医療用医薬品 : イソバイド

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医薬品情報


総称名 イソバイド
一般名 イソソルビド
欧文一般名 Isosorbide
製剤名 イソソルビドシロップ
薬効分類名 経口浸透圧利尿・メニエール病改善剤
薬効分類番号 2139
KEGG DRUG
D00347 イソソルビド
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2022年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
イソバイドシロップ70% ISOBIDE SYRUP 70% 興和 2139001S1060 3.5円/mL 処方箋医薬品注)
イソバイドシロップ70%分包20mL ISOBIDE SYRUP 70% 興和 2139001S3020 74.1円/包 処方箋医薬品注)
イソバイドシロップ70%分包23mL ISOBIDE SYRUP 70% 興和 2139001S4027 80.7円/包 処方箋医薬品注)
イソバイドシロップ70%分包30mL ISOBIDE SYRUP 70% 興和 2139001S2032 105.9円/包 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤及び本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 急性頭蓋内血腫のある患者[急性頭蓋内血腫を疑われる患者に、頭蓋内血腫の存在を確認することなく本剤を投与した場合、脳圧により、一時止血していたものが、頭蓋内圧の減少とともに再び出血し始めることもあるので、出血源を処理し、再出血のおそれのないことを確認しない限り本剤を投与しないこと。]

4. 効能または効果

脳腫瘍時の脳圧降下、頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下、腎・尿管結石時の利尿、緑内障の眼圧降下、メニエール病

6. 用法及び用量

<脳腫瘍時の脳圧降下、頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下、腎・尿管結石時の利尿、緑内障の眼圧降下>
脳圧降下、眼圧降下、及び利尿を目的とする場合には、通常成人1日量70〜140mLを2〜3回に分けて経口投与する。症状により適宜増量する。
必要によって冷水で2倍程度に希釈して経口投与する。
<メニエール病>
メニエール病の場合には、1日体重当り1.5〜2.0mL/kgを標準用量とし、通常成人1日量90〜120mLを毎食後3回に分けて経口投与する。症状により適宜増減する。
必要によって冷水で2倍程度に希釈して経口投与する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 脱水状態の患者
本剤の利尿作用により症状を悪化させることがある。
9.1.2 尿閉のある患者
本剤の利尿作用により症状を悪化させることがある。
9.1.3 うっ血性心不全のある患者
浸透圧利尿作用のため循環血液量が増大し、心臓に負担をかけることがある。
9.2 腎機能障害患者
本剤の利尿作用により症状を悪化させることがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
発疹、呼吸困難、血圧低下、動悸等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
消化器嘔気、悪心、下痢、嘔吐、食欲不振 
精神神経系不眠、頭痛 
過敏症 発疹、紅斑
電解質 電解質異常(長期連用による)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
分包品は服用直前まで開封しないこと。服用後の残液は廃棄し、保存しないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性3例に本剤30mLを単回経口投与したとき、半減期(T1/2)は6.84±0.17時間(平均値±標準偏差、以下同様)、血清中薬物濃度−時間曲線下面積(AUC)は4.61±0.47mg・hr/mL、体内平均滞留時間(MRT)は10.68±0.80時間、分布容積(Vd)は0.66±0.03L/kgであった1)
16.5 排泄
健康成人男性3例に本剤30mLを単回経口投与したとき、投与24時間後には投与量の約80%が未変化体で尿中に排泄された1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<脳腫瘍時の脳圧降下>
17.1.1 国内臨床試験
脳腫瘍に伴う脳圧亢進を有する患者に本剤1日70〜140mLを1〜69日間経口投与した結果、有効率は84.3%(75/89例)であった。副作用は2/89例(2.2%)に認められ、悪心1例(1.1%)、嘔吐1例(1.1%)であった。
<頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下>
17.1.2 国内臨床試験
頭部外傷に起因する脳圧亢進を有する患者に本剤1日70〜140mLを2〜30日間経口投与した結果、有効率は96.9%(63/65例)であった。副作用は8/65例(12.3%)に認められ、下痢4例(6.2%)、上腹部熱感2例(3.1%)、食欲不振1例(1.5%)、嘔気1例(1.5%)であった。
<腎・尿管結石時の利尿>
17.1.3 国内臨床試験
腎・尿管結石に伴い利尿を必要とする患者に本剤1日70〜140mLを1〜140日間経口投与した結果、有効率は72.9%(43/59例)であった。副作用は悪心3/59例(5.1%)であった。
<緑内障の眼圧降下>
17.1.4 国内臨床試験
緑内障患者に本剤1日70〜140mLを経口投与した結果、有効率は94.0%(63/67例)であった。副作用は5/67例(7.5%)に認められ、悪心2例(3.0%)、嘔吐2例(3.0%)、口渇1例(1.5%)であった2)
<メニエール病>
17.1.5 国内臨床試験
メニエール病患者に本剤1日30〜140mL注)を4〜449日間経口投与した臨床試験(二重盲検試験を含む)の結果、有用率は有用以上40.2%(86/214例)、やや有用以上66.4%(142/214例)であった。副作用は20/214例(9.3%)に認められ、主な副作用は頭痛4例(1.9%)、胃のもたれ(胃もたれ感)3例(1.4%)、嘔気3例(1.4%)、不眠3例(1.4%)であった3)4)
注)本剤のメニエール病に対して承認された用法及び用量は「1日体重当り1.5〜2.0mL/kgを標準用量とし、通常成人1日量90〜120mLを毎食後3回に分けて経口投与する。症状により適宜増減する。」である。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
体内でほとんど代謝を受けないため、濃厚液を大量に投与すると組織中の水分を血液中に移動させる。腎糸球体で容易にろ過され、糸球体ろ過量(GFR)を増加させる。尿細管で再吸収されないため、尿細管腔内の浸透圧が上昇し、水の再吸収が抑制される。その結果、電解質及び水の排泄が増加し、組織中の水分量が減少するため、頭蓋内圧や眼圧、及び内リンパ圧が低下する。
18.2 利尿作用
イヌにイソソルビドを経口投与(1〜2g/kg)したところ、30分で尿量が増大した5)
18.3 脳圧降下作用
イヌ(n=9)にイソソルビドを経口投与(3g/kg)したところ、脳脊髄圧は平均36%低下し、1〜1.5時間後に最低値に達した6)
18.4 眼圧降下作用
家兎にイソソルビドを経口投与(2g/kg)したところ、眼圧は45分後に最低値に達した7)
18.5 内リンパ圧降下作用
内リンパ水腫モルモットにイソソルビドを頸静脈投与(1.6mL/kg(85w/v%))したところ、内リンパ圧は5〜10分でほぼ0に近い低下を示した8)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. イソソルビド

