医療用医薬品 : ノボエイト

List   Top

医薬品情報


総称名 ノボエイト
一般名 ツロクトコグ アルファ(遺伝子組換え)
欧文一般名 Turoctocog Alfa(Genetical Recombination)
製剤名 ツロクトコグ アルファ(遺伝子組換え)
薬効分類名 遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤
薬効分類番号 6343
ATCコード B02BD02
KEGG DRUG
D10227 ツロクトコグアルファ
KEGG DGROUP
DG00170 血液凝固第VIII因子
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2023年11月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ノボエイト静注用250 NovoEight for i.v. injections ノボノルディスクファーマ 6343440D1023 12040円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ノボエイト静注用500 NovoEight for i.v. injections ノボノルディスクファーマ 6343440D2020 28145円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ノボエイト静注用1000 NovoEight for i.v. injections ノボノルディスクファーマ 6343440D3026 62012円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ノボエイト静注用1500 NovoEight for i.v. injections ノボノルディスクファーマ 6343440D4022 68383円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ノボエイト静注用2000 NovoEight for i.v. injections ノボノルディスクファーマ 6343440D5029 99009円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
ノボエイト静注用3000 NovoEight for i.v. injections ノボノルディスクファーマ 6343440D6025 149714円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制

6. 用法及び用量

本剤を添付の溶解液全量で溶解し、1〜2mL/分で緩徐に静脈内に注射する。
通常、1回体重1kg当たり10〜30国際単位を投与するが、症状に応じて適宜増減する。
定期的に投与する場合、通常、体重1kg当たり20〜40国際単位を隔日投与、又は20〜50国際単位を週3回投与し、12歳未満の小児に対しては体重1kg当たり25〜50国際単位を隔日投与、又は25〜60国際単位を週3回投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

1国際単位(IU)の第VIII因子活性は健常人の血漿1mL中の第VIII因子活性に相当する。必要量は、体重1kg当たり1IUの第VIII因子の投与により血漿第VIII因子活性が2IU/dL上昇するという経験則より、以下の計算式に基づいて算出すること。
必要な単位(IU)=体重(kg)×第VIII因子の目標上昇値(%又はIU/dL)×0.5(IU/kg/IU/dL)
出血症状の程度に応じて必要な期間、以下の表に示す第VIII因子活性(%又はIU/dL)を下回らないように維持する。用量及び投与の間隔は臨床的な効果が得られるように個々の症例に応じて調整すること。
出血エピソード及び外科手術における用量の指標
出血の程度/外科手術の種類必要な第VIII因子活性値(%)
(IU/dL)
投与の間隔(時間):治療期間(日)
出血軽度
関節内出血、筋肉内出血又は口腔内出血の早期
20〜4012〜24時間毎:疼痛が改善し、出血エピソードが回復するまで
中等度
より進行した関節内出血、筋肉内出血又は血腫
30〜6012〜24時間毎:疼痛や急性の障害が回復するまで3〜4日又はそれ以上
重度
生命を脅かす出血
60〜1008〜24時間毎:危機的状況から脱するまで
外科手術小手術
抜歯を含む
30〜6024時間毎:必要に応じて回復するまで
大手術80〜100
(手術前〜術後)
8〜24時間毎に注射し、第VIII因子レベルを創傷が治癒するまで維持する。引き続き7日間、第VIII因子レベルを30〜60%(IU/dL)に維持する

