医療用医薬品 : レボブノロール塩酸塩

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医薬品情報


総称名 レボブノロール塩酸塩
一般名 レボブノロール塩酸塩
欧文一般名 Levobunolol Hydrochloride
製剤名 レボブノロール塩酸塩点眼液
薬効分類名 緑内障・高眼圧症治療剤
薬効分類番号 1319
ATCコード S01ED03
KEGG DRUG
D01025 レボブノロール塩酸塩
KEGG DGROUP
DG03201 眼圧降下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2022年7月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
レボブノロール塩酸塩PF点眼液0.5%「日点」 (後発品) Levobunolol Hydrochloride PF Ophthalmic Solution ロートニッテン 1319744Q1046 161.9円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 気管支喘息又はその既往歴のある患者、気管支痙攣又は重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者[喘息発作の誘発・増悪がみられるおそれがある。][11.1.2参照]
2.3 コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(第II、III度)又は心原性ショックのある患者[これらの症状を増悪させるおそれがある。][11.1.3参照]

4. 効能または効果

緑内障、高眼圧症

6. 用法及び用量

通常、1回1滴を1日1回点眼する。十分な眼圧下降効果が持続しない場合は1回1滴、1日2回まで点眼可能である。

7. 用法及び用量に関連する注意

1日1回又は2回点眼において、1回2滴以上を点眼しても効果は変わらないため、過量点眼にならないように注意すること。

8. 重要な基本的注意

全身的に吸収される可能性があり、β-遮断剤全身投与時と同様の副作用があらわれるおそれがあるので、留意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 うっ血性心不全のある患者
うっ血性心不全の症状を増悪させるおそれがある。[11.1.3参照]
9.1.2 コントロール不十分な糖尿病患者
低血糖症の徴候や症状をマスクするおそれがある。
9.1.3 糖尿病性ケトアシドーシス及び代謝性アシドーシスのある患者
アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。
9.1.4 甲状腺中毒症の疑いのある患者
ある種の甲状腺機能亢進症の臨床的徴候(例えば頻脈)をマスクするおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[15.2参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下していることが多い。

10. 相互作用

10.2 併用注意
アドレナリン
ジピベフリン塩酸塩
散瞳が起こる可能性がある。機序不明
カテコールアミン枯渇剤
レセルピン等
交感神経系に対し、過剰の抑制を来すことがあり、低血圧、徐脈を生じ、眩暈、失神、起立性低血圧を起こすことがある。カテコールアミンの枯渇を起こす薬剤は、β-遮断作用を相加的に増強する可能性がある。
β-遮断剤(全身投与)
アテノロール
プロプラノロール塩酸塩
メトプロロール等
眼内圧あるいはβ-遮断剤の全身的な作用が増強されることがある。作用が相加的にあらわれることがある。
ジギタリス製剤
ジゴキシン
ジギトキシン等
房室伝導時間を更に延長することがある。相加的に作用を増強する可能性がある。
カルシウム拮抗剤
ベラパミル塩酸塩
ジルチアゼム塩酸塩等
房室伝導障害、左室不全、低血圧を起こすおそれがある。相互に作用が増強される。
フェノチアジン関連化合物
クロルプロマジン等
血圧降下を引き起こす可能性がある。代謝を阻害する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 眼類天疱瘡(頻度不明)
結膜充血、角膜上皮障害、乾性角結膜炎、結膜萎縮、睫毛内反、眼瞼眼球癒着等が発現することがある。
11.1.2 気管支痙攣、呼吸困難、呼吸不全、喘息発作(いずれも頻度不明)
β-受容体遮断による気管支平滑筋収縮作用により、気管支痙攣、呼吸困難、呼吸不全があらわれることがある。[2.2参照]
11.1.3 心ブロック、うっ血性心不全、心停止(いずれも頻度不明)
β-受容体遮断による陰性変時・変力作用により、心ブロック、うっ血性心不全、心停止があらわれることがある。[2.39.1.1参照]
11.1.4 脳虚血、脳血管障害(いずれも頻度不明)
11.1.5 失神(頻度不明)
11.1.6 全身性エリテマトーデス(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満
しみる、眼痛、角膜炎、結膜充血、眼瞼炎、霧視、そう痒感、眼瞼発赤
循環器徐脈、右脚ブロック
精神神経系頭痛、めまい

