2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれることがある]
2.3 脳血管障害や一過性脳虚血性発作の既往のある患者[脳血管障害や一過性脳虚血性発作があらわれることがある]
2.4 末梢血管障害を有する患者[症状を悪化させる可能性が考えられる]
2.5 コントロールされていない高血圧症の患者[一過性の血圧上昇を引き起こすことがある]
2.6 重篤な肝機能障害を有する患者[
9.3.1参照]
2.7 エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有製剤、あるいは他の5-HT
1B/1D受容体作動薬を投与中の患者[
10.1参照]
2.8 モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAO阻害剤)を投与中、あるいは投与中止2週間以内の患者[
10.1、
16.7.1参照]
5.1 本剤は国際頭痛学会による片頭痛診断基準
1)により「前兆のない片頭痛」あるいは「前兆のある片頭痛」と確定診断が行われた場合にのみ投与すること。特に次のような患者は、くも膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので、本剤投与前に問診、診察、検査を十分に行い、頭痛の原因を確認してから投与すること。
・今までに片頭痛と診断が確定したことのない患者
・片頭痛と診断されたことはあるが、片頭痛に通常見られる症状や経過とは異なった頭痛及び随伴症状のある患者
5.2 家族性片麻痺性片頭痛、孤発性片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛あるいは眼筋麻痺性片頭痛の患者には投与しないこと。
通常、成人にはスマトリプタンとして1回50mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する。
なお、効果が不十分な場合には、追加投与をすることができるが、前回の投与から2時間以上あけること。
また、50mgの経口投与で効果が不十分であった場合には、次回片頭痛発現時から100mgを経口投与することができる。
ただし、1日の総投与量を200mg以内とする。
7.1 本剤は頭痛発現時にのみ使用し、予防的には使用しないこと。
7.2 本剤投与により全く効果が認められない場合は、その発作に対して追加投与をしないこと。このような場合は、再検査の上、頭痛の原因を確認すること。
7.3 スマトリプタン製剤を組み合わせて使用する場合には少なくとも以下の間隔をあけて投与すること。
・経口剤投与後に注射液あるいは点鼻液を追加投与する場合には2時間以上
・注射液投与後に経口剤を追加投与する場合には1時間以上
・点鼻液投与後に経口剤を追加投与する場合には2時間以上
8.1 心血管系の疾患が認められない患者においても、重篤な心疾患が極めてまれに発生することがある。[
9.1.1、
11.1.2参照]
8.2 片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。
8.3 本剤を含むトリプタン系薬剤により、頭痛が悪化することがあるので、頭痛の改善を認めない場合には、「薬剤の使用過多による頭痛」
1)の可能性を考慮し、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。[
11.1.4参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 虚血性心疾患の可能性のある患者
例えば、以下のような患者では不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれるおそれがある。[
8.1、
11.1.2参照]
・虚血性心疾患を疑わせる重篤な不整脈のある患者
・閉経後の女性
・40歳以上の男性
・冠動脈疾患の危険因子を有する患者
9.1.2 てんかん様発作の既往又は危険因子のある患者(脳炎等の脳疾患のある患者、痙攣の閾値を低下させる薬剤を使用している患者等)
9.1.3 スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者
本剤はスルホンアミド基を有するため、交叉過敏症(皮膚の過敏症からアナフィラキシーまで)があらわれる可能性がある。[
11.1.1参照]
9.1.4 コントロールされている高血圧症患者
一過性の血圧上昇や末梢血管抵抗の上昇がみられたとの報告がある。
9.1.5 脳血管障害の可能性のある患者
9.2 腎機能障害患者
本剤は腎臓を介して排泄されるので、重篤な腎機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある。[
16.5参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害患者
投与しないこと。本剤は主に肝臓で代謝されるので、重篤な肝機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある。[
2.6参照]
9.3.2 肝機能障害患者(重篤な肝機能障害患者を除く)
中等度の肝機能障害患者に本剤を投与したとき、健康成人と比較して血中濃度が上昇した。[
16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
本剤投与後12時間は授乳しないことが望ましい。皮下投与後にヒト母乳中へ移行することが認められている
2)(外国人データ)。
9.7 小児等
10歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。[
17.3.1参照]
9.8 高齢者
