医療用医薬品 : エミレース

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医薬品情報


総称名 エミレース
一般名 ネモナプリド
欧文一般名 Nemonapride
製剤名 ネモナプリド錠
薬効分類名 抗精神病剤
薬効分類番号 1179
KEGG DRUG
D01468 ネモナプリド
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年10月 改訂(第4版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
エミレース錠3mg Emilace Tablets 3mg LTLファーマ 1179036F1024 13円/錠 劇薬, 処方箋医薬品注)
エミレース錠10mg Emilace Tablets 10mg LTLファーマ 1179036F2020 40.5円/錠 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 昏睡状態の患者、又はバルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[本剤の作用が過度にあらわれるおそれがある。]
2.2 パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者[錐体外路症状が悪化するおそれがある。]

4. 効能または効果

統合失調症

6. 用法及び用量

通常、成人にはネモナプリドとして1日9〜36mgを食後に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日60mgまで増量することができる。

8. 重要な基本的注意

8.1 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
8.2 制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者
心電図変化、血圧低下等があらわれることがある。
9.1.2 てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下させることがある。
9.1.3 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊症状のある患者
悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい。[11.1.1参照]
9.1.4 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。[11.1.4参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害を悪化させるおそれがある。[11.1.3参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。動物実験(ラット)で周産期死亡が増加したとの報告がある。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状(新生児薬物離脱症候群)や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
9.6 授乳婦
投与中は授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行がみられている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。肝機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
ペントバルビタールナトリウム等
中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、必要に応じ本剤を減量すること。本剤は中枢ドパミン受容体遮断作用を有し、両剤の相加的中枢神経抑制作用を示す。
アルコール(飲酒)中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、必要に応じ本剤を減量すること。アルコールは中枢神経抑制作用を有し、両剤が相加的に作用する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 悪性症候群(Syndrome malin)(0.1%未満)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
なお、他の抗精神病剤で、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。[9.1.3参照]
11.1.2 無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明)
11.1.3 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、LDH上昇、黄疸等があらわれることがある。[9.3参照]
11.1.4 肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明)
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.4参照]
発現頻度は、承認時までの臨床試験及び使用成績調査結果に基づいている。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満0.1%未満
錐体外路症状パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎等)、ジスキネジア(舌のもつれ、言語障害、眼球回転、急性ジストニア、嚥下困難等)、アカシジア(静坐不能)口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア) 
精神神経系 不眠、不安、傾眠、眠気、過剰鎮静、興奮、無力症、うつ状態、知覚異常、脱力倦怠感、焦燥感、イライラ感、頭痛、めまい・ふらつき痙攣発作、躁状態等
自律神経系 口渇、発汗、尿閉 
内分泌 月経異常、乳汁分泌 
 霧視 
循環器 血圧低下、心悸亢進血圧上昇、徐脈、心電図変化等
肝臓 AST(GOT)・ALT(GPT)・Al-P・γ-GTP上昇等の肝機能障害 
消化器 便秘、嘔気、嘔吐、食欲不振食欲亢進、下痢等
皮膚 発疹 
その他 貧血、体重増加体重減少等

