医療用医薬品 : アロチノロール塩酸塩

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医薬品情報


総称名 アロチノロール塩酸塩
一般名 アロチノロール塩酸塩
欧文一般名 Arotinolol Hydrochloride
製剤名 アロチノロール塩酸塩錠
薬効分類名 高血圧症・狭心症・不整脈治療剤, 本態性振戦治療剤
薬効分類番号 2123
KEGG DRUG D01830 アロチノロール塩酸塩
商品一覧 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報 2016年4月 改訂 (第12版)


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 包装 主要文献

商品情報 組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アロチノロール塩酸塩錠5mg「DSP」 Arotinolol Hydrochloride 大日本住友製薬 2123014F1094 14.3円/錠 処方箋医薬品
アロチノロール塩酸塩錠10mg「DSP」 Arotinolol Hydrochloride 大日本住友製薬 2123014F2201 21.4円/錠 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(II、III度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者〔これらの症状が悪化するおそれがある。〕

糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者〔アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。〕

気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者〔気管支を収縮させ喘息症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。〕

心原性ショックのある患者〔心機能を抑制し症状が悪化するおそれがある。〕

肺高血圧による右心不全のある患者〔心機能を抑制し症状が悪化するおそれがある。〕

うっ血性心不全のある患者〔心機能を抑制し症状が悪化するおそれがある。〕

未治療の褐色細胞腫の患者〔「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照〕

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人〔「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照〕

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果及び用法・用量

効能効果

本態性高血圧症(軽症〜中等症)、狭心症、頻脈性不整脈

通常、成人にはアロチノロール塩酸塩として、1日20mgを2回に分けて経口投与する。
なお、年齢・症状等により適宜増減することとするが、効果不十分な場合は、1日30mgまで増量することができる。

本態性振戦

通常、成人にはアロチノロール塩酸塩として、1日量10mgから開始し、効果不十分な場合は、1日20mgを維持量として2回に分けて経口投与する。
なお、年齢・症状等により適宜増減するが1日30mgを超えないこととする。

用法用量

本態性高血圧症(軽症〜中等症)、狭心症、頻脈性不整脈

通常、成人にはアロチノロール塩酸塩として、1日20mgを2回に分けて経口投与する。
なお、年齢・症状等により適宜増減することとするが、効果不十分な場合は、1日30mgまで増量することができる。

本態性振戦

通常、成人にはアロチノロール塩酸塩として、1日量10mgから開始し、効果不十分な場合は、1日20mgを維持量として2回に分けて経口投与する。
なお、年齢・症状等により適宜増減するが1日30mgを超えないこととする。

用法用量に関連する使用上の注意

褐色細胞腫の患者では、本剤投与により急激に血圧が上昇するおそれがあるので本剤を単独で投与しないこと。褐色細胞腫の患者に投与する場合には、α遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα遮断剤を併用すること。

使用上の注意

慎重投与

うっ血性心不全のおそれのある患者(観察を十分に行い、ジギタリス剤を併用するなど慎重に投与すること。)〔心機能を抑制しうっ血性心不全の症状が悪化するおそれがある。〕

特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の患者〔低血糖の前駆症状である頻脈等の交感神経系反応をマスクしやすいので血糖値に注意すること。〕

低血圧、徐脈、房室ブロック(I度)のある患者〔症状が悪化するおそれがある。〕

重篤な肝・腎機能障害のある患者〔薬物の代謝、排泄が影響をうける可能性がある。〕

高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕

末梢循環障害(レイノー症候群、間欠性跛行症等)を有する患者〔末梢血管の拡張を抑制し症状が悪化するおそれがある。〕

重要な基本的注意

投与が長期間にわたる場合は、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を定期的に行うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には減量又は中止すること。また、必要に応じアトロピンを使用すること。
なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。

類似化合物(プロプラノロール)使用中の狭心症の患者で急に投与を中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されているので、休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。
また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。狭心症以外の適用、例えば不整脈で投与する場合でも、特に高齢者においては同様の注意をすること。

手術前48時間は投与しないことが望ましい。

本態性振戦への使用にあたっては、十分な観察、診断により類似の振戦を生ずる他の疾患との区別を行い、本態性振戦と鑑別された症例のみに投与すること。

本態性振戦に投与した場合は徐脈、めまい、低血圧等が高血圧患者に投与した時にくらべ、多くみられることがあるので観察を十分に行い症状が認められた場合は減量又は中止するなどの適切な処置を行うこと。

めまい・ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期)には、自動車の運転等危険を伴う機械の作業に注意させること。