8. 重要な基本的注意

8.1 患者の血中に血液凝固第VIII因子に対するインヒビターが発生するおそれがある。特に、血液凝固第VIII因子製剤による補充療法開始後、投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に集中して補充療法を受けた時期にインヒビターが発生しやすいことが知られている。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビターの発生を疑い、回収率やインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと。
8.2 本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合のみに適用すること。本剤を処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施した後、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し、本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、在宅自己注射後何らかの異常の認められた場合や投与後の止血効果が不十分な場合には、速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。適用後、在宅自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 ハムスター細胞由来の生物学的製剤に過敏症の既往歴のある患者
9.1.2 本剤の成分又は他の第VIII因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験は実施されていない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
じん麻疹、胸部圧迫感、喘鳴、低血圧、過敏症等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1%以上1%未満
過敏症 発疹
肝臓肝酵素(ALT、AST等)上昇 
循環器 高血圧、心拍数増加、洞頻脈
精神神経系 めまい、頭痛、不眠症
筋・骨格 筋骨格硬直
注射部位注射部位反応(紅斑等) 
その他 浮腫、発熱、疲労、熱感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 添付の溶解液以外は使用しないこと。
14.1.2 他の製剤と混注しないこと。
14.1.3 溶解後の保存
(1)溶解後は直ちに使用すること。
(2)溶解後、2〜8℃で保存する場合は24時間以内に使用すること。30℃以下で保存する場合は4時間以内に使用すること。30℃以下で4時間を超えて保存する場合、分解物が認められる可能性がある。
(3)溶解した液はバイアル中にて保存すること。
14.1.4 使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
溶解時に沈殿・混濁が認められるものや溶解後に凍結したものは使用しないこと。
14.3 薬剤交付時の注意
14.3.1 患者が家庭で保存する場合においては、冷蔵庫内で保存することが望ましい。
ただし、冷蔵庫から取り出して40℃以下で保存した場合、使用期限を超えない範囲で以下の期間内は使用できる。
・30℃を超えない場合、冷蔵庫から取り出して12ヵ月以内
・30℃を超えた場合、冷蔵庫から取り出して3ヵ月以内
14.3.2 冷蔵庫の外で保存した場合は、再び冷蔵庫に戻さないように指導すること。
14.3.3 子供による誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意すること。
14.3.4 光の影響を防ぐために、薬剤バイアルは外箱に入れた状態で保存すること。
14.3.5 使用済みの医療機器の処理については、主治医の指示に従うこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
本剤はvon Willebrand因子を含んでいない。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与時の薬物動態
12歳以上の日本人及び外国人の重症型血友病A患者(FVIII活性が1%以下)を対象に、本剤(50IU/kg)を静脈内単回投与した際の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
 日本人1)外国人2)
例数620
回収率
(IU/mL)/(IU/kg)
0.024±0.0050.020±0.002
AUC(IU・h/mL)23.14±10.8114.22±3.75
t1/2(h)12.61±5.0710.83±4.95
Cmax(IU/mL)1.38±0.371.07±0.16
16.1.2 単回投与時の薬物動態(小児)
小児の重症型血友病A患者(FVIII活性が1%以下)を対象に、本剤(50IU/kg)を静脈内単回投与した際の薬物動態パラメータは以下のとおりであった(外国人データ)。
 6歳未満3)6歳以上12歳未満3)
例数1414
回収率
(IU/mL)/(IU/kg)
0.018±0.0070.020±0.004
AUC(IU・h/mL)9.89±4.1411.09±3.73
t1/2(h)7.65±1.848.02±1.89
Cmax(IU/mL)1.00±0.581.07±0.35

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 第III相国際共同試験(NN7008-3543試験)
治療歴(150曝露日以上)のある12〜65歳のインヒビターを保有しない重症型(FVIII活性が1%以下)の血友病A患者150例(日本人9例を含む)を対象に、定期補充療法及び出血時治療における本剤の安全性及び有効性を検討した4)
定期補充療法には本剤を週3回20〜50IU/kg又は2日に1回20〜40IU/kg投与した。出血時には治験責任医師の判断に従い、血漿FVIII活性が0.5IU/mL以上になるように本剤が投与された。また、手術時は治験責任医師の判断に従い、FVIIIトラフ値が0.5IU/mL超になるように投与された。その結果、全被験者における全出血エピソードに基づく年換算の推定出血率は、6.5回/人・年(95%信頼区間:5.3-8.0回/人・年)であった。150例中105例/499件の出血のうち、332件(66.5%)は自然出血であり、大部分(449件、90.0%)は軽度又は中等度の出血であった。最も出血が多かった部位(373件、74.7%)は関節であった。止血効果は499件の出血のうち、403件(80.8%)が「著効」又は「有効」、62件(12.4%)が「やや有効」、12件(2.4%)が「無効」、22件(4.4%)が不明であった。また、446件(89.4%)は本剤の1〜2回の投与で止血した。9件の手術(大手術8件、小手術1件)の止血治療はいずれも「著効」又は「有効」であった。
150例中11例(7.3%)に17件の副作用が報告された。そのほとんどは非重篤であったが、2例に4件の重篤な副作用(高血圧、洞性頻脈、不眠症、肝酵素上昇)が報告された。第VIII因子インヒビターの発生は認められなかった。
17.1.2 海外第III相試験(NN7008-3545試験)(小児)
治療歴(50曝露日以上)のある12歳未満のインヒビターを保有しない重症型(FVIII活性が1%以下)の血友病患者63例を対象に、定期補充療法及び出血時における有効性及び安全性を検討した3)
定期補充療法には本剤を週3回25〜60IU/kg又は2日に1回25〜50IU/kgを投与した。出血時には治験責任医師の判断に従い、血漿FVIII活性が0.5IU/mL以上になるように本剤が投与された。その結果、全被験者における全出血エピソードの年換算の推定出血率は、5.3回/人・年(95%信頼区間:3.9-7.3回/人・年)であった。63例中41例/126件の出血のうち、84件(66.7%)は外傷出血であり、大部分(115件、91.3%)は軽度又は中等度の出血であった。最も出血が多かった部位(59件、46.8%)は関節であった。止血効果は126件の出血のうち、116件(92.1%)が「著効」又は「有効」、5件(4.0%)が「やや有効」、2件(1.6%)が「無効」、3件(2.4%)が不明であった。また、120件(95.2%)は本剤の1〜2回の投与で止血した。
63例中1例に2件の副作用が報告されたが、いずれも非重篤であった。第VIII因子インヒビターの発生は認められなかった。
17.1.3 第III相国際共同試験(NN7008-3568試験)(継続試験)
NN7008-3543試験、NN7008-3545試験、薬物動態試験のいずれか1試験を完了した重症型血友病A患者187例(日本人5例を含む)を対象に、定期補充療法及び出血時治療における本剤の安全性及び有効性を検討した5)
定期補充療法には本剤を週3回20〜60IU/kg又は2日に1回20〜50IU/kgを投与した。出血時には治験責任医師の判断に従い、血漿FVIII活性が0.5IU/mL以上になるように本剤が投与された。また、手術時は治験責任医師の判断に従い、FVIIIトラフ値が0.5IU/mL超になるように投与された。その結果、全被験者における全出血エピソードの年換算の推定出血率は、3.5回/人・年(95%信頼区間:2.9-4.3回/人・年)であった。187例中86例/366件の出血のうち、多く(241件、65.8%)は自然出血であったが、6〜12歳未満の小児では外傷出血の割合が高かった(23件中20件、87.0%)。出血の大部分(315件、86.1%)は軽度又は中等度の出血であった。最も出血が多かった部位(285件、77.9%)は関節であった。止血効果は366件の出血のうち、319件(87.2%)が「著効」又は「有効」、44件(12.0%)が「やや有効」、3件(0.8%)が「無効」であった。また、332件(90.7%)は本剤の1〜2回の投与で止血した。2件の大手術の止血治療はいずれも「著効」又は「有効」であった。
187例中2例に3件の副作用が報告されたが、いずれも非重篤であった。第VIII因子インヒビターの発生は認められなかった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は血液凝固第VIII因子(FVIII)のBドメインから21個のアミノ酸以外を切断した構造をもち、活性化されると内因性の活性型FVIIIと同様の分子形態となり、血液凝固因子としての薬理作用を示す。
18.2 止血効果(In vivo試験)
血友病Aマウス(FVIIIノックアウト:FVIII-KO)の尾出血モデル及び膝部損傷モデルにおいて止血効果が認められた6)
また、血友病Aイヌにおいて全血凝固時間が正常化した7)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ツロクトコグ アルファ(遺伝子組換え)

