医療用医薬品 : ビダラビン

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医薬品情報


総称名 ビダラビン
一般名 ビダラビン
欧文一般名 Vidarabine
製剤名 ビダラビン
薬効分類名 抗ウイルス剤
薬効分類番号 6250
ATCコード J05AB03
KEGG DRUG
D06298 ビダラビン
KEGG DGROUP
DG02840 抗ヘルペスウイルス薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年8月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ビダラビン軟膏3%「F」 (後発品) VIDARABINE ointment 富士製薬工業 6250700M1219 74.1円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

帯状疱疹単純疱疹

5. 効能または効果に関連する注意

本剤は局所治療を目的とした薬剤であるため、発熱、汎発疹等の全身症状がみられる場合又は使用中にあらわれた場合には重症化することがあるので、他の全身的治療を考慮すること。

6. 用法及び用量

患部に適量を1日1〜4回、塗布または貼布する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤の使用は、発病初期に近い程効果が期待できるので、原則として発症から5日以内に使用開始すること。
7.2 本剤を7日間使用し、改善の兆しがみられないか、あるいは悪化する場合には他の治療に切り替えること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。静脈投与による動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形作用が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ペントスタチンビダラビン(注射剤)との併用により腎不全、肝不全、神経毒性等の重篤な副作用が発現したとの報告がある1)ペントスタチンが、ビダラビンの代謝に関与するADA(アデノシンデアミナーゼ)酵素の阻害作用を有するため、ビダラビンの血中濃度が高まることによると考えられる2)

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1%未満
皮膚接触皮膚炎様症状、刺激感、そう痒感等

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
本剤の基剤として使用されている油脂性成分は、コンドーム等の避妊用ラテックスゴム製品の品質を劣化・破損する可能性があるため、これらとの接触を避けさせること。
14.2 薬剤使用時の注意
眼科用として、角膜、結膜には使用しないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男性(10例)にビダラビン軟膏剤3%10g(ビダラビンとして300mg)を24時間、密封塗布したところ、ビダラビンの血漿中濃度は検出限界以下であった3)
16.5 排泄
健康成人男性(10例)にビダラビン軟膏剤3%10g(ビダラビンとして300mg)を24時間、密封塗布したところ、塗布開始後48時間までのビダラビン及び主代謝物であるAra-Hx(9-β-D-Arabinofuranosyl Hypoxanthine)の尿中濃度は検出限界以下であった3)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<帯状疱疹>
17.1.1 国内第II相臨床試験、第III相臨床試験及び一般臨床試験
帯状疱疹に対して実施した二重盲検比較試験及び一般臨床試験において、ビダラビン軟膏剤3%を1日1回10日間又は14日間注)貼布したところ、有用性評価がなされた210例中、極めて有用37例、有用98例で有用以上の有用率は64.3%であった。
副作用発現頻度は、1.7%(4/232例)であった。副作用は、刺激感0.9%(2/232例)、びらん・潰瘍部の二次感染0.4%(1/232例)、そう痒感0.4%(1/232例)であった4)5)6)
<単純疱疹>
17.1.2 国内第III相臨床試験及び一般臨床試験
単純疱疹に対して実施した二重盲検比較試験及び一般臨床試験において、ビダラビン軟膏剤3%を1日1〜数回10日間又は14日間注)塗布又は貼布したところ、有用性評価がなされた233例中、極めて有用75例、有用94例で有用以上の有用率は72.5%であった。
副作用発現頻度は、1.6%(4/253例)であった。副作用は、いずれも接触皮膚炎様症状であった7)8)9)10)11)
17.1.3 国内第III相臨床試験
性器ヘルペス症に対してビダラビン軟膏剤3%又はプラセボを1日3〜4回10日間注)塗布又は貼布した二重盲検比較試験においてウイルス学的効果の検討がなされ、ウイルスの陰性化率はプラセボ投与群に比し有意に優れていた。副作用は認められなかった7)
注)投与期間中に治癒した場合はその時点で試験を終了し、有用性評価等の最終判定を実施した。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ウイルスのDNA依存DNAポリメラーゼを強力に阻害することにより抗ウイルス作用が発現するものと推察されている12)
18.2 抗ウイルス作用
18.2.1 ビダラビンは単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、ワクチニアウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス等のDNAウイルスに対しては強い増殖抑制作用を有するが、インフルエンザウイルス等のRNAウイルスに対する増殖抑制作用は認められていない(in vitro13)14)
18.2.2 単純ヘルペスウイルス1型を側腹部皮内に接種したマウスにウイルス接種3時間後よりビダラビン3%含有軟膏を12時間ごとに塗布した実験において、ビダラビン投与群ではプラセボ投与群に比し死亡率が有意に低下した。また、ウイルス接種24時間後より塗布を開始した実験でもビダラビン非塗布の対照群に比し有意な生存期間の延長が認められた15)
18.2.3 単純ヘルペスウイルス1型又はアシクロビル耐性の単純ヘルペスウイルス2型を側腹部皮内に接種したマウスにウイルス接種3時間後よりビダラビン3%含有クリームを12時間ごとに塗布した実験において、ビダラビン投与群ではプラセボ投与群に比しいずれのウイルス接種においても死亡率の有意な低下と生存期間の有意な延長が認められた16)17)
18.3 生物学的同等性試験
単純ヘルペスウイルスI型及びアシクロビル耐性ヘルペスウイルスII型の感染マウスにビダラビン軟膏3%「F」及びアラセナ-A軟膏3%を塗布し、治癒効果を比較した。その結果、両製剤間の治癒効果に有意な差は認められず、生物学的同等性が確認された18)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ビダラビン