一般的名称 イソソルビド
一般的名称(欧名) Isosorbide
化学名 1,4:3,6-Dianhydro-D-glucitol
分子式 C6H10O4
分子量 146.14
物理化学的性状 白色の結晶又は塊で、においはないか、又は僅かに特異なにおいがあり、味は苦い。水又はメタノールに極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けにくい。吸湿性である。
KEGG DRUG D00347

20. 取扱い上の注意

20.1 500mL瓶を開封後は密栓し、冷所に保存すること。
20.2 本剤は保存条件により、多少色調の変化が見られることがあるが、薬効には影響はない。

22. 包装

<イソバイドシロップ70%>
プラスチックボトル:500mL×1瓶、500mL×6瓶
<イソバイドシロップ70%分包20mL>
分包:21包
<イソバイドシロップ70%分包23mL>
分包:30包
<イソバイドシロップ70%分包30mL>
分包:21包

23. 主要文献

  1. 脇屋義文他, 病院薬学, 22, 145-8, (1996)
  2. 行徳勝明他, 眼科臨床医報, 62, 25-8, (1968)
  3. 北原正章他, 薬理と治療, 14, 1055-66, (1986)
  4. 北原正章他, 薬理と治療, 15, 2975-90, (1987)
  5. Shinaberger JH,et al., J Pharmacol Exp Ther., 158, 460-70, (1967) »PubMed
  6. Wise BL,et al., J Neurosurg., 25, 183-8, (1966) »PubMed
  7. Becker B,et al., Arch Ophthalmol., 78, 147-50, (1967) »PubMed
  8. 松原秀春, 薬理と治療, 13, 5087-90, (1985)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本新薬株式会社 製品情報担当
〒601-8550 京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14
電話:フリーダイヤル 0120-321-372
075-321-9064
FAX:075-321-9061
製品情報問い合わせ先
日本新薬株式会社 製品情報担当
〒601-8550 京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14
電話:フリーダイヤル 0120-321-372
075-321-9064
FAX:075-321-9061

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
興和株式会社
東京都中央区日本橋本町三丁目4-14
26.2 販売元
日本新薬株式会社
京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2023/03/22 版