医療用医薬品 : セファクロル

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医薬品情報


総称名 セファクロル
一般名 セファクロル
欧文一般名 Cefaclor
薬効分類名 経口用セフェム系抗生物質製剤
薬効分類番号 6132
ATCコード J01DC04
KEGG DRUG
D00256 セファクロル
KEGG DGROUP
DG01488 セフェム系抗生物質
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
セファクロル細粒10%「日医工」 日医工 6132005C1231 44.3円/g 処方箋医薬品注)
セファクロル細粒20%「日医工」 日医工 6132005C2106 19.6円/g 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[9.1.1参照]

4. 効能または効果

<適応菌種>
<適応症>
○表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症
○外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎
○咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染
○膀胱炎、腎盂腎炎
○麦粒腫
○中耳炎
○歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
○猩紅熱

5. 効能または効果に関連する注意

<咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、中耳炎>
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

6. 用法及び用量

通常、幼小児にはセファクロルとして体重kgあたり1日20〜40mg(力価)を3回に分割して経口投与する。
なお、年齢、体重、症状等に応じ適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 ショックがあらわれるおそれがあるので、十分な問診を行うこと。[11.1.1参照]
8.2 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.3 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.2参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。[2.参照]
9.1.2 ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
9.1.3 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
9.1.4 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 高度の腎障害のある患者
投与量を減らすか、投与間隔をあけて使用すること。血中濃度が持続する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも0.1%未満)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、喘鳴、全身潮紅、浮腫等)を起こすことがある。[8.1参照]
11.1.2 急性腎障害(頻度不明)
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.3 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少(いずれも頻度不明)
11.1.4 偽膜性大腸炎(0.1%未満)
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.5 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
11.1.6 間質性肺炎、PIE症候群(いずれも頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.7 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-Pの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.8 溶血性貧血
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹蕁麻疹、紅斑、そう痒、発熱等リンパ腺腫脹、関節痛
血液 顆粒球減少、貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少)、血小板減少、好酸球増多等 
肝臓AST上昇、ALT上昇Al-P上昇黄疸
腎臓 BUN上昇、血清クレアチニン上昇 
消化器悪心、下痢、腹痛嘔吐、胃不快感、胸やけ、食欲不振等 
菌交代症  口内炎、カンジダ症
ビタミン欠乏症  ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他 頭痛、めまい等 

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

12.1 テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
12.2 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
牛乳、ジュース等に懸濁したまま放置しないように注意すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
(1)セファクロル細粒10%「日医工」
セファクロル細粒10%「日医工」とケフラール細粒小児用100mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ2.5g(セファクロルとして250mg(力価))健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)
表16-1 薬物動態パラメータ
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-6(μg・hr/mL)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
セファクロル細粒10%「日医工」9.68±1.037.97±1.190.70±0.140.59±0.07
ケフラール細粒小児用100mg9.51±1.508.09±1.340.77±0.250.59±0.07
血漿中薬物濃度推移
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
(2)セファクロル細粒20%「日医工」
セファクロル細粒20%「日医工」とセクロダン細粒200を、クロスオーバー法によりそれぞれ1g(セファクロルとして200mg(力価))健康成人男子に絶食単回経口投与して血清中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)
表16-2 薬物動態パラメータ
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-6(μg・hr/mL)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
セファクロル細粒20%「日医工」4.19±0.653.92±0.660.52±0.220.89±0.31
セクロダン細粒2004.20±0.574.23±0.850.55±0.170.91±0.36
血清中薬物濃度推移
血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
16.3.1 扁桃・上顎洞粘膜4)、肺組織5)、口腔組織6)(歯肉、嚢胞壁、顎骨)、乳汁中7)に移行が認められた。(成人でのデータ)
16.3.2 限外ろ過法にて測定された血漿蛋白結合率は23.1%であった8)
16.4 代謝
ラット、マウス、ウサギ、イヌに経口投与後、大部分が未変化体のまま尿中に排泄された8)
16.5 排泄
小児患者(6〜10歳)に10mg(力価)/kg(n=10)空腹時単回経口投与後6時間以内の尿中回収率は約66%であった9)10)11)12)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 二重盲検比較試験
セファレキシンを対照薬とし、急性化膿性中耳炎を対象とした二重盲検比較試験13)において、セファクロルの有用性が確認された。臨床成績を表17-1に示す。
表17-1 臨床成績
セファクロルセファレキシン
有効例数/有効性評価対象例数有効率(%)有効例数/有効性評価対象例数有効率(%)
58/6589.250/5984.7
副作用発現例は両薬剤群ともにみられなかった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を発揮し、作用は殺菌的である。セファレキシンより低濃度・短時間で殺菌に至らしめる14)15)
18.2 抗菌作用
試験管内で好気性グラム陽性菌のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、グラム陰性菌の大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌に対して抗菌力を示す14)15)16)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. セファクロル

一般的名称 セファクロル
一般的名称(欧名) Cefaclor
略号 CCL
化学名 (6R,7R)-7-[(2R)-2-Amino-2-phenylacetylamino]-3-chloro-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid
分子式 C15H14ClN3O4S
分子量 367.81
物理化学的性状 白色〜黄白色の結晶性の粉末である。
水又はメタノールに溶けにくく、N,N-ジメチルホルムアミド又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00256

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。経時的に退色することがある。

22. 包装

<セファクロル細粒10%「日医工」>
100g[プラスチックボトル;バラ:乾燥剤入り]
<セファクロル細粒20%「日医工」>
100g[プラスチックボトル;バラ:乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
  2. 社内資料:生物学的同等性試験(細粒10%)
  3. 社内資料:生物学的同等性試験(細粒20%)
  4. 岩沢武彦, Chemotherapy., 27 (S-7), 682-696, (1979) »DOI
  5. 今泉宗久 他, Jpn.J.Antibiot., 39 (10), 2754-2760, (1986) »PubMed
  6. 難波良司 他, 歯科薬物療法, 2 (2), 79-93, (1983) »DOI
  7. 高瀬善次郎 他, Chemotherapy., 27 (S-7), 666-672, (1979) »DOI
  8. 吉田正 他, Chemotherapy., 27 (S-7), 105-115, (1979) »DOI
  9. 西村忠史 他, Chemotherapy., 27 (S-7), 413-422, (1979) »DOI
  10. 岩崎章亘 他, Chemotherapy., 27 (S-7), 370-380, (1979) »DOI
  11. 小林裕 他, Chemotherapy., 27 (S-7), 423-438, (1979) »DOI
  12. 堀誠 他, Chemotherapy., 27 (S-7), 362-369, (1979) »DOI
  13. 馬場駿吉 他, 耳鼻咽喉科臨床, 73 (6), 943-962, (1880)
  14. 吉田正 他, Chemotherapy., 27 (S-7), 71-97, (1979) »DOI
  15. 加藤博 他, Chemotherapy., 27 (S-7), 150-157, (1979) »DOI
  16. 五島瑳智子 他, Chemotherapy., 27 (S-7), 1-13, (1979) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948
製品情報問い合わせ先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版