17.1.1 国内後期第II相用量検索二重盲検群間比較試験
不眠を主訴とし、常時睡眠薬の投与を必要とする慢性不眠症患者を対象に、ゾルピデム酒石酸塩(5mg、10mg、15mg
注))又はプラセボを1日1回就寝直前に14日間投与した。主治医の評価による睡眠症状全般改善度の「中等度改善」以上の改善率はプラセボ群で27.8%(10例/36例)、5mg群で52.6%(20例/38例)、10mg群で60.0%(24例/40例)、15mg群
注)で55.3%(21例/38例)であった。改善率の検定で10mg群、15mg群
注)がプラセボ群に有意に優り(いずれもp<0.05)、順位和検定では5mg、10mg、15mg群
注)のすべてがプラセボ群に有意に優った(いずれもp<0.01)。
副作用発現率は、プラセボ群で14.6%(7例/48例)、内訳はふらつき、頭痛、頭重感、悪夢、倦怠感各2件など、5mg群で12.2%(6例/49例)、内訳は眠気3件、倦怠感、倦怠感の悪化、疲労感の悪化各2件など、10mg群で14.9%(7例/47例)、内訳は頭痛、倦怠感各3件、ふらつき、頭重感、疲労感各2件など、15mg群
注)で16.0%(8例/50例)、内訳は眠気2件などであった
15)。
17.1.2 国内第III相二重盲検群間比較試験(Nitrazepam対照)
常時睡眠薬の投与を必要とする不眠症患者を対象に、ゾルピデム酒石酸塩10mg又はNitrazepam 5mgを1日1回就寝直前に14日間投与した。睡眠症状全般改善度の「中等度改善」以上の改善率はゾルピデム酒石酸塩群で65.6%(42例/64例)、Nitrazepam群で52.2%(35例/67例)であり、U検定でゾルピデム酒石酸塩群が有意に優った(p<0.05)。
副作用発現率は、ゾルピデム酒石酸塩群で16.5%(13例/79例)、内訳はふらつき、倦怠感各5件、眠気、残眠感各4件、めまい3件、記憶障害、頭痛各2件などであり、Nitrazepam群で18.8%(15例/80例)、内訳はふらつき5件、眠気3件、めまい、倦怠感、頭痛、悪心各2件などで両群の間に差は認められなかった
16)。
17.1.3 国内第III相二重盲検群間比較試験(Triazolam対照)
常時睡眠薬の投与を必要とする不眠症患者を対象に、ゾルピデム酒石酸塩10mg又はTriazolam 0.25mgを1日1回就寝直前に14日間投与した。睡眠症状全般改善度の「中等度改善」以上の改善率はゾルピデム酒石酸塩群で63.5%(40例/63例)、Triazolam群で75.0%(51例/68例)であり、両群間に有意な差は認められなかった。また、改善率の差の90%信頼区間は-26.2%〜3.2%であり、Δ=10%とした時の同等性推論では、ゾルピデム酒石酸塩群のTriazolam群に対する同等性(非劣性)は証明されなかった。
副作用発現率は、ゾルピデム酒石酸塩群で9.7%(7例/72例)、内訳は頭痛2件など、Triazolam群で4.1%(3例/74例)で、両群間に有意差は認められなかった
17)。
17.1.4 国内第III相二重盲検群間比較試験(同等性検証試験)(Zopiclone対照)
週3回以上の不眠を有する慢性不眠症患者(ICD-10を参考として診断)を対象に、ゾルピデム酒石酸塩10mg又はZopiclone 7.5mgを1日1回就寝直前に14日間投与した。睡眠症状全般改善度の「中等度改善」以上の改善率はゾルピデム酒石酸塩群で67.9%(142例/209例)、Zopiclone群で61.6%(135例/219例)であった。また、改善率の差の90%信頼区間は-1.7%〜14.3%であり、臨床的に許容できると考えられる改善率の差Δ=10%とした時の同等性推論では、ゾルピデム酒石酸塩群のZopiclone群に対する同等性(非劣性)が検証された。
副作用発現率は、ゾルピデム酒石酸塩群で31.3%(66例/211例)、内訳は頭痛15件、眠気13件、ふらつき9件、悪心、口渇各8件、苦味6件、残眠感5件など、Zopiclone群で45.3%(102例/225例)、内訳は苦味69件、残眠感12件、眠気、頭痛各9件、ふらつき8件、悪心6件、頭重感、倦怠感各5件などで、Zopiclone群が有意に高かった(p<0.01)
18)19)。
注)本剤の承認された用法及び用量は「通常、成人には本剤1回5〜10mgを就寝直前に経口投与する。なお、高齢者には1回5mgから投与を開始する。年齢、症状、疾患により適宜増減するが、1日10mgを超えないこととする。」である。