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。
・薬液汚染防止のため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
・点眼に際しては、原則として仰臥位をとり、患眼を開瞼して結膜のう内に点眼し、1〜5分間閉瞼して涙のう部を圧迫させた後、開瞼すること。
・他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも5分以上間隔をあけてから点眼すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
アレルギー性結膜炎等に罹患している患者に対する使用経験は少なく、安全性は確立していない。
15.2 非臨床試験に基づく情報
ウサギ催奇形性試験において、臨床用量の200倍又は700倍に相当する量を投与すると、胎児毒性(吸収胚数の増加が確認される)が認められた。[9.5参照]

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
0.5%レボブノロール塩酸塩を健康成人(n=6)の片眼に1滴単回点眼した結果、1及び2時間後の採血ポイントにおいて、血漿中濃度は検出限界(1.0ng/mL)未満であった1)
16.1.2 反復投与
0.5%レボブノロール塩酸塩を健康成人(n=6)の両眼に1日1滴ずつ6日間点眼した結果、全ての採血ポイントにおいて、血漿中濃度は検出限界(0.5ng/mL)未満であった2)
16.2 吸収
0.5%14C-レボブノロール塩酸塩点眼液を白色ウサギに単回点眼したところ、速やかに眼内に移行した。放射能濃度は外眼部組織である結膜、瞬膜及び角膜で点眼後10分に、前眼部組織である房水及び虹彩・毛様体で点眼後30分に最高に達した3)
16.3 分布
0.5%14C-レボブノロール塩酸塩点眼液を白色ウサギに単回点眼した後に前眼部組織で確認された放射能は、点眼後4時間には最高値の10%以下まで減少した。視神経及び硝子体への分布は少なかった。一方、有色ウサギは白色ウサギに比べメラニン含有組織である虹彩・毛様体及び網膜・脈絡膜に高い放射能濃度が認められ、その消失は遅かった3)
16.5 排泄
健康成人の両眼に0.5%レボブノロール塩酸塩を1日1滴ずつ6日間点眼し、初回点眼以降最終点眼後48時間までの総点眼量に対する累積尿中排泄率は5.5%であった2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 0.25%チモロールマレイン酸塩点眼液を対照とした国内第III相比較試験
原発開放隅角緑内障及び高眼圧症の患者236名を対象に、0.5%レボブノロール塩酸塩点眼液を1回1滴、1日1回(朝)及びプラセボ点眼液を1回1滴、1日1回(夕)(LV群)、又は0.25%チモロールマレイン酸塩点眼液を1回1滴、1日2回(朝・夕)(TM群)、8週間両眼に点眼する二重盲検比較試験を実施した。
眼圧下降効果の有効以上の有効率は、LV群81.7%(94/115例)、TM群80.5%(91/113例)であった。ハンディキャップ方式(Δ=0.1)で両群間の同等性が検証された(P=0.0144、90%信頼区間:−0.0731〜0.0973)。
副作用は115例中5例(4.3%)に認められ、角膜炎3例(2.6%)、結膜充血1例(0.9%)、結膜浮腫1例(0.9%)、眼瞼発赤1例(0.9%)、顔面紅斑1例(0.9%)であった4)
17.1.2 0.5%チモロールマレイン酸塩点眼液を対照とした国内第III相比較試験
0.25%チモロールマレイン酸塩点眼液等で十分な効果が得られなかったか、又は得られないと考えられ、かつ0.5%チモロールマレイン酸塩点眼液1日2回点眼で眼圧がコントロールされている原発開放隅角緑内障及び高眼圧症の患者92例を対象とした。0.5%チモロールマレイン酸塩点眼液の点眼を中止後にwashout期間を設けずに0.5%レボブノロール塩酸塩点眼液(LV群)、又は0.5%チモロールマレイン酸塩点眼液(TM群)を1回1滴、1日2回(朝・夕)、12週間両眼に点眼する二重盲検比較試験を実施した。
点眼終了時の眼圧について、ハンディキャップ方式(Δ=0.05、0.9mmHg)で両群間の同等性が検証された(P=0.013、90%信頼区間(mmHg):−0.6711〜0.5823)。「コントロール可」とされた症例は、LV群95.6%(43/45例)、TM群97.8%(44/45例)であり、眼圧コントロールに有意な差は認められなかった(P=1.000、Fisherの直接確率法)。
副作用は46例中2例(4.3%)に認められ、しみる1例(2.2%)、徐脈1例(2.2%)であった5)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
高眼圧症患者におけるトノグラフィー試験において、レボブノロール塩酸塩の眼圧下降作用は主に房水産生の抑制によることが示唆された6)
18.2 眼圧下降作用
18.2.1 ウサギの水負荷高眼圧7)、α-キモトリプシン誘発高眼圧7)、フェニレフリン誘発高眼圧8)及びサルの線維柱帯障害高眼圧モデルにおいて、レボブノロール塩酸塩の点眼は眼圧を有意に下降させた。
18.2.2 原発開放隅角緑内障・高眼圧症患者にレボブノロール塩酸塩を単回点眼した場合、瞳孔径にほとんど影響を及ぼすことなく眼圧下降作用を24時間まで持続させた9)
18.3 眼組織血流量増加作用
健康成人にレボブノロール塩酸塩を単回点眼した場合、視神経乳頭血流量等の有意な増加がみられた10)
18.4 β-受容体遮断作用
マウス、イヌにレボブノロール塩酸塩を経口又は静脈内投与した場合、イソプロテレノールにより惹起された心拍数の増加は用量依存的に抑制され、レボブノロール塩酸塩のβ-受容体遮断作用はプロプラノロールより数倍強力であった11)。またモルモットの摘出気管及び心房を用いたβ1、β2受容体に対する選択性を検討したところ、レボブノロール塩酸塩は両受容体に対し選択性を示さなかった7)
18.5 α1-受容体遮断作用
レボブノロール塩酸塩はα1作動薬フェニレフリンによるウサギの摘出毛様体筋の収縮を濃度依存的かつ競合的に抑制した8)
18.6 生物学的同等性試験
レボブノロール塩酸塩PF点眼液0.5%「日点」とミロル点眼液0.5%を健康成人男子を対象としてそれぞれ1滴両眼に点眼し、2群(クロスオーバー法)の眼圧値を測定した。各測定時点の眼圧値及び得られたパラメータ(最高眼圧変化量、眼圧値−時間曲線下面積)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された12)
 最高眼圧変化量(mmHg)眼圧値−時間曲線下面積(mmHg・hr)
レボブノロール塩酸塩PF点眼液0.5%「日点」3.6±0.5323.2±29.9
ミロル点眼液0.5%3.5±0.5323.4±29.7
眼圧値ならびに最高眼圧変化量、眼圧値−時間曲線下面積のパラメータは、被験者の選択、眼圧の測定回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. レボブノロール塩酸塩

