医療用医薬品 : ロラゼパム

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医薬品情報


総称名 ロラゼパム
一般名 ロラゼパム
欧文一般名 Lorazepam
製剤名 ロラゼパム錠
薬効分類名 マイナートランキライザー
薬効分類番号 1124
ATCコード N05BA06
KEGG DRUG
D00365 ロラゼパム
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年1月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ロラゼパム錠0.5mg「サワイ」 (後発品) LORAZEPAM Tablets[SAWAI] 沢井製薬 1124022F1083 5.3円/錠 向精神薬(第三種), 処方箋医薬品注)
ロラゼパム錠1mg「サワイ」 (後発品) LORAZEPAM Tablets[SAWAI] 沢井製薬 1124022F2110 5.9円/錠 向精神薬(第三種), 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
2.2 重症筋無力症のある患者[筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがある。]

4. 効能または効果

神経症における不安・緊張・抑うつ
○心身症(自律神経失調症、心臓神経症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ

6. 用法及び用量

通常、成人1日ロラゼパムとして1〜3mgを2〜3回に分けて経口投与する。なお、年令・症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.2 連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること。本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること。[11.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心障害のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.1.2 脳に器質的障害のある患者
作用が強くあらわれるおそれがある。
9.1.3 衰弱患者
作用が強くあらわれるおそれがある。
9.1.4 中等度又は重篤な呼吸不全のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
排泄が遅延するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
排泄が遅延するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.1 妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物の投与をうけ、出生した新生児に口唇裂(口蓋裂を伴うものを含む)等が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
9.5.2 ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
9.5.3 分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系化合物で報告されている。
9.5.4 妊娠動物(マウス)にロラゼパムを大量投与した実験で、胎児に口蓋裂及び眼瞼裂を認めたとの報告がある1)2)3)
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。ロラゼパムの乳汁中への移行が報告されている4)。また、他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)でもヒト母乳中への移行と、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが報告されている。また、黄疸を増強する可能性がある。
9.7 小児等
作用が強くあらわれるおそれがある。
9.8 高齢者
少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。運動失調等の副作用が発現しやすい。

10. 相互作用

10.2 併用注意
中枢神経抑制剤
フェノチアジン誘導体
バルビツール酸誘導体等
モノアミン酸化酵素阻害剤
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下を増強することがある。相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。
アルコール(飲酒)眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下を増強することがある。相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。
マプロチリン(1)眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下を増強することがある。
(2)併用中の本剤を急速に減量又は中止すると痙攣発作が起こることがある。
(1)相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。
(2)本剤の抗痙攣作用により抑制されていたマプロチリン塩酸塩の痙攣誘発作用が本剤の減量・中止によりあらわれることがある。
ダントロレンナトリウム筋弛緩作用を増強することがある。相互に筋弛緩作用を増強することがある。
プレガバリン認知機能障害及び粗大運動機能障害に対して本剤が相加的に作用するおそれがある。相加的な作用による。
クロザピン循環虚脱を発現する危険性が高まり、重度の循環虚脱から心停止、呼吸停止に至るおそれがある。心循環系の副作用が相互に増強されると考えられる。
プロベネシドロラゼパムの消失半減期が延長することがあるので、プロベネシドと併用する際は適宜減量すること。プロベネシドのグルクロン酸抱合阻害による。
バルプロ酸ロラゼパムの消失半減期が延長することがある。バルプロ酸のグルクロン酸抱合阻害による。
リファンピシンロラゼパムの血中濃度が低下することがある。リファンピシンの肝薬物代謝酵素誘導による。
経口避妊ステロイドロラゼパムの血中濃度が低下することがある。経口避妊ステロイドのUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)誘導作用によると考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 依存性(頻度不明)
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。
また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。[8.2参照]
11.1.2 刺激興奮(頻度不明)、錯乱(頻度不明)
11.1.3 呼吸抑制
他のベンゾジアゼピン系化合物で、慢性気管支炎等の呼吸器疾患に用いた場合、呼吸抑制があらわれることが報告されている。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 3%以上0.1〜3%未満0.1%未満頻度不明
精神神経系眠気ふらつき、めまい、立ちくらみ、頭重、頭痛、不眠頭部圧迫感、耳鳴、歩行失調、複視、霧視、舌のもつれ等 
循環器 動悸血圧低下 
肝臓   肝機能異常
消化器 悪心、下痢、便秘、食欲不振、口渇、胃部不快感嘔吐、胃部膨満感、上腹部痛、胸焼け等 
過敏症  そう痒感、発疹浮腫・血管性浮腫、呼吸困難
その他  倦怠感、脱力感 