相互作用

併用注意

交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤
(レセルピン等)
過剰の抑制を来すことがある。
減量するなど慎重に投与すること。
レセルピン等の交感神経抑制作用と本剤のβ遮断作用が相加的に作用する可能性がある。
血糖降下剤血糖降下作用が増強されることがある。血糖回復作用が本剤のβ遮断作用により妨げられる可能性がある。
また、低血糖時の頻脈等の症状を本剤のβ遮断作用がマスクすることがある。
カルシウム拮抗剤
ベラパミル、ジルチアゼム等
相互に作用が増強されることがある。両剤の陰性変力作用及び房室伝導抑制作用を相加的に増強する可能性がある。
クロニジンクロニジンの投与中止後のリバウンド現象を増強し、血圧が上昇する可能性がある。クロニジンはα2受容体に選択的に作用してノルアドレナリンの遊離を抑制しているため、急激な中止により血中ノルアドレナリンが上昇する。この時、β遮断作用が存在するとノルアドレナリンのα受容体刺激作用のみが働き、急激な血圧上昇が発現する可能性がある。
クラスI抗不整脈剤
ジソピラミド、プロカインアミド、アジマリン等
アミオダロン
ソタロール
過度の心機能抑制があらわれることがある。
減量するなど慎重に投与すること。
両剤の心機能抑制作用を相加的に増強する可能性がある。
ジギタリス製剤心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれることがある。
心機能に注意し、減量するなど慎重に投与すること。
両剤の作用(心刺激伝導抑制作用)を相加的に増強する可能性がある。
フィンゴリモドフィンゴリモドの投与開始時に併用すると徐脈が増強されることがある。ともに徐脈を引き起こすおそれがある。
非ステロイド性抗炎症剤本剤の降圧作用が減弱することがある。非ステロイド性抗炎症剤は、血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成・遊離を阻害する。
降圧作用を有する薬剤降圧作用が増強することがある。
減量するなど慎重に投与すること。
両剤の降圧作用を相加的に増強する可能性がある。

副作用

副作用発現状況の概要

承認時までの臨床試験における調査症例1577例中211例(13.4%)、承認後の使用成績調査症例12734例中417例(3.3%)、計14311例中628例(4.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は徐脈177件(1.2%)、めまい・ふらつき105件(0.7%)、脱力・倦怠感64件(0.4%)であった。また、主な臨床検査値の異常は、AST(GOT)上昇36件(0.3%)、ALT(GPT)上昇39件(0.3%)、中性脂肪値の上昇33件(0.2%)、尿酸値の上昇19件(0.1%)であった。

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

心不全、房室ブロック、洞房ブロック、洞不全症候群(0.1%未満);徐脈(0.1〜5%未満)

心機能検査を定期的に行い、このような副作用が発現した場合には減量又は中止するなどの適切な処置を行うこと。

その他の副作用

 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明※2)
循環器胸痛・胸部不快感、めまい・ふらつき、立ちくらみ、低血圧心房細動、末梢循環障害(レイノー症状、冷感等)、動悸・息切れ 
精神神経系脱力・倦怠感、頭痛・頭重、眠気抑うつ、不眠 
消化器軟便・下痢、腹部不快感、腹痛、悪心・嘔吐食欲不振、消化不良、腹部膨満感、便秘 
肝臓AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇ALP、LDH、γ-GTPの上昇 
呼吸器 気管支痙攣、喘鳴、咳嗽 
泌尿・生殖器 BUN、クレアチニンの上昇インポテンス
 霧視、眼精疲労(類薬)涙液分泌減少※1)
過敏症※1) 発疹、蕁麻疹、そう痒、灼熱感 
その他中性脂肪値、尿酸値の上昇総コレステロール、空腹時血糖値、CK(CPK)の上昇、白血球増多、浮腫、しびれ、心胸郭比の増大、筋肉痛、口渇脱毛
※1)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。※2)市販後の自発報告又は類薬での報告のため頻度不明。

高齢者への投与

高齢者には、次の点に注意し、少量(例えば5mg)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。

高齢者では心機能等が低下していることが多く、過度の血圧低下や徐脈等が起こりやすい。

休薬を要する場合は、徐々に減量する(「重要な基本的注意」の項参照)。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔ラット(Wistar系)における器官形成期投与試験において、臨床用量の250倍(100mg/kg)以上で腎盂拡大が、また600倍(250mg/kg)以上で視神経欠損の自然発生頻度の増加が報告されている。〕

投与中は授乳を避けさせること。〔動物実験で母乳中へ移行することが報告されている。〕

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。

過量投与

症状

過量投与により、徐脈、完全房室ブロック、心不全、低血圧、気管支痙攣等があらわれる可能性がある。

処置

過量投与の場合は、本剤の投与を中止し、必要に応じて胃洗浄等により薬剤の除去を行うとともに、次のような処置を行うこと。

徐脈、完全房室ブロック

アトロピン、イソプレナリン等の投与や心臓ペーシングを適用すること。

心不全、低血圧

強心剤、昇圧剤、輸液等の投与や補助循環を適用すること。

気管支痙攣

β2刺激剤又はアミノフィリンの静注等の投与や補助呼吸を適用すること。

適用上の注意

薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)

薬物動態

血中濃度

健常成人に1回10mgを経口投与した場合、約2時間後に最高血中濃度(117ng/mL)に達し、その血中濃度の半減期は約10時間であった。また、連続投与による蓄積性は認められていない。