一般的名称 レボブノロール塩酸塩
一般的名称(欧名) Levobunolol Hydrochloride
化学名 (−)-(S)-5-[3-[(1,1-Dimethylethyl)amino]-2-hydroxypropoxy]-3,4-dihydro-1(2H)-naphthalenone monohydrochloride
分子式 C17H25NO3・HCl
分子量 327.85
融点 207〜212℃
物理化学的性状 白色〜帯赤白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。水、メタノール又はジメチルスルホキシドに溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、2-プロパノールに溶けにくい。光によって徐々に変化する。
KEGG DRUG D01025

20. 取扱い上の注意

20.1 開栓後4週間経過した場合は、残液を使用しないこと。
20.2 アルミピロー包装開封後は、遮光して保存すること。

22. 包装

プラスチック点眼容器 5mL×5本、5mL×10本

23. 主要文献

  1. 恩田鋭治 他, 臨床医薬, 13, 2533-2544, (1997)
  2. 恩田鋭治 他, 臨床医薬, 13, 2545-2557, (1997)
  3. 伊澤成 他, あたらしい眼科, 14, 287-297, (1997)
  4. 臨床試験成績のまとめ(ミロル点眼液0.5%:2000年7月3日承認、申請資料概要 ト.I.4)
  5. 臨床試験成績のまとめ(ミロル点眼液0.5%:2000年7月3日承認、申請資料概要 ト.I.5)
  6. Yablonsky ME,et al., Exp Eye Res., 44, 49-54, (1987) »PubMed
  7. 建入徳栄 他, あたらしい眼科, 10, 1239-1246, (1993)
  8. 光岡康広 他, あたらしい眼科, 14, 801-806, (1997)
  9. 山本哲也 他, あたらしい眼科, 14, 1119-1125, (1997)
  10. 小笠原博宣 他, 日眼会誌, 103, 544-550, (1999) »PubMed
  11. β受容体遮断作用(ミロル点眼液0.5%:2000年7月3日承認、申請資料概要 ホ.I.3)
  12. 社内資料:生物学的同等性試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ロートニッテン株式会社 医薬情報問合せ窓口
〒457-0038 名古屋市南区桜本町40番地の2
電話:0120-691-910
FAX:052-823-9115
製品情報問い合わせ先
ロートニッテン株式会社 医薬情報問合せ窓口
〒457-0038 名古屋市南区桜本町40番地の2
電話:0120-691-910
FAX:052-823-9115

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ロートニッテン株式会社
名古屋市南区桜本町40番地の2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/11/19 版