼ100%の薬剤活性が回収されたことから、ケラチンがテルビナフィン塩酸塩の貯蔵器として活性型薬剤の濃度維持に役立っていると考えられる2)in vitro)。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相試験
白癬(足部白癬、体部白癬、股部白癬)患者33例(解析対象例数)を対象にテルビナフィン塩酸塩1%クリーム1日1回塗布による有効性及び安全性を検討した結果、有効率(「有効」以上)は足部白癬81.8%、体部白癬91.7%、股部白癬90.0%であった。テルビナフィン塩酸塩1%クリーム塗布による副作用は認められなかった3)
17.1.2 国内第II相試験
白癬(足部白癬(手部白癬を含む)、体部白癬、股部白癬)、カンジダ症(指間びらん症、間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む)及び癜風患者315例(1日1回塗布群148例、2回塗布群167例)を対象に実施した二重盲検比較試験において、テルビナフィン塩酸塩1%クリームを1日1回塗布又は1日2回塗布による有効性及び安全性を検討した結果、有効率(「有効」以上)は足部白癬で1日1回塗布群は72.2%、2回塗布群78.4%、体部白癬は1日1回塗布群75.0%、2回塗布群82.6%、股部白癬は1日1回塗布群88.9%、2回塗布群87.5%、カンジダ症は指間びらん症で1回塗布群60.0%、2回塗布群81.8%、間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む)は1回塗布群89.7%、2回塗布群88.2%、癜風は1回塗布群93.3%、2回塗布群86.5%であった。いずれも両群間に有意差は認められなかった。
副作用発現率は、1回塗布群で2.7%(4/148例)、2回塗布群で3.6%(6/167例)であり、副作用は、1回塗布群でそう痒・発赤の悪化1.4%(2/148例)、発赤の悪化及び接触皮膚炎が各0.7%(1/148例)、2回塗布群で接触皮膚炎1.2%(2/167例)、そう痒の悪化、発赤、水疱の悪化、紅斑、刺激感が各0.6%(1/167例)であった4)
17.1.3 国内第III相試験
白癬(足部白癬(手部白癬を含む)、体部白癬、股部白癬)、カンジダ症(指間びらん症)、間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む)及び癜風患者544例(テルビナフィン塩酸塩1%クリーム群265例、ビフォナゾール群279例)を対象に、ビフォナゾール1%クリームを対照薬にテルビナフィン塩酸塩1%クリーム1日1回塗布による有効性及び安全性を検討するため二重盲検比較試験を実施した結果、有効率(「有効」以上)は足部白癬でテルビナフィン塩酸塩1%クリーム群73.2%、ビフォナゾール群74.2%、体部白癬はテルビナフィン塩酸塩1%クリーム群81.6%、ビフォナゾール群77.3%、股部白癬はテルビナフィン塩酸塩1%クリーム群92.1%、ビフォナゾール群74.3%、カンジダ症は指間びらん症でテルビナフィン塩酸塩1%クリーム群85.7%、ビフォナゾール群90.5%、間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む)はテルビナフィン塩酸塩1%クリーム群94.9%、ビフォナゾール群80.0%、癜風はテルビナフィン塩酸塩1%クリーム群80.6%、ビフォナゾール群84.6%であった。テルビナフィン塩酸塩1%クリーム群の副作用発現率は、1.1%(3/265例)であり、副作用は、発赤の悪化、そう痒感及び刺激が各0.4%(1/265例)であった5)
17.3 その他
健康成人の無傷背部皮膚表面にテルビナフィン塩酸塩1%クリーム及び基剤を用いたパッチテスト並びに光パッチテストの結果では、皮膚刺激性は認められていない6)7)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
テルビナフィン塩酸塩は真菌細胞内のスクアレンエポキシダーゼを選択的に阻害し、スクアレンの蓄積並びにエルゴステロール含量の低下をもたらし抗真菌作用を示す8)9)。皮膚糸状菌に対しては低濃度で細胞膜構造を破壊し、殺真菌的に作用する9)10)。また、C.albicansに対しては低濃度から部分的発育阻止効果を示し、高濃度では直接的細胞膜障害作用により抗真菌活性をあらわす11)
18.2 抗真菌作用
18.2.1 テルビナフィン塩酸塩は広い抗真菌スペクトルをもち、皮膚糸状菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、カンジダ属及び癜風菌(Malassezia furfur)に対して優れた抗真菌活性が認められている12)13)14)in vitro)。
18.2.2 テルビナフィン塩酸塩は皮膚糸状菌(T.rubrumT.mentagrophytes)に対して0.001〜0.01μg/mLの最小発育阻止濃度(MIC)を示す15)。また、T.mentagrophytes発芽分生子に対し低濃度で明らかな殺真菌作用を示す13)in vitro)。
18.2.3 テルビナフィン塩酸塩はC.albicansに対して0.098μg/mL以上の濃度で酵母形から菌糸形への変換を阻止し16)、1μg/mL以上の濃度では酵母形増殖に対し静真菌作用を示す11)in vitro)。
18.3 実験的白癬に対する作用
モルモットのT.mentagrophytes感染に対しテルビナフィン塩酸塩1%外用剤1日1回塗布により、治療開始4日目には明らかな症状の改善がみられ、2週間後には優れた真菌学的治療効果が認められている17)。また、テルビナフィン塩酸塩1%外用剤をT.mentagrophytes接種1〜3日前に局所に単回塗布した場合、感染後14日間経過する期間を通して発症は全くみられなかったことから、薬効の持続性が示された。これはテルビナフィン塩酸塩の良好な皮膚貯留性に基づくものと考えられる18)
18.4 生物学的同等性試験
テルビナフィン塩酸塩クリーム1%「JG」またはラミシールクリーム1%をそれぞれモルモットのT.mentagrophytes感染に対し、菌接種後5日目より1日1回14日間塗布し、症状の推移を観察した。テルビナフィン塩酸塩クリーム1%「JG」塗布群は塗布開始4日目以降症状の改善がみられ、無処置群に対して有意な真菌学的治療効果が認められた。観察期間終了時の菌陽性率は6.0%であり、無処置群(菌陽性率83.0%)と比較し有意な菌陰性化が認められた。テルビナフィン塩酸塩クリーム1%「JG」とラミシールクリーム1%では、両剤の間に有意差は認められず、両剤の生物学的同等性が確認された19)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. テルビナフィン塩酸塩

