○慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)
○経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助
<経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助>
塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム及び無水硫酸ナトリウム含有経口腸管洗浄剤(ニフレック配合内用剤)以外の経口腸管洗浄剤との併用による臨床試験は実施されていない。[
17.1.2参照]
<慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)>
通常、成人には、モサプリドクエン酸塩として1日15mgを3回に分けて食前または食後に経口投与する。
<経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助>
通常、成人には、経口腸管洗浄剤の投与開始時にモサプリドクエン酸塩として20mgを経口腸管洗浄剤(約180mL)で経口投与する。また、経口腸管洗浄剤投与終了後、モサプリドクエン酸塩として20mgを少量の水で経口投与する。
<慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)>
一定期間(通常2週間)投与後、消化器症状の改善について評価し、投与継続の必要性について検討すること。
8.1 劇症肝炎や重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、長期にわたって漫然と投与しないこと。また、患者に対し、本剤投与後に倦怠感、食欲不振、尿濃染、眼球結膜黄染等の症状があらわれた場合は、本剤を中止し、医師等に連絡するよう指導すること。[
11.1.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁への移行が報告されている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に腎機能、肝機能等の生理機能が低下している。なお、慢性胃炎に伴う消化器症状に用いる際に、副作用が発現した場合には、減量(例えば1日7.5mg)するなど適切な処置を行うこと。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
劇症肝炎、著しいAST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがあり、死亡に至った例もある。[
8.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)>
| 1〜2%未満 | 1%未満 | 頻度不明 |
過敏症 | | 浮腫 | 発疹、じん麻疹 |
血液 | 好酸球増多 | 白血球減少 | |
消化器 | 下痢・軟便 | 口渇、味覚異常、腹痛、嘔吐 | 嘔気、腹部膨満感、口内しびれ感(舌、口唇等を含む) |
肝臓 | | AST、ALT、ALP、γ-GTP、ビリルビンの上昇 | |
循環器 | | 心悸亢進 | |
精神神経系 | | めまい・ふらつき、頭痛 | |
その他 | 中性脂肪の上昇 | 倦怠感 | 振戦 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助>
| 1〜5%未満 | 1%未満 |
消化器 | 腹部膨満感、嘔気、腹痛 | 胃部不快感、おくび |
肝臓 | | ビリルビンの上昇 |
精神神経系 | 頭痛 | 眠気 |
その他 | 尿潜血、尿蛋白 | 胸部不快感、寒気、倦怠感、顔面腫脹、LDHの上昇 |
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
げっ歯類に臨床通常用量の100〜330倍(30〜100mg/kg/日)を長期間経口投与した試験(ラット104週間、マウス92週間)において、腫瘍(肝細胞腺腫及び甲状腺濾胞性腫瘍)の発生率の上昇が認められた。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
<慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)>
17.1.1 国内臨床試験
二重盲検比較試験を含む総計111例についての臨床成績は次のとおりである
9)。
対象疾患/症状 | 改善率 |
慢性胃炎 | 胸やけ | 68.5%(37/54) |
悪心・嘔吐 | 71.2%(37/52) |
<経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助>
17.1.2 国内第III相試験
バリウム注腸X線造影検査の前処置におけるブラウン変法との比較試験は、計99例を対象として実施された。その結果、本剤と経口腸管洗浄剤(ニフレック配合内用剤)併用群の「右大腸バリウムの付着性スコア」及び「右大腸便残渣の量スコア」について、ブラウン変法群に劣らないことが確認された。[5.参照]
群 | ブラウン変法群 | 本剤とニフレック配合内用剤との併用群 |
右大腸バリウムの付着性スコア | 9.4±1.0 | 9.3±1.5 |
右大腸便残渣の量スコア | 9.2±1.5 | 10.8±1.6 |
安全性評価対象48例(本剤とニフレック配合内用剤との併用群)中8例(16.7%)に副作用がみられた。発現頻度が5%以上であった副作用は、腹部膨満3例(6.3%)であった
10)。
18.1 作用機序
本剤は選択的なセロトニン5-HT
4受容体アゴニストであり、消化管内在神経叢に存在する5-HT
4受容体を刺激し、アセチルコリン遊離の増大を介して上部及び下部消化管運動促進作用を示すと考えられている
11)12)13)。
18.2 上部消化管運動促進作用
18.2.1 胃、十二指腸運動促進作用
用量依存的に、食後期の胃、十二指腸運動促進作用を示す
11)(イヌ)。
18.2.2 胃排出促進作用
(1)健康成人
14)及び慢性胃炎患者
15)を対象とした胃排出試験において、本剤5mg1回投与で胃排出促進作用を示す。
(2)液体物の胃排出促進作用(マウス、ラット)及び固形物の胃排出促進作用(ラット)を示す。なお、1週間の反復投与で胃排出促進作用は減弱する
12)16)(ラット)。
18.3 下部消化管運動促進作用
18.3.1 結腸運動及び内容物輸送促進作用
用量依存的に結腸運動及び内容物輸送促進作用を示す
13)17)(モルモット)。
18.3.2 結腸内の洗浄増強効果及び水分重量減少作用(経口腸管洗浄剤併用時)
経口腸管洗浄剤(ニフレック配合内用剤)投与による結腸内の洗浄効果を増強し、さらに結腸内の水分重量を減少する
17)(モルモット)。