一般的名称 ビダラビン
一般的名称(欧名) Vidarabine
化学名 9-β-D-Arabinofuranosyladenine
分子式 C10H13N5O4
分子量 267.24
融点 約250℃(分解)
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末で、におい及び味はない。
ジメチルスルホキシドに溶けやすく、酢酸(100)に溶けにくく、水又はエタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
吸湿性である。
KEGG DRUG D06298

20. 取扱い上の注意

高温を避けて保存すること。

22. 包装

チューブ
5g×5本、5g×10本

23. 主要文献

  1. Miser,J.S.et al., Am.J.Clin.Oncol., 15 (6), 490-493, (1992) »PubMed
  2. Agarwal,R.P., Cancer Treat.Symp., 2, 17-22, (1984)
  3. 伊藤裕喜 他, 臨床医薬, 6 (2), 277-284, (1990)
  4. 新村眞人 他, 臨床医薬, 5 (3), 491-499, (1989)
  5. 新村眞人 他, 臨床医薬, 5 (8), 1685-1702, (1989)
  6. 永島敬士 他, 臨床医薬, 6 (2), 285-294, (1990)
  7. 熊本悦明 他, 臨床医薬, 6 (4), 727-744, (1990)
  8. 池田重雄 他, 臨床医薬, 6 (1), 175-184, (1990)
  9. 安藤正明 他, 西日本皮膚科, 52 (2), 365-370, (1990) »DOI
  10. 上田 宏 他, 皮膚, 32 (2), 285-292, (1990) »DOI
  11. 上田 宏 他, 皮膚, 32 (2), 293-301, (1990) »DOI
  12. Muller,W.E.G.et al., Ann.N.Y.Acad.Sci., 284, 34-48, (1977) »PubMed
  13. Miller,F.A.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 8, 136-147, (1968) »PubMed
  14. 山西弘一 他, 皮膚, 26 (4), 772-775, (1984) »DOI
  15. 作間俊治 他, 西日本皮膚科, 51 (2), 281-287, (1989) »DOI
  16. 皆川洋子, 西日本皮膚科, 60 (2), 184-187, (1998) »DOI
  17. 皆川洋子, 西日本皮膚科, 61 (6), 770-774, (1999) »DOI
  18. 社内資料:生物学的同等性試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
富士製薬工業株式会社 富山工場 学術情報課
〒939-3515 富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
電話:0120-956-792
FAX:076-478-0336
製品情報問い合わせ先
富士製薬工業株式会社 富山工場 学術情報課
〒939-3515 富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
電話:0120-956-792
FAX:076-478-0336

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
富士製薬工業株式会社
富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版