医療用医薬品 : ヘパリンカルシウム

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医薬品情報


総称名 ヘパリンカルシウム
一般名 ヘパリンカルシウム
欧文一般名 Heparin Calcium
製剤名 ヘパリンカルシウム注射液
薬効分類名 血液凝固阻止剤
薬効分類番号 3334
ATCコード B01AB01 B01AB06 C05BA03
KEGG DRUG
D04427 ヘパリンカルシウム
KEGG DGROUP
DG00150 ヘパリン
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年1月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヘパリンカルシウム注1万単位/10mL「AY」 HEPARIN CALCIUM Injection"AY" エイワイファーマ 3334400A4045 395円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ヘパリンカルシウム注5万単位/50mL「AY」 HEPARIN CALCIUM Injection"AY" エイワイファーマ 3334400A6064 1800円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

○血液体外循環時における灌流血液の凝固防止(人工腎臓及び人工心肺等)
○汎発性血管内血液凝固症候群の治療
○血管カテーテル挿入時の血液凝固の防止
○輸血及び血液検査の際の血液凝固の防止
○血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、四肢動脈血栓塞栓症、手術中・術後の血栓塞栓症等)の治療及び予防

6. 用法及び用量

本剤は通常下記の各投与法によって投与されるが、それらは症例又は適応領域、目的によって決定される。通常本剤投与後、全血凝固時間(Lee-White法)又は全血活性化部分トロンボプラスチン時間(WBAPTT)が正常値の2〜3倍になるように年齢・症状に応じて適宜用量をコントロールする。
<体外循環時(血液透析・人工心肺)における使用法>
・人工腎では各患者の適切な使用量を透析前に各々のヘパリン感受性試験の結果に基づいて算出するが、全身ヘパリン化法の場合、通常透析開始に先だって、1,000〜3,000単位を投与し、透析開始後は、1時間あたり、500〜1,500単位を持続的に、又は1時間毎に500〜1,500単位を間歇的に追加する。局所ヘパリン化法の場合は、1時間あたり1,500〜2,500単位を持続注入し、体内灌流時にプロタミン硫酸塩で中和する。
・術式・方法によって多少異なるが、人工心肺灌流時には、150〜300単位/kgを投与し、更に体外循環時間の延長とともに必要に応じて適宜追加する。体外循環後は、術後出血を防止し、ヘパリンの作用を中和するためにプロタミン硫酸塩を用いる。
<静脈内点滴注射法>
10,000〜30,000単位を5%ブドウ糖注射液、生理食塩液、リンゲル液1,000mLで希釈し、最初1分間30滴前後の速度で、続いて全血凝固時間又はWBAPTTが投与前の2〜3倍になれば1分間20滴前後の速度で、静脈内に点滴注射する。
<静脈内間歇注射法>
1回5,000〜10,000単位を4〜8時間毎に静脈内注射する。注射開始3時間後から、2〜4時間毎に全血凝固時間又はWBAPTTを測定し、投与前の2〜3倍になるようにコントロールする。
<輸血及び血液検査の際の血液凝固防止法>
輸血の際の血液凝固の防止には、通常血液100mLに対して400〜500単位を用いる。血液検査の際の血液凝固の防止にもほぼ同様に、血液20〜30mLに対して100単位を用いる。

