○大量出血を伴わない循環血液量及び組織間液減少時の細胞外液の補給・補正
○代謝性アシドーシスの補正
○高張性脱水又はその傾向が認められる場合の細胞外液の補給・補正
出血の少ない手術侵襲の小さな患者に用いるよう考慮すること。
通常成人、1回500〜1000mLを点滴静注する。投与速度は通常成人ブドウ糖として1時間当たり0.25g/kg体重以下とする。
なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。
急速投与した場合、低ナトリウム血症を起こすおそれがあるので、1時間当たり20mL/kg体重以下の速度で投与すること。
術中に大量出血が生じた場合、本剤のみでは循環動態の改善・維持が困難であると考えられるので他の適切な処置を講じること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 糖尿病の患者
血糖値が上昇することにより、症状が悪化するおそれがある。
9.1.2 心不全の患者
循環血液量の増加により、症状が悪化するおそれがある。
9.1.3 閉塞性尿路疾患により尿量が減少している患者
水分、電解質等の排泄が障害されているため、症状が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
水分、電解質の過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
14.1 全般的な注意
14.1.1 使用時には、感染に対する配慮をすること。
14.1.2 注射針や輸液セットのびん針は、ゴム栓の刻印部(○印)に垂直にゆっくりと刺すこと。斜めに刺した場合、削り片の混入及び液漏れの原因となるおそれがある。また、針は同一箇所に繰り返し刺さないこと。
14.2 薬剤調製時の注意
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 原則として、連結管を用いたタンデム方式による投与は行わないこと。輸液セット内に空気が流入するおそれがある。
14.3.2 容器の目盛りは目安として使用すること。
14.3.3 残液は使用しないこと。
18.1 作用機序
本剤は大量出血を伴わない循環血液量、組織間液減少時及び高張性脱水又はその傾向が認められる場合の細胞外液の補給・補正効果を示す。本剤に含まれる酢酸ナトリウムは、体内で代謝されてHCO3−となり、アシドーシスを補正する。
18.2 電解質補給効果
手術侵襲モデルラット及び70%肝切除ウサギを用いて、本剤投与前後の血中電解質濃度、尿中排泄量を、5%ブドウ糖加乳酸リンゲル液、5%ブドウ糖加酢酸リンゲル液及び生理食塩液を対照薬として比較した。その結果、対照薬と同様にナトリウム、カリウム、クロールの血中濃度は良好に維持され、電解質組成に準じた尿中排泄が認められ、対照薬に比べてナトリウムの貯留傾向は抑制された
2)3)。
18.3 アルカリ化効果及び血糖値への影響
70%肝切除ウサギを用いて、本剤投与後の血中乳酸濃度、血糖値を5%ブドウ糖加乳酸リンゲル液、5%ブドウ糖加酢酸リンゲル液及び生理食塩液を対照薬として比較した。その結果、血中乳酸濃度の上昇は、5%ブドウ糖加乳酸リンゲル液に比べ軽度で、酢酸濃度も投与終了30分後には投与前値に回復した。血糖値の上昇は、各輸液中のグルコース濃度を反映した結果となり、本剤群における血糖値の上昇は、5%糖加対照薬群に比べ有意に低く、尿中への糖排泄もほとんど認められなかった
3)。
20.1 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2 以下の場合には使用しないこと。
・外袋内や容器表面に水滴や結晶が認められる場合
・容器から薬液が漏れている場合
・性状その他薬液に異状が認められる場合
・ゴム栓部のシールがはがれている場合