一般的名称 ツロクトコグ アルファ(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Turoctocog Alfa(Genetical Recombination)
分子式 C7480H11379N1999O2194S68
理化学知見その他 ツロクトコグ アルファは遺伝子組換えヒト血液凝固第VIII因子類縁体であり、ヒト血液凝固第VIII因子の1〜750番目及び1638〜2332番目のアミノ酸に相当する。ツロクトコグ アルファは761個のアミノ酸残基からなるH鎖及び684個のアミノ酸残基からなるL鎖で構成される糖タンパク質(分子量:約176,000)である。ツロクトコグ アルファはチャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。

22. 包装

ノボエイト静注用250×1バイアル(溶解液シリンジ(4mL)1個添付)
ノボエイト静注用500×1バイアル(溶解液シリンジ(4mL)1個添付)
ノボエイト静注用1000×1バイアル(溶解液シリンジ(4mL)1個添付)
ノボエイト静注用1500×1バイアル(溶解液シリンジ(4mL)1個添付)
ノボエイト静注用2000×1バイアル(溶解液シリンジ(4mL)1個添付)
ノボエイト静注用3000×1バイアル(溶解液シリンジ(4mL)1個添付)

23. 主要文献

  1. 社内資料:第1相臨床試験(NN7008-3600)(2014年1月17日承認 CTD2.7.2.3)
  2. 社内資料:第1相臨床試験(NN7008-3522)(2014年1月17日承認 CTD2.7.2.3)
  3. 社内資料:第3相臨床試験(NN7008-3545)(2014年1月17日承認 CTD2.7.2.3,CTD2.7.3,CTD2.7.4.2)
  4. 社内資料:第3相臨床試験(NN7008-3543)(2014年1月17日承認 CTD2.7.3,CTD2.7.4.2)
  5. 社内資料:第3相臨床試験(NN7008-3568)(2014年1月17日承認 CTD2.7.3,CTD2.7.4.2)
  6. Elm T. et al., Haemophilia., 18, 139-45, (2012)
  7. 社内資料:血友病AイヌにおけるPK/PD(2014年1月17日承認 CTD2.6.2.2.4.3)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ノボノルディスクファーマ株式会社 ノボケア相談室
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1
電話:0120-180363(フリーダイアル)
製品情報問い合わせ先
ノボノルディスクファーマ株式会社 ノボケア相談室
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1
電話:0120-180363(フリーダイアル)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ノボノルディスクファーマ株式会社
東京都千代田区丸の内2-1-1
URL:http://www.novonordisk.co.jp

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/09/18 版