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
外国で実施された高齢認知症患者を対象とした17の臨床試験において、非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6〜1.7倍高かったとの報告がある。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 イヌの亜急性及び慢性毒性試験で前立腺の萎縮、またラットの生殖試験で妊娠率の低下を起こすとの報告がある。
15.2.2 雌マウスに長期間経口投与した試験において、臨床最大常用量の30倍(20mg/kg/日)以上で乳腺腫瘍の発生頻度及びその110倍(70mg/kg/日)以上で下垂体腫瘍の発生頻度が、対照群に比し高いとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人に単回経口投与したときの各パラメータ(n=6)1)
投与量(mg)Tmax(h)Cmax(ng/mL)t1/2(h)AUC0-10h(ng・h/mL)
32.330.774.52.85
62.171.182.33.69
16.4 代謝
本剤は、ヒトにおいて主として肝臓の薬物代謝酵素CYP3A4で代謝されることが、in vitro試験により確認されている。尿中主代謝物はN-脱メチル化、脱ベンジル化及びピロリジン核のα位の酸化によって生じる代謝物である2)
16.5 排泄
健康成人に経口投与した場合、投与後24時間の尿中には未変化体は検出されなかった2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
統合失調症を対象とした最終全般改善度3)4)5)6)
試験名中等度改善以上
用量設定試験68/220(30.9%)
二重盲検比較試験51/173(29.5%)
119/393(30.3%)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
行動薬理ならびに神経化学実験の結果より、主としてD2-ドパミン受容体遮断作用に基づく中枢ドパミン神経系の抑制によるものと考えられる7)8)9)10)
18.2 ドパミン作動薬に対する拮抗作用
メタンフェタミン又はアポモルヒネにより誘発される常同行動(ラット)、運動亢進(マウス)等の行動変化に対して顕著な抑制作用を示し、これらの作用はハロペリドールと同程度か又はやや強く、クロルプロマジンより強い。更に、メタンフェタミン逆耐性動物(マウス)における常同行動、運動亢進も抑制する11)12)13)14)
18.3 条件行動抑制作用
条件回避行動、自己刺激行動(ラット)を顕著に抑制し、いずれの作用もハロペリドールとほぼ同程度であり、クロルプロマジンより強い13)
18.4 カタレプシー誘発作用
ラットにおける常同行動抑制作用に対する相対的なカタレプシー誘発作用は、ハロペリドールより弱い13)15)16)
18.5 その他
中枢神経系に対して、ハロペリドールより弱いヘキソバルビタール睡眠の増強(マウス)、脳波の徐波化(ネコ)などの鎮静作用を示した。
循環器系に対しては降圧及び徐脈等を示した(イヌ)。
その他には顕著な影響は認められなかった17)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ネモナプリド

一般的名称 ネモナプリド
一般的名称(欧名) Nemonapride
化学名 (±)-cis-N-(1-Benzyl-2-methylpyrrolidin-3-yl)-5-chloro-2-methoxy-4-methylaminobenzamide
分子式 C21H26ClN3O2
分子量 387.91
融点 150〜153℃
物理化学的性状 ネモナプリドは白色の結晶又は結晶性の粉末である。酢酸(100)又はクロロホルムに溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。本品のクロロホルム溶液(1→10)は旋光性を示さない。
KEGG DRUG D01468

22. 包装

<エミレース錠3mg>
100錠[10錠(PTP)×10]
<エミレース錠10mg>
100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. 岡島詳泰 他, 神経精神薬理, 11 (7), 555-562, (1989)
  2. 社内報告書:健康成人・薬物動態(D199200994-01.00), (1989)
  3. 村崎光邦 他, 薬理と治療, 17 (9), 4347-4365, (1989)
  4. 工藤義雄 他, 臨床医薬, 5 (9), 1813-1840, (1989)
  5. 森 温理 他, 臨床評価, 17 (3,4), 349-377, (1989)
  6. 工藤義雄 他, 臨床医薬, 5 (10), 2149-2175, (1989)
  7. Terai,M.et al., Eur.J.Pharmacol., 173, 173-182, (1989)
  8. Shibanoki,S.et al., Pharmacol.Biochem Behav., 34, 355-360, (1989) »PubMed
  9. 社内報告書:ラット・薬理作用(D199200951-01.00), (1989)
  10. 小林利雄 他, 薬物・精神・行動, 10, 331-334, (1990)
  11. 臼田眞治, 薬学雑誌, 107 (9), 711-719, (1987) »DOI
  12. 越谷和雄 他, 薬理と治療, 17 (6), 2583-2587, (1989)
  13. 臼田眞治 他, 薬理と治療, 18 (10), 3883-3906, (1990)
  14. Kuribara,H.et al., Jpn.J.Pharmacol., 52, 489-492, (1990) »PubMed
  15. Yamamoto,M.et al., Neuropharmacology, 21, 945-951, (1982) »PubMed
  16. Wanibuchi,F.et al., Psychopharmacology, 102, 339-342, (1990) »PubMed
  17. 藤原 明 他, 基礎と臨床, 23 (12), 4433-4458, (1989)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
LTLファーマ株式会社 コールセンター
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目10番1号
電話:フリーダイヤル 0120-303-711
製品情報問い合わせ先
LTLファーマ株式会社 コールセンター
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目10番1号
電話:フリーダイヤル 0120-303-711

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
LTLファーマ株式会社
東京都新宿区西新宿6丁目10番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版