医療用医薬品 : ヒドロクロロチアジド |
List Top |
総称名 | ヒドロクロロチアジド |
一般名 | ヒドロクロロチアジド |
欧文一般名 | Hydrochlorothiazide |
製剤名 | ヒドロクロロチアジド錠 |
薬効分類名 | 降圧利尿剤 |
薬効分類番号 | 2132 2149 |
ATCコード | C03AA03 |
KEGG DRUG |
D00340
ヒドロクロロチアジド
商品一覧 米国の商品 相互作用情報 |
KEGG DGROUP |
DG03231
血圧降下薬
商品一覧 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
---|---|---|---|---|---|
ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」 (後発品) | HYDROCHLOROTHIAZIDE TABLETS 12.5mg "TOWA" | 東和薬品 | 2132004F2037 | 5.7円/錠 | 処方箋医薬品 |
ヒドロクロロチアジド錠25mg「トーワ」 (後発品) | HYDROCHLOROTHIAZIDE TABLETS 25mg "TOWA" | 東和薬品 | 2132004F1103 | 5.7円/錠 | 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
無尿の患者[本剤の効果が期待できない。]
急性腎不全の患者[腎機能を更に悪化させるおそれがある。]
体液中のナトリウム・カリウムが明らかに減少している患者[低ナトリウム血症、低カリウム血症等の電解質失調を悪化させるおそれがある。]
チアジド系薬剤又はその類似化合物(例えばクロルタリドン等のスルフォンアミド誘導体)に対する過敏症の既往歴のある患者
デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
通常、成人にはヒドロクロロチアジドとして1回25〜100mgを1日1〜2回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
ただし、高血圧症に用いる場合には少量から投与を開始して徐々に増量すること。また、悪性高血圧に用いる場合には、通常、他の降圧剤と併用すること。
慎重投与
進行した肝硬変症のある患者[肝性昏睡を誘発することがある。]
重篤な冠硬化症又は脳動脈硬化症のある患者[急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。]
重篤な腎障害のある患者[腎機能を更に悪化させるおそれがある。]
肝疾患・肝機能障害のある患者[肝性昏睡を起こすおそれがある。]
本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者[高尿酸血症、高血糖症を来し、痛風、糖尿病の悪化や顕性化のおそれがある。]
下痢、嘔吐のある患者[電解質失調があらわれることがある。]
高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症のある患者[血清カルシウムを上昇させるおそれがある。]
ジギタリス剤、糖質副腎皮質ホルモン剤又はACTHの投与を受けている患者(「相互作用」の項参照)
減塩療法時の患者[低ナトリウム血症を起こすおそれがある。]
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
乳児(「小児等への投与」の項参照)
交感神経切除後の患者[本剤の降圧作用が増強される。]
[3)〜11)項は「副作用」の項参照。]
重要な基本的注意
本剤の利尿効果は急激にあらわれることがあるので、電解質失調、脱水に十分注意し、少量から投与を開始して、徐々に増量すること。
連用する場合、電解質失調があらわれることがあるので定期的に検査を行うこと。
夜間の休息が特に必要な患者には、夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
相互作用
併用禁忌
デスモプレシン酢酸塩水和物 ミニリンメルト(男性における夜間多尿による夜間頻尿) | 低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 | いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 |
併用注意
バルビツール酸誘導体 | 起立性低血圧が増強されることがある。 | これらの薬剤の中枢抑制作用と利尿剤の降圧作用による。 |
あへんアルカロイド系麻薬 | 起立性低血圧が増強されることがある。 | あへんアルカロイドの大量投与で血圧下降があらわれることが報告されている。 |
アルコール | 起立性低血圧が増強されることがある。 | 血管拡張作用を有するアルコールとの併用により降圧作用が増強される可能性がある。 |
昇圧アミン ノルアドレナリン アドレナリン | 昇圧アミンの作用を減弱することがある。手術前の患者に使用する場合、本剤の一時休薬等の処置を講ずること。 | チアジド系利尿剤は昇圧アミンに対する血管壁の反応性を低下させることが報告されている。 |
ツボクラリン及びその類似作用物質 ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物 パンクロニウム臭化物 | ツボクラリン及びその類似作用物質の麻痺作用を増強することがある。 手術前の患者に使用する場合、本剤の一時休薬等の処置を講ずること。 | 本剤による血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用を増強すると考えられている。 |