高い血中濃度が持続するおそれがある。本剤は主として肝臓で代謝され、腎臓で排泄されるが、高齢者では肝機能あるいは腎機能が低下していることが多い。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)[
9.1.3参照]
11.1.2 虚血性心疾患様症状(1%未満)
不整脈、狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状があらわれることがある。本剤投与後に、胸痛、胸部圧迫感等の一過性の症状(強度で咽喉頭部に及ぶ場合がある)があらわれ、このような症状が虚血性心疾患によると思われる場合には、以後の投与を中止し、虚血性心疾患の有無を調べるための適切な検査を行うこと。[
8.1、
9.1.1参照]
11.1.4 薬剤の使用過多による頭痛(頻度不明)[
8.3参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1%以上 | 1%未満 | 頻度不明 |
過敏症 | 蕁麻疹、発疹等の皮膚症状 | | |
呼吸器 | | | 呼吸困難 |
循環器 | 動悸 | | 徐脈、低血圧、一過性の血圧上昇、頻脈、レイノー現象 |
消化器 | 悪心、嘔吐 | | 虚血性大腸炎 |
眼 | | | 複視、眼振、視野狭窄、一過性の視力低下、暗点、ちらつき |
精神神経系 | 眠気、めまい、感覚障害(錯感覚、しびれなどの感覚鈍麻等) | | ジストニア、振戦 |
肝臓 | | 肝機能障害 | |
その他 | 痛み(胸痛、咽喉頭痛、頭痛、筋肉痛、関節痛、背部痛、頚部痛等)注)、倦怠感、脱力感 | 熱感注)、潮紅 | 圧迫感注)、ひっ迫感注)、重感注)、冷感注) |
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔炎等の重篤な合併症を併発することがある。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相試験
片頭痛患者を対象としたプラセボ対照、用量反応、二重盲検比較試験において、スマトリプタンコハク酸塩錠50mg、100mgの服薬4時間後における有効率はそれぞれ71.4%(50/70例)及び66.7%(46/69例)であり、プラセボと比較し、2時間から3時間後より差がみられ、服薬4時間後において有意に高い有効率を示した
17)。
図 国内用量反応試験の有効率の推移
副作用発現頻度は、50mg群で29.9%(23/77例)、100mg群で26.7%(20/75例)であった。主な副作用は、50mg群で動悸7.8%(6/77例)、悪心6.5%(5/77例)、傾眠及び倦怠感5.2%(4/77例)、浮動性めまい(回転性眩暈を除く)及び嘔吐2.6%(2/77例)、100mg群で上腹部痛及び倦怠感4.0%(3/75例)、灼熱感、鼻道刺激感、嘔吐及び胸痛2.7%(2/75例)であった
18)。
17.1.2 海外第II相試験
片頭痛患者を対象としたプラセボ対照、用量反応、二重盲検比較試験において、異なる3回の発作に対してスマトリプタンコハク酸塩錠50mg及び100mgを単回投与した時の1回目の発作時の服薬4時間後の有効率はそれぞれ77.1%(199/258例)及び76.6%(196/256例)であり、50mg及び100mgは服薬0.5時間後以降、25mg
注)では1時間後以降、有効率はプラセボと比較して有意に高かった
19)。
また、50mg及び100mgは、服薬2時間後及び4時間後において、有効率が25mgと比較して有意に高かった。
1回目の投与時の副作用発現頻度は、50mg群で20.8%(63/303例)、100mg群で31.2%(93/298例)であった。主な副作用は、50mg群で悪心・嘔吐4.6%(14/303例)、胸部圧迫感/胸痛3.6%(11/303例)、錯感覚及び倦怠感・疲労2.3%(7/303例)、回転性眩暈2.0%(6/303例)、100mg群で倦怠感・疲労4.4%(13/298例)、浮動性めまい(回転性眩暈を除く)及び悪心・嘔吐4.0%(12/298例)、圧迫感及び熱感3.4%(10/298例)、胸部圧迫感/胸痛3.0%(9/298例)、筋骨格痛及び重感2.7%(8/298例)、回転性眩暈2.3%(7/298例)、傾眠及び口内乾燥2.0%(6/298例)であった。
注)本剤の承認用量は1回50mgを経口投与、1日200mg以内である。
17.1.3 海外第III相試験
片頭痛患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、異なる3回の発作に対してスマトリプタンコハク酸塩錠50mgを単回投与した時の1回目の発作時の服薬4時間後の有効率は62.5%(178/285例)であり、服薬1時間後を除いて50mgでの有効率はプラセボと比較して有意に高かった
20)。
1回目の投与時の副作用発現頻度は、スマトリプタンコハク酸塩錠群で14.8%(49/332例)であった。主な副作用は、浮動性めまい(回転性眩暈を除く)3.3%(11/332例)、悪心・嘔吐2.4%(8/332例)、倦怠感・疲労1.8%(6/332例)、感覚減退及び錯感覚1.5%(5/332例)であった。
17.3 その他
17.3.1 10歳以上17歳以下を対象とした国内臨床試験
10歳以上17歳以下の片頭痛患者を対象とした第III相プラセボ対象二重盲検比較試験
注)において、スマトリプタンコハク酸塩錠投与2時間後の頭痛改善の割合は、スマトリプタンコハク酸塩錠25mg及び50mg併合群(31.1%、23/74例)、プラセボ群(38.6%、27/70例)であり、統計学的に有意な差は認められなかった(p=0.345、χ
2検定)。
副作用発現率は、25mg群で12%(4/33例)、50mg群で12%(5/41例)であった。主な副作用は、25mg群で傾眠6%(2/33例)、50mg群で胸部不快感7%(3/41例)であった
21)22)。[
9.7参照]
注)本剤の承認用量は成人に1回50mgを経口投与、1日200mg以内である。