医療用医薬品 : クエン酸第一鉄Na

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医薬品情報


総称名 クエン酸第一鉄Na
一般名 クエン酸第一鉄ナトリウム
欧文一般名 Sodium Ferrous Citrate
製剤名 クエン酸第一鉄ナトリウム錠
薬効分類名 可溶性の非イオン型鉄剤
薬効分類番号 3222
ATCコード B03AA12
KEGG DRUG
D03275 クエン酸第一鉄ナトリウム
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年9月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
クエン酸第一鉄Na錠50mg「JG」 (後発品) Ferrous Citrate Na Tablets 日本ジェネリック 3222013F1149 6.2円/錠

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 鉄欠乏状態にない患者[過量投与にならないよう注意する。過剰症を起こすおそれがある。]

4. 効能または効果

鉄欠乏性貧血

6. 用法及び用量

通常成人は、鉄として1日100〜200mg(2〜4錠)を1〜2回に分けて食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤投与中は、適宜血液検査を実施し、過量投与にならないよう注意する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 消化性潰瘍、慢性潰瘍性大腸炎、限局性腸炎等の胃腸疾患のある患者
病態を悪化させることがある。
9.1.2 発作性夜間血色素尿症の患者
溶血を誘発し病態を悪化させることがある。
9.1.3 鉄含有製剤(鉄剤、MRI用肝臓造影剤等)投与中の患者
過剰症を起こすおそれがある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
セフジニルセフジニルの吸収を約10分の1に阻害することがあるので、3時間以上間隔を空けて本剤を投与すること。相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、相手薬剤の吸収を阻害する。
キノロン系抗菌剤
塩酸シプロフロキサシン
ノルフロキサシン
トスフロキサシントシル酸塩水和物
スパルフロキサシン等
抗菌剤の吸収を阻害することがある。相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、相手薬剤の吸収を阻害する。
テトラサイクリン系抗生物質相互に吸収を阻害する。相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、相互に吸収を阻害する。
甲状腺ホルモン製剤
レボチロキシンナトリウム水和物
リオチロニンナトリウム等
チロキシンの吸収を阻害するおそれがある。相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、相手薬剤の吸収を阻害するおそれがある。
制酸剤鉄の吸収を阻害することがある。in vitro試験において、pHの上昇により、難溶性の鉄重合体を形成することが報告されている。
タンニン酸を含有する食品鉄の吸収を阻害するおそれがある。in vitro試験において、タンニン酸と高分子鉄キレートを形成することが報告されている。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
消化器悪心・嘔吐上腹部不快感、胃・腹痛、下痢、食欲不振、便秘、胸やけ腹部膨満感 
過敏症 発疹そう痒感光線過敏症
肝臓 AST、ALTの上昇等Al-Pの上昇等 
精神神経系  頭痛、めまい 
その他  倦怠感、浮腫 

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

潜血反応で偽陽性となることがある。

13. 過量投与

13.1 症状
主な症状は胃粘膜刺激による悪心、嘔吐、腹痛、血性下痢、吐血等の消化器症状である。また、頻脈、血圧低下、チアノーゼ等がみられる。重症の場合は、昏睡、ショック、肝壊死、肝不全に至ることがある1)2)
13.2 処置
服用初期には催吐、胃洗浄が有効である。その他に下剤、鉄排泄剤(デフェロキサミン)等の投与を行う。血圧低下や循環虚脱があらわれた場合には、昇圧剤、輸液等による対症療法を行う1)2)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 本剤の投与により便が黒色を呈することがある。
15.1.2 本剤の投与により歯又は舌が一時的に着色(茶褐色等)することがある。その場合には、重曹等で除去する。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物実験において、大量のアロプリノールとの併用で肝の鉄貯蔵量が増加したとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 血清鉄濃度
健康成人男子18名に、クエン酸第一鉄ナトリウム2錠(鉄として100mg)を食後単回経口投与した時の血清鉄の推移は投与1時間後から上昇がみられ、3〜4時間後にピークに達し、12時間後に投与前値に復した3)
クエン酸第一鉄ナトリウム2錠を食後経口投与後の血清鉄濃度
△:投与前値に対する増加分
経口投与時の薬物動態パラメータ
ΔCmax(μg/dL)tmax(hr)ΔAUC(μg・hr/dL)
69.0±12.73.9±0.5605±161
クエン酸第一鉄ナトリウム投与24時間後の血清鉄濃度が投与前より低下しているが、これは他の鉄剤でも同様にみられる現象で、生理的な日内変動の範囲内にあり、血清中の鉄の貯蔵鉄プールへの移行が高まったことによるものと考えられる。
16.1.2 生物学的同等性試験
クエン酸第一鉄Na錠50mg「JG」とフェロミア錠50mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ2錠(鉄として100mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血清鉄濃度を測定し投与後の血清鉄増加量を求めた。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された4)
[AUC:血清鉄増加量−時間曲線下面積、Cmax:最高血清鉄増加量]
薬物動態パラメータ
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-24(μg・hr/mL)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
クエン酸第一鉄Na錠50mg「JG」12.44±3.821.43±0.303.3±1.04.6±2.1
フェロミア錠50mg12.52±5.091.40±0.273.4±1.85.0±3.2
血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
16.3.1 胎児への移行
母体から胎児への鉄の移行については、胎盤の生理的調節機能が働いてトランスフェリン鉄として移行される。即ち、母体のトランスフェリン鉄は、胎盤組織内に入り胎盤フェリチンとなる。次に胎盤を通過し、胎児トランスフェリン鉄となる。
なお、クエン酸第一鉄ナトリウムは動物実験(妊娠ラット)において、血中、胎盤、胎児、羊水中への吸収、移行が類薬(硫酸鉄水和物)に比べて良好であった5)
16.3.2 乳汁中への移行
血中から乳汁中への鉄の移行については、血中のトランスフェリン鉄が乳汁中へ移行した後、ラクトフェリンとなる。なお、クエン酸第一鉄ナトリウムは、動物実験(授乳ラット)において、乳汁中への移行が類薬(硫酸鉄水和物)に比べて良好であった6)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 臨床効果
鉄欠乏性貧血に対する一般臨床試験において貧血症状(倦怠感、動悸、息切れ、めまい)の改善、及び末梢血液学的所見(ヘモグロビン、血清鉄、TIBC、血清フェリチン、赤血球数、ヘマトクリット値)の改善が認められた。
改善以上
貧血症状の改善98/110(89.1%)
末梢血液学的所見の改善117/161(72.7%)
ヘモグロビン濃度の改善及び有用度は、1日200mg投与群が1日100mg投与群より有意に高く、錠剤と顆粒剤の比較においては、ヘモグロビン濃度上昇効果、貧血症状に対する効果ともに差は認められなかった7)8)
また、クエン酸第一鉄ナトリウムは二重盲検試験により有用性が認められている9)
(参考)
医薬品の使用成績調査の実施方法に関するパイロットスタディにおいて、対象545例について妊婦と非妊婦の副作用発現頻度を比較したところ、差は認められなかった10)
妊娠、非妊娠別副作用発現率
 妊婦非妊婦
調査症例数340205
副作用発現例数2615
発現率(%)7.657.32
また、高齢者と非高齢者の副作用発現頻度を比較する目的でパイロットスタディを実施した。対象1,254例において、60歳以上と60歳未満の副作用を比較したところ、男女別で両群間に発現率の差は認められなかった。しかし、性別では女性の頻度が高かった11)
副作用発現状況の性・年齢比較
 合計
60歳以上60歳未満60歳以上60歳未満
症例数1391302692067799851,254
副作用発現例数1192022115137157
副作用発現件数14102429170199223
副作用発現率(%)7.96.97.410.714.813.912.5