降圧作用を有する他の薬剤 ACE阻害剤 β-遮断剤 ニトログリセリン等 | 降圧作用を増強するおそれがある。 降圧剤の用量調節等に注意すること。 | 作用機序の異なる降圧作用により互いに協力的に作用する。 |
ジギタリス剤 ジゴキシン ジギトキシン | ジギタリスの心臓に対する作用を増強し、不整脈等を起こすことがある。血清カリウム値に十分注意すること。 | 本剤による血清カリウム値の低下により多量のジギタリスが心筋Na-K ATPaseに結合し、心収縮力増強と不整脈が起こる。マグネシウム低下も同様の作用を示す。 |
乳酸ナトリウム | チアジド系薬剤による代謝性アルカローシス、低カリウム血症を増強することがある。 | 本剤によるカリウム排泄作用により低カリウム血症や代謝性アルカローシスが引き起こされることがある。アルカリ化剤である乳酸ナトリウムの併用はこの状態をさらに増強させる。 |
炭酸リチウム | 振戦、消化器愁訴等、リチウム中毒を増強することがある。血清リチウム濃度に注意すること。 | 本剤は腎におけるリチウムの再吸収を促進し、リチウムの血中濃度を上昇させる。 |
糖質副腎皮質ホルモン剤 ACTH | 低カリウム血症が発現することがある。 | 両薬剤ともカリウム排泄作用を持つ。 |
グリチルリチン製剤 | 血清カリウム値の低下があらわれやすくなる。 | グリチルリチン製剤は低カリウム血症を主徴とした偽アルドステロン症を引き起こすことがある。従って両剤の併用により低カリウム血症を増強する可能性がある。 |
糖尿病用剤 SU剤 インスリン | 糖尿病用剤の作用を著しく減弱することがある。 | 機序は明確ではないが、本剤によるカリウム喪失により膵臓のβ細胞のインスリン放出が低下すると考えられている。 |
コレスチラミン | チアジド系薬剤の作用が減弱することがある。 | コレスチラミンの吸着作用によりチアジド系薬剤の吸収が阻害されることがある。 |
非ステロイド性消炎鎮痛剤 インドメタシン | チアジド系薬剤の作用が減弱することがある。 | 非ステロイド系消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成酵素阻害作用により、腎内プロスタグランジンが減少し、水・ナトリウムの体内貯留が生じて本剤の作用と拮抗する。 |
スルフィンピラゾン | チアジド系薬剤はスルフィンピラゾンの尿酸排泄作用に拮抗することがある。 | チアジド系利尿剤は、腎での尿酸分泌の阻害、尿酸再吸収の増大作用を有すると考えられ、スルフィンピラゾンの尿酸排泄作用に拮抗することがある。 |
副作用
副作用発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
(頻度不明)
再生不良性貧血、溶血性貧血
重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
壊死性血管炎
壊死性血管炎があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎、肺水腫、急性呼吸窮迫症候群
間質性肺炎、肺水腫があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、ヒドロクロロチアジド服用後、数分から数時間以内に急性呼吸窮迫症候群が発現したとの報告がある1)2)3)4)。
全身性紅斑性狼瘡の悪化
全身性紅斑性狼瘡の悪化があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー
アナフィラキシーがあらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
低ナトリウム血症
けん怠感、食欲不振、嘔気、嘔吐、痙攣、意識障害等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、直ちに適切な処置を行うこと。
低カリウム血症
けん怠感、脱力感、不整脈等を伴う低カリウム血症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、直ちに適切な処置を行うこと。
急性近視、閉塞隅角緑内障
急性近視(霧視、視力低下等を含む)、閉塞隅角緑内障があらわれることがあるので、急激な視力の低下や眼痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、速やかに眼科医の診察を受けるよう、患者に指導すること。
その他の副作用
頻度不明 | |
過敏症 | 呼吸困難、発疹、蕁麻疹、顔面潮紅、光線過敏症 |
血液 | 白血球減少、血小板減少、紫斑 |
肝臓 | 黄疸 |
代謝異常 | 低マグネシウム血症、低クロール性アルカローシス、血清カルシウムの上昇等の電解質失調、血清脂質増加、高尿酸血症、高血糖症 |
消化器 | 腹部の仙痛、膵炎、唾液腺炎、便秘、食欲不振、悪心・嘔吐、腹部不快感、下痢、口渇 |
精神神経系 | 知覚異常、眩暈、頭痛 |
眼 | 視力異常(霧視等)、黄視症 |
循環器 | 不整脈、起立性低血圧 |
皮膚 | 皮膚エリテマトーデス |
その他 | インポテンス、高カルシウム血症を伴う副甲状腺障害、筋痙攣、けん怠感、鼻閉 |
高齢者への投与
高齢者には、次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
高齢者では、急激な利尿は血漿量の減少を来し、脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神等を起こすことがある。