8. 重要な基本的注意

8.1 血液凝固能検査等、出血管理を十分に行いつつ使用すること。[11.1.2参照]
8.2 脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。
8.3 急に投与を中止した場合、血栓を生じるおそれがあるので徐々に減量すること。
8.4 本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合にはプロタミン硫酸塩を投与すること。特に血液透析、人工心肺による血液体外循環終了時に中和する場合には反跳性の出血があらわれることがある。[11.1.2参照]
8.5 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin-induced thrombocytopenia)があらわれることがあるので、本剤投与後は血小板数を測定すること。[9.1.511.1.315.1.2参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 出血している患者
血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の血液凝固障害(汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)を除く)、月経期間中、手術時、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を伴う妊産褥婦、頭蓋内出血の疑いのある患者等には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。出血を助長することがあり、ときには致命的になるおそれがある。[11.1.2参照]
9.1.2 出血する可能性のある患者
内臓腫瘍、消化管の憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、重症高血圧症、重症糖尿病の患者等には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。血管や内臓の障害箇所に出血が起こるおそれがある。[11.1.2参照]
9.1.3 中枢神経系の手術又は外傷後日の浅い患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。出血を助長することがあり、ときには致命的になるおそれがある。[11.1.2参照]
9.1.4 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
9.1.5 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin-induced thrombocytopenia)の既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。投与が必要な場合は、本剤投与後は血小板数を測定すること。HITがあらわれることがある。[8.511.1.315.1.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。排泄が障害され、本剤の作用が持続するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。凝固因子やアンチトロンビンIIIの産生が低下していることがあるので、本剤の作用が変動(増強又は減弱)するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 低出生体重児、新生児に使用する場合には十分注意すること。外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99〜234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している。
9.8 高齢者
出血の危険性が高まるおそれがある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
抗凝固剤本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある。本剤の抗凝固作用と血液凝固因子の生合成阻害作用により相加的に出血傾向が増強される。
血栓溶解剤
ウロキナーゼ
t-PA製剤等
本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある。本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
アスピリン
ジピリダモール
チクロピジン塩酸塩等
本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある。本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
テトラサイクリン系抗生物質
強心配糖体
ジギタリス製剤
ニトログリセリン製剤
本剤の作用が減弱することがある。機序は不明である。
筋弛緩回復剤
スガマデクスナトリウム
本剤の抗凝固作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を観察するとともに血液凝固に関する検査値に注意すること。作用機序は不明であるが、スガマデクスナトリウム4mg/kgと抗凝固剤の併用中に活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)又はプロトロンビン時間(PT)の軽度で一過性の延長が認められている。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
血圧低下、意識低下、呼吸困難、チアノーゼ、蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.2 出血(頻度不明)
脳出血、消化管出血、肺出血、硬膜外血腫、後腹膜血腫、腹腔内出血、術後出血、刺入部出血等、重篤な出血があらわれることがある。[8.18.49.1.1-9.1.3参照]
11.1.3 血小板減少、HIT等に伴う血小板減少・血栓症(いずれも頻度不明)
著明な血小板減少があらわれることがある。HITはヘパリン−血小板第4因子複合体に対する自己抗体(HIT抗体)の出現による免疫学的機序を介した病態であり、著明な血小板減少と脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓症やシャント閉塞、回路内閉塞等を伴う。また、投与終了数週間後に、HITが遅延して発現したとの報告もある。血小板数の著明な減少や血栓症を疑わせる異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.59.1.515.1.2参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症そう痒感、蕁麻疹、悪寒、発熱、鼻炎、気管支喘息、流涙等
皮膚脱毛、白斑、出血性壊死等
肝臓ASTの上昇、ALTの上昇等
長期投与骨粗鬆症、低アルドステロン症

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与後の注意
外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 コレステロール結晶塞栓症(CCE)は、大動脈内に存在する粥状硬化巣が崩壊・流失し、微細なコレステロール結晶が全身臓器の塞栓を起こすことによって発症するとされており、その主な原因は血管内カテーテル操作であるとされているが、ヘパリン等の抗凝固療法が誘因となり発症することも報告されている。
15.1.2 HIT発現時に出現するHIT抗体は100日程度で消失〜低下するとの報告がある。[8.59.1.511.1.3参照]

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
血液凝固系には第Iから第XIIIまでの血液凝固因子やプレカリクレイン、高分子キニノーゲンなどが働いているが、多くの因子がこれらを調節している。これらの調節因子のうち、アンチトロンビンIII(ATIII)がヘパリンにより活性化され、トロンビンをはじめ第IXa〜XIIa因子及びカリクレインを阻害することによって、血液凝固を抑制する1)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ヘパリンカルシウム

一般的名称 ヘパリンカルシウム
一般的名称(欧名) Heparin Calcium
物理化学的性状 白色〜帯灰褐色の粉末又は粒である。
水に溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
吸湿性である。
KEGG DRUG D04427

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

<ヘパリンカルシウム注1万単位/10mL「AY」>
10mL×10バイアル
<ヘパリンカルシウム注5万単位/50mL「AY」>
50mL×10バイアル

23. 主要文献

  1. 第十八改正日本薬局方解説書, C-5238-5251, (2021), (廣川書店)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社陽進堂 お客様相談室
富山県富山市婦中町萩島3697番地8号
電話:フリーダイヤル 0120-647-734
製品情報問い合わせ先
株式会社陽進堂 お客様相談室
富山県富山市婦中町萩島3697番地8号
電話:フリーダイヤル 0120-647-734

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
エイワイファーマ株式会社
東京都中央区日本橋浜町二丁目31番1号
26.2 販売元
株式会社陽進堂
富山県富山市婦中町萩島3697番地8号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版