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
吸収された鉄は血漿トランスフェリンと結合し、体内を循環する。トランスフェリンに結合した鉄は骨髄にて赤芽球にとりこまれ、ヘモグロビン合成に利用される12)13)
18.2 胃酸分泌に影響されることなく血清鉄を上昇させる
健康なラット及びウサギ並びに貧血ウサギにおいて、クエン酸第一鉄ナトリウムは硫酸鉄水和物あるいはフマル酸第一鉄とほぼ同等の血清鉄上昇効果を示した。イヌにおいて、クエン酸第一鉄ナトリウムは食後投与でも血清鉄の上昇を示した。
さらに、クエン酸第一鉄ナトリウムの血清鉄上昇効果は、胃酸分泌を抑制したラットにおいても認められ、胃酸の影響を比較的受けにくい14)
18.3 ヘモグロビンと貯蔵鉄の回復により貧血状態を改善する
鉄欠乏食で飼育した瀉血貧血ラットに、クエン酸第一鉄ナトリウム30mg/kg/日を18日間連続投与した後、顕著なヘモグロビン回復効果が認められた。また、肝臓及び脾臓中の鉄含有量がそれぞれ対照に比べて有意に上昇し、貯蔵鉄補充効果が認められた。さらに血清鉄及び血清鉄飽和率の低下並びに総鉄結合能の上昇を改善した15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クエン酸第一鉄ナトリウム

一般的名称 クエン酸第一鉄ナトリウム
一般的名称(欧名) Sodium Ferrous Citrate
化学名 Tetrasodium biscitrato iron(II)
分子式 C12H10FeNa4O14
分子量 526.01
物理化学的性状 緑白色〜帯黄緑白色の結晶性の粉末である。
水に溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。
希塩酸、希硝酸又は希硫酸に溶ける。
光によって徐々に褐色となる。
KEGG DRUG D03275

20. 取扱い上の注意

PTP包装はアルミピロー開封後、バラ包装はボトル開栓後、遮光して保存すること。

22. 包装

100錠[10錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]
500錠[ガラス瓶、バラ]

23. 主要文献

  1. 今井一彰 他, 中毒研究, 11, 271-274, (1998)
  2. Balmadrid, C. et al., Emerg. Med., 41, 36-41, (2009)
  3. 宮尾誠一 他, 臨牀と研究, 61, 2049-2064, (1984)
  4. 社内資料:生物学的同等性試験
  5. 有吉敏彦 他, 薬物動態, 10, 830-836, (1995) »DOI
  6. Arizono, K. et al., Trace Elements Electrol., 13, 167-171, (1996)
  7. 高橋隆一 他, 臨牀と研究, 62, 3055-3060, (1985)
  8. 溝口秀昭 他, 治療, 66, 1507-1514, (1984)
  9. 前川正 他, 臨牀と研究, 62, 2615-2636, (1985)
  10. 佐伯俊学 他, 医薬品研究, S, 137-150, (1992)
  11. 武藤良知 他, 臨牀と研究, 69, 2685-2690, (1992)
  12. 刈米重夫, 代謝, 18, 373-384, (1981)
  13. 内田立身, 鉄欠乏性貧血, 4, (1984), (新興医学出版)
  14. 佐野賀敏 他, 基礎と臨床, 19, 563-571, (1985)
  15. 佐野賀敏 他, 基礎と臨床, 19, 573-576, (1985)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172
製品情報問い合わせ先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日本ジェネリック株式会社
東京都港区芝五丁目33番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/01/22 版