特に心疾患等で浮腫のある高齢者では急激な利尿は急速な血漿量の減少と血液濃縮を来し、脳梗塞等の血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている。[脳梗塞等が起こるおそれがある。]
高齢者では低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれやすい。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠後期には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[チアジド系薬剤では新生児又は乳児に高ビリルビン血症、血小板減少症等を起こすことがある。また、利尿効果に基づく血漿量減少、血液濃縮、子宮・胎盤血流量減少があらわれることがある。]
本剤投与中は授乳を中止させること。[母乳中に薬剤が移行することが報告されている。]
小児等への投与
乳児は電解質バランスがくずれやすいため、慎重に投与すること。
臨床検査結果に及ぼす影響
甲状腺障害のない患者の血清PBIを低下させることがあるので注意すること。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
生物学的同等性試験
ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」
ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」2錠と標準製剤1錠(ヒドロクロロチアジドとして25mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子(n=12)に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。7)
判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
AUC24 (ng・hr/mL) | Cmax (ng/mL) | Tmax (hr) | T1/2 (hr) | |
ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」 (錠剤、25mg) | 1116±202 | 216.417±56.088 | 2.13±0.88 | 10.46±1.25 |
標準製剤 (錠剤、25mg) | 1135±183 | 229.333±73.941 | 2.13±0.71 | 10.37±1.24 |
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
ヒドロクロロチアジド錠25mg「トーワ」
<参考資料>
ヒドロクロロチアジド錠25mg「トーワ」と標準製剤をクロスオーバー法によりそれぞれ2錠(ヒドロクロロチアジドとして50mg)雄性家兎(n=10)に絶食単回経口投与し、血漿中未変化体濃度について比較検討した結果、両製剤間の生物学的利用率には有意差は認められなかった8)。
溶出挙動
ヒドロクロロチアジド錠25mg「トーワ」は、日本薬局方外医薬品規格第3部に定められたヒドロクロロチアジド錠の溶出規格に適合していることが確認されている9)。
チアジド系の利尿薬であり、トリクロルメチアジドと同様、降圧及び利尿効果をあらわす。利尿作用は腎遠位曲尿細管からのNa+-Cl−共輸送の阻害に基づき、腎からのNa+、Cl−、水の排泄が増加することによる。降圧作用は初期には循環血液量の減少により、長期には末梢血管の拡張によりあらわれるといわれる10)。
安定性試験
ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」
100錠、500錠(PTP)
500錠(バラ)
ヒドロクロロチアジド錠25mg「トーワ」
100錠、1000錠(PTP)
1000錠(バラ)
1. | Rai A,et al., Am.J.Respir.Crit.Care Med., 193, A1890, (2016) |
2. | Jansson PS,et al., J.Emerg.Med., 55, 836, (2018) »PubMed |
3. | Vadas P., Am.J.Emerg.Med., 38, 1299.e1, (2020) |
4. | Kane SP,et al., Perfusion., 33 (320), (2018) |
5. | Pottegard A,et al., J.Intern.Med., 282, 322, (2017) »PubMed |
6. | Pedersen SA,et al., J.Am.Acad.Dermatol., 78, 673, (2018) »PubMed |
7. | 松木 俊二ほか, 新薬と臨牀, 61 (3), 273, (2012) |
8. | 東和薬品株式会社 社内資料:生物学的同等性試験(錠25mg) |
9. | 東和薬品株式会社 社内資料:溶出試験(錠25mg) |
10. | 第十五改正日本薬局方解説書, C-3272, (2006) |
11. | 東和薬品株式会社 社内資料:安定性試験(錠12.5mg) |
12. | 東和薬品株式会社 社内資料:安定性試験(錠25mg) |
改訂履歴 |
2020年2月 改訂 (第16版) |
文献請求先 |
東和薬品株式会社 |
お問い合わせ先 |
東和薬品株式会社 |
業態及び業者名等 |
製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2023/01/25 版 |