代謝・排泄

血中及び尿中の主要代謝体としてカルバモイル基が加水分解された活性代謝体が認められ、その他に2種類の代謝体が尿中に同定されている。

臨床成績

臨床効果

二重盲検比較試験を含む臨床試験成績の概要は次のとおりであった。

疾患名有効率(「中等度改善」以上)
本態性高血圧症67.3%(332例/493例)
狭心症67.0%(191例/285例)
頻脈性不整脈上室性期外収縮70.4%(38例/54例)
心室性期外収縮58.2%(78例/134例)
洞性頻脈92.5%(37例/40例)
本態性振戦59.4%(228例/384例)

薬効薬理

α、β受容体遮断作用

高血圧及び血圧が良好にコントロールされた患者を対象とした試験で、α及びβ受容体遮断作用を示し、その作用比はおよそ1:8であることが認められている。1)

降圧作用

高血圧自然発症ラット(SHR)及び脳卒中易発症ラット(SHR-SP)等の病態モデルを用いた実験で、血圧を著明に低下させ、またSHR-SPでは、高血圧に伴う心・腎等の血管病変の発生を抑制することが認められている。2)3)4)
本剤は、適度なα遮断作用により末梢血管抵抗を上昇させることなく、β遮断作用による降圧作用を示すと考えられる。

抗狭心症作用

β遮断作用により亢進した心機能を抑制し、心筋酸素消費量を減少させ、心筋酸素の需要と供給の不均衡を是正する。一方、狭心症モデル動物(イヌ)を用いた実験で、α遮断作用により冠血管抵抗を減少させる傾向が認められている。5)6)7)8)9)

抗不整脈作用

メチルクロロホルム誘発不整脈(マウス)及びメチルクロロホルム−アドレナリン誘発不整脈(イヌ)において確認されている。10)

抗振戦作用

オキソトレモリン誘発振戦(マウス)、TRH誘発振戦(マウス)及びMPTP誘発振戦(サル)において確認されている。11)12)13)
本剤は骨格筋のβ2遮断作用により抗振戦作用を発現し、その作用は末梢性であると考えられる。14)

その他の薬理作用

ラット、ウサギを用いた実験で、内因性交感神経刺激作用及び膜安定化作用は認められていない。10)

有効成分に関する理化学的知見

一般名アロチノロール塩酸塩
一般名(欧名)Arotinolol Hydrochloride
化学名5-{2-[(2RS)-3-(1,1-Dimethylethyl)amino-2-hydroxypropylsulfanyl]-1,3-thiazol-4-yl}thiophene-2-carboxamide monohydrochloride
分子式C15H21N3O2S3・HCl
分子量408.00
性状白色〜淡黄色の結晶性の粉末である。
ジメチルスルホキシドに溶けやすく、メタノール又は水に溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
メタノール溶液(1→125)は旋光性を示さない。
KEGG DRUGD01830

包装

アロチノロール塩酸塩錠5mg「DSP」

[PTP]100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)

[バラ]500錠

アロチノロール塩酸塩錠10mg「DSP」

[PTP]100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、1,000錠(10錠×100)

[バラ]500錠

主要文献


1. 竹越 襄ほか,  Jpn.Heart.J.,  24,  925,  (1983) »PubMed »DOI
2. 原 洋一ほか,  日薬理誌,  82,  103,  (1983) »PubMed
3. 和泉玲子ほか,  応用薬理,  28 (3),  455,  (1984)
4. 関根一郎ほか,  応用薬理,  28 (3),  459,  (1984)
5. 橋本久邦ほか,  Arch.int.Pharmacodyn.,  267,  23,  (1984) »PubMed
6. 坂梨又郎ほか,  Arch.int.Pharmacodyn.,  263,  208,  (1983) »PubMed
7. 坂梨又郎,  薬理と治療,  11,  4279,  (1983)
8. 坂梨又郎ほか,  Pharmacology,  29,  204,  (1984) »PubMed »DOI
9. 坂梨又郎ほか,  応用薬理,  28 (4),  709,  (1984)
10. 原 洋一ほか,  日薬理誌,  75,  707,  (1979) »PubMed
11. 原 洋一ほか,  応用薬理,  41,  25,  (1991)
12. 岩田真一ほか,  Pharmacol.Biochem.Behav.,  44,  611,  (1993) »PubMed »DOI
13. 久野貞子ほか,  薬理と治療,  19,  4485,  (1991)
14. 原 洋一ほか,  日薬理誌,  102,  141,  (1993) »PubMed »DOI

作業情報


改訂履歴

2015年5月 改訂
2016年4月 改訂 (第12版)

文献請求先

大日本住友製薬株式会社
541-0045
大阪市中央区道修町2-6-8
0120-034-389

お問い合わせ先

大日本住友製薬株式会社
541-0045
大阪市中央区道修町2-6-8
0120-034-389

業態及び業者名等

製造販売元
大日本住友製薬株式会社
大阪市中央区道修町2-6-8


[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2021/1/20 版