一般的名称 テルビナフィン塩酸塩
一般的名称(欧名) Terbinafine Hydrochloride
化学名 (2E)-N,6,6-Trimethyl-N-(naphthalen-1-ylmethyl)hept-2-en-4-yn-1-amine monohydrochloride
分子式 C21H25N・HCl
分子量 327.89
融点 約205℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。
メタノール、エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けやすく、水に溶けにくい。
1.0gを水1000mLに溶かした液のpHは3.5〜4.5である。
KEGG DRUG D02219

22. 包装

10本[10g(チューブ)×10]

23. 主要文献

  1. 第十八改正 日本薬局方解説書, C3413-C3417, (2021), (廣川書店)
  2. 内田勝久 他, 日本医真菌学会雑誌, 34 (2), 207-212, (1993) »DOI
  3. 香川三郎 他, 西日本皮膚科, 53 (5), 1033-1037, (1991) »DOI
  4. 福代良一 他, 西日本皮膚科, 53 (4), 785-806, (1991) »DOI
  5. Terbinafine研究会, 西日本皮膚科, 53 (6), 1268-1287, (1991) »DOI
  6. 中山秀夫 他, 西日本皮膚科, 53 (5), 1043-1053, (1991) »DOI
  7. 大畑恵之 他, 西日本皮膚科, 53 (5), 1038-1042, (1991) »DOI
  8. Ryder,N.S., Antimicrob.Agents Chemother., 27 (2), 252-256, (1985) »PubMed
  9. Ryder,N.S., Clin.Exp.Dermatol., 14 (2), 98-100, (1989) »PubMed
  10. 西山彌生 他, 日本医真菌学会雑誌, 32 (2), 165-175, (1991) »DOI
  11. 平谷民雄 他, 日本医真菌学会雑誌, 33 (1), 9-18, (1992) »DOI
  12. Petranyi,G.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 31 (9), 1365-1368, (1987) »PubMed
  13. 平谷民雄 他, 日本医真菌学会雑誌, 32 (4), 323-332, (1991) »DOI
  14. 内田勝久 他, 日本医真菌学会雑誌, 32 (4), 343-346, (1991) »DOI
  15. Schuster,I.et al., “Preclinical characteristics of allylamines.”in Berg,D.et al.eds.Sterol Biosynthesis Inhibitors:Pharmaceutical and Agrochemical Aspects., 449-470, (1988), (Pbl.:Ellis Horwood Ltd.,Chichester(UK))
  16. Schaude,M.et al., Mykosen., 30 (6), 281-287, (1987) »PubMed
  17. 内田勝久 他, 日本医真菌学会雑誌, 32 (4), 333-342, (1991) »DOI
  18. 内田勝久 他, 日本医真菌学会雑誌, 34 (2), 199-206, (1993) »DOI
  19. 社内資料:生物学的同等性試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172
製品情報問い合わせ先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日本ジェネリック株式会社
東京都港区芝五丁目33番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版