13. 過量投与

13.1 処置
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健常成人にロラゼパム1.0mgを経口投与したとき、未変化体の血中濃度は約2時間で最高値を示し、24時間後に消失した。なお、ロラゼパムの半減期は約12時間である5)6)
16.3 分布
ロラゼパムの血漿蛋白結合率は約87%である7)(外国人データ)。
16.4 代謝
ロラゼパムの主代謝経路は肝臓中のUGT2B7及びUGT2B15によるグルクロン酸抱合である8)
16.5 排泄
グルクロン酸抱合されたロラゼパムの大部分は尿中に排泄されるが、一部は胆汁中に排泄され腸肝循環を受けることが報告されている9)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ロラゼパムは脳内に広く存在するγ-アミノ酪酸(GABA)/ベンゾジアゼピン受容体複合体と相互作用し、抑制性神経伝達物質であるGABAの同受容体複合体への親和性を亢進し、その作用を増強する10)
18.2 抗不安作用
ラットでの条件反射抑制実験において、ロラゼパムはジアゼパム、オキサゾラム、クロキサゾラムより低用量で、明瞭な反応を示し、抗不安作用を有する11)12)
18.3 馴化作用
一般行動を抑制しない用量で、マウス、ラットの実験的情動過多に対し、ロラゼパムはジアゼパムよりも強力な馴化作用を認める12)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ロラゼパム

一般的名称 ロラゼパム
一般的名称(欧名) Lorazepam
化学名 (3RS)-7-Chloro-5-(2-chlorophenyl)-3-hydroxy-1,3-dihydro-2H-1,4-benzodiazepin-2-one
分子式 C15H10Cl2N2O2
分子量 321.16
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末で、においはない。エタノール(95)又はアセトンにやや溶けにくく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。光によって徐々に着色する。
KEGG DRUG D00365

20. 取扱い上の注意

開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

<ロラゼパム錠0.5mg「サワイ」>
PTP[乾燥剤入り]
100錠(10錠×10)、1000錠(10錠×100)
バラ[乾燥剤入り]
1000錠
<ロラゼパム錠1mg「サワイ」>
PTP[乾燥剤入り]
100錠(10錠×10)、1000錠(10錠×100)
バラ[乾燥剤入り]
1000錠

23. 主要文献

  1. 江崎孝三郎他, 実中研・前臨床, 1, 25-34, (1975)
  2. Jurand,A.et al., Pharmacology & Toxicology, 74, 228-235, (1994)
  3. Pasbakhsh,P.et al., Acta Medica Iranica, 41, 29-32, (2003)
  4. Summerfield,R.J.et al., Br.J.Anaesth., 57 (10), 1042-1043, (1985) »PubMed
  5. 林長蔵他, 臨床化学, 4 (1), 99-106, (1975) »DOI
  6. Greenblatt,D.J.et al., Clin.Pharmacol.Ther., 20 (3), 329-341, (1976) »PubMed
  7. Chin,P.K.L.et al., Br.J.Clin.Pharmacol., 72 (6), 985-989, (2011) »PubMed
  8. 代謝(ロラピタ静注:2018年9月21日承認、申請資料概要2.7.2.3)
  9. Herman,R.J.et al., Clin.Pharmacol.Ther., 46 (1), 18-25, (1989) »PubMed
  10. 第十八改正日本薬局方解説書, C-1825, (2021), (廣川書店)
  11. 安東潔他, 日本薬理学雑誌, 70 (5), 637-647, (1974) »PubMed
  12. 五味田裕他, 医学研究, 44 (6), 602-618, (1974)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966
製品情報問い合わせ先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966

25. 保険給付上の注意

本剤は、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)により、投薬量が1回30日分を限度とされています。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版